あらすじ
第1巻
ある朝、貝鳥九十九が目を覚ますと、部屋に一人の女性がいた。女性は自らのことを冷蔵庫の付喪神であるナノイと名乗り、九十九のことを「旦那様」と呼んで、これから九十九に仕えると告げる。とりあえず学校に行こうとする九十九だったが、このままでは遅刻するから時間が止まればいいと口にすると、ナノイは「なんでも凍らせる能力」を使って時間を止めてしまう。しかし、ナノイはなんでも凍らせることはできるが、凍らせた時間を元に戻すことはできないという。それでもなんとかしようと、ナノイは「過去の自分」を凍らせて時間停止をなかったことにしようと考える。その際、ナノイは自分が消滅するのを避けるため、まず一部の機能をちびとして独立させ、九十九からの口づけで生気を分け与えられたことで、元に戻ることに成功する。
第2巻
ナノイの旧知の仲であるエルシオが「倉田奏」と名乗って人間に化け、貝鳥九十九の学校に転校してきた。エルシオは九十九に色仕掛けでせまるが、九十九はナノイのことが大事だからと、彼女の再三のアプローチを拒絶する。結果、ふつうに学生生活を始めたエルシオだったが、セックス以外のことをよく知らない彼女は、九十九に友達のつくり方を教えてほしいと頼み込む。その後、エルシオはどうにか友達をつくることに成功し、九十九は肩の荷を下ろすのだった。それからしばらく経ったある日、九十九はナノイとちびを連れて、母親の墓参りに行くことになり、「寿命」のことが話題にのぼる。その際に九十九は、付喪神には寿命がないため、自分たちが結ばれたとしても、ナノイは必ず自分に先立たれることになると語り掛ける。
登場人物・キャラクター
貝鳥 九十九 (かいとり つくも)
ナノイのご主人様となった高校生の男子。母親とは死別しており、父親とは不仲で、ナノイが現れるまでは一人暮らしをしていた。リサイクルショップで買った中古の冷蔵庫の付喪神であるナノイに、その日のうちに童貞を奪われ、それ以来いっしょに暮らしている。誠実でまじめな性格のため、エルシオから性的な誘いを受けても拒絶している。ナノイに対しては真摯な態度で接しており、高校を卒業したら彼女にプロポーズしようと考えている。ナノイからは「旦那様」と呼ばれている。
ナノイ
貝鳥九十九に仕えている、冷蔵庫の付喪神。見た目は若い女性のような姿で、その体の一部を冷蔵庫の扉のように開くことができる。もともとは大型冷蔵庫であったため、人間同様の身長ではありながら体重は非常に重い。主人には忠実に尽くすタイプで、割とエッチ好き。冷気をあやつる能力と、時間を含めたあらゆるものを凍らせる能力を持つ。料理をすることもあるが、冷たい料理と凍った料理しか作れない。熱い食べ物を口にするとオーバーヒートし、錯乱状態に陥ってしまう。ちびからは「本体」と呼ばれている。
ちび
ナノイの一部の機能を分離させたもので、見た目はナノイを子供にしたような姿をしている。ナノイから独立した自我を持っており、たまに喧嘩をすることもある。貝鳥九十九の家でいっしょに暮らしており、ちびはナノイのことを「本体」と呼んでいる。寝相が非常に悪い。
エルシオ
なんらかの家電の付喪神で、ナノイとは古くからの知り合い。見た目は少女のような姿をしており、熱をコントロールする能力を持つ。好色な性格で、貝鳥九十九にも色仕掛けでせまるが拒絶される。「倉田奏」を名乗って九十九のクラスに転入してくる。