第一王女ラースの復讐譚
ラースはベリエ王国の第一王女でありながら、その立場を軽んじられ続けていた。強力な魔力の証である淡い金髪は黒く染められ、王家の務めをすべて押し付けられ、社交界に顔を出すことすら許されなかった。さらに、戦争では魔力を利用されるだけでなく、あらゆる不祥事の責任まで負わされてしまう。そんな屈辱の記憶を胸に、過去へと戻ったラースは、自分を迫害してきた者たちへの復讐を誓う。彼女が目をつけたのは、かつて捕虜となった際に「愛人にならないか」と誘ってきたシャリオルト皇帝、ゼフォンの、圧倒的な軍事力と影響力だった。
復讐相手はベリエ王家全員と、ゼフォンの愛人たち
ラースの復讐の相手は、彼女を使い捨てにしたベリエ王家の全員である。皇妃となったラースは、ゼフォンが囲う愛人たちとも対峙する。第三愛人のサシャと第一愛人のアンヌは例外だったが、残る四人の狡猾(こうかつ)で残忍な愛人たちは、ラースに執拗な嫌がらせを繰り返していた。しかしラースはそれに屈することなく、自身が国交においていかに有能で価値ある存在であるかをゼフォンに見せつけていく。また、かつてゼフォンを虐待したマッドサイエンティストのドナート・バザロフに報復するなど、圧倒的な魔力で敵を制圧するラースの姿が痛快に描かれている。
複雑な夫婦のあいだに芽生える絆
本作の見どころは、ラースの復讐の過程にあるが、それだけでなくゼフォンとの恋愛関係も見逃せない。結婚当初、ゼフォンはラースが愛人たちからどのような仕打ちを受けても気に留めることはなかった。しかし、彼女が国交の場で活躍し、愛人たちへの復讐を着実に遂げていく姿を目の当たりにするうちに、次第にラースから目が離せなくなっていく。一方のラースも、ゼフォンから注がれる愛情に戸惑いを感じつつも、彼を苦しめた相手に憎悪感を持つなど、特別な感情を抱き始める。恋愛の雰囲気とは程遠いものの、二人が徐々に夫婦としての絆を深めていく様子が、本作の展開において重要なスパイスとなっている。
登場人物・キャラクター
ラース
ベリエの第一王女であり、シャリオルト皇妃。強大な魔力の証である金髪と赤い瞳を持つが、ベリエにいた頃はつねに髪を黒く染めていた。炎を自在にあやつる魔力を持ち、かつては家族と国のために身を粉にして働き、シャリオルト帝国との戦争では第一線で戦って「ベリエの黒龍」と称された。しかし、その裏では王家の不祥事をすべて押し付けられ、国民からは「ベリエの蝙蝠」と蔑まれている。やがてシャリオルトの捕虜となると、ゼフォンの愛人たちから苛烈な仕打ちを受け、屈辱的な日々を送ることとなる。そんな状況下で、ラースは侍従のシング・ペニーワースから、自分にかけられた罪状のすべてと世界情勢の情報を密かに聞き出していた。時間を逆行したラースは、自らゼフォンの皇妃となることを申し出、虐げた家族やゼフォンの愛人たちへの復讐を開始する。
ゼフォン
シャリオルトの皇帝。白銀の髪に青い瞳を持つ。瀕死の重傷を瞬時に癒す強力な治癒魔法の使い手として知られている。一方で、「残虐な皇帝」との噂もあり、ラースが時間を逆行する前の戦争では、兵士を自爆させる非情な作戦を実行していた。ゼフォンは人間関係の構築に価値を見いだしておらず、国交の一環として友好国から愛人を迎え入れてはいるものの、彼女たちと性的な関係を持つことはいっさいない。時間を逆行する前の世界で、ラースが家族に利用されていることに気づき、自身の生い立ちと重ね合わせて見ていた。そのため、ラースが捕虜となった際には「愛人にならないか」と誘いをかけた。当初はほかの愛人たちと同様に無関心を装っていたが、次第に彼女に対して明確な愛情を抱くようになる。
クレジット
- 原作
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天壱
書誌情報
お求めいただいた暴君陛下の悪女です 6巻 双葉社〈モンスターコミックスf〉
第1巻
(2024-04-25発行、978-4575418644)
第2巻
(2024-08-23発行、978-4575419511)
第3巻
(2025-02-26発行、978-4575420869)
第4巻
(2025-05-23発行、978-4575421538)
第5巻
(2025-09-10発行、978-4575422184)
第6巻
(2025-11-26発行、978-4575422887)







