概要・あらすじ
極度にのんびりした性格の時只卓の元に、貴族の格好をしたサンジェルマン伯爵が押しかけてきた。彼は卓を、妹のミチルの時間を奪った「時間どろぼう」だという。卓の同級生の夕仏真心は、卓に対しての言いがかりに異を唱える。実は伯爵たちは時間を自由に移動できるタイムトラベラーで、人間の60倍の速度の時間をすごしている四次元種「上人類」。
ミチルは自分の余命が1年になることを知った上で、上人類から次元を下げて卓と結婚しようと決意していた。死期が近づいていくミチルを救うために伯爵が奔走している最中、卓が普通の人類の12倍ゆっくり生きる「冗人類」であることが判明する。
登場人物・キャラクター
時只 卓 (ときただ すぐる)
マイペースな高校1年生の少年。水滴が何滴で口いっぱいになるか待ち続けるなど、常人にはありえないほどののんびり屋で、どんなことがあっても決して焦らない。10日に1回しか学校に行かないため、学校ではレアな人物扱いをされている。それにも関わらず、生徒会長を務めている。実は彼の妹時只歩が心臓に病を抱えており、学校に来ないのも病院に通って看病するため。 休日のプリントを持ってくるクラスメイトの夕仏真心からは、思いを寄せられている。ある日突然やってきたミチルが結婚を迫ってきたことで騒動が起きはじめる。後に彼の家族が、人間の12倍遅く生きる冗人類であることが判明する。
夕仏 真心 (ゆぶつ まごころ)
時只卓のクラスメイトで、高校1年生のおかっぱ頭の少女。名前を左から読むと「タイムマシン」と読めるため、自宅ガレージでタイムマシンを製作している。思い込みが激しい性格で、他人の言うことを勘違いしがち。卓に好意を寄せており、後にやってきたミチルが彼に結婚を申し出たため「後妻」と呼ばれるようになった。ミチルとは仲がよく、人間の60倍の速度で生きて、死期が近い彼女のことを常に思いやっている。 デスメタルや拷問が好きで、血なまぐさいものを見ると興奮する。また、オカルトにも強い興味を抱いている。作中では彼女のパンチラシーンが多数あるが、それは彼女の前を60倍のスピードで動く上人類が通りすぎて風を起こしているため。マイペースすぎる卓と、せっかち過ぎるサンジェルマン伯爵の間で傍観者的な立ち位置になることが多い。
サンジェルマン伯爵 (さんじぇるまんはくしゃく)
長いシルクハットをかぶった上人類の紳士。タイムトラベルを自由に行うことができ、目撃談は何世紀にもわたる。通常の人間の時間では1年しか生きられないため、待つことをせずせっかちに時間移動を繰り返す。のんびりと過ごす時只卓を「時間どろぼう」と呼んで敵視している。妹のミチルが彼に恋をして、人類と同じ生活を始めたのを見て、彼女を救うために様々な時間軸の間を奔走する。 普段から自分が上位の次元の存在だと主張しているが、上人類の中ではのろまな方。そのため他の上人類たちには常にバカにされている。ホムンクルスを従者として連れて歩いている。
ミチル
つばの広い帽子をかぶったサンジェルマン伯爵の妹。ゆっくりと時間を過ごす時只卓の生き方に惚れ込み、彼に求婚するために4次元種(上人類)から3次元種へと次元降下(堕センション)した。これにより、タイムトラベルは一切できなくなり、寿命は人間世界でいうところの1年になってしまう。元々は上人類としての名前はあったが、堕センションの際に消滅。 卓の母親に「ミチル」と名付けられる。後に卓と共に学校に通うことになる。夕仏真心にその短い寿命を心配されるが、本人は卓と濃密な時間を過ごしていると考え続けている。死の一時間前に、花嫁衣装で卓の元を訪れて、式をあげた。
ホムンクルス
両目を覆面で覆っている、サンジェルマン伯爵の従者。冷静に時只卓ののんびりした生活を見守っていた。本来は名前もタイムトラベル能力もなく、時間の流れ(フリッカー融合頻度)は通常の人間と同じ。彼を含むホムンクルスは皆、繁殖をしないように同性しか好きにならないように製造されている。ところが、時只歩と出会って恋に落ち、ストーカー行為を働くようになった。 歩からは、八二分けの髪型からとって「八二太郎」と名付けられている。ホムンクルスは異性を好きになるとブサイクになるため、一時期は外見が全く変わってしまった。
時只 歩 (ときただ あゆむ)
時只卓の妹。心臓の病気で療養生活を送っている。二重まぶたで、髪の毛を大きなおさげにしている。入院中はパジャマにブランケットを羽織って生活していた。おとなしく優しい性格で、初対面のミチルやホムンクルスに温かく接した。絵を描くのが好きで、ホムンクルスをスケッチして、彼にハニ太郎という名前をつける。卓は彼女のことを強く心配しており、毎日見舞いにきていた。 パヤオ監督のファン。カキフライが好き。
卓と歩の母 (すぐるとあゆむのはは)
時只卓と時只歩の母。見た目は高校生くらいに見えるほど若い。年齢化粧品の研究者で、息子の時只卓に家業をつぐように言っている。自分たちの一族が超若作りなことを憂い「老け薬」を開発している。卓に職業訓練と称して、水滴が垂れるのを見るだけの練習をさせた。
ホムンクルス二代目 (ほむんくるすにだいめ)
二代目のホムンクルス。名前はない。片目を眼帯で覆っている。初代のホムンクルスを「出来損ない」と呼び、完璧なタイムスケジュールでサンジェルマン伯爵が動けるように彼を誘導する。詩人のような表現をするサンジェルマン伯爵を度々バカにしている。
屋良 かすみ (やら かすみ)
メガネをかけたおとなしい少女。夕仏真心の友人で、クラスメイト。思い込みの強い真心の行動に振り回されがち。腐女子で、上人類が作った「同人形」を買い漁ったことがある。
贋地谷 しほれ (がんじや しほれ)
ツリ目で、髪がとても長い上人類の女性。無くした雛人形の代わりとして時只卓が拾ってきた。麻のように成長が早い。彼女がいるとみんなハッピーになる、という伝説があり、今では麻姫を乾燥させると逮捕されてしまう。体が焼けても心が燃えても煙を発し、その煙を吸った人間たちはハイテンションになってしまう。卓にホムンクルスがキスしているのを見てBLに目覚めた時、「禁断の果実」であると指摘されて3次元に次元降下(堕センション)した。 後に卓のクラスに転入。卓とホムンクルスの同人誌ならぬ「同人形」を製作・頒布した。
黒奥様 (くろっくまだむ)
広いつばの帽子をかぶり、全身黒尽くめの衣装を着ている上人類のセクシーな女性。網タイツを履き、日傘を持ち歩いている。夫が時空移動中に行方不明になり、共有する時間がなくなった「時空未亡人」で、サンジェルマン伯爵の不倫相手。伯爵邸の隣に上人類向けのアパートを建設し、管理人になった。ミチルの寿命のことで悩んでいたサンジェルマン伯爵に、救済のヒントを与える。
葦姫 (あしひめ)
葦のように成長の早い上人類。幼い少女の外見を保ったまま、成長し続けている。「あしだなま」の芸名で、人間界では天才子役として賞賛されていた。人間に対しても上人類に対してもバカにした態度が多く、嘘泣きでごまかすなどの行動を取る。金印など歴史上重要な判子を時空を超えて集めて回る、スタンプラリーを行っていた。サンジェルマン伯爵に対しては冷たい態度をとっている。
マッキーマウス
ネズミのきぐるみを着てひげを生やしている。完璧なタイムシフトを組める存在で、時空移動者を絶対に同時に2人存在させないプロフェッショナル。単独でタイムトラベルすることが可能で、神出鬼没。夕仏真心がドッペルゲンガーに接触しかけた際に救出した。「ミートザマッキー」という人気アトラクションにいることがある。
小手川 (こてがわ)
日焼けした肌の、卓と同じ学校に通う高校生。学校に行く時は制服を着ているが、それ以外の時は全裸に腰巻きをして、とても長いコテカを股間につけている。コテカを短いと言われることを何より嫌う。小手川家には、代々伝わる2kmの長さの超ロングコテカがある。
おばさん
サンジェルマン伯爵の家をパン屋と勘違いしては怒り狂う女性。外見は虎の顔がプリントされた服を着ている中年だが、実際は28歳。
パヤオ監督 (ぱやおかんとく)
白髪にひげをはやし、メガネをかけたアニメ映画監督。上人類界で作ったアニメが鳴かず飛ばずで、人類相手にいい気になるために下の次元で作品を公開し、大ヒットを飛ばした。時只歩が彼の大ファンで、入院中に肩車をしたことがある。
囚人10596321号 (しゅうじん10596321ごう)
浴衣を着て髪を伸ばしているメガネの男性上人類。人類、上人類、冗人類の時間を同じ範囲にまとめ、時間を止めようと企んだところ、時間刑務所に収監された。逮捕されたサンジェルマン伯爵に、3つの人類の仕組みを教える。
その他キーワード
上人類 (じょうじんるい)
別名4次元種。人類の60倍速い時間を生きている、上の次元の種族。男性は高い髪型や帽子が目印で、女性はツバの広い帽子をかぶっている。人間の時間にすると寿命は1年。時間移動能力をもっており、人間の各時間に点在することで、その寿命の幅を大きく広げている。足の裏には、設定された名前が、生まれた時に刻まれている。時間感覚が違うため、人間の肉眼で捉えることができないスピードで移動している。 その際起きる風によって、女子のスカートのめくれが発生する。上人類が下の次元(人間)に降りて作品を作ると、人間世界の名作扱いされる。「禁断の果実」(りんごを食べた3次元種とのキス、BL作品など)に触れることで3次元種に「堕センション」し、時間移動ができなくなって1年で死亡してしまう。
冗人類 (じょうじんるい)
超長寿人類のこと。人間の12倍の遅さで生きており、心拍数が異常に遅い。千年は生きると言われている。通常の人間と同じように生活しているが、まったく老けることがない。