あらすじ
第1巻
鈴木理奈は、普段は友達の前でも恋愛事に興味がないそぶりを見せているが、未経験だからこそ、実際は誰かを好きになる事に人一倍あこがれを抱いていた。そんなある日、理奈の住むマンションのとなりに学校で一番モテる男子・匠響が引っ越して来た。響は自分のストーカーを撃退するために理奈に恋人のふりをしてほしいと依頼し、理奈は半ば強制的に彼女役にさせられたうえに、ファーストキスを奪われてしまう。この事件がきっかけとなり、理奈は学校のイケメングループとして有名な響、虎島雄次郎、千都瑠叶の三人と言葉を交わすようになる。そして理奈は、響のアルバイト先のレストランの経営者・杉原と出会い、優しい人柄に惹かれて初めての恋に落ちる。理奈は自分なりに杉原に対してアプローチをするものの、これまで恋愛経験がいっさいなかった事でうまくいかない。そこで理奈は恋を成就させるため、響に手を貸してほしいと協力を依頼する。
第2巻
杉原への恋心を自覚した鈴木理奈は、匠響の協力のもと、初めてのデートをする事になった。まずは見た目を変えるべきだと指摘された理奈は、響からヘアスタイルやファッション、メイクの指南を受ける。響のおかげで以前より垢抜けた理奈は、杉原とのデートに臨むが、途中で杉原の元彼女・博美と会ってしまう。その際に杉原が見せた表情から、まだ博美に未練があると悟った理奈は告白できずに、そのまま初めての恋は失恋に終わる。内心落ち込んでいるものの、表面上は明るく振る舞う理奈に対し、響は虎島雄次郎、千都瑠叶、久美、リンゴを交えた六人で遊園地に遊びに行こうと提案。理奈は自分の事を気にかけてくれる響に感謝し、一日を楽しく過ごす。遊園地では理奈と響がペアを組んで行動する場面が多く、瑠叶から、響がこんなに女性に優しくしているのを初めて見たと聞いた事から、理奈は次第に響を意識し始める。一方の響も、恋愛対象として見ていなかった理奈の事を、次第にかわいいと感じるようになっていく。
第3巻
鈴木理奈の自宅付近に出没した変質者の事件や、学校で行われた球技大会を通して、理奈と匠響の距離は急速に縮まっていく。理奈はモテる響と交際したら面倒くさそうだと理解しつつも、やはり響から目が離せない。また、響も虎島雄次郎、千都瑠叶から理奈の事が好きなのではと問われて否定するものの、確実に理奈を意識し始めていた。そんな中、響の前に元彼女・七星あいりが現われる。あいりは父親と険悪な雰囲気になり、一人暮らしの響の自宅マンションを頼って家出をして来たのだ。理奈は響とあいりの関係にやきもきするが、彼女でもない自分が口を出せないと何も言えずに見守る事にする。モヤモヤとした気持ちを抱えた理奈は、自分を心配してくれた瑠叶にだけ本当は響が好きな事、あいりに嫉妬している事を正直に打ち明ける。それを聞いた瑠叶は理奈の背中を押し、理奈は自分の正直な気持ちを響に伝える事にした。しかし、理奈が告白をしようと響を呼び出したところ、同じタイミングであいりの父親が倒れたと響の携帯電話に連絡が入る。
第4巻
鈴木理奈は告白をしようと決意し、匠響を呼び出した。しかし響は、同時に連絡が来た七星あいりからの呼び出しを優先して、理奈はショックを受ける。響はまだあいりが好きなのだろうと悟った理奈は、失恋の痛みから響に対して冷たい態度を取ってしまう。そんな理奈の姿を見た千都瑠叶は理奈に対し、クリスマスデートをしないかと誘う。そしてクリスマス当日、理奈は瑠叶と楽しいひと時を過ごす。一方、響は七星あいりから復縁してほしいと迫られるが、今はあいりよりも理奈が好きな事を自覚する。響はこのまま瑠叶に理奈を取られたくないと焦り、事前に瑠叶から聞いていたデートスポットへと向かう。
登場人物・キャラクター
鈴木 理奈 (すずき りな)
少女漫画家の理奈の母と二人暮らしの、クールな雰囲気を漂わせた女子高校生。しっかりした性格ながら、何事にも今一つのめり込めない。特に恋愛事に興味が持てず、理奈の母親の仕事にも否定的。しかし、実際は未経験だからこそ、誰かを好きになる事に人一倍あこがれている節もある。自宅マンションのとなりの部屋に引っ越して来た匠響のストーカー撃退のために、一時的に響の恋人のふりをし、その縁で顔見知りになる。 最初は響の事を自分とは違う世界に住む関係のない人間だと拒絶していたものの、響の人格を知るうちに心を許すようになっていく。一時は杉原に片思いをしていたが失恋し、見守り励ましてくれた響にいつしか恋心を抱くようになった。
匠 響 (たくみ ひびき)
鈴木理奈と同じ学校に通う男子高校生。容姿は非常に優れており、虎島雄次郎、千都瑠叶と共に学校のイケメングループの一員として有名な存在で、その中でも一番の人気を誇る。そのため、学校内外にかかわらず見知らぬ女子からの過激なストーカー行為に悩み、何度も転居を余儀なくされている。今回もストーカー被害に悩み、理奈が住むマンションのとなりの部屋に引っ越して来た。 ストーカーを遠ざけるために理奈に恋人のふりをしてほしいと頼み、その縁で会話をするようになった。適当且ついい加減な性格で、これまでちやほやされて育って来たため女性を軽んじているところがある。しかし、一度決めたら最後までやり抜く強い信念と、困っている人は放っておけない正義感を持つ。 一時は両親の転勤が決まって転校しなくてはいけなくなったものの、友達や当時交際していた七星あいりと離れたくない思いから、生活費をすべてまかなう事を条件に一人暮らしをスタートさせた。そのため、理奈らが通う高校は本来はアルバイト禁止だが、杉原が経営するレストランでこっそり働いている。
千都 瑠叶 (せんと るか)
鈴木理奈らと同じ学校に通う男子高校生。匠響、虎島雄次郎と共に学校のイケメングループの一員として有名な存在。まるで女性のような美しい容姿をしており、みんなからは「美人」と評されている。当然、女性から恋心を抱かれる機会が多いものの、女性との交際は面倒くさいと感じ、告白はすべて断っている。普段は表情に乏しく、口数も少ない。 三人で過ごしている時も一人で読書をするなどマイペースに過ごしている。三人の中では一番の常識人。理奈と響が惹かれ合っている事にいち早く気づき、さり気なく二人に助言をするなど陰ながら応援している。ただし、千都瑠叶自身も少なからず理奈を異性として意識しているが、自分とではなく響との恋が成就する事を願っている。
虎島 雄次郎 (とらじま ゆうじろう)
鈴木理奈らと同じ学校に通う男子高校生。優れた容姿を持ち、匠響、千都瑠叶と共に学校のイケメングループの一員として有名な存在。近寄りがたい雰囲気の響や瑠叶とは異なり、フレンドリーで親しみやすいが、一部からは軟派な性格だと評されている。とにかくおもしろい事が大好きで、何か事件が起こると首を突っ込まずにはいられない。 基本的にウソのつけない正直者だが、ややデリカシーに欠け、後先を考えずに発言してしまう癖がある。
杉原 (すぎはら)
匠響がアルバイトをする飲食店を経営している男性。明るく優しい性格の持ち主で、鈴木理奈も出会ってすぐに好感を抱いた。俳優の竹ノ内豊を意識して髭を生やしており、女性客からは不評ではあるものの、本人はまったく気にしていない。しっかり者のようでやや抜けているところがあり、響からも度々それを指摘されている。理奈から恋心を抱かれていたが、恋愛対象としては意識しておらず、惚れられていた事にも気づいていなかった。 しばらく恋人はいないが、多忙のために別れてしまったかつての恋人・博美が忘れられずにいる。理奈とのデート中に博美と再会し、それがきっかけで復縁してからはすぐにいっしょに住み始めるなど、順調に交際を進めている。
久美 (くみ)
鈴木理奈と同じクラスに所属する女子高生で、リンゴを交えた三人組で行動している。学校では黒髪にメガネといった一見まじめそうな容姿をしているものの、恋愛事には人一倍関心が強い。匠響、虎島雄次郎、千都瑠叶の三人組にあこがれていたため、理奈を通じて知り合いになれた事を喜んでいる。普段はあまり表には出さないが、オタク気質を持つ。
リンゴ
鈴木理奈と同じクラスに所属する女子高生で、久美を交えた三人組で行動している。小柄でかわいらしい容姿をしており、いわゆる守ってあげたいタイプ。やや恋愛体質で、かっこいい男子が大好き。匠響、虎島雄次郎、千都瑠叶の三人組にあこがれていたため、理奈を通じて知り合いになれた事を喜んでいる。他校に彼氏がいる。
七星 あいり (ななせ あいり)
匠響、虎島雄次郎、千都瑠叶と同じ中学校に通っていた少女で、現在は別の高校に通っている。はかなげな雰囲気の美少女で、決して目立つ存在ではないものの、中学時代は「天使」と呼ばれ学年問わず多くのファンがいた。中学校時代から響と交際していたが、別に好きな人ができた事から、響が鈴木理奈となかよくなる前には別れている。 その後は好きな人と交際するようになったが、響の事が忘れられずに破局した。ちなみに、響が転勤となった両親について行かずに一人暮らしをしているのは、当時交際中だった七星あいりと離れたくなかった事も一因である。父親と険悪な雰囲気になった事をきっかけに、一人暮らしの響を訪ねてしばらく寝泊りしていた。
博美 (ひろみ)
杉原の元彼女。清楚で素朴な雰囲気の女性で、飲食店を経営しているために多忙でなかなか二人の時間が確保できない杉原とすれ違いが生じ、お互いに未練を残したまま別れてしまった。杉原が鈴木理奈とデートをしている時に偶然再会し、それをきっかけに再び連絡を取るようになり復縁した。杉原と復縁してからはすぐにいっしょに住み始めるなど、順調に交際を進めている。 植物園に勤務している。
理奈の母 (りなのはは)
鈴木理奈の実母。シングルマザーだが、売れっ子の少女漫画家。やや抜けているところがあり、しっかり者の理奈に頼っている部分が多い。仕事ばかりしているようで、理奈が杉原に恋をした時にはすぐに見抜いて見守るなど、しっかりと観察している。匠響との交際には大賛成の立場をとっており、いつか響の姿を自身の作品に登場させたいと狙っている。