概要・あらすじ
登場人物・キャラクター
ヒットラー伯父さん (ひっとらーおじさん)
実在したナチスの総統・アドルフ・ヒットラーにそっくりな風貌の中年男性。小池家の下宿人になり、二階の四畳半で暮らす。ヒットラーブームに乗ってテレビや映画の宣伝に出演したと称し、周囲の人々に多額の現金をばらまく。弁が立ち一見友好的だが、実は周囲の人々を見下しており、日記にその心情を赤裸々に綴っていた。 興奮しやすく思い込みの激しい気質で、協調性に欠けた人物。普段はナチスの軍服で過ごし、夜の八時に大音量でワーグナーの楽曲を聴き、肉を拒み、家主の小池から勧められた酒を「毒水」と罵るなど、本物のヒットラーをカリカチュアしたかのように振る舞う。黒シャツ隊を設立して少年たちを感化、自らを総統と呼ばせるなど、勢力拡大に余念がない。
小池 (こいけ)
中年男性。会社では課長止まり、一戸建てのマイホームを持ち、毎晩の晩酌のみを楽しみとする。作品発表当時の1969年における平均的なサラリーマンである。会社内での出世競争からは脱落しており、息子のミチオにそれを指摘されて激怒する度量の狭い人物。ミチオを変貌させたヒットラー伯父さんに抗議するが丸め込まれてしまう。 ギャンブルの誘惑にもあらがえないなど、意志も弱い。
小池 ミチオ (こいけ みちお)
小池の息子で、たれ目に眼鏡を掛けた温和そうな少年。しかし、ヒットラー伯父さんの作った黒シャツ隊最初の隊員になってからは目つきも態度も豹変して活発かつ攻撃的な性格となり、ヒットラー伯父さんを総統と呼んで崇拝するように。総統の誕生日には祝賀会の運営委員を任されるなど、黒シャツ隊では重用されている。 続編『ひっとらぁ伯父サンの情熱的な日々』では、他の子供に先駆けてシュプレヒコールを行い、ヒットラー伯父さんに抗議しようとする父親・小池をやり込めるなど、その崇拝はゆるぎもしない。
集団・組織
黒シャツ隊 (くろしゃつたい)
『ひっとらぁ伯父サン』に登場する組織。ヒットラー伯父さんが、下宿先である小池家の息子・ミチオをはじめとする近所の子供たちを集めて作った。規律正しい行動で保護者からの支持を得るも、ヒットラー伯父さんを総統と呼ばせるなど、実態は個人崇拝の組織。黒いシャツにネクタイ、軍帽にブーツという制服は、実在のアドルフ・ヒットラーが作った青少年組織・ヒトラーユーゲントにそっくり。 ナチスのハーケンクロイツ旗を掲げて町内を練り歩き、総統の誕生日には「総統誕生日祝賀会」と称するパレードを開催した。沿道に多くの人々を集めるなど、町内における影響力は大きい。