ああっ就活の女神さまっ

ああっ就活の女神さまっ

藤島康介の『ああっ女神さまっ』のスピンオフ作品。森里螢一と幸せに暮らす女神のベルダンディーが、家計を支えるために就職活動に挑戦する様子を描いた日常コメディ。講談社「月刊アフタヌーン」2019年3月号から2021年12月号にかけて掲載された作品。

正式名称
ああっ就活の女神さまっ
ふりがな
ああっしゅうかつのめがみさまっ
原作者
青木 U平
漫画
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
既刊5巻
関連商品
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あらすじ

女神降臨

人間の森里螢一と女神のベルダンディーは、さまざまな試練を乗り越えた末に結ばれ、森里家で幸せな日々を送っていた。しかし、不況のあおりを受けた森里モータースは一気に経営難に陥り、無職だったベルダンディーは、森里家の家計を助けるために就職活動を決意する。ベルダンディーは就職のため、あらゆる準備を整えて現代の混沌とした就活市場に挑むが、面接の質問のたびに壮大でファビュラスな回答ばかりしてしまい、面接官たちをいつも驚かせていた。自己紹介が始まれば女神にのみあやつれる情報量過多の特殊な言語を使い、特技と称して歌を歌えば神々し過ぎる歌声で面接官たちを驚かせるベルダンディーだったが、結局は驚かれたり感動されるだけで、採用には至らない残念な結果が続く。そんな中、新たな企業の集団面接にやって来たベルダンディーは、意識高い系の女子大学生の皆藤ふみと出会う。就活生として申し分ない知識と経験を持つふみは、今回の面接は余裕だと思っていたものの、ベルダンディーの神々しい姿に見とれたり、優し過ぎる笑顔を目の当たりにして感動するあまり集中できなくなり、ついには面接の途中で懺悔(ざんげ)を始めてしまう。結局、ベルダンディーもふみもその日の面接は不採用となり、余裕と自信に満ちていたはずのふみはベルダンディーとは二度とかかわりたくないと願う。そうとも知らぬままで姉のウルドと妹のスクルドを巻き込んで就活市場に挑むベルダンディーは、何事もなかったかのように企業合同説明会の会場に現れ、友人と共にリベンジに来ていたふみと遭遇する。二度とベルダンディーには近づかないつもりのふみだったが、いつものお人好しな性格から、結局は彼女や友人にアドバイスをしながら、共に説明会に臨むことになる。だが、ふみがあこがれている目当ての企業の人気が高過ぎて、質問をするスキがないというトラブルが発生。混乱とピンチの中で、ベルダンディーは慈悲深い女神として壮大な奇跡を起こす。

神対応の主

無職女神から脱して人間界での就職を決意したベルダンディーは、周囲の協力や面接でのさまざまな出会いを経て、就活の場を広げていく。現代の混沌とした就活市場で地道に面接を続けるベルダンディーだったが、女神といえど新卒の就活戦線に厳しい結果が続き、就活を始めてからすでに1年が経過した頃には就職浪人となっていた。1年目の反省を踏まえ女神にふさわしい適職を見極めるべく、診断アプリ「Liza(リザ)」を使って適職を調べるも、ベルダンディーの壮大過ぎる答えには高度なAIを搭載したアプリでもついていけず、彼女の高速言語を聞いたLizaは壊れてしまう。本物の女神を目の当たりにしたことで人工知能の統計学的超自我は崩壊し、Lizaはそのまま世界から姿を消してしまう。混沌の中にある就活戦線に苦しむ中で、ベルダンディーはインターネットの中にある一つの光を見出す。それはSNS上で「神対応」と絶賛される大企業のアカウントで、強い興味からすぐにメッセージを送ったベルダンディーはインターンとして働くことを勧められる。こうして、就職希望ランキングで絶大な人気を誇り、世界でもトップクラスに入る超大手電機メーカー「ゾニー」のインターンに招かれたベルダンディーは、以前に皆藤ふみから説明されたインターンシップの詳細と共に、かつて体験した神の試練のことを思い出す。どんな厳しい試練でも愛する森里螢一のために乗り越えることを決意したベルダンディーは後日、ゾニーに出向き、先日SNSでやり取りした教育係の渡会と出会い、インターン1日目に挑むこととなる。渡会から出された課題は、若者向けの最新型4Kテレビの営業施策を夕方までにまとめることだった。営業の意味すらよくわかっていないベルダンディーは、ネットで調べたことである答えにたどり着き、闇営業とは対称的な「光営業」でアプローチするも、実際は神々しい光を放っただけに終わる。迎えたインターン2日目、ベルダンディーが営業とはなんなのかという素朴な疑問を渡会に投げかけると、この質問を必要以上に深読みした渡会は、自分の営業現場を1日見学してもらうことに決める。さっそく取引先の月産スタジアムに渡会と共にやって来たベルダンディーは、渡会の素早い判断力と営業力を目の当たりにして感動し、帰り道で聞いた彼の話に出てきた営業論に宇宙の大真理を見出す。だが、この2日のあいだで、ベルダンディーは法術に必要なエネルギーを大量に消費してしまっていた。

破壊と再生

人間界での就職を決意したベルダンディーだったが、女神の力をもってしても厳しい就活戦線に、新たな打開策の必要性を感じていた。そこでベルダンディーは、かつて通っていた大学の友人たちのもとを順番に訪問する「OB・OG訪問」を開始。同じ猫実工業大学に通っていた大学時代の懐かしい同級生や後輩たちは、すでに就職して中には有名な大企業で活躍している者もいた。そんな彼らに就活の極意を教わることにしたベルダンディーが最初に向かったのは、有名な自動車メーカー「ヨヨタ自動車」で活躍する長谷川空だった。空の話から、ヨヨタが社会情勢の影響を受けて業績不振に陥っている現状を悟ったベルダンディーは、久しぶりに彼女とカラオケに出掛けるが、空は酔いながら思い切り好きな曲を歌う中で、職場で子供っぽく見られがちな不満を吐露する。一方、酒には酔わないベルダンディーは代わりにコーラで酔ってしまい、うっかり空の体を祈りの力で大きくしてしまったうえに、酔ったままの彼女に法力を封じるピアスを外されてしまう。強過ぎる法力が全解放されてしまったベルダンディーは、バブル時代を盛り上げた名曲に法力を乗せて歌い、世界に響き渡った彼女の歌声は「神の啓示」という形で世界にある変化をもたらすのだった。ベルダンディーの力で不況だった世界情勢は大きく変化し、世界の国々は史上まれに見る好景気に恵まれることとなる。空の周囲にもある変化をもたらしたベルダンディーはヨヨタ自動車の面接に挑み、面接官たちは最近の好景気に彼女が絡んでいるとにらむが、大きなピアスが原因で採用につながることはなかった。次のOB訪問に向かったベルダンディーは、友人と共にRE業を営む田宮寅一のもとだった。RE業とはリサイクルリユース業のことで、解体工事をした時に出る廃材を再利用できるようにリサイクルショップに流すという仕事だった。神々の成すべき「破壊と再生」に近いRE業に感動したベルダンディーは、ぜひ寅一たちの仕事に携わりたいと意気込むが、彼の得意先であるリサイクルショップを営む大滝彦左衛門は、中心的に扱っているおめでたい縁起物の世界的な買占めに悩んでいた。異常な買占めに違和感を抱き、原因をつき止めようとするベルダンディーが遭遇したのは、かつての敵であるマーラーだった。

ひとりじゃない

ベルダンディーは、女神の力をもってしても厳しい就活戦線に挑むうちに度重なる不採用の心労や疲労から、様子がおかしくなっていた。憂鬱そうな暗い顔をしているベルダンディーの姿を偶然見かけ、心配してウルドスクルドに話を聞いた皆藤ふみは、ベルダンディーが就活生ならではのうつ状態である「就活うつ」に襲われていると断定する。しかもベルダンディーが今回新たに面接に挑んだ企業には、たちの悪い圧迫面接をしてくることで有名な人事部の萩原がいることを思い出す。ふみたちの予想どおりベルダンディーの面接官の中には萩原がおり、彼女をターゲットに定めた彼は言葉にネチネチと嫌味や人格否定の言葉を投げかけてくる。だが、ふみの心配に反して、ウルドたちはベルダンディーは今日の面接のためにエネルギーを貯めていただけだと言い張る。余計な言霊でエネルギーを無駄遣いしないように力をチャージしていたベルダンディーは、むしろ絶好調とも言える状態だったのだ。フルチャージされたベルダンディーの女神としての力は、古今東西世界中の出会いの歯車をかみ合わせ、さまざまな縁を生み出していく。その縁は当然ながら萩原にも影響を及ぼし、彼は仕事中に上司に会った際に、かつての面接でいじめ抜いたふみと再会。ベルダンディーの力は虐げられる就活生に祝福をもたらしただけでなく、萩原はふみとの再会をきっかけに面接のあり方を悔い改める。ベルダンディーの内定の行方は未(いま)だに見えないが、こうして彼女の就活によってさまざまな縁が生み出されていくのだった。ベルダンディーが以前から進めている社会人として活躍する友人たちのOB・OG訪問の仕上げは、天才技術者となった森里恵だった。シフトバンクロボット部に勤める恵は、若くして世界初の感情を持つヒト型ロボット「パーパー」を生み出したことですっかり有名人になり、アイドル並みの人気を誇っていた。恵の成功や人気を目の当たりにしたスクルドは、彼女と同じくメカを得意とする恵に対抗心を抱いていた。ウルドとスクルドを連れて、恵のもとを訪問したベルダンディーは、恵が親族でも会えないほど多忙な中で、大きな悩み事やプレッシャーを抱えていることを知る。

女神、エデンの園

面接やインターン、OB・OG訪問をはじめとするあらゆる就職活動を続けてきたベルダンディーは、新たな境地にたどり着く。それは本当に実在するかすらわからないという意味で、就活生たちから「楽園(エデン)の園」などと噂(うわさ)される、世界最大IT企業「ググール」の採用試験だった。それをウルドたちから聞いた皆藤ふみは、またしてもベルダンディーの奇行に驚かされ、就活生にとっての「無理ゲー」と言われている、ググールの採用試験は彼女には無謀過ぎると言い張る。しかし実際に試験を受けてみると、まさかのジャストフィットで選考が進み、ベルダンディーは採用試験で出会った能見レナと共に二次試験に挑むことになる。ふみたちが心配する中で、二次試験の会場にやって来たベルダンディーとレナは、「新世代四天王」とも呼ばれているM・ワンリリー・IO・カーンクリス・Pに遭遇する。彼らは学生でありながら、すでにさまざまな実績や社会的成功を収めている有名人で、ググール幹部からも注目される猛者(もさ)でもあった。ベルダンディーたちは、そんな超優秀な学生たちとSNSの「いいね」争奪戦で競ったり、共にチームを組んで密室からの脱出試験に挑むこととなる。なんとか難問の数々を乗り越えて補欠として通過したベルダンディーとレナは、研究熱心なレナの豊富な知識で新世代四天王と意気投合し、ベルダンディーのある能力を解放することで脱出試験を突破する。そしてレナ、新世代四天王と共に束(つか)の間の休息を楽しんだあと、ベルダンディーは最終試験当日を迎える。開発中の最新型ロケットの前まで連れて来られたベルダンディーたちは、この最終試験で採用されるのは一人だけだと告げられる。課題としてロケットを操作するという無理難題に挑むことになるが、開発中だったはずのロケットに、試験の途中で大きなトラブルが発生してしまう。

登場人物・キャラクター

主人公

1級神2種非限定の女神。「三女神」と呼ばれている女神三姉妹の次女。ウルドの異母妹で、スクルドの実の姉。暗い茶髪のロングヘアをポニーテールにまとめ、眉毛はやや太めで眉間がやや広い。額にある青いダイヤ型の... 関連ページ:ベルダンディー

森里 螢一 (もりさと けいいち)

森里モータースに勤務する青年。北海道釧路市出身で、かつては猫実工業大学工学部に在籍していた。当初は理不尽な友人や先輩たちに振り回されがちだったが、やがて自動車部の部長を務めるなど、さまざまな出来事やトラブルに巻き込まれる中で成長していく。小柄な体型がコンプレックスとなっている。機械いじりとオートバイを趣味にしている。少々気が弱いが、誠実で優しく思いやりのある性格をしている。温和で争い事を嫌っている。学生時代に電話でベルダンディーを呼び出してしまい、そのままいっしょに住むこととなる。紆余(うよ)曲折を経てベルダンディーとの絆(きずな)を深めて真実のキスを交わし、異種族恋愛審問を受けたのちに正式に結婚を認められ、彼女と結ばれた。泳ぎは苦手だったが、ベルダンディーのおかげである程度は泳げるようになった。ベルダンディーとの絆は深く相思相愛であり、結婚後も良好な夫婦関係を築いている。ベルダンディーを含む女神たちと共に暮らしたり、一時的に天使と共生を果たしたことにより、ふつうの人間でありながら天使に対する受容体ができている。また、魔属を含む異世界の者と対等に渡り合うなど、超人的な精神と体を誇る。不況のあおりを受けて、森里モータースが経営難に陥ったことに悩んでおり、ベルダンディーが就職活動を始めたきっかけともなっている。妹の森里恵とパソコン通信で連絡を取る際は、カメラが壊れたという理由でシルエットのみで登場していた。父親はガラス細工職人をしている。

ウルド

2級神管理限定の女神。ベルダンディーの異母姉。「三女神」と呼ばれている女神三姉妹の長女。額の逆三角形型の紋章は「過去」を司ることを表わす。銀髪のロングヘアで、色黒肌の美女の姿をしている。容姿は母親似で、母親が違うため容姿は妹たちと異なる。大雑把で享楽的な性格をしており、目的のためには手段を選ばないところがある。ふだんはジャージを着用しながら家でヒマを持て余し、スクルドと共にゴロゴロしていることが多い。ふだんはベルダンディーたちの住む他力本願寺で居候している。母親は大魔界長を務める魔属であり、半神半魔の女神として生まれた。本来はユグドラシルの調整が仕事だったが、なかなか進展しないベルダンディーと森里螢一をもどかしく思って人間界に降臨し、彼女たちと暮らすようになった。かなりの薬好きで、あらゆる物事を自作の怪しい薬で解決しようとする。新しい薬を他人に飲ませて実験することもあり、それがトラブルにつながることも多い。過去に1級神の昇進試験を受けて合格したものの、1級神になるとウソがつけなくなるという理由から辞退している。非常に酒好きで、日本酒が法力のエネルギー源となっている。妹のベルダンディーが就職活動を始めたあとは、スクルドと共に優しく見守ったり協力したりしており、彼女を通して皆藤ふみとも知り合った。パソコンなどのモニターを介して空間移動ができる。

スクルド

2級神1種限定の女神。ベルダンディーの妹。「三女神」と呼ばれている女神三姉妹の三女。額の紋章は「未来」を司ることを表わす。黒のロングヘアで、母親がベルダンディーと同じため彼女と似た容姿を持つが、髪の色や毛質、瞳の色などが異なる。また、三姉妹の中ではもっともアジア人に近く、見た目も性格も幼い。異母姉のウルドと共に他力本願寺に居候しており、ふだんはジャージを着てゴロゴロしていることが多い。メカ好きでパソコンの扱いも得意としている。日夜怪しげなロボットや謎の装置を開発している技術者気質(かたぎ)の持ち主で、その大半は法術の影響で作られている。メカは主に問題の解決手段として作られるが、余計に事態を悪化させたりトラブルを招くことも多い。かわいいものにも目がないため、作られるロボットもかわいらしいデザインが多い。アイスクリームが大好物で、重要な法力のエネルギー源でもある。ただし味や成分にはにうるさく、定義から少しでも外れたものはアイスクリームと認めない。少女漫画好きで、「どぼん」という少女向け漫画雑誌を愛読している。姉たちと比べて女神としては未熟で、ベルダンディーに甘えたり同じメカ好きの森里恵に対抗心を抱くなど、子供っぽい一面を見せる。水を介して空間移動ができる。

皆藤 ふみ (かいとう ふみ)

とある大学に通う4年生の女性。現在就職活動中で、リクルートスーツを着用し、髪を一つのお団子にまとめている。生真面目な性格で面倒見がよく、出会ったばかりの他人でも困っていると放っておけない。ビジネス用語を多用するいわゆる「意識高い系」で、アメリカのシリコンバレーに留学していた経験を持つ。大企業の集団面接の時に会場でベルダンディーと知り合うが、彼女の笑顔や眼差しに気を取られて面接中に懺悔を始めてしまい、彼女と共に不採用となる。これ以来、ベルダンディーとはいっさいかかわり合いにならないよう避けていたが、もともとのお人好しな性格と面倒見のよさもあって彼女をなんとなく放っておけず、企業説明会では共に行動している。そこでベルダンディーのある行動に驚かされて以来、神々しさや謎めいた発言で面接官を困惑させる彼女に就職活動の基本を教えながら、就活の世界に導くようになる。ただし、彼女やウルドたちの正体が女神であることは知らない。就活生に人気の企業の情報や要注意人物とされる面接官など就活に非常に詳しく、ベテラン就活生とも言えるほどの幅広い知識や経験を持つ。実は新卒ではなく、過去に就職活動で失敗を重ねてきたいわゆる就活浪人で、時おり就活浪人セミナーに通っている。昔からファッション雑誌の編集者になることを夢見ており、ファッション雑誌を自作するほどにあこがれを抱いている。志望の出版社になかなか採用されず落ち込んでいたが、ベルダンディーたちの協力を得て講談館の内定が決まった。その後は新人編集者として活躍しながら、恩人でもあるベルダンディーの就活を見守っている。

渡会 (わたらい)

世界的な大手電機メーカー「ゾニー」に勤務する営業職の男性。短髪のさわやかな風貌で、まじめで思慮深い性格をしている。ゾニーの企業アカウントの運営も担当しており、多くのアカウントからその返信内容を「神対応」と絶賛されているため、それを見たベルダンディーからは神の一族だとカンちがいされている。ベルダンディーからのメッセージを受け取ってゾニーのインターンを勧め、実際にインターンに挑むことになった彼女の教育係(チューター)を務める。インターンの中で不可解な言動や行動を繰り返すベルダンディーを不思議に思いつつも、彼女が投げかけてくる素朴な疑問を深読みしては、彼女がただの変人ではなくただならぬ就活生であることを見抜いている。現役の営業マンとしての実力は高く、時には酷(ひど)い扱いを受ける営業の厳しさや過酷さを知りつつも、自分なりにたどり着いた営業理論をもとに、日々仕事をこなしている。

暮谷 (くらしや)

就職活動中の青年。ベルダンディーと皆藤ふみが参加した講談館のグループディスカッションで同じグループになったが、議論の場を狂わせるクラッシャーとしてふみから警戒されていた。その後も就活を続けて信託銀行に就職し、財産管理を務めていたが、一人で悩んで海岸に座り込んでいたところを、海水浴に来ていたベルダンディーたちに偶然発見される。再会したベルダンディーからは、神託を受けてさまざまな試練を乗り越える中で解脱して管理神となり、神の一族になったとカンちがいされている。職場の人間関係に悩んでおり、海外に行こうかと考えている。

長谷川 空 (はせがわ そら)

世界的な自動車メーカーである「ヨヨタ自動車」に勤務している女性。黒のショートヘアで眼鏡をかけており、顔にそばかすがある。地味な風貌でまじめな性格ながら、不器用な一面がある。森里螢一の大学時代の後輩で、彼を継いで猫実工業大学の部長を務めていた。童顔で幼児体型なことにコンプレックスを抱いており、就職したあとも職場で子供扱いされることにひそかに不満を持っている。自覚はないが記憶力をはじめとする事務的能力が高く、周囲からの評価や人望は厚い。子供っぽさや不器用さを自覚しているため、大半のことをそつなくこなす大人っぽいベルダンディーにはあこがれを抱いて慕っている。OB・OG訪問を始めたベルダンディーとヨヨタ自動車で再会し、ヨヨタ自動車が業績不振になっている悩みを打ち明ける。そのまま久しぶりに彼女とカラオケに出掛けて、酔っぱらいながらふだんの不満を吐露し、コーラで酔ったベルダンディーの法力を受けて一時的に巨大化する。この際に法力が解放されたベルダンディーの歌声が好景気につながったため、ヨヨタ自動車の業績は好転した。

マーラー

魔属の女性。ベルダンディーとはライバル関係。悪魔事務所に所属する1級非限定魔で、ベルダンディーの幼なじみでもある。濃い金髪のロングヘアで、赤色の瞳と褐色肌を持つ。長い封印を解かれて魔属の地上界でのシェアを拡大するために人間界に降りたが、女神たちが邪魔なために彼女たちを天上界へ帰らせようとさまざまな工作を企てる。招き猫や福助など、人間界に存在するおめでたい縁起物をはじめとする神聖な物体が苦手で、弱点となるこれらをすべて消すために縁起物のリサイクルショップを営む大滝彦左衛門に買占めの呪いをかけて経営難に追い込んでいた。OB・OG訪問で彦左衛門と田宮寅一に会いに来ていたベルダンディーと再会する。

田宮 寅一 (たみや とらいち)

猫実工業大学の自動車部部長を務めていた男性。現在はリサイクルリユース業(RE業)を営んでいる。大学院生時代に、後輩の森里螢一に部長の座を譲った。身長が2メートルを超える大柄で筋肉質な体型で、口ヒゲと顎ヒゲを生やしている。タンクトップにニッカボッカ姿のガテン系。性格は基本的に行き当たりばったりだが、ペイオースに惚(ほ)れるなど純情な一面もある。愛称は「田ちゃん」。大学時代からの友人の大滝彦左衛門とは共に無茶なイベントを発案する仲で、後輩たちを振り回すこともあったが、漢(おとこ)の生き様へのこだわりは強く、車両の改造にもそれらのこだわりが反映されている。RE業でも彦左衛門と組んでおり、OB・OG訪問に訪れたベルダンディーと再会するも、彼のリサイクルショップが経営難に陥って困っていることを相談した。

大滝 彦左衛門 (おおたき ひこざえもん)

猫実工業大学の自動車部副部長を務めていた男性。現在はリサイクルショップで縁起物の販売をしている。田宮寅一と同様に身長は2メートルを超えるが、彼とは異なり細身な体型をしている。パンクロック風の服装を好んで着用し、身につけているアクセサリーや革ジャンの裏には工具や部品を仕込んでいる。愛称は「大ちゃん」。大学時代からの友人である寅一とは共に無茶なイベントを発案する仲で、後輩たちを振り回すこともあった。以前から付き合っている「矢間野里子」という清楚(せいそ)な女性との交際を続けているが、わけあってしばらく彼女とは会えていない。服や美術的センスは独特で、めでたい物のコレクターであると同時に、着ぐるみや甲冑(かっちゅう)なども大量にコレクションしている。仕事でも寅一と組んでいるが、商品として扱っている縁起物の謎の買い占めに困っている。OB・OG訪問に訪れたベルダンディーと再会し、自分のリサイクルショップが経営難に陥っていることを相談した。

森里 恵 (もりさと めぐみ)

大企業「シフトバンク」ロボット部に勤務する技術者の女性。森里螢一の妹。黒のショートヘアでツナギを着用していることが多い。一本気で快活な性格で、螢一にはブラコンに近い愛情や信頼を抱いている。兄の螢一と同じ猫実工業大学に通い、当初は彼らと同じ自動車部に所属していたが、のちにソフトボール部に入部した。現在は天才技術者として活躍しており、若くして世界初の、感情を持つヒト型ロボット「パーパー」を生み出したことですっかり有名人になり、アイドル並みの人気を誇る。同じくメカを得意とするスクルドからは一方的な対抗心を抱かれている。OB・OG訪問に訪れたベルダンディーと再会し、表面上は明るく振る舞っていたものの、実際は多忙の中で大きな悩み事を抱えていた。その原因は新たなロボット開発が、社運や世界の技術の命運を握っており、不眠不休なことも重なって大きなプレッシャーを感じていた。その中で些細(ささい)なミスを犯してピンチに陥るも、スクルドに救われる。

青嶋 紀元 (あおしま としゆき)

大企業「青嶋グループ」の関連会社「青嶋エレクトロニクス」の代表取締役を務める青年。黒髪短髪で眼鏡をかけており、いつも自信にあふれた表情をしている。かつては猫実工業大学通信工学科に在籍し、メカ音痴だが先輩のベルダンディー目当てで自動車部に入部した。一時期は自動車部に対抗して別の部活を作っていたが、結局は自動車部に吸収されてしまった。三嶋沙夜子の従弟(いとこ)で、彼女の企みを手伝わされることもある。青嶋グループの御曹司(おんぞうし)で、通学にフェラーリを使うなど裕福な家庭で育ったプレイボーイ。美男子で恋愛偏差値も高いが現在もベルダンディーをあきらめておらず、特定の交際相手はいない。OB・OG訪問に訪れたベルダンディーと再会し、面接官の一人として彼女を採用して自分の秘書にしようと目論むが、面接中に彼女が爆弾発言を連発したため、採用を断念する羽目になる。

三嶋 沙夜子 (みしま さよこ)

国際競売会社「ミッシーズ」のCEO兼アートディーラーを務める女性。かつては猫実工業大学電子科に在籍し、美術部に所属していた。黒髪ロングヘアで、高飛車で負けず嫌いな性格をしている。青嶋紀元の従姉(いとこ)で、昔から彼とは協力し合って情報交換している。容姿端麗・成績優秀なため大学のアイドルとして注目を集めていたが、ベルダンディーが現れてからは人気を奪われ、彼女を一方的にライバル視していた。幾度となく彼女の正体を暴こうとする中で、魔属のトラブルに巻き込まれることもあったが、ある事件で彼女がただの人間でないことを知る。女王様気質ではあるが、絶対的な自信とフェアプレイ精神をはじめとする美学を持ち、ライバルにはあくまで実力で勝つことを目標としている。OB・OG訪問に訪れたベルダンディーと再会し、ミッシーズが経営する美術館で案内役をさせることで彼女に赤っ恥をかかせようと目論む。しかし、美術品の声を聞く力を持つ彼女が予想以上の仕事をしたうえに、神々の宿った一部の美術品が謎のストライキを起こして会場から消えるというトラブルに巻き込まれる。見かねたベルダンディーの提案で、美術品に宿る神々に対して労使交渉を試みるが、非現実的な出来事の連続から自分が夢を見ていると思い込んでいた。ベルダンディーのおかげで労使交渉は成功し、数日後には交渉内容を反映させたことで美術館は大盛況となった。高級車を多数所有している。

ペイオース

「アースお助けセンター」に所属する1級神2種非限定の女神。ベルダンディーと同じく、ダイヤ型の紋章を持つ。黒髪ボブヘアの美女の姿をしている。自己陶酔タイプで、依頼者の願いを叶(かな)えるためならどんなこともする。ウルドとはなぜか気が合う。「ゴージャスローズ」というバラをまとった天使を従えている。アースお助けセンターとライバル関係にある「お助け女神事務所」に所属するベルダンディーとは幼なじみで、過去に因縁がある。過剰なまでのサービス精神が売りでプライドが高く、たびたびトラブルを招くこともある。世界最大IT企業「ググール」の最終試験を目前にしたレセプションパーティーで唐突に現れ、ベルダンディーたちと再会した。

能見 レナ (のうみ れな)

就職活動中の若い女性。暗めの灰色のボブヘアにしている。控えめでおとなしい性格の常識人。世界最大IT企業「ググール」の採用試験に訪れたが、猛者ぞろいのほかの就活生の覇気やプレッシャーに押されて気分が落ち込んでいた際にベルダンディーと知り合った。これ以降、彼女とペアを組んで難易度の高い採用試験に挑むことになり、協力して一次試験を突破する。その後もベルダンディーと組んで難易度の高い試験を乗り越えていき、最終試験に進む。勤勉な性格で、特に企業研究には熱心に取り組んでいる。新世代四天王をはじめとする著名人の研究や下調べも欠かさず、話題書などを読み漁(あさ)るのはもちろん細かい趣味嗜好(しこう)まで把握している。このため、協調性を試される三次試験の脱出ゲームでは、新世代四天王たちとすぐに打ち解けていた。

M・ワン (えむ わん)

とある大学に通う中国人の青年。学生でありながら有名雑誌で世界に影響を与える人物として選ばれた「新世代四天王」の一人。黒髪短髪で額にホクロがあり、つねに無表情でクールな性格をしている。経済学のスペシャリストで、自費出版した著書「コスパ、悪くないですか?」が大ヒットした。つねにコストパフォーマンスの高さを求めており、効率やコスパが悪い状況に遭遇すると小言や文句が多くなる。ほかの新世代四天王とチームを組んで世界最大IT企業「ググール」の採用試験に挑み、最終試験まで進んだ。

リリー・I (りりー あい)

とある高校に通うイギリス人の女性。年齢は18歳。有名雑誌で世界に影響を与える人物として選ばれた「新世代四天王」の紅一点。いつもフーセンガムを嚙んでいる。高校生にして実業家としても活躍しており、ファッションも思考も常識にとらわれずに数々の成功を収めてきた。ほかの新世代四天王とチームを組んで世界最大IT企業「ググール」の採用試験に挑み、最終試験まで進んだ。セージのハーブティーが大好物。

O・カーン (おー かーん)

とある大学に通うインド人の青年。短髪を逆立てている。学生でありながら有名雑誌で世界に影響を与える人物として選ばれた「新世代四天王」の一人。世界を変えたSNS「Witter」の創設者で、正論の権化としても知られている。ほかの新世代四天王とチームを組んで世界最大IT企業「ググール」の採用試験に挑み、最終試験まで進んだ。

クリス・P (くりす ぴー)

とある大学に通うアメリカ人の青年。学生でありながら有名雑誌で世界に影響を与える人物として選ばれた「新世代四天王」の一人。長者番付の常連に加えて炎上上等の肉食系男子で、いつも自信に満ちあふれている。まごうことなき新世代の寵児(きゅうじ)として大企業からの注目を集めており、新世代四天王の中ではもっとも有名人であると同時に曲者(くせもの)である。ほかの新世代四天王とチームを組んで世界最大IT企業「ググール」の採用試験に挑み、最終試験まで進んだ。自分の研究所で開発した世界最小の電子ペーパーに、亡くなった父親が写った大事な写真のデータを入れていたが、最終試験を目前にしたレセプションパーティーで見せびらかした時にプールの中に落としたところをベルダンディーに助けられると同時に、不思議な力を持った彼女に驚かされる。

その他キーワード

高速言語 (こうそくげんご)

女神のみがあやつれる特殊な言語。ベルダンディーは就活中の自己紹介の時に使用することがある。一音だけで5000語の意味を含み、主に法術を唱える際に使用する。言語自体は人間の耳でも聞き取れるが、情報が錯綜しているため面接における自己紹介には不向きで、聞いている者にとっては非常に耳障りに聞こえることが多く、聞くだけで疲れてしまう。

クレジット

原作

協力

ベース

ああっ女神さまっ (ああっめがみさまっ)

作者藤島康介の代表作。普通の男子大学生の元に女神が現れる、いわゆる「落ち物」と呼ばれるジャンルのラブコメディ漫画。講談社「月刊アフタヌーン」1988年11月号から2014年6月号まで約25年の長期連載... 関連ページ:ああっ女神さまっ

書誌情報

ああっ就活の女神さまっ 5巻 講談社〈アフタヌーンKC〉

第1巻

(2019-09-20発行、 978-4065169759)

第2巻

(2020-06-23発行、 978-4065197516)

第3巻

(2021-02-22発行、 978-4065222553)

第4巻

(2021-08-23発行、 978-4065243824)

第5巻

(2022-01-21発行、 978-4065265437)

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