まんまんちゃん、あん。

まんまんちゃん、あん。

貧乏子だくさんの家族で育った少女が、寺の跡継ぎと結婚。その後、未亡人となった彼女を巻き込み、無情にも大き膨らんでいく後継者争いを描いたヒューマンドラマ。Webコミック「幻蔵」2007年9月号から2008年12月号と、「Webスピカ」2009年1月号に掲載された作品。

正式名称
まんまんちゃん、あん。
ふりがな
まんまんちゃん あん
作者
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

両親のもと5人の姉妹とともに貧しい家庭で育っためぐりは、いつも自分だけの居場所を求めていた。そんな時、随徳寺の跡継ぎである信玄との結婚話が持ち上がる。高校卒業を待って寺への嫁入りを果たしためぐりは、大好きな信玄との幸せな日々を過ごすはずだった。しかし、そんな平穏な日々を打ち破るかのように、信玄が事故で帰らぬ人となってしまう。

残されためぐりは、突然跡継ぎを失った随徳寺の後継者争いの道具となり、さまざまな立場の人の思惑に翻弄されていく。

登場人物・キャラクター

めぐり

貧乏かつ子だくさんな家庭で育った女の子。初登場時は高校3年生。両親と姉2人、三つ子の妹がいる8人家族。経済状態がひっ迫しており、また自分自身の居場所を欲し、早く実家を出たいと考えていたところ、随徳寺の後継者、信玄との結婚の話が持ち上がる。高校を卒業するまで、約1年間待って結婚するが、間もなく信玄を事故で亡くし、未亡人となる。 経済的に苦労してきたため、紅茶のティーバッグを繰り返し3回使った後、茶葉を手作りクッキーに利用するなど、数々の逸話を持っている。

信玄 (しんげん)

きいの息子で一円の兄。随徳寺の住職を務める父親の跡継ぎとして、その立場を約束された僧侶。母親や坂東に乗せられ、めぐりと結婚し夫となる。しかし、その後ほどなくして事故に巻き込まれ、帰らぬ人となる。真面目で温厚な人柄で、寺の檀家からも慕われていた。

坂東 (ばんどう)

高校生だっためぐりがアルバイトをしていた小さな商店の奥さん。随徳寺の檀家。幼なじみのきいとともに、信玄とめぐりの結婚を企てた。おせっかいで気の良い、いわゆる「大阪のおばちゃん」という感じの人柄。信玄の死後、めぐりと一円の結婚を推し進める。

きい

信玄、一円の母親。随徳寺の住職の妻。幼なじみの坂東からの勧めで、めぐりを信玄の嫁に迎えるため、影ながら奔走。結婚後は嫁というより、むしろ自分の娘としてめぐりをかわいがる。住職の妻は子供が寺の跡を継がない場合、寺を出ていかなければならないという決まりがあり、信玄の死後は、その立場ゆえに悩みを抱え、苦しむことになる。

一円 (いちえん)

きいの息子で、信玄の弟。随徳寺付属の「ずいとくじ幼稚園」で園長を務めている僧侶。優秀な兄である信玄を目の当たりにして育ってきたため、いずれは随徳寺を出て岬と一緒になるつもりでいた。しかし兄の死により状況が一変。寺の跡継ぎとしての役割から逃げられなくなる。昨今の寺のあり方に疑問を抱いており、世襲にも反対している。

恵春 (けいしゅん)

随徳寺の僧侶。もともと寺の子供として生まれたわけではなく、在家出身のため、跡を継ぐ寺はない。そのため、随徳寺の後継者問題に関しては静観を決め込んでいた。しかし酒を飲み、成田慈恩と話したことにより想いが爆発。めぐりへの秘めた想いも膨らみ、彼女を手に入れて寺を継ごうと、強引な策に出る。

(みさき)

一円の彼女。一円を愛しているが、結婚して寺に入ることを拒絶している。一円を後継者候補から遠ざけることを目的として、信玄とめぐりが結婚することに協力した。表面上はめぐりと仲が良かったが、心の奥底では、寺から利用されているめぐりが哀れだと蔑んでいる。その後再び寺の後継者問題が表面化した際、一円に対し、自分と一緒になるか、自分と別れて寺の後継ぎとなるかの選択を迫った。

黒柳 (くろやなぎ)

随徳寺の檀家を束ね、檀家総代を務める男性。鎌倉時代から続く資産家で、伊豆に別荘を持っている。めぐりを気に入っており、信玄の死後もめぐりが寺に残れるようにと、一円との結婚を勧めた。しかし一円が寺を継ぐ意思を見せず、うろたえるので、不甲斐なさを感じる。そこで、外部から成田慈恩を後継者候補として呼び、めぐりとの結婚を推し進めようとする。 めぐりの前ではいつも陽気なおじいちゃんだが、表には出さない裏の顔を持っている。

成田 慈恩 (なりた じおん)

随徳寺の後継者候補としてやって来た僧侶。在家出身で会社勤めをしていたが、黒柳からの推薦を受け、随徳寺を継ぐことを目的にめぐりとの結婚を申し出た。何かと人に警戒心を抱かせる言動が多いい。しかし、随徳寺を通して寺の理想やあり方についての持論を実践していこうとしており、誰よりも事態を真剣に考えている。信玄の生前つけていた日記から、信玄の随徳寺やめぐりへの想いを知る。

和尚 (おしょう)

平峰寺の和尚を務める高齢の男性。平峰寺は大きな社がなく、普通の戸建て住宅に看板が出ているだけの小さなお寺である。そのため、跡継ぎがいないという問題に直面している。そこで、恵春に跡を継いでもらえないかと打診しているが、いい返事をもらえずにいる。

ゆい

めぐりの一番上の姉。マイペースでおっとりした性格。現在はOLとして実家の家計を支える一助となっている。信玄がめぐりとの結婚の話をなかったことにしたいと申し出た際、その理由を聞き、思い直させるきっかけを作った。

まお

めぐりの2番目の姉。ゆいの妹。実家に経済的負担をかけて大学に通っているが、自分は学校をやめ、就職してもいいと考えている。いつもガミガミと口うるさいが、人一倍めぐりのことを心配しており、次の結婚をやめて帰って来るよう、めぐりを説得する。

場所

随徳寺 (ずいとくじ)

信玄の父親が住職を務める寺。広い敷地内には付属の幼稚園もあり、その総資産は60億円に近いとも言われている。檀家にも恵まれ、住職には息子が2人いたため、寺の今後は安泰と思われていた。しかし長男の信玄の死により状況は一変。信玄の妻であるめぐりを筆頭に、寺を出るつもりだった次男の一心と、僧侶の恵春、外部から来た僧侶の成田慈恩にまで、後継者問題が波及することとなる。 なお、寺の財産はすべて法人のものであるため、住職にもしものことがあった際に家族以外が跡を継いだ場合は、住職の妻や子は寺にいる権利を失くすことになる。寺と無関係となった家族は無一文で寺を出ていかなければならず、それが足かせとなって、状況は混乱の一途を辿る。

その他キーワード

まんまんちゃん

仏様を意味する言葉。特に関西方面で使われる言い回し。頭を下げることを意味する「あん」と一緒に、「まんまんちゃんにあんする」というふうに使われるのが一般的。本作『まんまんちゃん、あん。』のタイトルはこの言葉から来ている。

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