概要・あらすじ
漫画を描くことが好きな二人の少年満賀道雄と才野茂は手塚治虫の『新宝島』に衝撃を受ける。「漫画」という共通の夢を持った二人は合作という執筆体制をとって、憧れの手塚治虫の背中を追いかけプロの漫画家を目指し成長していく。
登場人物・キャラクター
満賀 道雄 (まが みちお)
作者である藤子不二雄Ⓐ自身がモデル。転校した小学校で才野茂と出会い、漫画を通して意気投合する。高校を卒業後、伯父が社長を務める立山新聞社に一時勤務するが、漫画家という夢の実現のために才野と一緒に上京。プロ漫画家として活躍する。
才野 茂 (さいの しげる)
実在の漫画家、藤子・F・不二雄がモデル。満賀道雄とコンビを組んで「足塚茂道」のペンネームで作品を執筆する。高校卒業後製菓会社へ就職するが一日で退社。自宅でコツコツと作品を描きながら実力を積み重ねる。満賀の親友で頼れる相棒である。
足塚 茂道 (あしづか しげみち)
満賀道雄と才野茂の合作時のペンネーム。名前を決める時、手塚治虫にあやかって「手塚茂道」と考えたが、そのままでは気がひけたため「手」を「足」に変えた。各社の原稿を落とした時に、心機一転の意味と足塚の名前だと手塚先生を超えることはできないということで「満才茂道」に改名した。
手塚 治虫 (てづか おさむ)
満賀と才野が憧れている漫画家であり、目標とする人物。「漫画の神様」と呼ばれ、二人がトキワ荘に入居する際に敷金をそのままにしておいてくれるなど、公私にわたって世話を焼いた。実在の漫画家、手塚治虫がモデル。
寺田 ヒロオ (てらだ ひろお)
満賀と才野が上京した後、若手の漫画家仲間達で作ったグループ「新漫画党」のリーダーで、仲間内での頼れる兄貴分。故郷の新潟にいた頃、社会人野球の選手として活躍。その影響で良質な野球漫画を得意とする。実在の漫画家寺田ヒロオがモデル。
永田 竹丸 (ながた たけまる)
新漫画党のメンバーで芳賀まさおに師事。トキワ荘の近くの下落合に住んでいる。創刊号からの『漫画少年』のファンで、読者時代は投稿欄の常連。プロになってからは上品でかわいらしい漫画を描く。実在の漫画家、永田竹丸がモデル。
鈴木 伸一 (すずき しんいち)
ペンネームは「風田朗」。初めて満賀と才野に会った時、ウォルト・ディズニーの話を熱く語り二人を面食らわす。満賀と才野の次にトキワ荘に入居するが、アニメーターに転進するためトキワ荘を出て、横山隆一が主宰するおとぎプロへ入社する。実在のアニメーション作家、漫画家の鈴木伸一がモデル。
石森 章太郎 (いしもり しょうたろう)
高校在学中に『二級天使』の連載で彗星のごとくデビュー。上京後に新漫画党に入り、トキワ荘にも入居する。漫画を描くスピードが速く、一晩で16ページも執筆するなど、新漫画党の中で最年少だが一番の売れっ子作家となった。実在の漫画家、石森章太郎がモデル。
赤塚 不二夫 (あかつか ふじお)
『漫画少年』の投稿欄の常連だったが上京後は売れない時期が続き、トキワ荘入居後は石森の手伝いをして過ごす。実在の漫画家、赤塚不二夫がモデル。
森安 直哉 (もりやす なおや)
田河水泡の弟子で新漫画党のメンバー。ちょっと厚かましいけれど憎めない登場人物として描かれている。そんな性格とは正反対の牧歌的な漫画を描き、満賀と才野に「森安氏本人とイメージがつながらないなあ…」と言われる。実在の漫画家、森安直哉がモデル。
坂本 三郎 (さかもと さぶろう)
新漫画党のメンバーで、『漫画少年』誌上で『ひねくれ卓坊』を執筆。個性的なタッチの作品で、満賀と才野も注目していた。寡作な漫画家で、作品の質と締め切りのことで編集者と折り合いがつかず、新漫画党を脱退して漫画家も辞めてしまう。実在の漫画家、アニメーターの坂本三郎がモデル。
つのだ じろう
島田啓三の弟子で『新桃太郎』でデビュー。3ページのこの作品が完成するまで師匠の島田に描き直しを命じられ、10ヶ月も掛かったエピソードを満賀と才野に話す。後に新漫画党に入党。。実在の漫画家、つのだじろうがモデル。
加藤 宏泰 (かとう ひろやす)
『漫画少年』の編集長で、新漫画党など新人漫画家の育成に力を注ぐ。奥さんは講談社の編集者。『漫画少年』の休刊後は少年漫画の研究誌の発行を企画する。実在の編集者、加藤宏泰がモデル。
東山 実 (ひがしやま みのる)
秋田書店の雑誌「冒険王」「漫画王」の編集者で足塚茂道最初の連載作品『四万年漂流』を担当した。上京してからも度々二人に仕事を依頼し、また健康のことや金銭面のことまで心配してくれるなど、最も世話になっている編集者である。いつも「おなかすいていない?」と訊いて食事に誘う。実在の編集者、北山がモデル。
牛坂編集長 (うしざかへんしゅうちょう)
講談社の雑誌『ぼくら』の編集長で『海底人間メバル』の連載を依頼する。満賀と才野が原稿を落とした時にものすごい剣幕で怒り連載を打ち切るが、二人の実力を買っておりカムバックの舞台として『ロケットくん』の連載を用意する。実在の編集者、石坂がモデル。
富江記者 (とみえきしゃ)
牛坂編集長の下で働く『ぼくら』の若手編集者で『ロケットくん』を担当した。実在の編集者、富井道宏がモデル。
角野記者 (かくのきしゃ)
講談社の雑誌『少女クラブ』の編集者。普段は手塚番を務めるが、『バラとゆびわ』の原稿が遅れたため小村記者に代わって担当となった。『なかよし』に異動後『ああ無情』の別冊64ページを頼むが間に合わず、満賀と才野が各社の原稿を落とした中での最大の被害者となった。実在の編集者、牧野がモデル。
小村記者 (こむらきしゃ)
講談社『少女クラブ』の女性編集者で『バラとゆびわ』を担当する。満賀と才野が途中までの原稿を早くあげてくれたお礼に手料理をご馳走するが、後に原稿が遅れたために担当を外されてしまう。
竹葉 美子 (たけは よしこ)
立山新聞社学芸部時代の満賀道雄の後輩で、満賀は彼女に恋心を抱く。後に新聞社を辞めて上京し早稲田大学に入学。東京へ出てきてからも何度か満賀を訪ねてくる。
日上 達夫 (ひがみ たつお)
立山新聞社で給仕として働く。満賀が社長の甥で入社してすぐに部署に配属されたのを妬んできつくあたる。
変木 一郎 (へんき いちろう)
立山新聞社で満賀が入社して最初に配属された図案部の上司。無口な性格だが満賀に親切に仕事を教える。また版画家としての顔も持っており、日本版画大賞を受賞する。
虎口部長 (とらぐちぶちょう)
立山新聞社学芸部の部長。学生時代から作家志望であったが、夢を捨て立山新聞社に入社したという過去を持つため、漫画家を目指している満賀には目をかけ励ます。大酒飲みで、酔っぱらった時満賀にいつも介抱されていた。
鍋川の伯父 (なべかわのおじ)
満賀道雄の母の兄で、立山新聞社の社長。高校を卒業した満賀を強引に新聞社に入社するよう命じる。
劇河 大介 (げきが だいすけ)
高岡高校の同級生でリアルなタッチの漫画を描く。大阪に引っ越す際に満賀と才野に「どちらが先にプロの漫画家になるか競争やで!!」と力強い言葉を残す。後に『拳銃魔』という劇画作品でプロデビューを果たす。
満賀道雄の母 (まがみちおのはは)
女手一つで伯父の経営する喫茶店で働き子供達を育てる。優しい母親で、満賀が新聞社を辞める時も上京を決断した時も余計な口出しをせずに自主性に任せていた。
満賀 鉄郎 (まが てつろう)
満賀道雄の4歳下の弟。母親のことは自分が面倒見るからと、兄が東京に行って漫画家になることを応援する。
霧野 涼子 (きりの りょうこ)
満賀の高校時代のクラスメートで女王様的存在。漫画に打ち込む満賀のことを尊敬している。満賀は霧野にほのかに恋心を抱くが、高岡大仏の前で年上男性とのキスシーンを目撃してしまい一方的に失恋。だが霧野もその妻子ある年上男性に振られて自殺してしまう。
武藤 四郎 (むとう しろう)
満賀のクラスメートで実家は旅館業を営む。武藤の家で行ったタバコや酒の入ったパーティーに参加した満賀を、学校のボスの名を借りて金を脅し取ろうとした。
文苑堂書店のおじさん (ぶんえんどうしょてんのおじさん)
高岡の文苑堂書店の店主。満賀と才野の行きつけの書店で、『漫画少年』や手塚治虫の単行本はいつもここで買う。二人のことをいつも応援していている。
下宿先のおじさん (げしゅくさきのおじさん)
満賀と才野が上京した際に、満賀の遠縁にあたる須賀家に下宿。時計の修繕をしている主人の仕事場だった二畳間を使用した。無口な性格であるが二人のことを応援し、満賀に「毒ヘビは急がない」の格言を贈る。
集団・組織
新漫画党 (しんまんがとう)
『まんが道』に登場する組織。寺田ヒロオが中心となって『漫画少年』に作品を載せている若手漫画家のグループ。結成時のメンバーは寺田ヒロオ、満賀道雄、才野茂、永田竹丸、坂本三郎、森安直哉で、後に鈴木伸一、石森章太郎、赤塚不二夫、つのだじろうも参加した。『漫画少年』でグループとして合作作品を執筆する。
場所
トキワ荘 (ときわそう)
『まんが道』に登場する場所。東京・椎名町にあるモルタルの2階建てアパートで、ここで満賀と才野が青春時代を過ごした。二人のほかに寺田ヒロオ、鈴木伸一、石森章太郎、赤塚不二夫など新漫画党のメンバーの多くが住み、共に助け合い支えあいながら暮らした。
その他キーワード
漫画少年 (まんがしょうねん)
『まんが道』に登場する少年雑誌。満賀と才野が一番愛読した少年誌で、読者漫画の投稿欄には二人は毎月応募していた。上京後も『漫画少年』には様々な作品を執筆。新漫画党としても何本も合作作品を描いた。昭和30年10月号で休刊となる。
書誌情報
まんが道 10巻 小学館クリエイティブ
第1巻
(2012-11-20発行、 978-4778032210)
第2巻
(2012-11-20発行、 978-4778032227)
第3巻
(2012-12-20発行、 978-4778032234)
第4巻
(2012-12-20発行、 978-4778032241)
第5巻
(2013-01-25発行、 978-4778032258)
第6巻
(2013-01-25発行、 978-4778032265)
第7巻
(2013-02-22発行、 978-4778032272)
第8巻
(2013-02-22発行、 978-4778032289)
第9巻
(2013-03-25発行、 978-4778032296)
第10巻
(2013-03-25発行、 978-4778032302)