男爵令嬢のシンデレラストーリー
本作は、没落寸前の貧乏貴族の令嬢であるイリアと、彼女を見初めた「冷徹公爵」と知られるエリオットが、婚約生活を通して馴(な)れ合いの関係から本当の夫婦になるまでの過程を描いたシンデレラストーリー。お互いに相手のことをよく知らないまま婚約した二人が、互いの家の都合に縛られながらもさまざまな困難を乗り越え、少しずつ愛を育んでいく。
12人の令嬢と婚約破棄した冷徹公爵
公爵令息のエリオットは、過去に12人の令嬢との婚約を破棄した「冷徹公爵」として知られている。しかしこれは、オンドルク家の利益を第一に考え、懸命に公爵家を守ってきた経緯によるもの。一方、ヒロインのイリアは貧乏男爵家に生まれ、娘の幸せよりも貴族としてのプライドを優先する身勝手な父親の野心により、過酷な花嫁修業を送ってきた。そんなイリアは思いやりのある女性で、どんな逆境にも負けない精神力の強さを持っている。そんな中、エリオットは王室主催の舞踏会でイリアと出会い、彼女を見初めて突然プロポーズする。そしてイリアは没落寸前のアドリス家を守るため、エリオットのプロポーズを承諾して婚約生活を始める。
障壁を乗り越える度に深まる愛情
弟のエリオットや、公爵家を守るために婚約者に嫌がらせをする義姉のアルベラをはじめ、エリオットに好意を寄せる有力貴族の伯爵令嬢、エリオットの幼なじみで豪商の息子、エリオットのかつての婚約者など、さまざまな障壁が二人の前に立ち塞がる。しかしイリアは、ドレスを盗んだ冤罪(えんざい)をかけて公爵家を追い出そうとしている義姉にすら、自分をよく思わない心は理解できると発言するなど、寛大な心の持ち主。エリオットはそんなイリアの優しさに触れる度に心惹(ひ)かれ、やがて冷徹な仮面を脱ぎ捨てて彼女との結婚生活を望むようになる。
登場人物・キャラクター
イリア・アドリス
アドリス男爵家の長女。妹のニナと跡継ぎである弟のキオスがいる。没落寸前の男爵家に生まれ、幼い頃から復興の野望に燃える父親により、過酷な花嫁修業を課されている。イリア自身と同じ花嫁修業を課されているニナが身体が弱いため、父親との交渉の末、国王主催の舞踏会で身分の高い男性と婚約すれば、妹を花嫁修業から解放するという約束を取り付けた。舞踏会では周囲の貴族から冷ややかな目で迎えられるが、誤ってワインでドレスを汚してしまった令嬢を助けた際に、その場面を目撃していたエリオット公爵に見込まれ、急転直下で「冷徹公爵」と噂される彼の13番目の婚約者となる。基本的にポジティブ思考で、自分のことよりも他人を第一に考えて行動する一方で、自身が不利益を被るのは仕方がないという諦念を抱いている。
エリオット・オンドルク
オンドルク公爵家の当主。腹違いの姉、アルベラがいる。周囲から「冷徹公爵」と噂されている青年で、これまで12人もの令嬢との婚約を破談にしてきた。国王主催の舞踏会で見知らぬ令嬢に優しく接するイリアに興味を持ち、ダンスのパートナーに誘い、その場で突然婚約を申し込んだ。しかし、当初は「俺の子供を産んでくれさえすれば、あとは自由にしてかまわない」と突き放すような冷たい態度を取っていた。姉のアルベラが、イリアを婚約者として相応(ふさわ)しいかどうか試すためと称して彼女を虐げていても、我関せずにいた。しかし、イリアの類まれな優しい心根に触れ、徐々に彼女に惹(ひ)かれるようになる。幼い頃から並外れた才能の持ち主で、公爵代理となっていた叔父の悪行を咎(とが)めて弾劾して以降、公爵家の当主として姉と二人でオンドルク家を守るために奔走してきた。そのため、日頃からオンドルク家の利益のため冷徹な判断を下すことが多く、冷酷無比な人物だとカンちがいされている。実際は優しい性格で家族や使用人を大切にしており、特にイリアとの恋愛面では初心(うぶ)な素顔を覗かせることも多い。
クレジット
- 原作
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C.C
書誌情報
花嫁修業をやめたくて、冷徹公爵の13番目の婚約者になります 6巻 フレックスコミックス〈ポラリスCOMICS〉
第1巻
(2022-12-15発行、 978-4866752594)
第2巻
(2023-05-15発行、 978-4866752822)
第3巻
(2023-10-14発行、 978-4866753188)
第4巻
(2024-03-15発行、 978-4866753485)
第5巻
(2024-08-08発行、 978-4866753706)
第6巻
(2025-01-15発行、 978-4866754055)