おもてなしの心と優しさで人の縁を紡ぐ物語
「旬菜酒場 こはる屋」の店長、南部皐月はかつて、もみじの祖母が営む居酒屋「すずめ亭」で働いていた。その「すずめ亭」にあこがれて開いたのが、現在の「こはる屋」であり、店名や料理は変わっても、「すずめ亭」が大切にしてきた“おもてなしの心”や“優しさ”が確かに受け継がれている。人と人との縁が思いやりによってつながれていく様子が、温かく描かれている。
新たな出会いで孤独を克服する
もみじは地元から離れた高校に進学したため、なかなか周囲になじめず孤独を感じていた。そんな中、クラスで無口で無表情な少女、藍川凪と親しくなる。そんなある日、団体客で大忙しの「旬菜酒場 こはる屋」が窮地に陥った際に手伝ったことをきっかけに、凪は店でアルバイトを始めることになる。人と話すのが苦手だった凪は、こはる屋での出会いを通じて少しずつ心を開き、自分の言葉で話せるようになっていく。凪だけでなく、こはる屋の仲間たちもそれぞれの過去を乗り越え、新たな一歩を踏み出す姿が、本作の大きな魅力となっている。
新しい仲間が加わり、さらに賑やかになる
もみじが高校2年生になった頃、高校1年生のオタクギャル、星野エリカが新たなアルバイトとして「旬菜酒場 こはる屋」に加わった。派手な見た目とは裏腹に、祖父が常連客であることから「こはる屋」への強い思い入れを抱いている。時にはその熱意が押しつけがましく感じられることもあるが、誰も思いつかない斬新なアイデアで新メニューの開発に大きく貢献している。エリカの加入によって店の人間関係に新たな化学反応が生まれ、これまで店を中心に展開していた物語に学校生活の描写も加わっていく。
登場人物・キャラクター
宮原 もみじ (みやはら もみじ)
「旬菜酒場 こはる屋」でアルバイトをしている女子高校生。年齢は16歳。誕生日は5月12日。肩までの黒髪をゆるくお団子にまとめている。料理が好きで、一人暮らしをしながら自炊もこなしている。しかし、根がまじめすぎる性格のため、一度調子に乗ると必ずミスをしてしまい、それを気にする繊細な一面も持っている。こはる屋のアルバイト、山吹ちゆりが、もみじを新人アルバイトとカンちがいしたことをきっかけに、こはる屋で働くことになった。かつて祖母が営んでいた居酒屋「すずめ亭」をよく手伝っており、和やかで温かい「こはる屋」の雰囲気を気に入っている。アルバイトの如月真澄からは「もみもみ」と呼ばれている。
南部 皐月 (なんぶ さつき)
「旬菜酒場 こはる屋」の店長を務める女性。年齢は24歳。根元が黒くなった金髪のロングヘアをハーフアップにしている。非常に面倒見がよく、もみじやちゆりといったアルバイトたちのよき相談相手。時には日常生活のアドバイスもする、頼れるお姉さん的存在である。かつてもみじの祖母が営む居酒屋「すずめ亭」で働いており、その店の温かい雰囲気にあこがれて「こはる屋」を開店した。そのため、「一人ひとりに真心を込めたおもてなし」をモットーとしている。アルバイト員の真澄からは「さっちゃん」と呼ばれている。
書誌情報
ちょっといっぱい! 10巻 芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉
第1巻
(2017-01-12発行、978-4832247932)
第9巻
(2022-09-12発行、978-4832273931)
第10巻
(2023-07-12発行、978-4832274679)







