概要・あらすじ
速水憧子には親が決めた婚約者・三好端午がいたが、7歳のときに交通事故でなくなった。その事故で生き残った少年は引き取られて三好陸郎となり、次の婚約者となる。高校生になり、陸郎は誰からも好かれる好青年に成長。そんな陸郎に対するひけめと、死んだ端午に対する後ろめたさから、憧子は自分の気持ちになかなか素直になれない。
「誰かに取られるくらいなら、いっそ陸郎を知らないほうがよかった」と思ったとき、憧子はバスケットボールに当たった衝撃から、事故で端午が死ななかった「もうひとつの世界」を見ることになる。
登場人物・キャラクター
速水 憧子 (はやみ あこ)
高校1年生で、開業医の一人娘。女の子らしくないので、周囲からは「野生のサル」と呼ばれている。親同士が決めた婚約者の三好端午を7歳の時に交通事故でなくし、それ以来、何かあると心の中で「たんごさま お願い」と祈るのがクセになっている。同じ事故で生き残った三好陸朗のことが好きだが、罪悪感と劣等感から素直になれない。
三好 端午 (みよし たんご)
7歳の時に交通事故で死んだ少年。速水憧子とは、親同士が決めた婚約者だった。大きな頭の持ち主で、虫や運動が苦手。憧子のことが好き。陸朗への幼い対抗心から、父親に車での無理な追い越しをお願いし、事故にあう。
三好 陸朗 (みよし りくろう)
速水憧子の婚約者。もともとは土方という姓で、憧子の父親の病院に入院していた。退院の日に交通事故にあい、両親をなくす。一人息子の端午をなくした三好家の希望で引き取られ、そのまま憧子の婚約者となる。高校生になり、東京にある養父母の家を出て、憧子もいる故郷のK市に戻って一人暮らしを始める。憧子の父親である若先生に憧れている。
山室 (やまむろ)
速水憧子の同級生。家庭が複雑で一人暮らしをしている。いわゆる不良少女で、髪を染めてパーマをかけ、たばこを吸っている。三好陸郎のことが好きで、いろいろな小細工をして近づこうとする。
若先生 (わかせんせい)
速水憧子の父親。速水病院のあととりで、医師。織田信長の大ファン。一人娘である憧子をかわいがり、「信長のような魅力がある」と思っている。
ばばちゃん
速水憧子の祖母。速水病院の院長夫人。三好陸郎をかわいがり、何かと世話を焼くが、不良と評判の山室が陸郎に近づいているのを知り、学校に報告をして停学にする。
向 比名子 (むかい ひなこ)
速水憧子の同級生で、友人。事故にあう前の三好陸郎と、幼稚園と小学校で同級生だった。