概要・あらすじ
19世紀末のパリの社交界。ミシェルは、ドイツから来た美しい未亡人・ファデットに恋をする。ミシェルの姉・セザンヌは、年の離れた弟を溺愛し、自分の人生を捧げていた。そんなセザンヌに、社交界きっての遊び人・マルスランが求愛する。やがてミシェルの前に、ファデットの亡くなった夫・マックスが現れる。
言い争いの末、セザンヌが大切にしていたバラの花びんは割れてしまい、ミシェルはショックで倒れる。しかし、マックスだと思った人物は、実は彼の息子・ポルトの仮装で、横恋慕していた義母のファデットをおいかけてきたとわかる。もつれにもつれた状況だが、全員が一同に会した時、事態は思わぬ方向に転がり始め、一気に収束していく。
登場人物・キャラクター
ミシェル・ルナン (みしぇるるなん)
パリの社交界の住人。美しい青年で、女性から人気があるが、奥手。未亡人・ファデットに会って恋をするが、どうしていいかわからない。10歳上の姉・セザンヌを母親代わりにして育ち、溺愛されてきたからか、純粋で傷つきやすく、思慮に欠け、思い込みが強い。
マルスラン
ミシェルの年上の友人。遊び人として有名だが、実は堅実で飾り気のないセザンヌをひそかに愛していて、求婚する。ミシェルの恋を焚きつけ、応援していたが、失恋のショックで泣きついてきたミシェルを慰めているうちに、勢いで一夜をともにしてしまう。
ファデット
まだ20歳前なのに夫に先立たれ、ベルリンからパリにやってきた、若くて美しい未亡人。人生を楽しみたいのに、未亡人のため世間の目がそれを許さず、大きな不満を抱えている。もともとは笑い上戸で明るい性格。ミシェルに一目ぼれをされ、求愛される。
セザンヌ・ルナン (せざんぬるなん)
ミシェルの姉。10歳の時に母をなくし、生まれたばかりの弟・ミシェルを母親代わりになって育てた。たくましい体型に加え、地味な顔立ちと堅実な性格の女性で、自分と正反対の華奢で美しい弟を溺愛している。恋も結婚も放棄して生きてきたが、マルスランに求婚されて戸惑う。
マックス・メイヤーベン (まっくすめいやーべん)
ファデットの死んだ夫。59歳で日射病でなくなった。40歳年下のファデットは3人目の妻。前妻との間に、ファデットよりも年上の子供が2人いる。
ポルト・メイヤーベン (ぽるとめいやーべん)
マックスの息子。自分よりも5歳若い義母であるファデットが好きで、パリまで追いかける。ファデットに近づくミシェルを追い払おうと、マックスの変装をして脅す。骨董品収集が趣味の放蕩息子。
ベラ夫人 (べらふじん)
ファデットの遠い親戚。社交界の中心的存在。