あらすじ
第1巻
アウローラ・エル・ラ=ポルタは、ウェルバム王国にたくさんいる貴族の中でも、三大公爵家の一つであるラエトゥス公爵家の夜会に参加する事になった。伯爵令嬢であるアウローラにとって、社交の場はいわゆる職場にあたる大切なものだったが、いつもパートナーを務めてくれる兄のルミノックス・イル・レ=ポルタが熱を出して欠席したせいで、アウローラは一人で参加する事になってしまう。恋愛に興味がなく、頭の中は大好きな刺繡の事ばかりのアウローラは、夜会に来ても誰と話すわけでもなく、壁の花状態。退屈な時間を、ほかの女性達が身にまとっているドレスの刺繡を観察する事に費やし、今後の刺繡の参考にと思いを馳せていた時、突然額に激痛を感じたアウローラは、床にきらりと光る指輪を見つける。アウローラが指輪を拾い上げた途端、彼女の手を取ったのは絶世の美青年として女性達から高い人気を誇る、近衛騎士のフェリクス・イル・レ=クラヴィスだった。フェリクスはアウローラの手を取り、指輪が選んだ彼女を自分の妻にすると、大声でアウローラとの婚約を周囲に宣言する。
関連作品
本作『指輪の選んだ婚約者』は、茉雪ゆえの同名小説を原作としている。2016年9月30日に一迅社のアイリスNEOより発売された『指輪の選んだ婚約者』に続き、2017年5月2日には第2巻『指輪の選んだ婚約者2 恋する騎士と戸惑いの豊穣祭』が、2017年12月4日には『指輪の選んだ婚約者3 花嫁修業と騎士の最愛』が、2018年7月3日には『指輪の選んだ婚約者4 妖精の試練と騎士の花嫁』が、2019年3月4日には『指輪の選んだ婚約者5 蜜月の騎士と不機嫌な公子様』が刊行され、シリーズ化している。
登場人物・キャラクター
アウローラ・エル・ラ=ポルタ
ウェルバム王国に住む貴族で、伯爵家の令嬢。恋愛にまったく興味がなく、頭にあるのは大好きな刺繡の事だけ。ルナ・マーレ・クラヴィス・エル・ラ=ラエトゥス主催の夜会に一人で出席した際、フェリクス・イル・レ=クラヴィスの投げた指輪が当たり、強引に婚約を宣言される事となる。翌日姿を現したフェリクスからの説明により、改めて事の成り行きを知ったうえで、婚約すればお見合い話がなくなり、大好きな刺繡に割ける時間が増えるという安易な考えで求婚を受ける事にした。もともとポルタ家は魔術師で有名なフロース家の分家であり、幼い頃に魔力量を分析してもらった事があったが、魔女になれるほどではないと判断された。しかしのちに、フェリクスとエーリクにより、アウローラ・エル・ラ=ポルタが刺繡する作品に魔力が宿っている事が判明。さらにアウローラが、魔女が魔女と呼ばれるようになる以前の魔女を意味する「原始の魔女」の力を持っている事が明らかになり、エーリクの研究に一役買う事になる。
フェリクス・イル・レ=クラヴィス
ウェルバム王国に住む貴族で、王宮仕えの魔法騎士の男性。王太子付きの近衛兵を務めるエリートでもある。端正な顔立ちで、その美貌は王宮仕えする男性陣の中でも5本の指に入ると評価が高い。基本的にまじめで正直な性格ながらかなりの口下手で、王都の女性達からは、最初こそその凛々しさから「氷の貴公子」「月の騎士」などと評されるものの、知り合うと3日以内に「外見と中身が嚙み合わない」と判断され、その呼称が定着する事は100パーセントない。押しの強い姉のルナ・マーレ・クラヴィス・エル・ラ=ラエトゥスから、たくさんの女性を紹介され、婚約を急かされている。昨年から、あまりにも多くの縁談が舞い込み続けたため嫌気がさし、夜会の席で自分の投げた指輪が当たった女性を妻とする事を宣言。酒に酔った勢いで指輪を投げ、それが当たったアウローラ・エル・ラ=ポルタとの婚約を決意する。得意とする魔法は氷系で、占術を趣味としている。他人の魔力の有無を感じる事ができ、アウローラの持つ魔力を感じ、彼女に魔力がある事を見出した。
ルナ・マーレ・クラヴィス・エル・ラ=ラエトゥス
ウェルバム王国に住む貴族で、フェリクス・イル・レ=クラヴィスの姉。フェリクスの婚約に際し、本人を差し置き、誰よりも積極的に行動している。自分が主催した夜会の席でも、知人の女性を次々と弟に紹介し、フェリクスをなんとか婚約させようとしていた。何事にも少々強引なところがあり、非常に行動力がある。
ルミノックス・イル・レ=ポルタ
ウェルバム王国に住む貴族で、アウローラ・エル・ラ=ポルタの兄。体が弱く、よく熱を出している。妹思いの優しい性格だが、少し心配性なところがある。
エーリク
ウェルバム王国の王太子にして、魔術師でもある。フェリクス・イル・レ=クラヴィスとは個人的に仲がいい。宮廷専属魔術師を意味するローブをまとい、宮廷の魔術師を名乗って、深夜にアウローラ・エル・ラ=ポルタの部屋を訪れるなど、少々常識に欠けるところがある。魔術を使って急に姿を消したりと、人を驚かせる事も多くあるが、非常に人懐こい性格をしている。本来は、王族の証となる濃い紫色の瞳をしているが、非公式で外出する場合のみ、瞳の色を灰色に変えて身分を偽っている。学生時代から古い魔術に関する研究や、古代魔術を再現する研究を続けている。そのため、常日頃からあらゆるところで古い魔力を探っていたところ、アウローラが刺繡したハンカチから古い魔術によく似た魔力を感じ取り、アウローラに興味を持つ。
マグナス・イル・レ=インゲルス
王宮仕えの騎士であり、王太子付きの近衛兵で近衛隊長を務める男性。フェリクス・イル・レ=クラヴィスの直属の上司であり、右頰に大きな傷跡がある。威勢がよくて言葉遣いは少々乱暴なところがあるが、部下思いの優しい性格で、フェリクスの強さを、5本の指に入ると高く評価している。
ユール・イル・レ=ルーミス
王宮仕えの騎士であり、王太子付きの近衛兵の第1班に所属している男性。式典などで王太子殿下の護衛につくのが主な仕事。第1班に所属しているのは、ユール・イル・レ=ルーミス以外にも、綺麗な顔立ちのお坊ちゃんばかりで構成されている。フェリクス・イル・レ=クラヴィスとは犬猿の仲で、日常的にもなにかと突っかかる事が多く、模擬試合においても、手段を選ばずにフェリクスを陥れようとしていた。女性にモテるタイプで、夜会ではつねに美女をはべらせているが、フェリクスの婚約者であるアウローラ・エル・ラ=ポルタに興味を持つ。
その他キーワード
フロース家 (ふろーすけ)
魔法伯と呼ばれる伯爵家の血筋。ウェルバム王国でもっとも魔力の濃い土地を領地に持つ、古くから続く魔法使いの一族。アウローラ・エル・ラ=ポルタの属するポルタ家は、何代か前にこのフロース家から分家した家柄である。
クレジット
- 原作
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茉雪 ゆえ
- キャラクター原案
書誌情報
指輪の選んだ婚約者 6巻 KADOKAWA〈フロース コミック〉
第1巻
(2019-05-02発行、 978-4040657677)
第2巻
(2019-12-28発行、 978-4040642345)
第3巻
(2020-12-04発行、 978-4040649610)
第4巻
(2021-11-05発行、 978-4046807939)
第5巻
(2023-02-17発行、 978-4046819673)
第6巻
(2024-02-17発行、 978-4046830937)