あらすじ
第1巻
私立桜が丘高校に入学した田井中律は、幼なじみである秋山澪を強引に誘い、軽音部に入部しようとする。しかし軽音部は、昨年度までいた部員がみんな卒業してしまい、廃部寸前の状態だった。今月中に四人の部員を集めなければ廃部になってしまうと聞いた律は、合唱部の見学にやって来た新入生の琴吹紬を強引に勧誘。さらに、同じく新入生の平沢唯を誘い、軽音部への入部届を出させるのだった。そして唯は、楽器屋の社長の娘である紬の口利きで、これまで触った事もなかったギターを安く購入し、練習に励むのだった。
夏休みや文化祭、さらにはクリスマスパーティーや初詣など、各種のイベントを共に楽しんだ軽音部のメンバーは、実績作りと部員勧誘のために、新入生歓迎会に向けて練習を開始。そして春になり、唯の妹、平沢憂ら新入生達が、新たに私立桜が丘高校に入学して来る。そんな中、唯をはじめとした個性的過ぎる軽音部のメンバー達は、見学に来た新入生らをドン引きさせてしまう。
第2巻
2年生に進級し、平沢唯、田井中律、琴吹紬は同じクラスになった。一方で秋山澪は一人だけとなりのクラスになり、クラスメイトの真鍋和と知り合う。そんな中、新入生達に対してインパクトのありすぎる勧誘をしていた軽音部は、変人扱いされて逆効果を生んでしまう。挽回しようと頑張った新入生歓迎会での演奏は好評だったが、入部希望者はなかなか来ない。だが、意気消沈する四人の前に、入部希望者の中野梓が現れる。梓はギター経験者で、軽音部の演奏に感銘を受けて入部しに来たと語るが、あまりまじめに練習しようとしない軽音部の実態を見て幻滅。そんな梓の指摘を受けた軽音部のメンバーは意識を改め、梓を含め五人で結束力を高めていく。
去年と同様、紬の家が所有する海辺の別荘で合宿をした軽音部は、実力を上げて2学期の文化祭の時期を迎えた。軽音部のバンドは「放課後ティータイム」と命名され、衣装は、顧問である山中さわ子の用意した浴衣となった。薄着のまま長時間過ごしていたせいで唯が風邪を引くというアクシデントはあったものの、いつもどおり楽しく文化祭の演奏に臨むのだった。
第3巻
新年を迎え、軽音部のメンバーみんなは秋山澪の恥ずかしがりを克服するために、琴吹紬の父親が経営する喫茶店で接客のアルバイトをする事となった。だが、これをきっかけに澪は誰かの視線を感じるようになり、落ち着かない日々を過ごす事となる。田井中律や山中さわ子に相手にしてもらえない澪が、生徒会長の真鍋和に相談すると、そこへ現れた元生徒会長の曽我部恵が、実は澪のストーカーの張本人であり、澪ファンクラブの会長である事が発覚。軽音部はそんな恵の卒業を祝い、体育館で恵のためだけのライブを行う。感動した恵は、ファンクラブの会長の座を和に託して卒業していくのだった。
春になり、3年生に進級した唯、澪、律、紬、和は、全員同じクラスになった。軽音部のメンバー達は、去年と同様に新入生歓迎会でのライブを成功させ、部員を増やそうと張り切っていたものの、新入生は一人も入って来ない。今年1年は今のメンバーでなかよくやっていこうと心を決める軽音部だったが、そんな中、梓は一人、唯達3年生が引退すると、独りぼっちになってしまう事を心配していた。
第4巻
学園祭のライブに向けて、新曲を作ろうと張り切る中野梓に刺激され、軽音部のメンバー達はそれぞれ作詞を行っていた。そんな中、平沢唯は風邪を引いて寝込んでしまった妹の平沢憂に捧げる歌詞を書き上げ、名曲が生まれる。一方、唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬のクラスでは、学園祭に『ロミオとジュリエット』のお芝居をする事になり、稽古に励んでいた。ロミオ役の澪、ジュリエット役の律は自分達の役柄を演じるのに苦戦しつつも、文化祭での劇は成功を収める。その後、これまでおろそかになってしまっていた軽音部の練習のために、メンバー達は学校に泊まり込む。そして明け方、寝込んでしまったメンバー達の前に、山中さわ子が徹夜で作ったステージ衣装を届ける。それは、「放課後ティータイム」の名前がロゴになったオリジナルのTシャツだった。最後のステージの幕が開くと、なんと観客達までもが同じTシャツを着て声援を送っていた。嬉しさのあまり涙ぐんだメンバー達は、最後の学園祭ライブに全力を尽くして燃え尽きるのだった。
学園祭が終わり、3年生は引退の時期を迎えたが、唯達は梓を独りぼっちにさせないように部室で受験勉強をする事を決め、勉強の合間の息抜きに音楽を奏でる事で、軽音部と受験勉強を両立させる。その後、四人は見事に同じ大学に合格。そして迎えた卒業式の日、軽音部の部室で最後のひとときを過ごす唯達の前で、梓は寂しさから泣き出してしまう。そんな梓に対し、唯、澪、律、紬の四人は、彼女のために作った曲を演奏し、学校を去っていくのだった。こうして梓は部室に一人残される事になったが、そこにクラスメイトの憂と鈴木純が現れる。そして梓に、軽音部に入部すると告げるのだった。
登場人物・キャラクター
平沢 唯 (ひらさわ ゆい)
私立桜が丘高校に通う高校生。常にのんびりとした天然系少女。運動音痴。クーラーが苦手。バンド放課後ティータイムのリードギターとボーカル担当。バンドについては初心者だったが、秋山澪にコードの弾き方や楽譜の見方などを教わり、ある程度愛器ギータ(レスポール)を使ってリードギター演奏ができるまでになった。 絶対音感の持ち主で、チューナーなしで楽器をチューニングできる。またいくら食べても太らない体質で、琴吹紬や澪からはうらやましがられる。
田井中 律 (たいなか りつ)
私立桜が丘高校に通う高校生。茶髪で前下がりのショートカット。普段はカチューシャで、おでこを出している。ボーイッシュな口調。バンド放課後ティータイムのリーダーで、ドラムとコーラス担当。軽音部の部長も務める。同じバンドメンバーの澪とは幼馴染。いつも澪をいじっては怒られて、頭にたんこぶを作っている。 唯とは波長が合い、よくいっしょにボケをかましては、周囲からツッコミを入れられたり、叱られたりしている。
秋山 澪 (あきやま みお)
私立桜が丘高校に通う高校生。長い黒髪のストレートロングヘアー。まじめな性格で恥ずかしがり屋。痛い話や怖い話は耳を塞ぐほど大嫌いで、聞いたときは、しばらく固まってしまうほど。バンド放課後ティータイムのベース担当。ボーカルの唯が非常時のときのみ、ボーカルを担当する。楽曲の作詞も担当。 左利きで、愛器エリザベス(レフティ用ジャズベース)を使用する。律とは幼馴染で、律がハメを外しすぎると、げんこつを加えることがある。1年生の学園祭で行ったバンド演奏では、唯の声が練習によってかれたため、ボーカルを交代。これがきっかけで、澪にファンクラブができた。
琴吹 紬 (ことぶき つむぎ)
私立桜が丘高校に通う高校生。ウェーブのかかったロングヘアで、半月円の太い眉毛。何事にもマイペースな、唯以上の天然系少女。いつも冷静で、丁寧な口調。バンド放課後ティータイムのキーボードとコーラス担当。4歳からピアノを習い、コンクールで賞をとったことがある。作曲も担当している。 実家は執事がいるほどのお金持ちで、楽器店や喫茶店などいくつもの系列店を経営。家を訪問するときは、1ヶ月前から予約が必要となる。バンドメンバーで夏合宿するときは、いくつかある別荘のうちの1つが利用される。もともとは合唱部に入部するつもりだったが、律の強引な誘いにのって軽音部に入部。音楽室にある5万円のティーセットは、彼女の自前。 お茶を入れるのがうまい。
中野 梓 (なかの あずさ)
小柄な体で、黒く長いツインテール。夏合宿でバンドメンバーといっしょに風呂へ入ったとき、髪をおろした梓と澪の区別がつかないと、顧問の山中さわ子に言われる。唯たちの1年後輩で、新入生歓迎会で行われた唯たちの演奏に感動し、軽音部に入部した。バンド放課後ティータイムのリズムギターとコーラス担当。 まじめな性格で、ティータイムばかり楽しむ唯や律たちにキレたこともあるが、ケーキひと口食べただけでおさまった。唯からはあずにゃんと呼ばれ、いつも抱きつかれている。両親がジャズをやっていた関係で、小学4年生からギターを弾き始め、実力はかなり上。愛器むったん(ムスタング)を使用する。
山中 さわ子 (やまなか さわこ)
私立桜が丘高校の音楽教師。楕円レンズのフレームレス眼鏡を使用。元々は吹奏楽部の顧問だが、律の強引さに負けて軽音部の顧問もかけもちする。私立桜が丘高校の卒業生で、軽音部のOG。速弾き、タッピング、歯ギターを今でもこなせるほど、ギターの上級者。教師としてはおしとやかで人気が高いが、ギターを持つと豹変する。 放課後は音楽室で唯たちとティータイムを過ごすのが日課。しばらくお茶を飲めない日が続くと、元気をなくす。服を作るのが得意で、バンド放課後ティータイムや学園祭での演劇の衣装は彼女のお手製。律から「さわちゃん」と呼ばれたのがきっかけで、周りからもそう呼ばれるようになった。
平沢 憂 (ひらさわ うい)
私立桜が丘高校に通う高校生。主人公唯の1学年下の妹。初登場時は中学生。だらけがちな唯とは対照的に、家事全般をこなし、礼儀正しくまじめ。姉の面倒までみるできた妹。律からは、唯のいいところを全部憂が吸い取ったと言われる。成績も優秀で、姉に勉強を教えるほど。梓と純は同級生で親友。 楽器演奏の才能もあり、ギターは数日で姉より上達する。髪を下して姉に化けたときは、律たちにばれないほど、姉妹はよく似ている。唯たちが卒業した後、梓が部長になった軽音部に入部する。
真鍋 和 (まなべ のどか)
私立桜が丘高校に通う高校生。ボーイッシュなショートヘアと太枠眼鏡。唯と憂姉妹とは幼稚園からの幼馴染。唯とともに私立桜が丘高校に入学し、成績はつねにトップクラス。1年では生徒会役員、2年以降は生徒会長を務める。このとき、前生徒会長が澪のファンクラブ会長だったため、ファンクラブ会長も引き継ぐことになった。 唯とはこれまで、ずっと同級生で、2年生になって初めて離れ離れになる。今度は澪と同級生になり、バンドメンバー放課後ティータイムとより親睦を深めるようになる。
鈴木 純 (すずき じゅん)
私立桜が丘高校に通う高校生。憂や梓と同級生。憂とは中学から同じ学校で友達だった。入学当初、憂に誘われて軽音部を見学するが、メンバーのムードに圧倒されて入らなかった。だが、梓から夏合宿などの活動を聞いてしだいにうらやましくなり、澪にもあこがれて、軽音部に関心を持つようになる。 唯たちが卒業後は、憂といっしょに軽音部に入部する。
曽我部 恵 (そかべ めぐみ)
私立桜が丘高校に通う高校生。生徒会長で、澪のファンクラブ会長。ファンクラブ会員証のナンバーは0001。だが、澪には知られていなかった。卒業間近には、澪にストーカーするほどのファンになる。それを知った澪から、彼女の卒業祝いにと体育館で一曲歌ってもらって非常に喜ぶ。 のちに、律とはメールのやりとりで繋がり、親しくなっていく。
集団・組織
放課後ティータイム (ほうかごてぃーたいむ)
『けいおん!』のバンド名。私立桜が丘高校の軽音部に所属する、平沢唯、田井中律、秋山澪、琴吹紬、中野梓で構成されるバンドの名前。バンド名を決める時、メンバーがもめていると、落ち着いてお茶が飲めないからと顧問の山中さわ子が勝手に決めた。
私立桜が丘高校 (しりつさくらがおかこうこう)
『けいおん!』に登場する主人公平沢唯、田井中律、秋山澪、琴吹紬、中野梓、山中さわ子、平沢憂、真鍋和、鈴木純、曽我部恵が通う高等学校。女子高。テストの点数が悪いと追試があり、合格点が取れるまで部活動が禁止になる。
その他キーワード
ギータ
『けいおん!』に登場する平沢唯が所有するギターの愛称。レスポール。軽音部のメンバーで楽器店へ行き、購入した。このとき、15万円したが、琴吹紬の値切りで5万円にまけてもらう。唯はこのギターをかわいいと言って気に入っており、ときどき一緒に添い寝をしている。
エリザベス
『けいおん!』に登場する秋山澪が所有するギターの愛称。レフティ用ジャズベース。雨に濡れないため部室へ置いて帰ろうとしたとき、唯に命名された。
むったん
『けいおん!』に登場する中野梓が使用するギターの愛称。ムスタング。唯が澪のベースにエリザベスと名前をつけたことを聞いて、梓自身がむったんと命名した。