概要・あらすじ
大規模な戦争と環境汚染によって荒廃した近未来の世界では、戦時中に開発された生体兵器戦術鬼たちによって、人類は生存を脅かされていた。新東京の逆十字学園に転校してきた葉隠覚悟は、戦時中に開発された格闘技・零式防衛術と強化外骨格零を武器に、同級生の堀江罪子たちを守るため、戦術鬼を操る自身の兄・葉隠散との壮絶な死闘に身を投じる。
登場人物・キャラクター
葉隠 覚悟
逆十字学園の転校生。純白の詰め襟学生服姿で眼鏡をかけた少年。父の葉隠朧から葉隠家に伝わる格闘技・零式防衛術を伝授され、人間離れした戦闘技術を持つ。第二次世界大戦中、旧日本軍によって開発された強化外骨格零の着装者。必殺技は零式防衛術におけるカウンター技「因果」。 戦術鬼を操り、生き残った人類を滅亡させようとしているのが、兄の葉隠散であることを知り、人類を守るため兄・散との戦いに身を投じる。寡黙で浮世離れした性格だが、他人を思いやる熱い気持ちを秘めている。
葉隠 散 (はがくれ はらら)
葉隠覚悟の兄。父の葉隠朧から、覚悟とともに零式防衛術を伝授されるが、強化外骨格霞を初めて着装した際の出来事で、人類の抹殺を決意。性別を超越し、現人鬼(あらひとおに)と呼ばれる存在になった。居城ガラン城から生物兵器戦術鬼たちを指揮する。零式防衛術の技量は覚悟を上回る。 必殺技は、手のひらから螺旋状の波動を相手の体内に打ち込み、内部から破壊する零式防衛術「螺旋」。
堀江 罪子
主人公葉隠覚悟の同級生。正義感が強く明るい性格で、歌をうたうことが好きな逆十字学園のマドンナ的存在。覚悟がひそかに憧れている。自分の体型を「ペンギンのよう」と思い、気にしている。モデルは実在の歌手堀江美都子。
三千の英霊 (さんぜんのえいれい)
『覚悟のススメ』に登場するキャラクター。強化外骨格零内部に宿る人格であり、旧日本軍によって人体実験の犠牲となった三千人の捕虜たちの怨霊である。侵略戦争を強く憎んでおり、自分たちのような犠牲を出さないため葉隠覚悟に協力を誓う。戦闘時には戦況の分析を行い、覚悟にアドバイスを送る良き相棒。
葉隠 朧 (はがくれ おぼろ)
葉隠覚悟、葉隠散の父。覚悟と散の幼少期からふたりに零式防衛術を伝授していた。修行の最終段階として覚悟、散に強化外骨格の着装を命じるが、霞を着装して現人鬼となった散に殺害される。零式防衛術の継承者であり、強化外骨格雹を着装する。
覇岡 大 (はおか ひろし)
逆十字学園の生徒で、葉隠覚悟、堀江罪子たちのクラスメート。逆十字学園の番長で、子分は藤井ぴょん助と高田ぽん太。幼なじみの罪子に好意を抱いている。転校してきたばかりの覚悟によく絡んでいたが、戦術鬼との戦いを目の当たりにして覚悟と親友になる。
銭形 (ぜにがた)
逆十字学園の教師。担当は国語。テープレコーダーに吹き込んだ録音を流して授業を行い、自分は酒を飲んで寝ているという不良教師だが、生徒を思う気持ちは強い。
校長 (こうちょう)
逆十字学園の校長先生。葉隠覚悟の戦いに理解を示す人物。堀江罪子のファンで、罪子の制服のボタンに発信機と録音機を仕込んでいる。血髑郎に誘拐された罪子を助けるため、銭形や覇岡たちと共に新東京01番地に向かった。
戦術鬼 (せんじゅつおに)
『覚悟のススメ』に登場する改造人間。第二次世界大戦中、葉隠四郎によって開発された生体兵器。素材となった人間の歪んだ認識を表すかのような異形を取り、人間の骨髄液を動力源とするため、殺人を繰り返すという性質を持つ。
破夢子 (はむこ)
『覚悟のススメ』に登場する戦術鬼。巨体でボンテージ姿の女性。怪力と口から吐き出す熱線を武器とする。カップルに激しい嫉妬心を抱き、逆十字学園の生徒たちを襲った。「究極の愛とは2人が1つになること」が信条で、女性は殺害し、男性は捕食する。葉隠覚悟に最初に倒された戦術鬼。
永吉 (えいきち)
『覚悟のススメ』に登場する戦術鬼。葉隠覚悟の生存を知った葉隠散によって逆十字学園に送り込まれる。見た目は老人だが、乾くと硬質化する唾液を飛ばし、マグナム弾並みの威力を持つ必殺技「超凝結唾液弾」を操る。また股間の「息子(せがれ)」と呼ぶ器官からも同様の液体を射出する。覚悟に敗北した後、ガラン城から意識を電送した散によって操られ、再び覚悟に立ち向かう。
毒魔愚郎 (どくまぐろ)
『覚悟のススメ』に登場する戦術鬼。体長17mの巨体を持つ。先端が花のようになっている長い舌を伸ばして人間を捕食する。体内に発電装置を持ち、13万ボルトの電流を発する。ロックと個性を愛し、学校や制服など個性を抑えつけるものを憎んでいる。
恵魅 (めぐみ)
『覚悟のススメ』に登場する戦術鬼。普段はナース服を来た肉感的な女性の姿をしている。女性にモテなさそうな男性を見つけると「献愛(ボランティア)」と称して近づき、油断させておいて捕食する。攻撃には平衡感覚を狂わせる毒ガス「官能弛緩吐息(メロルリブレス)」と、軟体を活かした「両巨乳重爆(ダブルゼットカップボンバー)」を用いる。
ライ
不退転戦鬼と呼ばれるガラン城の幹部で、葉隠散の御側役。元は散の討伐にガラン城を訪れた人間だったが、散の思想に感化されて忠誠を誓う。葉隠覚悟と同等の格闘技術を持ち、打撃系を得意とする。さらに体内には散によって埋め込まれた21個の零式鉄球を持ち、皮膚の147%を鉄甲化させる零式鉄球・戦鬼形態を取ることができる。 戦鬼形態時の必殺技は、胴体から超低温の液体を噴射する「超凍結冷却液射」。
血髑郎 (ちどくろ)
不退転戦鬼と呼ばれるガラン城の幹部。戦術鬼の総指揮を取る人物。葉隠散への忠誠心は厚いが、臆病で卑怯な性質を持ち、他の戦鬼達からの信頼は薄い。堀江罪子を誘拐して戦術鬼罪子に改造し、覚悟を抹殺させようとする。その後、戦術鬼罪子との戦いで傷ついた覚悟も戦術鬼に改造しようとするが、失敗し逆に覚悟の傷を癒してしまう結果になった。
戦術鬼罪子 (せんじゅつおにつみこ)
『覚悟のススメ』に登場する戦術鬼。堀江罪子が血髑郎に洗脳されて戦術鬼となった姿。体にとりついた「調教兵器・毒魔虫」によって意識を操られている。額に知久から渡された成仏鉄球を持ち、幽霊を成仏させる「怨霊成仏光線」を放つ。これによって強化外骨格零に宿る霊魂三千の英霊を成仏させた。
ボルト
不退転戦鬼と呼ばれるガラン城幹部のひとり。ガラン城の守りを勤める衛兵部隊たちの隊長。元はライと同じく葉隠散の討伐にガラン城を訪れた人間で、散の思想に感化されて忠誠を誓っている。散によってデザインされた強化外骨格震を身にまとう。必殺技は、弾性に富んだ展性チタン合金の外装によって、敵の攻撃を同等の威力で弾き返す「応報」。
肉虫 (にくむし)
『覚悟のススメ』に登場する改造人間。ガラン城で人体実験を受けながらも、人間の尊厳を失わずに戦術鬼になるのを拒み、失敗作と見なされて廃棄された人間。ガラン城の周囲に数千体生息しており、ボルトとの戦いで傷ついた葉隠覚悟を体内に取り込み、その傷を癒やした。
我理冷夫 (がりれお)
不退転戦鬼とよばれるガラン城の幹部で理系総支配。ふたつの頭部は優れた頭脳を持ち、「我理冷夫式超高温高圧科学絶滅砲」を始めとした武装や戦術鬼の開発、葉隠覚悟の戦力分析など、技術面でガラン城を支える。性格は小心者で、戦闘の際には付近の被害を顧みずにやり過ぎる傾向があるため、前線に出陣することを散から止められている。
腑露舞 (ぶろぶ)
『覚悟のススメ』に登場する改造人間。大きな頭部に単眼、八本の手足を持つ戦術鬼。不退転戦鬼と呼ばれるガラン城の幹部で、御典医を務めている。意識不明となった葉隠散の治療を担当していたが、散を覚醒させることができずにいた。その責任を取るために蔭腹を切り、葉隠覚悟に挑む。最終形態「ファイヤー腑露舞」となった際には、ヘビの様な長い体を持ち、口から2千度の熱線を放射するが、その高熱に肉体が耐え切れず、7分後に燃え尽きてしまう運命を持つ。
知久 (ともひさ)
ガラン城大老の不退転戦鬼。葉隠散の側近を務め、老中影成とともに散が不在のガラン城を指揮している。戦闘時には「霊獣形態」というライオンのような姿になる。最期は葉隠覚悟との戦いで死亡した散の魂を身に宿し、散の肉体を再生させた。
影成 (かげなり)
ガラン城老中の不退転戦鬼。葉隠散の側近を務め、大老知久とともにガラン城を指揮している。普段は老人の姿をしているが、戦闘時には「霊虫形態」という巨大な昆虫のような姿になる。
葉隠 四郎 (はがくれ しろう)
葉隠覚悟と葉隠散の曽祖父。第二次世界大戦中、旧日本軍で「葉隠瞬殺無音部隊」を率いていた軍人。膨大な人体実験のもとに、零式防衛術、零式鉄球、強化外骨格、戦術鬼などの戦略兵器を開発し、旧日本軍による世界征服を企んでいた。119歳になっても生き続けており、帝国を再建する野望を抱いている。 強化外骨格霆を着装する。
犬養 忍 (いぬかい しのぶ)
旧日本軍で「葉隠瞬殺無音部隊」に所属していた軍人で、階級は少尉。葉隠四郎の命令で、乳児であった息子の犬養玉太郎を強化外骨格霞の生体素材として提供する。その後、人体実験の証拠を隠滅するために葉隠四郎によって殺害される。
犬養 玉太郎 (いぬかい たまたろう)
旧日本軍の軍人、犬養忍の息子。産まれたばかりの乳児であったが葉隠四郎によって強化外骨格霞の生体素材として利用される。
犬養 冥 (いぬかい めい)
旧日本軍の軍人、犬養忍の妻。息子の犬養玉太郎を葉隠四郎によって奪われ、強化外骨格霞の生体素材として利用されたことで怒死を遂げ、その怨念を霞に宿らせる。
場所
ガラン城 (がらんじょう)
新東京13番地にある葉隠散の居城であり、戦術鬼たちの総本部となっている。巨大な城の中に巨大ロボット「移動菩薩G(ジャイアント)・ガラン」を隠している。元は解脱者ガランという宗教家が人類救済のために知力と財力を投げ打って建造したものだったが、葉隠散によって奪われ、人類を抹殺する目的のために使用されている。
その他キーワード
強化外骨格 (きょうかがいこっかく)
『覚悟のススメ』に登場する兵器。第二次世界大戦中、本土決戦に備えて開発されたパワードスーツの一種である。外装は展性チタン合金と呼ばれる合金で作られており、着装者を銃弾や放射線、毒ガスなどから防御する。内部には様々な武装が施されている。
零 (ぜろ)
『覚悟のススメ』に登場する強化外骨格。主人公の葉隠覚悟のみ着装することができる意志を持つ鎧。頭部のヘルメットには「七生」という文字がレリーフされている。展性チタン合金の外装の他に、手のひらから射出されるエネルギー弾「昇華弾」など、様々な武装を持つ。最大の武装は、腰の化学兵器作成装置で生成される無色無臭の強力な毒ガス「戦術神風」。 内部は零細胞と呼ばれる人工細胞で出来ており、三千の英霊という人格を宿している。普段は覚悟の持つ鞄の中に収納されており、覚悟の「瞬着!」という掛け声とともに着装が行われる。
零式防衛術 (ぜろしきぼうえいじゅつ)
『覚悟のススメ』に登場する格闘技。第二次世界大戦中、葉隠四郎によって人体実験のもとに開発される。人間の潜在能力を極限まで引き出し、一触必殺を可能とするとされる。元々は旧日本軍が世界征服を成し遂げるために開発された殺人術だが、「戦う力を持たない人々を守るための力」「相手を殺す技ではなく己の認識を殺す技」として葉隠家に継承させられている。
零式鉄球 (ぜろしきてっきゅう)
『覚悟のススメ』に登場する武装。第二次世界大戦中、葉隠四郎によって開発され、葉隠家に継承されていた。葉隠覚悟、葉隠散、葉隠朧、ライたちが装備している。普段は体表に埋め込まれるようにして装備されているが、使用者の意志で体内に吸収し、皮膚を鉄甲化させ、銃弾から身を守ったり、手足を武器化することができる。 8個の零式鉄球を持つ覚悟の場合、皮膚の56%を鉄甲化させることができる。その他にも、体から取り出して投擲武器として使用することも可能。
霞 (かすみ)
『覚悟のススメ』に登場する強化外骨格。葉隠散のみ着装することができる強化外骨格で、零雹よりも後に開発された。内部の人工細胞は犬養玉太郎のもので、犬養冥の怨念を宿し、人類への恨みを抱いている。初めて着装しようとした散を殺害するが、零式鉄球の力で蘇り現人鬼となった散と手を組み、人類の抹殺を図る。 最大の武装は落雷を操る気象兵器である戦術天誅。