概要・あらすじ
小学3年生の女の子・雛形あかりは、かつて人形店を経営していた祖母の家を訪れた。ふと古い蔵の中に迷い込んだあかりは、人形の精霊であるドクに出会う。そこであかりがドクに授けられたのは、さまざまな人形の姿を借り、正義のヒロインやフランス人形のような美少女になれる能力だった。あかりは、変身して悪人と戦ったり、タレントとしてスカウトされたり、といった経験を通じて成長していく。
登場人物・キャラクター
雛形 あかり (ひながた あかり)
小学3年生の女の子。いつも誰かのために一生懸命だが、空回りしておせっかいになってしまうことも多い。心の病を患っている弟・雛形丹吾のためにしっかり振舞おうとしているが、年相応に傷つきやすく世間知らず。祖母の家で偶然に人形の精霊・ドクと出会い、5種類の人形と融合して変身する能力を身につけた。状況に応じて、アメコミの正義のヒロイン、フランス人形、日本人形、人魚、犬のぬいぐるみの姿に変身できる。 フランス人形の姿でいる時に、烏帽子にスカウトされタレントとしてデビュー。タレント活動時は「まろん」という偽名を名乗っている。
雛形 丹吾 (ひながた たんご)
雛形あかりの弟。小学校でいじめられ、心の病にかかっている。気弱でおとなしい子供。変身したあかりの姿を見て自分の姉だと見抜き、その後はあかりの変身能力を知る唯一の人物になる。学校には通っていないが、勉強は好きなため自分で学習している。
ドク
人形の念が集まった精霊で、小さなお化けのような姿をしている。老舗の人形店だった雛形あかりの祖母の家の蔵におり、あかりが蔵の中に迷い込んだ時に姿を現し、変身の能力を授けた。その後もあかりについてきて、時には励ましたり、アドバイスをしたりする。好きなものに変身する力を持つ。
高乃坂 一太 (たかのさか いちた)
雛形あかりの同級生。快活で優しい性格の少年。スポーツも勉強も得意で、学級委員長を務める優等生。あかりはずっと彼に想いを寄せていたが、高乃坂一太自身は彼女の気持ちに気付いていない。日本人形の姿になったあかりを見て、それをあかりと知らず一目惚れする。一太の父親と妹の明菜と3人で暮らしているが、優柔不断な父親のことで悩んでいる。
烏帽子 (えぼし)
芸能事務所「金脈プロダクション」に所属するマネージャー。誠実で実直な人柄で、金儲け主義の金脈社長のやり方には反発を覚えている。フランス人形の姿になった雛形あかりを、タレントとしてスカウトしマネージャーとなった。のちに社長と衝突して解雇されるが、あかりのために独立して「三宝プロダクション」を設立する。
金脈社長 (きんみゃくしゃちょう)
芸能事務所「金脈プロダクション」の社長。金儲け至上主義者であり、タレント志願者の夢につけこんで不当な契約を交わし、食い物にしている。フランス人形の姿になった雛形あかりのスカウトを烏帽子に命じた。不動産業にも手を出し、あくどい手口で稼いでいる。
あかりの母親 (あかりのははおや)
雛形あかり、雛形丹吾の母親。100年続いた人形店の娘だったが、自分の夢のために跡は継がず、努力の末にスチュワーデスとなった。しかし、体を壊して2年で退職。その後は夫と喫茶店「ひなげし」を経営している。2人の子供にも恵まれ、夢はあきらめたが今は幸せだ、とあかりに語った。
滝川 草太 (たきがわ そうた)
女の子に人気の少年で、14歳のアイドルタレント。「まろん」の名前でタレント活動を始めたものの、自信を失っていた雛形あかりに、痛烈なダメ出しをする。それはあかりのことを意識していたためで、その後も出し抜けにあかりにキスするなど、好意を隠さないようになる。しかし、鈍いあかりには通じていない。自信家に見えるが、陰では努力を欠かさない。
勇樹 (ゆうき)
高校生の少年。雛形あかりが家族で訪れた海辺の町に住む。体が弱いためやむなく田舎に移住してきたが、学校にはあまりなじめず、同級生のマキがいつも助けてくれるのを心苦しく感じている。絵を描くことが好き。あるとき海に転落し、人魚の姿になったあかりに出会う。
マキ
高校生の少女。雛形あかりが家族で訪れた海辺の町に住む。体を動かすことが得意で、活発な性格。勇樹に対して恋心を抱いているが、勇樹はその想いに気付いていない。実際は繊細で傷つきやすい内面を抱えており、それゆえに勇樹の芯の強さも見抜いている。
一太の父親 (いちたのちちおや)
高乃坂一太の父親で、冴えない営業マン。大切なことを決められない優柔不断な性格から、妻に愛想を尽かされてしまった。妻が出て行った後も、娘の明菜を親戚に預けるべきかどうか、といった重要なことを自分で決められず、一太を悩ませていた。その一方で、子供たちのことは大切に思っている。
山寺 美国 (やまでら みくに)
金脈社長がタレントとしてスカウトした陰のある少女。フランスで彼女の歌を偶然聴いた社長は心を入れ替え、日本に山寺美国を連れ帰ってタレントデビューさせた。歌の技術はあるが、人の心に響くものがなく、彼女自身も周囲に心を開かずにいる。実は両親に虐待されており、そのトラウマから温かいものすべてを嫌っている。