すすきのみみずく

すすきのみみずく

受験を控えて悩みを抱えた1人の女子高校生が、同じく悩みを抱く4人の男女とともに、現実からの逃避行を図る。それまでとはまったく違う、自給自足の「みみずくの里」での生活の中で、もがきながらも自分自身と向き合う5人の若者たちの葛藤と成長を描いたヒューマンドラマ。

正式名称
すすきのみみずく
ふりがな
すすきのみみずく
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

多くの悩みを抱えながらも、受験勉強に明け暮れていた高校3年生の早川望江は、ある日、予備校帰りの電車の中吊りポスターの「みみずくの里」に目を留める。そして引き寄せられるように、「みみずくの里」へ向かう電車に乗り込んでしまう。その電車には、望江と同じように引き寄せられた4人の若者たちが乗車していた。こうして5人の逃避行が始まるかと思われた矢先、トラブルにより、5人はあっという間に東京にとんぼ返りすることとなる。

しかし、ある月のまぶしい晩に5人は再度集結し、吉田弘紀の綿密なプログラムのもと、改めてすべてを捨てた逃避行を開始するのだった。

登場人物・キャラクター

早川 望江 (はやかわ もえ)

進学校に通う高校3年生の女子。7歳の時に、望江の母親が望江の義父と再婚した。それからは義父や母親からはれものを触るように扱われている、と感じている。人が一番傷つくと思う言葉を、わざわざ選んで発してしまう癖があり、そんな自分に嫌気がさしている。居心地の悪い家庭と日々の受験勉強、さらに親友の自殺未遂が重なって自分の人生に失望し、現実から逃げ出そうと、「みみずくの里」へと向かう。

悦子 (えつこ)

進学校に通う高校3年生の女子。早川望江の一番の親友で、クラスメイトでもある。成績が良く聡明だが、望江の大事な試験の前夜に自殺未遂をしてしまう。その後、見舞いに訪れた望江に、人に負けるのが嫌いであること、望江と同じ志望校なら安全圏だと、先生に言われたことなどを淡々と話し始めた。ついには望江を見下していたことも明かしてしまう。

吉田 弘紀 (よしだ ひろき)

「みみずくの里」へ向かう電車に乗車していた青年。逃避行のためのプログラムを練り上げ、率先して皆をまとめるリーダー役であり、周囲からも信頼されている。かつて、高校でいじめのリーダー格だったが、いじめていた相手が病気で亡くなったショックで、普通の生活ができなくなっていた。そんな姿を見兼ねた篠峻太郎に「みみずくの里」に連れて来られ、自給自足の生活の中で自分を取り戻した経緯がある。 自分がいじめた末に亡くなった相手と似ている石川進を、特に気にかけている。

観崎 彩 (かんざき あや)

「みみずくの里」へ向かう電車に乗車していた高校3年生の女子。早川望江と同じ予備校に通っている。本名は「観崎米子」だが、自分の名前にコンプレックスを抱いており、「観崎彩」と名乗っている。美人なので美意識が高く、わがままな女王様タイプ。「みみずくの里」での自給自足の生活においても、そのわがままぶりは遺憾なく発揮されている。 母子家庭ながら親子関係は良好だったが、彩が母親の恋人を奪ってしまったので母親が豹変し、家庭に居場所がなくなってしまった。

石川 進 (いしかわ すすむ)

「みみずくの里」へ向かう電車に乗車していた高校3年生の男子。早川望江と同じ予備校に通っており、坊ちゃん学校として知られる高校に通っている。気が弱く、自分の意見がはっきり言えないため、学校ではいじめの標的にされている。風貌も、眼鏡をかけた小柄なぽっちゃり体型で、いかにもいじめられっ子然としている。観崎彩に好意を抱いており、「みみずくの里」へ行くきっかけも、彩を追いかけるためであった。

月澤 勇進 (つきざわ ゆうしん)

「みみずくの里」へ向かう電車に乗車していた高校3年生の男子。早川望江と同じ予備校に通っている。家出常習犯で、両親はすぐに捜索願を出すが、迎えに来ることはない。父親が野球チームの監督をしており、月澤勇進も中学まで野球をしていた。両親に反発して現在は止めており、また野球に対する反抗心から長髪にしている。「昔は良かった」が口癖の小学校の恩師の影響で、昔の物が大好き。 「レトロ」のあだ名で呼ばれている。好きな女性のタイプは原節子。

篠 峻太郎 (しの しゅんたろう)

「みみずくの里」で、早川望江ら5人が寝泊まりしているログハウスの持ち主の男性。吉田弘紀の尊敬する先輩で、恩人でもある。また、「みみずくの里」の生活中で弘紀がいない間は、早川望江らの親代わりも務める。望江たちに、自給自足の過酷さと自然とともに暮らすことの素晴らしさを体感させた。常に冷静沈着な性格なため、非情で冷酷に見られがちだが、実際は思いやりのある心優しい人物。 のちに、望江に恋心を抱かれることとなる。

望江の母親 (もえのははおや)

早川望江の母親。奥村拓郎と離婚したこと、そして望江の義父との再婚で、望江を振り回してしまったことを気に病んでいる。子連れにも関わらず、再婚してくれた望江の義父には非常に感謝しており、望江にもことあるごとに感謝するよう言い聞かせている。

望江の義父 (もえのぎふ)

早川望江の義父。望江が7歳の時に望江の母と再婚した。優しく温厚な性格で、望江を本当の娘のように想っている。しかし、どうしてもお互いに気を遣ってしまうところがあるため、その想いが望江に伝わらず、父子関係は今ひとつうまくいっていない。

早川 裕太 (はやかわ ゆうた)

早川望江の弟。望江の母親と再婚した望江の義父との間にできた子供。昔は素直でかわいい弟だったが、望江の両親に対する言動、そして両親が望江にばかり気を遣っていることが気に入らず、最近は望江に悪態ばかりついている。

奥山 拓郎 (おくやま たくろう)

早川望江の父親。有名なテニスプレイヤーだったが、肘を痛めてテニスができなくなってしまった。その後、それまでのテニス中心の生活が崩壊したため荒んでしまい、働きもしないで女遊びに走った。望江の母親とは、このことが原因で離婚に至っている。現在はテニス雑誌の編集の仕事をしている。

おやっさん

妻と2人で暮らしている老人。篠峻太郎に連れられた早川望江たちが、山を越えてロープウェイに乗り、やっとのことで行き着いた先に住んでいた。篠の知りあいで、「みみずくの里」での自給自足の生活のため、野菜や卵をたくさん分けてくれる。原節子が大好きで、同じく原節子好きの月澤勇進と意気投合。昔のあれこれを熱く語り合い、勇進の心の拠り所となる。

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