がじぇっと

中学1年生になった鳥賀周一（シュウ）と多来真奈美（タレちゃん）は、宇宙人やUFOのような形をした、変なキカイを目撃するようになる。やがて、それは「ビビリアン」という生命体で、中学生の女の子の間で流行していることが判明する。ビビリアンは、ROMチップだったものが、持ち主に合わせて変化していく「成長するキカイ」。変化は人ぞれぞれで、持ち主を守るものだったり、希望を叶えるものだったりする。なお、機械として安定した状態になるとビビリアンは「がじぇっと」と呼ばれるようになり、持ち主のパートナーとなる。また、がじぇっとで人を傷つけたり、兵器として使用したりすることは最大のタブーとされており、「ガルガリン」という「神」のような存在の罰を受けるといわれている。シュウとタレちゃんは、がじぇっとを巡る騒動に巻き込まれていくが、実はがじぇっとに深い関わりを持っていることが、物語終盤で明らかになっていく。

シュウは、電器屋だった父の影響で機械いじりが大好きな少年。あまり人間に興味がなかったが、中1になって最初の授業の「自己紹介」で、タレちゃんを見てから変化が現れる。かわいい容姿と電子音に似た声の虜となり、恋に落ちた。タレちゃんは、少し天然なところがある少女で、クラスの妹的な存在として人気者になる。また、かつて飼い犬が逃げた時、追いつくことができなかったため、走る練習に励んだという純粋な心の持ち主である。本作は、シュウの告白やちょっとしたことで喧嘩してしまう二人など、思春期の少年少女の恋を、ファンタジー要素を絡めて描いている。