あらすじ
第1巻
大学卒業後は派遣社員として職場を転々としている迫間は、2.5次元俳優の桜庭敦司が出演する舞台を見に行くことだけが生きがいだった。だが、現在の派遣先では福田から日常的に厳しい言葉を浴びせられ、さらに桜庭の追っかけで散財し、いつの間にか約100万円の借金を抱えることになる。日々、お金さえあれば働かなくても豊かな人生が送れるのにと妄想していた迫間は、ある日、社員同士の立ち話から「この会社には石油王がいる」という衝撃の事実を知る。石油王に見初められて人生を一発逆転させるため、迫間は誰が石油王なのか探るために奔走する。そして独自の調査を進める中で、石油王の候補として福田、百瀬、財前の三名が浮かび上がる。
登場人物・キャラクター
迫間 (はざま)
20代の独身女性。大学卒業後は世間に流されるまま、なんの保証もない派遣社員として職場を転々としている。現在は小さなレコード会社に派遣され、宣伝アシスタントとして勤務している。現在の職場は相場よりも少し給与がよいことと、イケメンが多いことだけがやりがいで、業務には今一つやる気がでないでいる。そのため、日々の業務を適当にこなしており、直属の上司である福田からはたびたび注意を受けている。生きがいは2.5次元俳優の桜庭敦司が出演する舞台を見に行くことで、そのために約100万円の借金を抱える。社内の人たちの雑談から「この会社には石油王がいる」という衝撃の事実を知り、人生を逆転させるため、まだ見ぬ石油王探しに奔走する。当初は石油王と結婚するという下心を原動力にしていたものの、次第に仕事へのやりがいを見いだしていく。
福田 (ふくだ)
迫間が派遣社員として勤務する小さなレコード会社で、宣伝課に所属する男性。迫間の直属の上司にあたり、彼女をアシスタントにしている。迫間が仕事に対してやる気がないことを見抜いており、時には厳しい言葉を掛ける。そのため、迫間からは苦手意識を抱かれている。しかし、迫間の前任者に対して厳しい態度で接したところ、数日で退職してしまった過去があり、福田なりに気を使っている。眼鏡を掛けているため、百瀬からは「メガネくん」と呼ばれている。地味で目立たない容姿ながらも、六か国語を話すマルチリンガルで、迫間から石油王ではないかと疑われている。
百瀬 (ももせ)
迫間が派遣社員として勤務する小さなレコード会社で、営業課に所属する青年。整った顔立ちのイケメンで、明るく社交的な人物。一見軟派なタイプに見えるものの、根はまじめで面倒見もよい。迫間にも優しく接するため、彼女にとっては癒しの存在となっている。その一方で社内では「女にだらしがない」「怪しい副業をしている」など、よからぬ噂が流れている。迫間から石油王ではないかと疑われている。
財前 (ざいぜん)
迫間が派遣社員として勤務する小さなレコード会社で、制作課に所属する青年。細身で整った顔立ちのイケメンながら、積極的に人とコミュニケーションを持とうとせず、与えられた作業に没頭するマイペースな性格の持ち主。雰囲気が桜庭敦司と似ているため、迫間からたびたび熱い視線を送られている。社内で「プライベートでは出所不明の大きな金を動かしている」と噂されているが、実際はFXにハマっているだけ。迫間から石油王ではないかと疑われている。
毒島 (ぶすじま)
迫間が派遣社員として勤務する小さなレコード会社で、宣伝課に所属する中年男性。小柄でふくよかな体型をしており、決してイケメンではないものの仕事ができることから、岩崎から思いを寄せられている。迫間との関係は悪くはないが、迫間が休憩中でも仕事を頼むなど、都合のいい雑用係として認識している節がある。
岩崎 (いわさき)
迫間が派遣社員として勤務する小さなレコード会社で、制作課に所属する20代の女性。新卒採用で入社したばかりで、比較的迫間と年齢が近いことから、たびたびランチに誘うなど親しくしている。男は顔じゃないという考えの持ち主で、仕事ができる毒島に思いを寄せている。
ゆき
20代の独身女性で、企業のOLとして働いている。2.5次元俳優のファンで、迫間とはオタク仲間。迫間とはファンの俳優や舞台の話で盛り上がっているものの、金銭的にも年齢的にもそろそろ現実と向き合わなくてはいけないと思っている。
桜庭 敦司 (さくらば あつし)
2.5次元若手俳優の男性で、ファンからの愛称は「あっくん」。かわいらしい顔立ちのイケメンで、抜群のスタイルを誇る。演技に対しては非常にストイックで、妥協を許さない完璧主義者。迫間にとっての唯一の生きがいで、強くあこがれている。
書誌情報
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