概要・あらすじ
新興住宅地「敷六ニュータウン」で両親と暮らす律子は極度の潔癖症だったが、愛犬を散歩させていた時に初めて父親以外の男性、小田部と言葉を交わし、散歩を共にするようになった。その後、父親が事件に関わり、無実だったにも関わらず会社から自宅待機にされたことから、律子は証拠の防犯カメラの映像を会社に突きつけようとニュータウンの管理人の元を訪れる。
そしてそこで、管理人の秘密を知ることになるのだった。
登場人物・キャラクター
律子 (りつこ)
不潔を極度に恐れ、自分の体に触れるもの、他人が触ったものなどすべてを不潔に感じてしまう潔癖症の娘。そのため電車やバス、タクシーにも乗れず、デパートなどに外出も出来なくなった。8年前にオープンした新興住宅地敷六ニュータウンに、両親と共に越してきて暮らしている。愛犬ロクサーヌを連れて初めて公園の散歩に出た時、同じく散歩中の小田部の愛犬100万円がロクサーヌと交尾を始めてしまい、そのことがきっかけで父親以外の男性の小田部と初めて話をし、親しくなった。 その後、父親が当事者とされた事件で、無実が証明されたにも関わらず父親を自宅待機にした会社に抗議すべく、証拠となる防犯カメラのテープを借りにニュータウンの管理人の元を訪問。 その際管理人が、ニュータウン全域の監視映像を撮り続けていることを知ってしまう。だが管理人から頼まれてその秘密を漏らすことをやめ、みずからアルバイトとして、管理人の仲間に加わった。
小田部 (こたべ)
「大穴企画」(だいあなきかく)のスカトロ専門、裏アダルトビデオの男優で、「ウンコ食べたら日本一」と言われるメガネの青年。スカトロ趣味ではなく、ギャラが高いためその仕事をしている。二年前に電車で寝過ごして終点の駅まで行ってしまい、その駅のある敷六ニュータウンが気に入って引っ越し、住人となった。 愛犬の100万円とニュータウンの公園を散歩中、同じく愛犬連れて散歩していた律子と知り合い、ひと目惚れしてしまう。その後、律子の母親から娘が極度の潔癖症であることを教えられ、治す協力をしてほしいと頼まれるが、職業柄断るしかなかった。だが以後も律子と公園の散歩を共にしてロクサーヌの糞の始末を続け、彼女からニュータウン管理人の秘密を伝えられる。
女王様
「大穴企画」(だいあなきかく)のスカトロ専門、裏アダルトビデオで、女王様を演じている女優。相手役の小田部と肉体関係を持ち、彼が住む敷六ニュータウンが気に入って近所に引っ越す。
律子の父 (りつこのちち)
40年前の小学生のころまで住んでいた山が開発されて新興住宅地敷六ニュータウンになった後、そこに戻って家族と暮らしている初老のサラリーマン。小学生の時にクラスメートの少女が飼い犬を探してその山に迷い込み、森で行方不明になっていたが、そっくりの少女を今のニュータウンで見つけて思わず近づき、痴漢と間違われて逮捕されてしまう。 しかし接触していないことがわかって釈放されたものの、会社から自宅待機を言い渡されてしまった。一人娘の律子が世間体を気にしたその処置を撤回させようと、会社に証拠を突きつけようとする。
管理人 (かんりにん)
新興住宅地敷六ニュータウン管理棟の一番上の階に住んで「管理人」と呼ばれている、見た目30歳前後の男性。ニュータウンを設計した父親は、オープンと同時に他界してしまった。覗きが密かな趣味で、ニュータウンの7割を8台のビデオカメラを通して、残り3割の死角も48台の隠し暗視カメラを通して、モニターとデッキだらけの管理人室から常時監視・録画している。 その中の不審な映像を集めた二時間テープだけでも、オープンからの8年間で3000本も撮り貯めていた。訪れてきた律子から父親の無実の証拠となる防犯カメラ映像の提供を求められた際、彼女に撮り貯めたテープを見られてしまい、覗きを打ち明けることになる。 だが律子の動機が父親のためでなく、父親が失職したら外に働きに出なければならなくなる自身のためと見抜いたうえで、心臓病のため人工心臓を埋め込んである自分の胸を彼女に触らせ、監視のことを口外しないよう頼んでそのまま帰した。
湯川
家族で敷六ニュータウンに住んでいたが両親が心中したため、管理人の養子となってその世話をしている学生服姿で丸刈りの少年。人間嫌いで糖尿病の管理人の助手も務め、24時間交代で管理人室からニュータウンを監視している。大学検定を受ける予定だと律子に語った。