さよならもいわずに

さよならもいわずに

ギャグ漫画家の上野顕太郎は、11年間連れ添った妻を突然の心臓発作で失う。死亡宣告を受け、葬儀を行い、やがて日常の暮らしが戻ってくるが、上野の心は、悲しみと後悔に満ち溢れる。その中で、彼は妻の死を漫画作品にする決意をする。絵画的な心象イメージを多用して、記録映画のように、妻の人となりとその死と、揺さぶられる自分を描いた作品。

概要

漫画家の上野顕太郎が、執筆の休憩時に2階の仕事場から降りてみると、キホが倒れていた。必死で蘇生を試みるも、搬送された病院で死亡宣告を受ける。自宅での葬式を経て、忙しい執筆生活が戻るが、様々な後悔や「最愛の人がいない日々」は彼を苛み続ける。写真やビデオの映像やのメモなどに、過去の再現を求めるが、考えは常に「あの時なぜの異変に気づけなかったのか」に向かってしまう。

一度は自殺まで思いつめるも、10歳になるの存在がそれを押しとどめる。そして、最後に美しい夢でこの作品は締めくくられ、エピローグで一筋の光明が差し込む。

登場人物・キャラクター

上野 顕太郎

劇画系のリアルな絵で、シュール・ナンセンスを得意とする ギャグ漫画家だが、最愛の妻キホの急死によって、身を切られるような絶望と激しい後悔に襲われ苦しむ。10歳の娘、カリンがいる。上野顕太郎自身をモデルにしている。

上野顕太郎とは、出版記念パーティで知り合い、半年で結婚する。結婚後すぐ妊娠して、娘カリンを生む。喘息の症状があり、うつ病の治療も受けていた。11年間連れ添うも、2004年12月10日、突然の心臓発作で... 関連ページ:上野 キホ

上野 カリン

上野顕太郎とキホの娘。母親が死去した時、10歳。父に心配をかけまいと気丈に振る舞う。しかし実際は気づかれないように泣いていた。本名の漢字は、作中の喪中欠礼状にのみ提示。実在の人物、上野華凛がモデル。

アシスタントY

漫画家上野顕太郎の作画を手伝う。上野がキホの心臓発作に気がついたとき、2階の仕事場で仮眠をとっていた。始発で帰宅する。

コミックビーム担当編集者I

漫画家上野顕太郎の担当編集者。エンターブレインが出版している、月刊コミックビーム勤務。編集長と葬儀に出席。葬儀から11日後、上野の完成原稿16枚を受け取る。その際、上野からの「今回のことを漫画化したい」という申し出に対し、もう少し時間を置くことを提案する。

救急隊員

上野顕太郎の連絡により、救急車で到着。3名。救急措置を施し(AED使用)、キホを病院に搬送する。上野とカリンはこれに同乗する。

刑事

二人。死亡状況が特異だったため、キホの死亡に事件性がないか、病院で上野顕太郎から状況を聴取する。死因解剖を行うことも、上野に説明する。また、上野の自宅で、現場検証を行う。

葬儀社社員

警察付きの葬儀社の社員。キホの死亡宣告後の遺体の管理(大学病院での死因解剖とその後の自宅への搬送)、葬儀の手配・進行を行う。

キホの友人S

キホの高校時代からの友人。女性。キホが心を開ける数少ない友人の一人。キホの棺に入れるため、青いストールを持ってきた。「キホが寒くないように」という彼女の言葉に、上野顕太郎はこらえきれずに涙を流す。

場所

上野顕太郎の自宅

漫画家上野顕太郎の自宅。ニ階建ての一戸建て。二階は仕事場、アシスタントの仮眠室あり。キホは一階の居間で、うつ伏せに倒れていた。葬儀も自宅で行った。

火葬場

通夜のあと、2004年12月12日に、キホの遺体を火葬した場所。火葬後、骨を骨壷に収める。遺骨を胸にいだき、喪主である上野顕太郎は「キホは幸せでした」「これからも家族3人で頑張ります」と、挨拶をする。

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