あらすじ
第1巻
世界で一番ジャンケンが強いのは誰かを決めるため、アルティメットジャンケントーナメントが開催されることになった。優勝者はどんな願いでも叶えられるという破格の権利を与えられるこのバトルに、世界中から数億人のジャンケン自慢の人々が参加する。激闘の末、決勝トーナメントには八人の精鋭が勝ち残った。予知能力を持つ超能力者の戸津根未来、お金目的で出場した自称警察官の里中操、筋骨隆々の大男、大宮利通、相手の心を読むことのできるテレパシー能力者の御手洗心造、アラブの石油王、石油王アングドラ、強運の小学生、田中タダシくん、人並外れた反射神経を持つ忍者のイナズマ、そして霊を使役する少女の四葉。己の持てる力のすべてを駆使しなければ頂点を狙えないジャンケンバトルの闘いの火蓋が、切って落とされる。(第1話「八人の出場者」。ほか、8エピソード収録)
第2巻
決勝トーナメント1回戦が終了し、戸津根未来、御手洗心造、田中タダシくん、イナズマの四人が勝ち残った。準決勝の最初の試合は、予知能力を持つ未来と、人の心が読める心造という、超能力者同士の対決となる。ジャンケンを繰り出す際に手元を鍋のフタで隠し、未来に勝利しようとする心造に対し、未来はフランス語をはじめとする世界中の言語をランダムに心の中でも使い続け、自分の心を読ませないようにする。さらに未来は、グー・チョキ・パーの手形を描いた3種類のカードを用意。そのカードを裏返して出すことで自分でも何が出るかがわからないようにして、完全に運次第の勝負へと持ち込むのだった。(第10話「準決勝1-①」。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
戸津根 未来 (とつね みく)
眼鏡をかけた長髪の青年。未来を知ることができる予知能力者。誰に対しても紳士的な態度を崩さない知的な人格者。正義感が非常に強く、予知能力を事件や災害の予知に使い、多くの人々を救いたいと考えている。しかし、今はまだ5秒前のことしか予知できないため、戸津根未来自身の予知能力をパワーアップするためにアルティメットジャンケントーナメントに参加し、優勝を目指している。能力をフルに活用し、ベスト8までは順当に勝ち上がる。予知能力が通じなさそうな対戦相手には、あえて運否天賦の勝負に持ち込もうとするなど、相手を見て柔軟に戦術を組み立てる能力にも長けている。予知能力に目覚めたのは5歳の時で、盲目の男性がホームから転落する未来を見たが、何もできずに男性を見殺しにしてしまった苦い過去を持つ。その経験が人の役に立ちたいという彼の強い意志の原動力となっている。
里中 操 (さとなか みさお)
警察官の女性。警視総監である親の権威と自らの手錠をチラつかせ、相手を威圧する悪徳警官。大金持ちになるために、アルティメットジャンケントーナメントに参加し、警察の権威を盾にベスト8まで勝ち残った。実は警官というは真っ赤なウソで、本当は催眠術師にしてガソリンスタンドの店員。その催眠術は非常に強力で簡単には解くことができず、かかった相手を意のままにあやつることができる。催眠術が使えるようになったのは幼少の頃で、里中操自身は一種の超能力ではないかと思っている。欲望には忠実ながら、根っからの悪人というわけではなく、意外に常識的な一面を持つ。
大宮 利通 (おおみや としみち)
筋骨隆々の厳つい男性。日々体を鍛えているマッチョマンで、筋肉に不可能はないと考えている脳筋系。筋肉神という筋肉の神様を信仰しているが、30代になってから筋肉神の姿が見えなくなり、声もほとんど聞えなくなってしまったことを思い悩んでいる。アルティメットジャンケントーナメントには、筋肉神の姿を再び見るという願いを叶えるために参加した。対戦中にグーで相手をぶん殴ることで勝利を重ね、ベスト8まで勝ち残った。
御手洗 心造 (みたらい しんぞう)
銀髪のクールな性格の青年。相手の心を読み取れるテレパシー能力者で、ふだんはカジノのポーカーなどで荒稼ぎしている。アルティメットジャンケントーナメントにも参加し、能力を駆使して軽々とベスト8まで勝ち残った。相手の心の奥底までを完全に読めるため、賭け事では無類の強さを誇っている。アルティメットジャンケントーナメントでも自らの優勝を確信していたが、準々決勝以降は自分と同じく並外れた異能力者が勝ち残っていたため、想像を超える苦戦を強いられてしまう。
石油王アングドラ (せきゆおうあんぐどら)
アラブの石油王の男性。総資産が5兆円にものぼる圧倒的財力を誇り、「世の中、金を持つ者が勝つようにできている」という持論を持つ。運の勝負であるアルティメットジャンケントーナメントに参加し、対戦相手に100万円を渡して買収することで、難なくベスト8まで勝ち残った。準々決勝の相手である田中タダシくんの両親を買収して、勝利のために万全の策を講じて試合に挑むが、タダシくんの強運の前にそのすべてが失敗に終わる。
田中 タダシくん (たなか ただしくん)
男子小学生。人並外れた強運の持ち主で、運のよさだけでアルティメットジャンケントーナメントのベスト8まで勝ち残った。強運なこと以外はごくふつうの小学生で、マイペースな性格をしている。試合に挑む時も変な気負いはいっさいない。準々決勝の相手である石油王アングドラに裏でさまざまな工作を仕掛けられていたが、持ち前の強運で、田中タダシくん自身が知らないあいだに、すべての工作を無効化していた。その強運パワーは、人の運が見えるアングドラの占い師すら測定不能なほど強大で、「あの子は神に愛されている」と評されるほどだった。
イナズマ
忍者装束をまとった青年。人並外れた超反射神経と超スピードを誇る。「金縛りの術」をはじめとする忍者秘伝の「三つの術」も使える。忍者の里の長であるライメイの命を受け、アルティメットジャンケントーナメントの優勝を目指している。超反射神経を駆使して、相手の手の動きを見極めてから自分の手を出すことができるため、ベスト8まで順調に勝ち上がった。
四葉 (よつは)
霊能者の少女。巫女のような姿をしており、ふつうの人には見ることができない姉の霊を使役して、相手を呪うことができる。「ジャンケン大会なんて相手を呪えば楽勝」と考えており、アルティメットジャンケントーナメントに参加したあとは、持論どおり対戦相手を呪うことでベスト8まで勝ち上がった。語尾に「~のろ」と付けてしゃべるのが特徴。
ジャンケン神 (じゃんけんしん)
アルティメットジャンケントーナメントの主催者にして神様。性別は不明。グー・チョキ・パーのマークが入った奇妙なマスクをかぶっている。トーナメントを主催する理由は不明だが、ジャンケン神自身はあくまで趣味であると主張している。