はみだしっ子

イギリス風の英語圏の社会を舞台に、親に愛されなかった4人の子供、グレアム、アンジー、サーニン、マックスが、自分たちを愛してくれる人を探し、放浪する物語。旅の中で出会った人々の優しさや偏見、悪意などを、いわば、社会からはみ出した子供達の視点から描く、ロードムービー風のヒューマンドラマ。短編~中編の連作の形を取っており、主役も変更される。

正式名称
はみだしっ子
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
白泉社文庫(白泉社)
巻数
全6巻
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概要・あらすじ

グレアム、アンジー、サーニンマックスはそれぞれの理由で親に愛されず、家を飛び出した。4人は本当に愛してくれる人を見つけるべく、旅をする。4人はこの旅の中で、様々な人と出会い、人の優しさや憎悪、偏見などに出会い、心の傷を作っていく。ある日、冬山へバカンスに行った4人は、事件に巻き込まれ、バラバラになってしまう。

この時の事件のためにグレアムは心を病み、入院。アンジーは行方のわからなくなったサーニンマックスの行方を追う。苦労の末、ようやく再開した4人に養子の話が持ち込まれる。4人まとめて面倒を見てくれるというその人物は、雪の日に行き場をなくして倒れていた4人を助けてくれた医師だった。

養父・養母となったジャック・クレーマー、およびパメラ・クレーマーとぎこちないながらも共同生活を始め、サーニンマックスは少しずつ距離を近づけて行く。しかし、グレアムはその中に自分の居場所を見いだせず、雪山での事件の清算をするべく、ひとり行動するのだった。

登場人物・キャラクター

サーザ・グレアム・ダルトン

『はみだしっ子』の主人公のひとり。幼少期、父親に殺されそうになた犬を庇い、右目を傷つけられ失明したため、右目を隠すような髪型をしている。はみだしっ子たちのリーダー的な存在。伯母の自殺により、父ダルトンに恐怖を抱くようになり、折り合いが悪くなったため家出する。責任感が強く、真面目だが強情で頑固な一面がある。 仲間、特に年少のマックスやサーニンに対しては穏やかに優しく対応するが、仲間を守るためには、時に冷徹とも思える行動を選択する。考えすぎるタイプで、悩みや問題を抱え込んでしまうため、精神を病んだこともある。ピアニストである父から、厳しいレッスンを受けていたため、演奏の腕はなかなかのもの。

リフェール・ステア (リフェールステア)

『はみだしっ子』の主人公のひとり。女優の卵だったイブ・ホーンの私生児として生まれ、叔母の家に預けられて育つ。小児麻痺を患い、右足が不自由なため松葉杖をついているが、後に松葉杖なしで歩けるようになる。小児麻痺になった自分を捨て、映画女優としてつかんだ大役を選んだ母と会うために伯母の家を出る。 母の居場所には到着したものの、浮浪児として扱われ、会うことは出来なかった。物事をシニカルな視点で捕らえるが、それをジョークとしてしまう軽薄さと強さを持ち合わせる。手先が器用で、家事が得意。服装は派手で、フリルのある服を好んで着用している。アンジーという呼び名は、サーニンを助け出したさい、自分のことをアンジュ(天使)だと名乗ったのだが、サーニンには理解されず、本来は女性名であるアンジーだと思われたことから。

マイケル・トーマス

『はみだしっ子』の主人公のひとり。母の死後、失語症となり、地下室で幽閉されていたところをアンジ―に助けられ、そのまま家を出る。名前の由来は、失語症になった彼が再度言葉話すきっかけとなったインコの名前から来ている。アンジーから時に野生児と呼ばれることがあるとおり、性格や行動はがさつなところがあるが、動物への対応は丁寧で優しい。 サーニン自身も動物に好かれるタイプ。クークーのことが好きで、将来は一緒に住みたいと考えている。直感的に物事を判断し、行動する。夢は騎手になること。

マックス・レイナー

酒乱の父に虐待を受け、家から追い出されていたところをグレアムに救われる。「はみだしっ子」の中では最年少。素直で人好きのする性格と、金髪に広いおでこ、人形のようだと評される容姿のため、年上の女性から可愛がられることが多い。思考は幼く、純粋だが、その分、言ってはいけないこと、やってはいけないことなどの理解が浅く、時にトラブルの元となる。 父に虐待を受けていた影響で、銃と怒鳴り声に強いトラウマを持っている。

はみだしっ子

『はみだしっ子』に登場する主人公たち、グレアム、アンジー、マックス、サーニンを指す。

ダルトン

グレアムの父。ピアニスト。性格は頑固で高圧的。グレアムをピアニストにするべく、厳しく練習をさせる。グレアムが犬と遊んでレッスンをサボったさい、杖で犬を殴打しようとし、これを止めようとしたグレアムの右目を傷つけ、失明させてしまう。死を目前にしたグレアムの叔母の目をグレアムに移植してくれと願い出るなど、自分の都合のみを優先し、他人の感情を斟酌しない一面がある。 グレアムの叔母は「グレアムに左目をあげてくれ」という遺言を残し自殺。以降、グレアムに強く拒絶されるようになる。

グレアムの伯母

エイダの母。 グレアムの母の兄嫁で、グレアムを置いて家を出てしまった時「代わりに私がママになる」と言ってくれた女性。グレアムを愛し、グレアムの父が演奏旅行などで家を離れている間は面倒をみてくれたが、体が弱く、入退院を繰り返す。グレアムを預かっている間にけがさせてしまったことをグレアムの父に責められたり、グレアムにあげた犬を殺されたりしても怒ることはなかった。 体が弱く、余命が幾ばくもないと覚ったことから「グレアムに右目をあげてくれ」という遺言を残して自殺。グレアムに強いトラウマを残す。

ミスター・ムア (ミスタームア)

エイダの父。グレアムの伯父で、妹がグレアムの母である。父を拒絶し、妻の死因を自分の責任だと感じているグレアムに同情をよせ、家を出たいと言ったグレアムを資金面で支える。グレアムとは時折面会しており、そのさい、家に戻るよう説得することもある。常識的な壮年の男性。

エイダ

グレアムのいとこの少女。母親の自殺の原因はグレアムにあると考えており、彼のことをを「人殺し」と呼ぶほど憎んでいる。グレアムを追って行った先のホテルでマックスと友人となり、マックスのグレアムへの愛情やグレアムの気持ちを理解し、和解。その後はグレアムの父であるダルトンがグレアムを捜していることを知らせたり、雪山での事件の後、精神を病んだグレアムを見舞うなど、気づかいを見せる。

イブ・ホーン

アンジーの母。私生児としてアンジーを産んだものの、女優になるためアンジーは姉に預け、時々顔を見に来るという生活をしていた。女優として大成するには小児麻痺となった私生児の存在が重く、アンジーを捨て、女優の道を選ぶ。後に成功し、有名女優となる。

サーニンの母

優しいが優柔不断で、折り合いの悪い夫と自身の祖父の間を取り持つ事ができず、精神を病む。ふたりの事を気にしすぎたため、サーニンへはあまり愛情を傾けなかった。夫から雪かきをしておくよう言いつけられたさい、サーニンが止めるのも聞かず長時間雪かきを続けた。それが原因となって体調を崩し、そのまま死亡する。

サーニンの父

口ひげを蓄えた男性。サーニンの曾祖父のロシアの話が嫌いで、別居の話が出るほど折り合いが悪い。母親が死んだショックで話す事ができなくなり、反応しなくなったサーニンをインコと共に妹に預け、地下室に閉じ込めることを許容する。

サーニンの曾祖父

ロシア人だったが、革命がおこったために亡命した。サーニンの両親である孫夫婦の元に身を寄せている。折に触れ、サーニンにロシアの話を聞かせる。サーニンという名前は、祖父がサーニンにつけたいと思っていた名前だった(サーニンはあだ名であり、本名はマイケル・トーマス)。 変わりに、サーニン飼っていたインコにこの名前をつけた。

アルフィー

船乗りの男性。シドニー・マーチンのヨット仲間。はみだしっ子たちがレディ・ローズのアパートに居候をさせてもらっていた時に知り合う。問題を起こし、アパートを出ることになったさい、シドニーを紹介してくれる。後に、冬山での事件にも関わる。後に、シドニー・マーチンの一族が経営する会社の労働組合の組合長となり、大々的なストライキを起こす。

シドニー・マーチン

アルフィーのヨット仲間。大会社の跡取りだったが、一族の者に脅され、死んだとして屋敷に軟禁されていた。アルフィーからの紹介を受け、興味を引かれたにもかかわらず、自分の元に現れないはみだしっ子たちに何度となくメッセージを送り、決着をつけるために来訪したはみだしっ子たちを軟禁する。 はみだしっ子たちに興味を持ち、彼らを解放した後も様子を探っている。後に雪山での事件にも関わった。

ギィ・サリバン

雪山での事件のさい、はみだしっ子たちとバスに乗り合わせ共に遭難、救助されるまでその場に残ることを選択したうちの一人。落ち目の女性歌手シャーリーのマネージャーで、シャーリーのことを愛している。シャーリーはひとりでグループを離れ、行方不明になってしまう。その後、アンジーが冗談で林に火をつけて救助隊を呼ぼうと言ったことに激高し、共にいたグレアムに暴力を振るおうとした。

ジョイ

雪山で観光バスに乗り合わせた青年。銀行強盗に失敗し、バスジャックで逃亡を図るが、他の乗客と共に事故に巻き込まれ遭難する。凶悪な犯罪者というわけではなく、友人達と冗談半分に銀行強盗の計画を立てているうちに、成功するのではという思いが強くなり、欲求に負けて実行してしまった。本来は陽気で頭の良い青年である。

ジャネット

マックスが保護された孤児院の院長。ヒステリーな一面もあるが、豪快で後を引かない性格で孤児院の子供達からも好かれていた。しかし、ヴァトウの問題行動がエスカレートするにつれ、懲罰主義に偏っていく。

ブラッド

マックスが孤児院に保護されている間、通っていた学校のクラスメイト。学業優秀で、性格も優しく行動的。誰からも信頼を置かれ、好かれている少年なのだが、黒目黒髪がグレアムを連想させることから、グレアムから捨てられたと感じていたマックスには避けられる。後に和解。

ヴァトウ

マックスが保護された孤児院にいた少年。マックスと年齢が同じだったため、入所以降同室となる。母親は死亡し、父親はアルコール中毒のため、孤児院に保護されている。もとよりやんちゃで親分肌だったが、年齢が上がるにつれ、盗みなど、いたずらではすまされない問題行動が見られるようになり、ジャネットやマックスを悩ませる。 アンジーとの対話により落ち着き、後に和解する。

エルバージュ

『はみだしっ子』に登場する馬。サラブレッドの競走馬。純系を保つホモ型。ザ・セフトの孫とひ孫の間に生まれる。父馬はザ・ブルーニー。好奇心は強いが、気が荒く、なかなか人に懐かなかった。しかし、根気強くつき合ったサーニンに信頼をよせるようになる。後にサーニンが馬主となる。

ミセス・シグナン

雪山での事件の後、娘のキャシーが連れてきたサーニンを保護し、馬の牧場主である自分の父に預けた。無意識ではあるが、拒絶の言葉を繰り返し、娘の行動を制限するようなところがある。幼い頃のトラウマで馬が苦手。

牧場主の男性

ミセス・シグナンの父。ミセス・シグナンからサーニンを預かり、養生をさせる。競走馬の牧場主で、他の馬とともにエルバージュを育てる。サーニンと馬があい、信頼を得る。後に、サーニンをエルバージュの馬主とする。

オフィーリア (オフィーリア)

エイダの友人。眼鏡をかけた女性。雪山での事件の後、エイダから頼まれ、別荘をアンジーとグレアムに提供する。食いしん坊でふっくらとした体つきを気にしている。女性ならではの包容力があり、アンジーも頭が上がらない。ドンキーというロバを飼っている。

マーシア・ベル (マーシアベル)

はみだしっ子たちがサマーキャンプで出会った少女。自閉症のような病態を示し、腕をのばし、何かを指差すなポーズで指を回すこと以外は、ほぼ何もできない。また、触れられる事を極端に嫌い、大声を出して拒絶する。彼女のことが気にかかったサーニンは何かと彼女の世話を焼くのだが、心が通うかと思われた時、サーニンが近づくことを厭った彼女の保護者の牧師が、彼女を連れ去り、施設へ預けてしまう。

ジャック・クレーマー

口ひげを蓄えた男性。妻はパメラ・クレーマー。はみだしっ子たちを養子に迎え入れたため、養父となる。外科医として病院に勤めている。雪の日、行き場をなくしたはみだしっ子たちが行き倒れそうになっているところを助けたが、入院中に逃げ出され、以降、4人の行方を追っていた。その後、グレアムの伯父を通じて、4人をまとめて養子にしたいと申し出る。 理性的ではあるが、理不尽な物言いには手が出る方で、一言多いアンジーが良く被害にあっている。4人を理解し、お互いに受け入れたいと考えているが、それぞれに複雑な事情を抱えた子供達であることを理解しているため、無理強いはしない。諸事情で一族とは絶縁状態。

パメラ・クレーマー (パメラクレーマー)

ジャック・クレーマーの妻。はみだしっ子たちを養子に迎え入れたため、養母となる。ロナルド・グレンマイヤーの離婚した元妻、レティシアの友人で、彼女を通じてロナルドやジャックと知り合い、結婚する。心優しい女性で、はみだしっ子達を理解し、受け入れて良き母になりたいと考えている。 ジャックのことを心から愛しており、ジャックをこき下ろすアンジーを叱ることもある。

ロナルド・グレンマイヤー

ジャック・クレーマーの友人で同じ病院に勤める医師。離婚した元妻レティシアを通じて知り合い、パメラ・クレーマーとも仲が良い。元同級生(飛び級したため、2歳年下)。はみだしっ子がクレーマー家に来た時からオブザーバーとして立ち会っており、以降、付き合いが深くなる。特にアンジーとは気の置けない友人のような関係で、自室に泊まらせることも。 からかうような物言いをし、ジャックをいらだたせる事がある。離婚をしており、現在は一人暮らし。元妻との間に娘がいる。ジャックとロナルドの若かりし頃を描いたスピンアウト作品『ロング アゴー』では主役を務める。

リッチー

ガキ大将だったが、マックスの友人から奪い取った犬をマックスに取り返されたことでプライドを傷つけられ、以降、何かとマックスに嫌がらせをするようになる。マックスの友人を脅し、孤立させたことではあきたらず、マックスを痛めつけようと画策するが、助けに入ったグレアムを刺してしまい、裁判となる。

フランクファーター

リッチーの弁護士。眼鏡をかけた男性。話術が非常に巧みで、被告人に有利な情報を引き出し、陪審員の感情を上手くコントロールする事ができる。有罪が間違いないと思われていたリッチーの評価を覆しかけた。

フェル・ブラウン

ギィ・サリバンの義妹。22歳の女性。学生。ショークロスの父が経営する薬局にアルバイトをしているさい、ギィ・サリバンが行っていた薬のすり替えを知らず知らずに手助けしてしまう。冬山での事件をグレアムから聞かされ、あなたの望む通りにすると選択を迫られる。グレアムとの会話後、ショークロスと婚約する。

イベント・出来事

雪山での事件

『はみだしっ子』で発生した事件。雪山に遊びに行ったはみだしっ子たち。観光バスに乗った彼らは、指名手配中の銀行強盗犯のバスジャックに巻き込まれてしまう。バスは通常のルートを外れ移動していたが、折からの吹雪で前方が見えなかったこと、犯人を気をとられた運転手が前方不注意だったことから崖に落ち、遭難。遭難した人々はその場に残り救助を待つ者と下山を選択する者の2つのグループに別れるが、このとき、その場に残った者の間で発生した事件を呼ぶ。 はみだしっ子たちは救助を待つグループに残り、事件の当事者となった。下山したグループは雪崩に巻き込まれて全員死亡。その場に残ったグループは生き残るが、救助を呼ぶためグループを離れたサーニン、発生した事件を隠蔽するために動いたアンジー、ベースキャンプとした場所に残り救助されたマックスとグレアムはそれぞれバラバラに保護されることになる。

書誌情報

はみだしっ子 全6巻 白泉社〈白泉社文庫〉 完結

第1巻 JUN MIHARA COLLECTION OF WORKS

(1996年3月発行、 978-4592882114)

第2巻

(1996年3月発行、 978-4592882121)

第3巻

(1996年3月発行、 978-4592882138)

第4巻

(1996年6月発行、 978-4592882145)

第5巻

(1996年6月発行、 978-4592882152)

第6巻

(1996年6月発行、 978-4592882169)

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