無力聖女と無能王女～魔力ゼロで召喚された聖女の異世界救国記～

本作は、魔力ゼロの聖女、七夕と、魔法が使えない王女、ルリアムの二人を主人公とした異世界召喚ガールズラブ・ファンタジー。落ちこぼれの少女と孤独を抱える王女が力を合わせて困難に立ち向かう中で、互いをかけがえのない存在として思い合う百合要素が織り込まれている。また、二人が秘めた才能を開花させ、未知の厄災から国を守る救世主へと成長していく、王道ファンタジーの魅力も存分に味わえる。

将来に希望を見いだせず、フリーターとして日々を過ごしていた七夕は、ある日突然、聖女として現代日本から異世界へと召喚される。世界を救う救世主として期待されるものの、彼女の魔力はまさかのゼロだった。そのため、王宮中から偽物ではないかと疑われ、絶体絶命の危機に陥ってしまう。そんな七夕を救ったのは、サンタマギア国の第1王女、ルリアムだった。しかし、ルリアムもまた膨大な魔力を秘めていながら、いっさい魔法を使うことができなかった。魔力ゼロの聖女と魔法が使えない王女は手を取り合い、次期女王と王族を支える聖女となるべく、過酷な試練に立ち向かっていく。

聖女としてルリアムと共に行動する中で、七夕は彼女の魔力が暴走しかけた際に、無意識のうちに聖魔法を発動させる。その力は、魔力を持たないはずの七夕自身のものではなく、ルリアムから供給されることで初めて発現する魔力だった。互いにとってかけがえのない唯一無二のパートナーであることを悟った二人は、それぞれの欠点を補い合いながら、サンタマギア国を救うための試練に挑んでいく。特に、日本での経験から自己肯定感を失っていた七夕が、聖女としての使命やルリアムとの絆を通じて自信を取り戻し、成長していく姿が本作の大きな見どころとなっている。