概要・あらすじ
田舎ノ中学校に通うわぴこは、ポテチ大好き、動物大好き、遊ぶの大好きな元気一杯の女子中学生。ある日、父を亡くして貧乏になってしまった藤ノ宮千歳が田舎ノ中学校に転校して来たが、そこは廃校が決まった極貧学校だった。自分の転落人生に加え田舎ノ中学校の余りの破天荒振りに落ち込む千歳に、今度は弁護士の田中山の裏切りが発覚。
登場人物・キャラクター
わぴこ
ド田舎に住み田舎ノ中学に通う中学2年生。能天気、天真爛漫、天衣無縫という言葉がピッタリの元気一杯の少女。父親を亡くして金持ちから一転、金魚一匹しか手元に残らなかった藤ノ宮千歳が落ち込むのを慰め、千歳の父親の遺産を全てねこばばしようとしていた弁護士田中山を捕らえる活躍を見せる。 友達みんなが大好きで、学校で飼育している牛や豚や鶏などとも同じように接して言葉を交わす不思議な子。鬼ごっこや缶蹴りなど昔ながらの遊びが得意で、足の速さは筋金入り。また、勉強はとにかく苦手だが記憶力だけは抜群で、公式などを丸暗記してテストで100点満天を取るほどの天才振りを発揮する。ド田舎暮らしでズレているようにも見えるが、千歳が病欠したときは誰よりも心配するし、優秀クラスに編入された千歳が猛勉強でフラフラになっているのを助け出そうともする、友達思いの女の子。 ひときわ小柄でショートヘアの片方をゴムで結んでいる。隙があるように見えて、その実けっこうちゃっかりもしている。
藤ノ宮 千歳 (ふじのみや ちとせ)
都会で育ち、超エリートのお嬢様校都会ノ学園に通っていたが、父の死により財産を失い、田舎ノ中学に転校してくる。残されたのは、父の形見である、世界に一匹しかいないピンク色の金魚びょぴちゃんだけ。だが、弁護士の田中山に横取りされそうになった父の遺産を手に入れた千歳は、廃校が決定していた田舎ノ中学を立て直し、都会ノ学園に負けない名門校にしようと理事長に就任する。 だが、金持ちの家に生まれ我が侭一杯に育てられた千歳は理事長の権威を振りかざし、いつも遊びまくり勉強を1つもしないわぴこたちに口喧しい。さらには金銭感覚が庶民とはかけ離れていて、生徒会費で理事長室の高級家具や高級食器を買いまくり、赤字を出す始末。 そんな有様だったが、千歳の母が代わりに理事長になり英才教育を始めようとすると、生徒たちは千歳の存在が自分たちにとってどれだけ身近で大切なものだったかを認めるようになる。おしとやかにしていれば清楚な美少女に見えるが、わぴこたちに乗せられて自分のキャラが崩れかかっているのを気にしている。
ぎょぴちゃん
『きんぎょ注意報』の登場動物。藤ノ宮千歳の家に伝わる家宝で、世界に一匹しかいない時価数億円というピンク色の金魚。幸運を招くといわれ、空をふわふわ飛ぶ不思議な生き物。金魚なのにわぴこが与えるお菓子を喜んで食べ、特にポテチが大好物である。田中山に攫われそうになった所をわぴこに救われ、田舎ノ中学で大事に飼育されている。 また、淡水魚であるはずなのに海を泳ぐことが出来、海野民子の親類が海の家をやっている葉浜海岸でサメと友達になった。そのサメは人間を食べたことがなくポテチが大好物で、田舎ノ中学のプールに飼われている。いつでもどこでも、わぴこたちと一緒に遊んでいる。ぎょぴちゃん自身もわぴこが大好き。 また、大好物のポテチのために校長のお使いを健気にこなすなど、愛すべきキャラクターになっている。
北田 秀一 (きただ しゅういち)
田舎ノ中学に通う中学2年生で主人公わぴこの親友の1人。この物語の中で一番の常識人であり、秀才にして誰にでも平等に優しい少年。父親の遺産で新田舎ノ中学の理事長兼生徒会長になった藤ノ宮千歳の片腕として、生徒会副会長を勤める。また、千歳が湯水のように生徒会費を使い込むことに頭を痛めている。 だがその優しさが災いして、学校で飼育している牛の牛美に雨の日傘を差し出したことで惚れられて、厄介なことに巻き込まれる。牛美は不良牛たちのアイドルだったため不良牛たちに敵視され、授業中以外おちおち校内を歩くことさえできなくなってしまう。また、海野民子も秀一が好きで、牛美とは同じ人を好きになったよしみで励ましあったり、バレンタインのチョコレートを一緒に渡そうとしたりもする。 秀一はそのことでまた一悶着起きるのではないかと戦々恐々としていた。黒髪に詰襟姿で、見た目から優等生然としているし、頭身が崩れることも少ない。
葵 (あおい)
田舎ノ中学に通う中学2年生で主人公わぴこの親友の1人。常にサングラスをかけて、遅刻やサボリの常習犯。何よりもバーゲンセールに目がなくて、つねにチラシのチェックを欠かさない。ずけずけとものを言うデリカシーのなさがしょっちゅう千歳の機嫌を損ねているが、サングラスを外した素顔はかなりの美少年だったため、千歳は密かに恋心を抱いている。 千歳のライバルである都会ノ学園の生徒会長の菅平由梨香もまた葵に恋してしまったため、何かと葵の取り合いを(水面下で)している。本人は恋心とは全く縁のない自由人。田舎ノ中学のお祭り騒ぎを一緒に楽しんだり、混ぜっ返したりと、すこしばかり他の生徒とは立ち位置が違う。 ちなみにカナヅチであるため、皆で海水浴に行こうという際1人反対していた。
菅平 由梨香 (すがだいら ゆりか)
都会ノ学園に通う中学2年生で生徒会長。藤ノ宮千歳と何かと張り合う気の強い少女。張り合ってはいるが千歳と似通う所が多々あり、我が侭一杯で自己中心的なお嬢様でもある。都会ノ学園から田舎ノ中学に転落した千歳が、新田舎ノ中学を設立したことを聞くと、元藤ノ宮家の弁護士だった田中山を偵察に出させるなどする。 田舎ノ中学に侵入し、ビデオを撮るなどしたそのお返しとばかりに、田舎ノ中学の校長以下生徒たちが缶蹴り大会を催したのは、都会ノ学園内だった。ハチャメチャに引っ掻き回され、あげくに一目惚れしてしまった葵とライバルの千歳が付き合っているという嘘を聞かされた由梨香は、これ以降、さらに千歳を目の敵にするようになる。 セミロングのウェーブヘアに少し釣り目がちな瞳が意地悪っぽさを醸し出している少女。
田中山 (たなかやま)
もとは藤ノ宮家の弁護士。娘の千歳に残された遺産やぎょぴちゃんをねこばばしようとしたのが発覚したのちは、何故か都会ノ学園の菅平由梨香の元でこき使われるハメに陥った。メガネにオールバックという一見した所実直な容姿だが、こそこそ裏で策謀を巡らせるのが好きな男。その策謀も詰めが甘く、間が抜けているため、千歳には縛り上げられるし、由梨香にも頭が上がらない。 ただし、田舎ノ中学に一緒に偵察に行った加藤高広のように単純で素朴な少年に対しては、親分肌を吹かせるという小者感満載。由梨香の元で雑用をこなしていても、働かずにタダ飯が食える、程度に人を食った考えを持っている。
海野 民子 (うみの たみこ)
田舎ノ中学に通う中学2年生で、葉浜海岸で海の家を開いている親戚がいる。ある日、不良牛に絡まれていた所を秀一に助けられたことで、秀一に一目惚れ。学校のプールにサメが棲み付いたことで、泳げなくなった田舎ノ中学の生徒たちの要望に応え、親戚の経営する海の家に皆を招待する。 一目惚れした秀一を「私のシロナガスクジラさん」などと呼んだり、わぴこを「かわいいメダカの子みたい」と喩えたりする所から、ちょっとズレてはいるが海が好きな少女である。明るい色の髪の長い少女で、少し儚げな印象を与える美人。また恋する乙女として、同じ秀一を好きになった牛美と仲良しになる。
マイケル
田舎ノ中学に通う中学2年生で、わぴこたちのクラスメイト。また演劇部の部長。だが内実は、部員13名というのが13頭の牛だった。演劇で都会ノ学園と競うハメに陥ったとき、演劇にはわぴこたち生徒らが急遽入部、演劇はなんとか完成して都会ノ学園に勝つことが出来た。だが、全体の統率力は秀一に委ねられており、脚本を書いたのがマイケルだったが、それも劇の途中のアクシデントによって変更に次ぐ変更で、マイケルの能力が優勝に貢献したかは謎。 テスト中に歌を歌わないと集中出来ない、口癖は「おう…」と何故か外人風、飼い猫のフォスティールにバカにされる、とかなり痛々しい。何より、そのげじげじ眉毛とぐりぐりの大きな瞳が、マイケルを一度見たら忘れられない容姿にしている。
溝口 (みぞぐち)
田舎ノ中学の教師の一人で、わぴこたちの担任。真面目で誠実で優しいが、パワフルなわぴこたちの勢いに押されていつも授業を聴いてもらえていない。見た目が子供っぽく、初めて会った藤ノ宮千歳の母に生徒の一人だと間違われたほど。校長に悩み相談をして一念発起、個人面談で生徒たちの心の扉を開かせようとするが、それに失敗。 ついに温厚な溝口が怒ってしまった。期末テストで全科目90点以上取ること、それ以下の生徒は夏休み全て補習、と宣言。結局、わぴこの驚異的な記憶力が全科目100点満点を叩き出し、全員補修は免れた。溝口の思惑は外れたが、勉強は数字ではないと思い知らされた一件でもあった。 音楽教師の古里先生からのバレンタインチョコをスキップしながら楽しみにするような無邪気な面もある。
校長 (こうちょう)
田舎ノ中学の校長先生。白髭の老人の容姿をしているが、生徒たちに率先して缶蹴りやキャンプを楽しむ破天荒な人物。都会ノ警察の警ちゃん、医者の大橋くんと、校長とで、3人揃って幼馴染みにして3人とも何故か頭に2本の触覚が生えている。新設された新田舎ノ中学の入学説明会で牛たちが乱入してパニックになったときに演説で場を納めたりするなど、意外にも校長としての役目を果たしている。 カタツムリとの会話が出来る唯一の存在である所を見ると、校長はカタツムリの親類だと皆に思われる。
三室 万里 (みむろ まり)
K女学院の中学1年生で和宮奈々子の親友。田舎ノ中学の藤ノ宮千歳に憧れており、ミスK女祭コンテストに出場してくれるよう頼みに来る。フワフワして可愛い奈々子と親友であることが自慢。テストで取った98点では満足出来ない秀才だが、規則を守り皆の和を大事にする平凡な少女。 時折我が侭になる奈々子が羨ましくもあり、腹が立つこともあり。全く違うタイプだからこそ、親友でいられる2人。黒髪のおかっぱ頭で、他の女子生徒にはお人好しだと思われている。
和宮 奈々子 (かずみや ななこ)
K女学院の中学1年生で三室万里の親友。田舎ノ中学の藤ノ宮千歳を見つけた当人であり、スK女祭コンテストに出場してくれるよう頼みに来る。言いたい事は我慢しないし、欲しいものは欲しいとはっきり言う。規則に縛られることなく自分の好きな鞄やヘアアクセサリーを使うし、掃除当番をサボりたかったら適当な言い訳をついてサボってしまうような少女。 ふわふわの長い髪がくせっ毛がかっていて、可愛らしい容姿をしている。皆に良い子ぶっている万里の態度に時折苛つくこともあるが、影で悪口を言うより思い切って本人に文句を言える万里がやはり好きである。
場所
田舎ノ中学 (いなかのちゅうがく)
ド田舎にある廃校寸前のボロくて寂れた中学校。父を亡くして都会ノ学園から転校して来た藤ノ宮千歳が、父の遺産を無事受け取ることが出来たことによって廃校を免れ、新田舎ノ中学として再スタートを切ることになる。生徒たちと動物たちが自然に交流する不思議空間でもある。
都会ノ学園 (とかいのがくえん)
ド田舎の隣にある「超ウルトラ金持ち学校」。勉強、スポーツ、文化、全てにおいて優秀で、全国でも有数の名門校。校舎も洋館風の作りで、生徒たちも品行方正、礼儀正しく、上品な子供たちばかりが集まる。まさに、田舎ノ中学の真逆の存在。
K女学院 (けいじょがくいん)
気品ある女性を教育するのが目的のお嬢様学校。三室万里と和宮奈々子が通う。また、都会ノ学園の生徒会副会長である加藤高広の妹智恵子も彼女たちのクラスメイト。年に一度開催される学園祭で、ミスK女コンテストが行なわれることになり、それに田舎ノ中学の藤ノ宮千歳や海野民子、音楽教師の小里先生や、都会ノ学園の菅平由梨香までもが参加することになった。