競技かるたをテーマにした『ちはやふる』の続編
本作は末次由紀の『ちはやふる』の続編で、前作に引き続き瑞沢高校の競技かるた部を舞台に新たな青春ストーリーが描かれる。主人公は前作の綾瀬千早から新入生の長良凛月に交代し、物語は千早たち3年生が卒業したあとの時系列で進行する。キャプテンは花野菫に引き継がれている。前作『ちはやふる』は、千早たちが競技かるた部を創設し、活躍する姿が描かれ、“熱血かるた漫画の金字塔”として絶大な支持を集めた。また、アニメ化や実写映画化をはじめとするさまざまなメディアミックスも展開されている。
新生競技かるた部の新たな挑戦
綾瀬千早たちが卒業した瑞沢高校の競技かるた部には、新たにB級の凛月をはじめとする新入部員が加わり、仲間たちと共に高校全国大会の優勝を目指して切磋琢磨していた。しかし、先輩たちの卒業によってA級部員はわずか一人となり、部は厳しい状況にあった。A級昇格を急ぐ凛月だったが、幼い妹の世話に追われ、十分な練習時間を確保できずにいた。そんな中、複雑な家庭環境を抱えるクラスメートの秋野千隼が競技かるたに興味を持つようになる。凛月は試行錯誤の末に千隼の母親を説得し、彼をかるた部に迎え入れることに成功する。
世代を超えてつながる思い
千隼が入部したあとも、凛月は真摯に競技かるたに取り組み続けている。そのひたむきな姿勢は、ほかの部員たちだけでなく、凛月自身の成長の原動力ともなっている。そして、全国大会の団体戦がせまる中、部員たちはそれぞれの事情を抱えながらも、夏の課外学習に励んでいた。一方、初心者の千隼はその優れた記憶力を生かし、急速に成長を遂げ、早くも初段認定大会に挑戦することになる。多くの課題に直面しながらも、競技かるたに情熱を注ぎ、それぞれの人生と向き合う凛月たちの成長が、本作の大きな見どころとなっている。さらに、前作同様に個性豊かなキャラクターたちが織りなす熱いスポーツドラマや、恋愛や友情といった青春模様も描かれている。また、物語の中盤からは、千早をはじめとする瑞沢高校のOBたちも登場し、彼らの成長した姿や活躍を楽しむことができる。
登場人物・キャラクター
長良 凛月 (ながら りつ)
瑞沢高校に通う1年生の男子で、秋野千隼のクラスメート。競技かるた部に入部している。茶色のショートヘアに黒縁の眼鏡をかけており、知的な印象を与える美少年。以前は武蔵野かるた会に所属していた実力者で、ランクはB級。幼い頃からテニスやバスケットボールに親しんできたため、抜群の反射神経と俊敏性を誇る。さらに、見た動きをすぐに自分のものにするミラーリング能力にも秀でている。数年前に他界した母親・和泉の遺品を通じて、競技かるたに興味を持つようになった。仕事で多忙な父親に代わり、家事全般をこなしながら幼い妹・凛風の面倒も見ている。
秋野 千隼 (あきの ちはや)
瑞沢高校に通う1年生の男子で、長良凛月のクラスメート。厳格な両親のもとで育ち、昼食代を節約してやっと手に入れたスマートフォンをすぐに壊されるなど、不自由な環境に悩まされている。アニメや漫画などの娯楽をいっさい禁じられていたため、感受性が非常に強く、教科書の物語を読むだけで涙があふれてしまうほど純粋な性格の持ち主。友人となった凛月を通じて競技かるたに興味を持ち、彼の後押しもあって入部を果たす。競技かるたの経験はまったくない初心者だが、一度見聞きしたことを正確に記憶する優れた記憶力を武器に急成長を遂げる。入部を機に長かった前髪を切ったことで、隠されていた美しい素顔が現れ、周囲を驚かせることになる。
前作
関連
ちはやふる 中学生編 (ちはやふる ちゅうがくせいへん)
末次由紀の『ちはやふる』の番外編である、時海結以の小説『小説 ちはやふる 中学生編』のコミカライズ作品。本作では『ちはやふる』本編では描かれていない、綾瀬千早、真島太一、綿谷新の中学生時代が描かれてい... 関連ページ:ちはやふる 中学生編
書誌情報
ちはやふる plus きみがため 5巻 講談社〈BE LOVE KC〉
第1巻
(2024-04-12発行、978-4065353226)
第2巻
(2024-08-09発行、978-4065366240)
第3巻
(2024-12-13発行、978-4065378069)
第4巻
(2025-06-13発行、978-4065397848)
第5巻
(2025-11-13発行、978-4065414873)







