どんぶり委員長

どんぶり委員長

まじめで高飛車な委員長は、調理実習でクラスの男子の吉田が作った親子丼を食べて以降、すっかりどんぶりものの虜になってしまう。どんな食材もご飯に乗せてかき込みたいという欲望にかられる女子高校生と、半ば強引に彼女の指定した食材でどんぶりものを作らされる男子高校生との交流を描く、B級グルメ学園ラブコメディ。「Webコミックアクション」で2014年10月24日から2017年2月24日にかけて配信された作品。作中に登場するすべてのどんぶりもののレシピが掲載されているほか、コミックス各巻末には描き下ろしのエピソードも収録されている。

正式名称
どんぶり委員長
ふりがな
どんぶりいいんちょう
作者
ジャンル
ラブコメ
 
料理
関連商品
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あらすじ

ばたふ学園2年C組の委員長は、高飛車で高圧的な態度により、クラスの男子からはつけ入るスキがないと評判だった。そんなある日、委員長は調理実習でチキンソテーを作ることになったが、料理経験がまったくないこともあり、細かい指定のないレシピにとまどっていた。すると、クラスメートの吉田が材料に記載されていない玉ねぎを切り、鶏肉を細かく切り始め、明らかにチキンソテーとは違う物を作り始める。腹が減っているからと言いながら、吉田がパパッと作り上げたのは、とろっとしておいしそうな親子丼だった。しつけに厳しい家庭で育った委員長は、どんぶりものは男だらけの店で食べる品のない食べ物という偏見から、今まで一度も食べたことがなかった。しかし、吉田の作った親子丼のことが頭から離れなくなった委員長は、翌日登校するや否や吉田を家庭科室まで呼び出し、親子丼を作ってほしいといつもと同様に高圧的な態度で頼み込む。吉田は考える間もなく断ってその場を離れようとするが、委員長は彼を説き伏せ、遅刻を一回見逃すと交換条件で、なんとか了承を得ることに成功する。すると吉田は、親子丼のグレードアップ板「即席おんたま乗せ親子丼」をささっと調理する。これがどんぶりもの初体験となった委員長は、それ以来、どんぶりもののおいしさに魅了され、すっかり虜になってしまう。その後も吉田はなぜか、委員長に言われるがまま、彼女の要求する食材を使って、日々創作どんぶりを作らされることになる。(第1話「1杯目」)

委員長は、どんぶりものの虜になって以来、ご飯に乗せてかき込みたいという欲望が日に日に加速していく。それに付き合わされる形の吉田は、委員長のむちゃぶりと食欲に応えるように、毎回おいしいどんぶりを考え出し、次々と作ってあげていた。最初はイヤイヤ付き合わされていた吉田も、次第に謎の使命感に駆られるようになっていた。そんなある日、委員長は通りすがりの八百屋でおいしそうな旬の米ナスを見つけて購入。翌日、さっそく吉田にどんぶりにしてもらおうと、ワクワクしながら家庭科室を訪れると、そこにはクラスの女子たちに手作りの親子丼を振る舞っている吉田の姿があった。その様子にショックを受けた委員長は、吉田に暴言を吐いて走り去ってしまう。屋上で物思いにふけっていた委員長は、自分が逃げ出してしまったこと、素直になれないことを反省していた。するとそこに、米ナスを手に吉田が姿を現す。これでどんぶりものを作ってほしかったのかと話し掛けてきた吉田に、委員長はまたしても素直になれず、悪態をついてしまう。親子丼はクラスの子に頼まれたから作っただけと言い訳する吉田と言い合いになった委員長は、自分だけのためにナスでどんぶりものを作ってほしいと勢いまかせに口にしてしまう。了承した吉田が作り始めたのは、ナスを牛脂で焼いて、ステーキに見立てたどんぶりもの。題して「秋ナスはステーキにして委員長だけに食わせろ丼」。委員長はどんぶりのおいしさを堪能し、自分だけの新作ということに満足しながら、クラスメートたちを目の前にして、安っぽい青春ドラマさながらのワンシーンを演じるはめになるのだった。(第14話「14杯目」)

どんぶりもののおいしさを知って偏見もなくなり、抵抗なくどんぶりものと向き合えるようになった委員長は、通り沿いにあるかつ丼専門店や天丼専門店を前にして、いずれこういうお店にも一人で入れるようになりたいと考えていた。だが、そんな委員長にとっても、立ち食いの店だけはどうしても敷居が高く感じていた。そこは手早く食事を済ませたい男だけの聖域というイメージを持っていた委員長は、どうしても自分が一人で入れる気がしなかったのである。そんなある日、委員長は立ち食いの店から出てきたばかりの吉田とばったり遭遇。そこで注文のシステムやメニューの種類、吉田が何を食べたのかなど、興味津々の様子を見せたため、吉田には委員長の気持ちがバレバレになってしまう。吉田がきつねうどんを食べたことを知った委員長は、話の流れからいつものように吉田にむちゃぶりをする。それは、うどんのようなどんぶりものを作ってほしいというもので、具材は店のメニューにある月見、たぬき、きつね、牛肉などすべてを使うという難題だった。その後、二人は学校の家庭科室に場所を移し、調理を開始する。吉田が希望の食材をすべて使って委員長のために作ったのは、めんつゆのだし汁を掛けた「よくばり具材のはなまるう丼」。委員長は教卓まで移動して、出来上がったどんぶりを立ち食い店さながらに立ったまま食し、そのおいしさを堪能する。(第19話「19杯目」)

ある日、校内を歩いていた委員長吉田クラスメイト君山笠静香の三人が、翌日にせまった自分の誕生日にサプライズでプレゼントを用意しようと、話し合っているところに遭遇。すべてを聞いてしまった委員長は、帰宅するとプレゼントをもらったときのリアクションの練習を始める。オーバーに、またはクールに振る舞おうとするが、どうしてもわざとらしくなってしまうことに頭を悩ませつつ、翌日学校へと向かう。三人から誕生日プレゼントをもらった委員長だったが、結局ガチガチに緊張し、言葉で驚きを伝えようとするものの不自然になってしまう。帰り道、吉田からプレゼントのことを知っていたのかと突っ込まれると、委員長は素直に認めるが、どうせなら本当にサプライズがよかったと愚痴をこぼしたあと、性懲りもなく吉田に向かってサプライズでどんぶりものを作ってほしいと要求。そして翌日、家庭科室に向かった委員長が扉を開けると、そこにはもう出来上がったハッピーバースデーサプライズ丼が用意されていた。麻婆豆腐に半熟卵とねぎを乗せただけのような「サプライズカレーマボチ丼」と名付けられたそのどんぶりを食べ進めた委員長は、あまりのおいしさに箸が止まらない。すべて完食し、満足顔の委員長に吉田が自分だけからのプレゼントとして差し出したのは、誕生日ケーキだった。しかし感動もつかの間、ホールケーキの上にあるプレートには、自分の名前が記されていなかった。委員長はそこで初めて、吉田が自分の名前を知らないことに気づくのだった。(第31話「31杯目」)

メディアミックス

テレビドラマ

2020年10月24日から、本作『どんぶり委員長』のTVドラマ版『どんぶり委員長』が、深夜よりBSテレ東、テレビ大阪などで放送された。キャストは、委員長を伊原六花、吉田を小西詠斗が演じている。

登場人物・キャラクター

委員長 (いいんちょう)

ばたふ学園2年C組で委員長を務めている女子高校生。吹奏楽部に所属している。まじめすぎる堅物で誰に対しても高飛車で、高圧的に接する。それに加えて融通がきかない性格で、一辺倒な考え方の持ち主。クラスではうっとうしがられているようでいて、クラスメートや教師からの信頼は厚い。しつけに厳しい両親に育てられ、特に食事作法は幼い頃から徹底的に教え込まれたため、どんぶりものは、男だらけの店で食べる品のない食べ物という偏見を持っていた。しかし調理実習の時、クラスメートの吉田が勝手に作って食べていた親子丼を見て以来、気になり始める。その後、吉田に作ってもらった「即席おんたま乗せ親子丼」を食べてから、すっかりどんぶりものの虜になり、どんな食材もどんぶりにして食べたい欲望にかられるようになる。料理の経験は皆無で、右も左もわからない状態。そのため、欲望を満たすために事あるごとに吉田を家庭科室に呼び出し、指定した食材でどんぶりものを作ってもらうようになる。どんぶりものに対する情熱はすさまじく、おいしいどんぶりを食べるための想像力は異常なまでに強い。一方で、コンビーフを知らなかったり、コンビニにほとんど入ったことがなかったりなど、世間知らずなところがある。納豆が苦手だったが、納豆を使ったどんぶりを吉田に食べさせてもらったことから、それも克服している。吉田といっしょに過ごす時間が増え、無自覚ではあるものの、淡い恋心を抱いている。そのため、吉田が自分以外の女子と仲よさそうにしていると機嫌が悪くなる。特に転校生の山笠静香とは、吉田に関することになると張り合いがち。互いに自己主張が強いこともあり、仲がよさそうでいて水と油のような関係。

吉田 (よしだ)

ばたふ学園2年C組に在籍する男子高校生で、委員長のクラスメート。7年前に母親を亡くし、現在は父子家庭のため、毎日の食事は自分で作っており、料理は得意。父親は日々仕事に忙しく、顔を合わせることはあまりないため、一人で食事を取ることが多いが、親子関係は良好。ある日学校の調理実習で、課題のチキンソテーではなく、勝手に親子丼を作って食べたことがきっかけで、委員長からどんぶりものを作ってほしいと頼まれるようになる。最初に作った「即席おんたま乗せ親子丼」を食べた委員長がどんぶりものの虜になり、それ以来、日々家庭科室に呼び出されては、半ば強制的に指定された食材で創作どんぶりを作らされることになる。初めのうちはイヤイヤ感が強かったが、次第に委員長からのリクエストに全力で応えなければという謎の使命感が生まれるようになり、委員長と過ごす時間が増えていく。それによって、二人の関係に進展があるかもしれないという、淡い期待を抱くようになる。料理好きだった母親の影響を強く受け、人が喜んで食べてくれるようなおいしい料理をたくさん作りたいと考えるようになる。好きなものは母親との思い出の多い紅ショウガの天ぷら。勉強は苦手で遅刻することも多く、よくペナルティーを科されている。

山笠 静香 (やまがさ しずか)

ばたふ学園2年C組に転校してきた女子高校生。ツインテールの髪型をしている。父親の転勤により、博多から引っ越してきたため、博多弁を話す。吉田やクラスの男子たちからは、方言がかわいいともてはやされている。ある日、校内でいい匂いがして家庭科室に足を運ぶ。そこで、吉田が委員長にどんぶりものを作っているところに遭遇する。自分も食べたいと申し出るものの、委員長がおかわりした分で食材が終了したために食べることは叶わず、その直後に再び父親の転勤で沖縄に転校することとなり、あっという間にいなくなった。しかしその後、再び父親の転勤により、ばたふ学園に戻ってきた。その際には、すっかり沖縄の方言に変わっており、影響を受けやすい性格が露呈する形となった。それ以来、委員長とは吉田に関することになると何かと張り合うようになる。一方で、いっしょにどんぶりものを作ったりして、親交を深めていく。委員長とは似たところが多く、それが逆に水と油のように反応し、委員長からは嫌がられることも多く、仲がよさそうで犬猿の仲のような不思議な関係を築く。

クラスメイト君 (くらすめいとくん)

ばたふ学園2年C組に在籍する男子高校生で、委員長と吉田のクラスメート。のほほんとした性格で、ぽっちゃりした体型をしている。ポテチが大好きで、家でも学校でもいつもポテチを食べている。ポテチが好きすぎて、ある日ポテチをご飯に乗せてかき込みたい欲望に駆られ、炊き立てご飯の上にさまざまな味のポテチを乗せ、バターとしょうゆで味つけした「魅惑のポテチバターしょうゆ丼」を創作する。しかし、結局そのまま食べた方がおいしいという結論に到達する。学校では、よく委員長と吉田のやりとりを目撃しており、遠巻きにしながら彼らの言動に素朴な疑問を抱いては、頭の中で考察している。

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