おもいがおもいおもいさん

おもいがおもいおもいさん

「超」が付くほどまじめで一途な軽井沢両が、中学時代に長いあいだ思い続けてきた面井みとんは、才色兼備ながらヘビーな恋愛観を持つ「重い女」で、みとんの家族もまた、それぞれに重い家族愛の持ち主だった。両と面井一家、さらにどこか価値観のズレた友人たちをも巻き込んで展開される、思いが重いヘビー級ラブコメディ。「ヤングアニマル嵐」2018年No.7、「ヤングアニマル」2018年13号に掲載されたほか、「マンガPark」で2018年9月28日から配信の作品。

正式名称
おもいがおもいおもいさん
ふりがな
おもいがおもいおもいさん
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

軽井沢両は、中学校の入学式当日に同学年の面井みとんに一目惚れした。さらに彼女のことを観察していくにつれ、優しく才色兼備で、自分が苦手なことからも逃げ出さずにがんばるその姿に思いを募らせていく。遠くから彼女を眺めるのが精いっぱいだった両だが、迎えた卒業式の日、ついに覚悟を決めてみとんを呼び出して告白する。すると予想外にも、みとんは二つ返事で両の思いを受け入れ、その場で進学するはずだった女子校を蹴って、両と同じ高校に転校して入学すると言い出す。そしてIDを聞いてもいない両のSNSに、壁紙用にと自撮り写真を送りつけ、8月生まれの両ならば高校3年生で学生結婚が可能だと嬉しそうに語る。さらには、登校時には毎日お弁当を持って迎えに行く、ほかの女の子の連絡先はすべて消してほしいと矢継ぎ早に伝え、その思いの重さで両をドン引きさせるのだった。だがその直後、うっすらと涙すら浮かべながら満面の笑みで「大好き」と告げられた両は、そんなことはどうでもよくなってしまう。(第1話「届け このおもい」)

放課後、両と下校するために友達と別れて教室に戻ったみとんは、そこで両が中学時代からの友人である新庄から、みとんとヤッたのかとあけすけに尋ねられている場面に遭遇する。何もないと答える両に、新庄はみとんならば頼めばなんでもしてくれるのではないかとそそのかすが、それに対して両は、だからこそ自分が我慢し、誠実に順を追って交際を進めるべきなのだとまじめな表情で諭す。そんな話を盗み聞きして、両が自分たち二人の将来のことを真剣に考えていると知ったみとんは、顔を赤らめながらも素知らぬ風を装って両を誘い、いっしょに下校するのだった。帰り道、みとんはゴールデンウイークに家族でグアムに行くことを告げ、両もいっしょに来ないかと誘う。両は、結婚しているわけでもないのに、自分がみとんの家族といっしょに旅行するというのは違うのではないかと返すが、次の瞬間、せっかく誘ってくれたみとんの思いをないがしろにしてしまったのではないかとうろたえる。だが、先ほどの両と新庄の会話を聞いていたみとんは怒るどころか、確かに物事には順序も大事だと納得した様子を見せ、そういうところも好きだと両にベタベタ甘えるのだった。(第23話「順序は大事」)

ある日、みとんのスマホが学校の机の上に置きっぱなしになっていた。先日、両はみとんのスマホの暗証番号が両の誕生日であることを教えられており、これは自分に興味津々の両が、スマホの中身を確認するだろうと考えたみとんが仕掛けた罠だったのである。だが、そんなみとんの思惑も空しく、両はほかの人に見られないよう、みとんのスマホを彼女の机の中にしまう。その後も、みとんはわざとらしくスマホを机の上に出しっぱなしにしたり、両の机の上に置いたり、最終的には両のカバンの中に忍ばせたりするものの、両は毎回中身を見ることなく、みとんの机の中にスマホを戻すのだった。ついにみとんは自分に興味がないのかと怒り出すが、両はそんな彼女に困惑しながらも、人のプライバシーを侵害するつもりはないと告げる。だがみとんは、両自身に後ろめたいことがあり、自分のスマホを見られたら困るのでみとんのスマホも見ないのだろうと、わけのわからない理屈で両を責め立てる。そしてみとんは動揺する両から彼のスマホを奪い取って中身を確認するが、そこにはみとんの隠し撮り写真が大量に保存されていた。これは、もともとは遠山翔子が隠し撮りした写真を両に送ってきたもので、消すには名残惜しくそのままになっていただけだったが、そんな言い訳が通用するとも思えず、両は自分が盗撮魔としてみとんに気持ち悪がられるのではないかと頭を抱える。だが、大好きな人のスマホの中身が自分の写真でいっぱいになっているという状況に、みとんは顔を真っ赤にして照れながら、確かに人のスマホを勝手に見るのはよくないと、おとなしく両にスマホを返すのだった。(第43話「スマホの中身」)

登場人物・キャラクター

軽井沢 両 (かるいざわ りょう)

面井みとんと同じ高校に通う1年生の男子で、クラスメート。黒髪をツンツンと立たせたベリーショートヘアにしている。中学校の入学式の日以来、同じ学校に通っていたみとんにずっと思いを寄せており、周囲には臆面もなくみとん好きを公言していたが、思い切りがつかずにみとんにはずっと告白できずにいた。みとんが自分とは別の高校に行くことを知り、卒業式の日、ついに思い切って告白したところあっさり受け入れられ、みとんと付き合うようになる。その後、なぜかみとんが自分と同じ高校に入学することとなり、同時にストーカーじみた重い恋愛観を持つみとんに振り回されるようになっていく。みとんの愛の重さには困惑してはいるものの、みとんが絡んだことであればなんでも平然と受け入れたうえでなお彼女を愛しく思うなど、実は軽井沢両からみとんへ向けた愛も重く深い。みとんと双子で、外見が瓜二つの面井フォトンがみとんのふりをした際にもまったく騙されることはなく、みとんとは顔が全然違うと言い放ち、どこで判別しているのかと、みとんの母とフォトンをおびえさせたほど。非常にまじめで誠実な性格だが、それが行き過ぎた結果、両自身の価値観も一般からは少々ずれており、なんだかんだでみとんとは似た者同士のいいカップルとなっている。一方でみとん以外の女子にはまったく興味がなく、クラスメートの女子についても、名前すら知らない。野球が大好きで中学時代は野球部に所属していたが、実力はそれほどでもなく、高校では野球を続けるかどうか悩んでいた。しかしみとんに、うまい下手は関係なく、好きな野球に対して誠実でまじめに取り組む姿がカッコいいと評され、高校でも野球部に入部した。なかなか芽が出なくても腐らず、みとんの言葉どおりに地道な努力を続けているが、当のみとんには、両が野球部に入ったことでいっしょにいられる時間が減ったと、当時のアドバイスを後悔されている。恋愛小説を書いているクラスメートの遠山翔子に、みとんが両との経験を基に恋愛指南していることもあって、みとんを師匠と仰ぐ翔子には「軽井沢師匠」と呼ばれている。

面井 みとん (おもい みとん)

軽井沢両と同じ高校に通う1年生の女子で、クラスメート。金髪のセミロングヘアで、額を大きく出した、才色兼備の美少女。中学時代、同じ学校に通っていた両が友達に、自分のことが好きだと話しているのを偶然に聞いてしまい、彼の気持ちを知ることとなった。当時は両にまったく興味を持っていなかったが、その後も何かと彼が自分をほめたり、自分のことが好きだと人に伝えたりしている場面に遭遇して、次第に両を意識するようになる。それでも彼から直接思いを伝えられることはなく、さんざん勝手に焦らされた結果、ストーカーじみた執着を見せて両の情報収集をするようになり、みとんも両に思いを募らせていった。そのため、学校でも人気の高い男子に告白されてもことごとく断り、また両のSNSのIDや好きな食べ物など、直接教えられてもいないのに彼のことならなんでも知っている。結果、中学の卒業式の日に両から告白された時にはすんなりと受け入れたが、そのような経緯をいっさい知らない両には、高根の花であったはずのみとんが簡単に自分の思いを受け入れてくれたことを不思議がられている。両の告白を受け入れた際には、その場で進学するはずだった高校を蹴って両と同じ高校に転校して入学するという、常軌を逸した離れ業を披露するとともに、いきなり結婚の話を持ち出したり、ほかの女子の連絡先をすべて消去させたりと、実は独占欲が強く恋愛観が非常に重い。また、両と自分二人だけの幸せを望むあまり周囲の迷惑を顧みないところがあるうえ、両との結婚に向けて性急に物事を進めようとする傾向がある。そのため大胆な言動も多いが、両に頭をなでられただけで真っ赤になってうつむいてしまうなど、本来は純粋で恋愛経験も少ない。また、ふだんは冷静で落ち着いた性格だが、両のこととなると途端に視野が狭くなり目先のことしか見えなくなるため、しばしば両にたしなめられている。ちなみに、両以外の男子にはいっさい興味がなく、対応も冷たい。入学早々行われた林間学校で、同じ班になって親しくなった遠山翔子や嶋田と、三人で行動を共にすることが多い。恋愛小説を書いている翔子に、みとん自身の経験を基に恋愛指南していることもあって、翔子からは「師匠」と呼ばれている。

面井 フォトン (おもい ふぉとん)

面井みとんの双子の妹で、みとんとは別の高校に通っている。金髪のセミロングヘアで、みとんとは外見が瓜二つの美少女だが、面井フォトンはふだんは前髪を作っている。幼い頃、変な名前だとからかわれていたところを、みとんによく助けられていたことから、彼女に対する執着が非常に強い。もともと同じ高校に進学するはずだったにもかかわらず、軽井沢両に告白されたみとんが別の高校に行ってしまったこともあり、両のことを恨み、憎んでいる。当初はみとんのふりをして両をはめようと企んでいたが、ほとんど同じ顔をしているにもかかわらず、完璧にみとんと見分けている両にはまるで通じず、みとんのまねをしている見知らぬ気持ち悪い人扱いされて失敗。その後は両に対し、あからさまな嫌悪感を隠そうともしなくなる。

みとんの母 (みとんのはは)

面井みとんの母親。金髪ロングヘアの、みとんに似た美女。胸が大きくスタイルも抜群で、高校生の子を持つ親としては非常に若い。みとんの彼氏である軽井沢両との初対面時は、彼に対して懐疑的で、みとんへの思いを試そうと自慢のスタイルを駆使した色仕掛けでせまった。この企みは「おばさんには興味がない」という両の一言で潰え、みとんの母は心に大きな傷を負うとともに、両のみとんへの思いを認め、交際を許すこととなった。かねて息子が欲しいと願っていたこともあって、以後は両のことを将来の婿、すなわちもはや自分の息子も同然という飛躍した論理で非常に好意的に受け入れ、ある意味で面井家における両の数少ない理解者となっている。一方で、両を息子としてわが家に迎え入れるために、さっさと既成事実を作ってみとんを妊娠させるよう、家に両とみとんを二人きりにしたりとさまざまな手を講じているものの、何かと生まじめで順序にこだわる両には通用せず、じれったい思いを抱いている。ちなみに両に対しては息子として強く執着しており、自分のことを「ママ」と呼ぶように強要している。実は高校生の時に周囲の大反対を押し切って教師だったみとんの父と結婚し、みとんと面井フォトンをもうけたという経緯がある。みとんの父には「いったん」と呼ばれている。

みとんの父 (みとんのちち)

面井みとんの父親。黒髪ショートヘアで、スポーツ用のような天地幅の狭い眼鏡を掛けている。妻であるみとんの母と、双子の娘であるみとん、面井フォトンへの愛と執着が非常に強い。そのため、たとえ相手が幼稚園児であっても、これまでみとんと親しくなった男には、ネチネチと重圧感を与える言葉攻めで、みとんから遠ざけてきた。ちなみにこの手法は、フォトンからは「陰湿圧迫ハラスメント」と呼ばれている。そのような経緯もあり、みとんの彼氏というだけでなく、みとんの母からも愛情を注がれている軽井沢両のことを忌み嫌っており、初対面の両に対して、みとんと付き合いたいのであれば清水の舞台から飛び降りるような覚悟を見せるように要求。結果的にこのせいで両がケガをしてしまったこともあり、しぶしぶ彼とみとんの交際を認めることとなった。ちなみに、みとんの父の両に対する姿勢が、暴走しがちなみとんのストッパーになることも多く、自分の望むようにその場の空気を修正してくれると、両にはある意味で感謝されている。みとんの母には「ひゃっくん」と呼ばれているほか、時に意味深に「先生」と呼ばれることもある。実は高校生時代のみとんの母と、教師と生徒という立場ながら結婚し、みとんとフォトンをもうけたという経緯がある。そのため、彼女の親には未だに認められておらず、顔を見せるたびに「ロリコン」と侮蔑され続けている。この経緯から、のちに両に周囲の誰からも認められて幸せに結婚することの重要性を説く。

新庄 (しんじょう)

軽井沢両と同じ高校に通う1年生の男子で、クラスメート。明るい色の髪をツンツンと立たせたショートヘアにしている。両とは中学でも3年間クラスメートだったこともあって当時から親しい友人で、面井みとんに思いを寄せてから告白するまでの両の3年間のことを、誰よりも詳しく知っている。明るく元気なごくふつうの男子高校生だが、何かにつけて両にみとんとヤッたのかと尋ねるなど、物事を下半身で考えがちなところがある。しかも新庄自身は、健全な男子高校生の正しい姿であると、そのことについては開き直っている。両には裏表のない性格でいっしょにいて面白いと評されてはいるものの、すぐに女子を性的な目で見ることに呆れられており、胸が大きく顔がかわいいからという理由で新庄が遠山翔子に興味を持った際にも、あいだを取り持つことに難色を示されている。その後、結局なし崩しに新庄は翔子に告白することとなり、同時に胸と顔が目当てということまでバラされてしまうが、このことを小説のネタになると考えた祥子に受け入れられ、友達から付き合いを始める。

遠山 翔子 (とおやま しょうこ)

軽井沢両と同じ高校に通う1年生の女子で、クラスメート。黒髪ロングヘアのおとなしい美少女で、胸が大きい。入学早々行われた林間学校で、同じ班になって親しくなった面井みとんや嶋田と、三人で行動を共にすることが多い。趣味で恋愛小説を書いているが、遠山翔子自身に恋愛経験がないため、恋愛とはどういうものなのかを、みとんに指南してもらっている。相手がみとんということでその知識はかなり偏ったものになっていくが、のちにみとんと両をモデルにした恋愛小説をひそかにSNSで発表したところ大人気を博し、ついには出版社から声を掛けられるに至った。その小説のネタにするため、休日の二人のデートを隠れながら覗いていたところ両に見つかってしまい、かばうみとんと責める両の仲が険悪になってしまうという事態を招く。その場は、翔子を心配して付いてきていた嶋田が罪をかぶって素直に両に詫びたことでおさまり、同時に両の中での嶋田株が上がることとなった。のちに、その顔と胸に惹かれた新庄に告白され、その目的を知りながらも、友達として付き合うようになる。ただし、これは新庄に好意を抱いているわけではまったくなく、単に恋愛小説のネタになると考えてのことである。なお翔子自身は、みとんの薫陶により、みとんと両のようなカップルがふつうのカップルの姿だと考えており、彼氏にするなら両のような人がいいと思っている。

嶋田 (しまだ)

軽井沢両と同じ高校に通う1年生の女子で、クラスメート。金髪のセミロングヘアを後ろで二つのおさげにしている。入学早々行われた林間学校で、同じ班になって親しくなった面井みとんや遠山翔子と、三人で行動を共にすることが多い。目つきが悪く口も悪いが、友人がまちがっていると思えば諭し、かつ自分がその罪をかぶって頭を下げるなど、心優しく良識人なところがある。そのため、みとんや翔子はもちろん、両などほかの友人に対してもツッコミ役を担うことが多い。しかし、周りがあまりにも異質な価値観を持つ人間ばかりなため、ツッコミつつも、時に自分の方がおかしいのかと自問自答することもある。

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