あらすじ
第1巻
異世界のレイテシア王国によって勇者として召喚された天月伊織は、勇者「アマツ」として仲間たちと魔王討伐の旅に出て、苦難の末に魔王エルフィスザーク・ギルデガルドを追い詰める。しかしトドメを刺す直前に、伊織は仲間のリューザス・ギルバーンやルシフィナ・エミリオールなどに裏切られて殺されてしまうのだった。意識を取り戻した伊織は、再びレイテシア王国に召喚されたが、そこは殺されてから30年たった世界で、かつて自分を裏切ったリューザスは魔王討伐の功績によって国の要職に就いていた。善人を装っているリューザスへの復讐を決めた伊織は、「アマツ」の名を捨て「天月伊織」を名乗ってリューザスと接触。30年前の裏切りには多くの人間や亜人、魔族が関与していたことを知り、リューザスだけなく自分を裏切ったすべてに復讐することを決意する。そしてかつての勇者としての力を取り戻すため、魔法陣で転送した先でエルフィスザークと再会し、彼女から30年前の戦いの事情を聞かされる。エルフィスザークも仲間である魔族から裏切られ、力を失った状態でも復讐を誓っていることを知った伊織は、お互いの目的を達成するためにエルフィスザークと手を組むことにする。
第2巻
かつて自分を裏切ったすべてへの復讐を誓った元勇者の天月伊織と、元魔王のエルフィスザーク・ギルデガルドは、訪れたボルカニア連合国の温泉街に復讐対象の一人であるマーウィン・ヨハネスがいることを知る。マーウィンは温泉街を支配する人狼種のリーダーで住人から慕われている人物であるため、伊織とエルフィスザークはマーウィンへの復讐手段が決まらずにいた。そんな中、温泉街で伊織やエルフィスザークと親しくし、人狼種へ反抗的なミーシャが住む鍛冶屋が何者かに放火され、ミーシャの妹のニャンメルや恩人のゾォルツが瀕死の重体となってしまう。この火災がマーウィンの手によるものだと断定した伊織とエルフィスザークは、二人だけでマーウィンをはじめとした人狼種への復讐を開始する。
関連作品
小説
本作『再臨勇者の復讐譚』は、羽咲うさぎの小説『再臨勇者の復讐譚 ~勇者やめて元魔王と組みます~』を原作としている。原作小説版は、羽咲うさぎが「小説家になろう」に投稿していた小説『再臨勇者の復讐譚 ~失望しました、勇者やめて元魔王と組みます~』を改題したもので、モンスター文庫から刊行された。イラストはしらこみそが担当している。
登場人物・キャラクター
天月 伊織 (あまつき いおり)
異世界のレイテシア王国に勇者として召喚された高校生の少年。勇者「アマツ」として仲間と共に魔王討伐の旅に出て、魔王を追い詰めたところで仲間のリューザス・ギルバーンやルシフィナ・エミリオールなどの裏切りによって命を落とす。その後、30年後の世界に再び召喚される。リューザスから裏切りの内情を聞いて激怒し、自分を裏切ったすべての対象への復讐を決意。同じ境遇の元魔王、エルフィスザーク・ギルデガルドと手を組んでいる。30年前は正義感が強くて素直な性格だった。現在も本質は変わっていないが復讐の対象には容赦がない。右腕に「勇者の証」が刻印されており、内包する魔力は非常に多いが、今はほとんど失われている。
エルフィスザーク・ギルデガルド
かつて魔族を率いていた元魔王の少女。魔王の座は現魔王のオルテギアに奪われており、人質として捕われている部下のために、勇者「アマツ」こと天月伊織と死闘を繰り広げる。敗れたところをルシフィナ・エミリオールによって体を五つに分断されて、それぞれの部位をオルテギアによって迷宮に封印された。部下はすでに処刑されていたことを知り、オルテギアをはじめとした魔族への復讐を誓って魔王軍を離脱。頭部だけの状態の時に伊織と再会し、伊織の事情を聞いて手を組む。伊織からは「エルフィ」と呼ばれている。魔族の中では戦いを好まない穏健派で人懐っこい性格だが、復讐相手や敵には容赦がない。
ルシフィナ・エミリオール
30年前、勇者「アマツ」こと天月伊織と共に魔王討伐の旅をしていた女性騎士。優しくて正義感の強い性格だが、これは伊織を騙すためで、実際は卑劣で残忍な性格をしている。魔王軍のスパイとして、現魔王オルテギアにとって邪魔な伊織とエルフィスザーク・ギルデガルドの共倒れを狙っており、戦いのスキをついて伊織を殺害してエルフィスザークの体を五つに分断することに成功する。戦闘後、魔王討伐成功の名誉をリューザス・ギルバーンに独り占めさせてあげる代わりに真相をしゃべらないように釘を刺し、ルシフィナ・エミリオール自身は魔王軍に帰還した。
リューザス・ギルバーン
レイテシア王国の要職に就いている魔術師の男性。狡猾で野心家の人物。30年前には勇者「アマツ」こと天月伊織といっしょに魔王討伐の旅をし、エルフィスザーク・ギルデガルドを追い詰めたところで伊織を裏切り、魔王討伐の手柄を独り占めした。再召喚された伊織がアマツと同一人物だとわかると、過去の悪行がばれることを恐れて裏で伊織の排除に動くが返り討ちにされる。
ニャンメル
猫人種(ワーキャット)の少女。姉のミーシャと共に、ボルカニア連合国の温泉街で鍛冶屋を営むゾォルツにお世話になりながら、鍛冶屋の手伝いもしている。明るく素直な性格で、語尾に「ニャ」を付ける独特なしゃべり方をする。
ミーシャ
猫人種(ワーキャット)の女性。妹のニャンメルと共に、ボルカニア連合国の温泉街で鍛冶屋を営むゾォルツにお世話になりながら、冒険者として活躍している。冒険者ランクは上から二番目のBランクで、左目の眼帯をはずすと敵の弱点がわかる「魔眼・倹魔眼」が使える。面倒見がよくて不条理は見過ごせない性格なため、温泉街を支配して横暴な態度を繰り返す人狼種に反発している。
ゾォルツ
ボルカニア連合国の温泉街で鍛冶屋を営む男性。ニャンメルからは「マスター」と呼ばれている。30年前にボルカニア連合国が戦いに巻き込まれた際、見ず知らずの人から「助けたいと思ったから助けた」という理由で助けてもらったことがあり、その心意気に感動し、同じ理由で当てもなくさまよっていたニャンメルとミーシャを引き取り、孫同然としていっしょに暮らしている。鍛冶屋として腕は非常に高く、天月伊織とエルフィスザーク・ギルデガルドから提供された素材を使ってみごとな剣を作り上げる。
マーウィン・ヨハネス
人狼種(ワーウルフ)の男性で、ボルカニア連合国の温泉街を支配している。天月伊織の復讐対象の一人。腰が低くて物腰が柔らかいため、温泉街の住民からは信頼されているが、実際は部下を駒としか見ておらず、歯向かうものには容赦しない残忍な性格をしている。30年前に勇者「アマツ」こと伊織を罠にはめたことがあり、それが表に出るのを恐れてリューザス・ギルバーンと共に伊織を裏切った。伊織が再召喚されたことや復讐を考えていることはリューザスから聞いており、伊織を排除するための罠を仕掛けて待ち構える。
クレジット
- 原作
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羽咲 うさぎ
- キャラクター原案
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しらこみそ