概要・あらすじ
定職につかない夫に愛想を尽かして子連れで墨田区京島の実家へと戻った妻の永井小巻。一人娘ののんちゃんとの新たな生活のため、不動産屋や小料理屋、居酒屋など様々な職場で奮闘する。三十路で再び働き始めた小巻は、社会の厳しさを味わい、たびたび自分の無力さを痛感するが、娘のために作った弁当は周囲の人間に大評判となる。
紆余曲折を経て物語の終盤、小巻は唯一の才能である弁当づくりを活かした弁当屋開業を決意する。
登場人物・キャラクター
永井 小巻 (ながい こまき)
31歳の子持ちの女性。旧姓は原。永井範朋と結婚し一人娘のんちゃんを産んだが、範朋の甲斐性の無さに愛想が尽きて、娘を連れて墨田区京島の実家へと戻った。勝気で行動的な性格。弁当づくりが得意。
永井 乃里子 (ながい のりこ)
永井小巻の一人娘。5歳。父永井範朋との別居を決意した母小巻に連れられて、下町の母の実家へ移り住んだ。母の作るお弁当を楽しみにしている。
永井 範朋 (ながい のりとも)
28歳。永井小巻の夫。定職につかず金銭にもルーズなため小巻に愛想をつかされ、別居されてしまうが、離婚するつもりはない。娘の、のんちゃんにも会いたいため、嫌がられても小巻の前へたびたび現われる。
原 フミヨ (はら ふみよ)
永井小巻と原修一郎の母親。墨田区京島の自宅で着物の着付け教室を営む。夫はすでに他界している。生粋の下町育ちで、きっぷのいい性格。
社長 (しゃちょう)
不動産屋「大鵬不動産」の社長。禿頭の中年男性。妻と娘あり。永井小巻を事務員として雇い入れる。出前のモヤシソバが好物だが、健康に気を遣い、昼食用に小巻に弁当を作ってもらうことになる。
玉川 麗華 (たまがわ れいか)
永井小巻と中学校で同級生だった女性。離婚して一人息子の親権も元夫に取られ、地元に戻り姉のブティックで働いている。酔うと泣き上戸になる。正直な性格だが小巻とは価値観が異なるため、ときどき衝突してしまう。
川口 建夫 (かわぐち たてお)
永井小巻と中学と高校で同級生だった男性。眼鏡が特徴的で、温厚な性格。実家の写真館を継いでいる。高校時代に小巻は建夫のことが好きだったので、彼がいまだに独身であることを知り、意識するようになる。
戸谷 (とや)
居酒屋ととやの主人。おだやかな性格だが一見すると強面の中年男性。常連客からは「チョーさん」と呼ばれている。料理の腕前はかなりのもの。永井小巻に店の料理の味を惚れられて、弟子にして欲しいと押しかけられてしまう。
原 麻紀子 (はら まきこ)
永井小巻と短大で同級生だった女性。会社から独立し編集プロダクションを立ち上げた。背が高いのが特徴。小巻の旧姓名「原小巻」と名前が似ているので、学生時代には小巻は「コマキ」、麻紀子は「オオマキ」と呼ばれ、区別されていた。
原 修一郎 (はら しゅういちろう)
永井小巻の弟。26歳。楽天的な性格。就職して実家を出ていたが、結婚する予定の女性なつみを連れて戻ってくる。妊娠中のなつみの世話を、母と小巻にお願いする。
なつみ
22歳の女性。長い髪が特徴。とても物静かで、普段はほとんどしゃべらない。感情を表に出すこともない。小巻の弟原修一郎と結婚する予定。妊娠したため、修一郎に連れられ小巻の実家へと移り住む。
場所
ととや
『のんちゃんのり弁』に登場する居酒屋。多くの常連客で繁盛している。戸谷が一人で営んでいたが、小巻が従業員として働きはじめる。ランチタイム営業は11時半から1時半まで。