あらすじ
第1巻
5年前、「奇跡の子どもたち」の一人として魔王ヴェルレーヌの討伐に成功したディック・シルバーは、国王から褒美として王都に新たなギルドを作る許可を得てギルド「銀の水瓶亭」を作り、そこのマスターとなった。それから時がたったある日、5年前に約束したことを守り続けたヴェルレーヌが、銀の水瓶亭を訪れた。ディックはかつての約束どおり、担保として預かった護符を彼女に返そうとしたが、ヴェルレーヌは受け取りを拒否したうえに、勝手に銀の水瓶亭の酒場で働き始めてしまう。そんなある日、ディックが客を装っていると、一人の少女が依頼に銀の水瓶亭を訪ねてくる。窓口担当のヴェルレーヌと依頼人の少女の会話から依頼内容を察したディックは、人知れず依頼達成のためのキーアイテムをヴェルレーヌ経由で依頼人に渡す。ディックが渡したアイテムの効果もあって、依頼は無事に達成。後日、依頼人は再び銀の水瓶亭を訪れるが、その横には「奇跡の子どもたち」の一人であるミラルカ・イリースが立っていた。
登場人物・キャラクター
ディック・シルバー
ギルド「銀の水瓶亭」のマスターを務める男性。5年前に「奇跡の子どもたち」の一人として、魔王ヴェルレーヌを討伐した褒美として新しくギルドを作る。子供の頃に村を襲った魔獣を一人で退治した際、村人から腫れ物を触るような扱いを受けて孤立した経験があり、成長してからはできるだけ目立たないように行動している。そのため、身近のもの以外に印象を持たれることがなく、「奇跡の子どもたち」として活動していた時は「忘却の五人目」とも呼ばれていた。ギルドマスターとなった今でも依頼人とはギルドに住み着いたヴェルレーヌが話し、その会話内容から依頼達成のための手はずを裏から整えている。冷静な性格で、洞察力にも優れている。ただし女性の気持ちには疎く、ヴェルレーヌやアリーン・シュペリア、ミラルカ・イリースに叱責されることが多い。
ヴェルレーヌ
ギルド「銀の水瓶亭」の酒場で働くエルフの女性。5年前まで魔王として君臨していたが、「奇跡の子どもたち」に倒され、能力の一部を発揮するのに必要な護符をディック・シルバーに奪われる。「悪さをしないと約束するなら、5年後に返す」という約束を守り、5年後に銀の水瓶亭を訪れてそのまま居つく。銀の水瓶亭では酒場を切り盛りしながら、裏方に徹するディックの代わりに依頼人との交渉も担当している。ディックには不遜な態度を取ることもあるが、好意を全面的に出すことが多い。
アリーン・シュペリア
ギルドに所属していないフリーの冒険者の女性。「妖艶にして鬼神」という二つ名を持つ。5年前に「奇跡の子どもたち」の一人として魔王ヴェルレーヌを討伐した実力者で、徒手空拳での接近戦を得意としている。気さくな性格で料理の腕前も非常に高い。ディック・シルバーに好意を寄せているが、ディックからは仲間としか見られていない。
ミラルカ・イリース
王都の魔法大学で教授として教鞭を執る少女。年齢は16歳。5年前に「奇跡の子どもたち」の一人として魔王ヴェルレーヌを討伐した実力者で、絶大な魔力を持つ。知性と美貌、それに加えて苛烈な性格と殲滅魔法から「可憐なる災厄」とも呼ばれている。ディック・シルバーに好意を寄せているが、恥ずかしさから素直になれず、攻撃的な態度を取ることが多い。
コーディ・エルステッド
王国の騎士団長を務める男性。「輝ける光剣」という二つ名を持つ。5年前に「奇跡の子どもたち」の一人として魔王ヴェルレーヌを討伐した実力者で、剣を使った戦闘を得意としている。ティミスの火竜討伐の助力をお願いする。
ユフィール・マナフローゼ
アルベイン神教会の女性司祭。愛称は「ユマ」で、「沈黙の鎮魂者」という二つ名を持つ。5年前に「奇跡の子どもたち」の一人として魔王ヴェルレーヌを討伐した実力者で、祈るだけで不死者を浄化できる力を持つ僧侶。討伐の褒美としてもらった孤児院を営むしっかり者で、孤児から好かれる優しい性格の持ち主。冒険していた時と違って、平和な王都では鎮魂する機会がないことにストレスを溜めている。
マナリナ・リラ・アルベイン
アルベイン王国の第一王女。ジャン・ヴィンスブルクトとの婚約を破棄してもらうために、王女の侍女と身分を偽って「銀の水瓶亭」を訪れる。魔王ヴェルレーヌを討伐して国王に謁見している時に後方から見ていたため、ディック・シルバーのことは5年前から知っており、その時からディックの謙遜して目立たないように行動する本質に気づいていた。銀の水瓶亭でディックと再会し、ディックが自分にわからないように、依頼について考えてくれることを知って全面的に信用する。
ティミス
アルベイン王国の騎士団で百人長を務める少女。戦闘評価はCランク。国王の側室の娘で、マナリナ・リラ・アルベインの母親違いの妹でもある。ジャン・ヴィンスブルクトとの婚約を、王族伝統の決闘に勝利して自らの力で破棄させたマナリナを尊敬している。マナリナと直接会うために、副騎士団長を目指して力不足を承知で火竜討伐を狙う。火竜に関して有益な情報を得るために「銀の水瓶亭」を訪れる。性格は実直で仲間思い。貴族出身の側室の中で、肩身の狭い思いをしている庶民出身の母親のためにも、自分が勲功を挙げて母親を守ってあげたいと考えている。
ライア
ティミスの火竜討伐に帯同する虎獣人の女性騎士。刀を使って戦うソードマスターで、戦闘評価はAランク。ティミスに対して不敬な態度を取る人物には、威嚇するように振る舞う。
マッキンリー
ティミスの火竜討伐に帯同する男性射手。クロスボウで戦い、戦闘評価はBランク。ティミスに対してややフランクに接するため、ライアから態度を改めるように言われている。
ジャン・ヴィンスブルクト
元老院のトップに位置する名門貴族の一員の男性。公爵の爵位を持つ。多くの女性に子供を産ませている節操のない人物。権力拡大のために国王を通してマナリナ・リラ・アルベインと婚約するが、マナリナとの王族伝統の決闘で敗北を喫し、婚約を破棄される。
その他キーワード
奇跡の子どもたち (きせきのこどもたち)
戦闘評価がSSSランクと認められた若すぎる五人の冒険者たちの総称。5年前に魔王討伐を目的として結成された奇跡の子どもたちはディック・シルバー、アリーン・シュペリア、ミラルカ・イリース、コーディ・エルステッド、ユフィール・マナフローゼの五人。
銀の水瓶亭 (ぎんのみずがめてい)
アルベイン王国王都アルヴィナスの十二番通りにあるギルド。ギルドマスターはディック・シルバーが務める。目立ちたくないディックは、ふだんは常連客の酒飲みとして振る舞い、客や依頼人の対応はヴェルレーヌが担当している。表向きはふつうのギルドだが、特定の言葉でやりとりした依頼人からはどんな依頼も受けつける。
クレジット
- 原作
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朱月 十話
- キャラクター原案
書誌情報
魔王討伐したあと、目立ちたくないのでギルドマスターになった 9巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉
第6巻
(2022-11-25発行、 978-4049147223)
第7巻
(2023-06-27発行、 978-4049151015)
第8巻
(2024-01-26発行、 978-4049155396)
第9巻
(2024-08-27発行、 978-4049158816)