あらすじ
第1巻
王太子、アルヴィンの婚約者に選ばれるはずのエリアナ・リュミエールは、妹のルーナ・リュミエールのわがままによって、その座を降ろされてしまう。これにより、周囲から覚えのない誹謗中傷を受けることになったエリアナは疲れ果て、火口に身を投げて伝説の竜へ豊穣を願う竜の花嫁に立候補する。しかし花嫁衣装に身を包み、自らの人生を悔やみながらマグマへと落ちていくエリアナを救ったのは、伝説の存在とされている強欲の竜、グリードだった。こうして一命を取り留めたエリアナは、グリードの下僕にして花嫁となり、彼と共に暮らすようになる。
関連作品
小説
本作『妹に婚約者を譲れと言われました 最強の竜に気に入られてまさかの王国乗っ取り?』は、柏てんの小説『妹に婚約者を譲れと言われました 最強の竜に気に入られてまさかの王国乗っ取り?』を原作としている。原作小説版には、続編として『妹に婚約者を譲れと言われました2 囚われた最強の竜を私が奪い返します』がある。
登場人物・キャラクター
エリアナ・リュミエール
スレンヴェール王国にあるリュミエール公爵家の令嬢。ルーナ・リュミエールの姉。伝説の竜、グリードの下僕にして花嫁であり、ドライアドのジルの主人でもある。腰まである長い銀髪の若い女性で、男性に異を唱えることなく、三歩下がってついていくような控えめな性格をしている。本来は王太子であるアルヴィンの婚約者に指名されていたが、アルヴィンに一目惚れしたルーナがわがままを言ったため、父親が王家に婚約者の変更を申請し、婚約を破棄された。その後、竜の花嫁として火口に身を投げた際、グリードに命を救われたため、彼の下僕として生きることを決意する。グリードが、エリアナ・リュミエール自身に好意を抱いていることには気づいていない。
グリード
スレンヴェール王国で伝説の存在とされている強欲の竜。赤い鱗の大きな竜で、鱗が触れたものはすべて腐ってしまう。人間の姿になることもでき、その時は赤毛で髪の長い、若い男性となる。また人間の姿の時は周囲のものを腐らすことがないため、ふつうにものに触ることができる。竜の花嫁として火口に身を投げたエリアナ・リュミエールを偶然発見し、救出した。その後はエリアナのおとなしい性格を気に入ったため、下僕ながら花嫁として扱い、いっしょに過ごしている。もともとは腐るもののない火口に一人で住んでいたが、エリアナが暮らすために不自由であるという理由から、竜の神殿で暮らすことにした。ドライアドの王とは旧知の仲であり、エリアナの世話係にとジルを譲り受けた。
ジル
「ドライアド」と呼ばれる木の精霊。エリアナ・リュミエールの世話係を務める。グリードがドライアドの王から譲り受けた苗木で、若い少年や少女にも見える姿をしている。性別がなく、使用人用の服としてスカートを身につけている。すべてのドライアドは褐色の肌に尖った耳、緑色の髪で見た目に差がない。もともとは個体名を持っていなかったが、エリアナによって「ジル」と名づけられた。自意識は確立されているが、一日の終わりにはほかのドライアドたちと意識を共有している。エリアナとグリードが、イチャイチャする姿を見るのが趣味であり、観察日記をつけて二人の恋の行方を見守っている。
ドライアドの王
木の精霊であるドライアドたちの王。グリードとは旧知の仲。大きな古木の化身のため性別がなく、若い少年や少女にも見える姿をしている。ちなみに、ドライアドはいずれも褐色の肌に尖った耳、緑色の髪をしているため、ふつうのドライアドであるジルと見た目に差がない。一人称は「儂」で、年寄りのような話し方をするが、グリードをからかって遊ぶお茶目な一面もある。ドライアドは意識を共有できるため、ジルの意識をよく覗いており、グリードとエリアナ・リュミエールの関係を見守りつつ、グリードが右往左往する様子を面白がっている。
アルヴィン
スレンヴェール王国の第一王子にして、王太子。金髪碧眼の若い男性で、エリアナ・リュミエールの元婚約者だったが、現在はルーナ・リュミエールを婚約者としている。腹違いで、高い地位の母親を持つ第二王子のステファンを推挙する貴族たちを黙らせるため、リュミエール公爵家の娘と結婚する必要にせまられている。貴族たちからは品行方正、眉目秀麗で物語から出てきたような王子様と評価されているが、それは自分の地位を守るために取り繕った姿である。ルーナをわがままで身勝手な無能と評しており、エリアナと婚約破棄し、ルーナを婚約者にしたことを非常に後悔している。
クリス・トワイニング
スレンヴェール王国最強と謳われる魔術師の男性。モノクルをかけ、長髪を腰まで伸ばしている。宮廷魔術師長を務めており、出仕しない日が続くと国王の機嫌が悪くなるほど、国王から非常に気に入られている。エリアナ・リュミエールに恋愛感情を抱いており、エリアナが竜の花嫁として捧げられたあとも、彼女の生存を信じて探し回っていた。種族が違うにもかかわらず、エリアナを花嫁として扱うグリードに敵対心を抱いている。
ルーナ・リュミエール
スレンヴェール王国にあるリュミエール公爵家の令嬢。エリアナ・リュミエールの妹。現在はアルヴィンの婚約者でもある。ウェーブがかった長い髪をリボンで飾り立てた若い女性で、幼い顔立ちをしている。エリアナの婚約者として屋敷を訪れたアルヴィンに一目惚れし、公爵である父親にわがままを言って無理矢理に婚約者の座を勝ち取った。ほかの令嬢といざこざを起こすことも多く、執務中のアルヴィンのもとに押しかけて中々会えないことに文句を言ったりするため、アルヴィンからは迷惑がられている。
ステファン
スレンヴェール王国の第二王子。アルヴィンの腹違いの弟。アルヴィンと同じく容姿端麗で、金髪碧眼の持ち主。母親の出身がアルヴィンの母親よりも高いグランスフィール公爵家であるため、次期国王に推挙する貴族が多い。そのため、アルヴィンはグランスフィール公爵家と同格であるリュミエール公爵家の娘と結婚する必要にせまられている。
その他キーワード
竜の花嫁 (りゅうのはなよめ)
スレンヴェール王国で昔から行われている生贄を指す言葉。スレンヴェール王国では10年に一度、竜に豊穣を願うため、若い娘に花嫁衣装を着せ、火口からマグマに向かって身を投げさせている。竜の花嫁を出した家は娘を一人失う代わりに、恒久的な栄誉と国からの年金が約束される。
クレジット
- 原作
-
柏 てん
- キャラクター原案
-
COMTA
書誌情報
妹に婚約者を譲れと言われました 最強の竜に気に入られてまさかの王国乗っ取り? 9巻 KADOKAWA〈B's-LOG COMICS〉
第6巻
(2022-09-30発行、 978-4047372054)
第7巻
(2023-06-01発行、 978-4047375222)
第8巻
(2023-12-28発行、 978-4047377844)
第9巻
(2024-05-31発行、 978-4047380059)