黒ベエ

黒ベエ

影をあやつる能力を持つ不思議な男性の黒ベエと、その相棒であるハゲベエが、さまざまな場所で巻き起こる事件にかかわっていく。事件を通して人の持つ心の闇を生々しく描くブラックコメディ。いじめや家庭問題といった現代社会の暗部に鋭く切り込んでいるほか、後味の悪さとカタルシスの両方を感じさせるような結末を迎えることが多いことが特徴。「少年キング」1969年28号から1970年16号にかけて連載された作品。

正式名称
黒ベエ
ふりがな
くろべえ
作者
ジャンル
ブラックコメディ
関連商品
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あらすじ

第一巻

柿田アゲル(カキアゲ)は、友人たちが立派なペットを飼っていることに強いコンプレックスを抱いていた。中でも、狂暴なブルドッグのブラッシーを飼いならす五利五郎からは幾度も自慢されており、実家が料理屋という理由で動物を飼えない現状に鬱屈していく。そんな中、事の一部始終を見ていた黒ベエが現れ、ハゲベエを披露して動物の魅力を伝えたうえで、料理屋でも飼えるペットを見つけてみてはどうだろうかと提案する。そして、料理屋でも飼育できそうなワニのテツゴローを不思議な力で手なずけて、カキアゲへと譲渡する。テツゴローを入手したカキアゲは、一転して友人たちから注目を集められるようになるが、それを面白く思わない五利はテツゴローにブラッシーをけしかける。ハゲベエが介入し、ブラッシーを連れ去ったことで事なきを得るが、五利はブラッシーが危険な目に遭わされたと五利の父に言いつけ、親子でそろってカキアゲの家に押し入り、テツゴローを連れ去ってしまう。五利と五利の父はテツゴローを地下室に閉じ込め、さらに、海外旅行に行っていたヒヒオが現れ、テツゴローを料理して食べてしまおうと提案する。これをひそかに見ていた黒ベエは彼らを返り討ちにするための策を練ってテツゴローの窮地を救い、逆に五利家の人間たちを散々な目に遭わせるのだった。(エピソード「ワニ料理」。ほか、2エピソード収録)

第二巻

黒ベエハゲベエは、遊びにやって来た動物園の中で、ハゲベエと同種のコンドルであるハゲタカを発見する。ガサツなハゲベエとは対照的に礼儀正しいハゲタカの様子を見ていた黒ベエは、ハゲベエもハゲタカのように礼儀正しくするべきではないかとからかう。ハゲベエはこの指摘に気を悪くして、ついに二人はケンカに発展する。そこで黒ベエは、動物を手なずける術を使ってハゲタカをペットとして従わせ、さらにハゲベエの頭を冷やさせるためにハゲタカのいた檻の中に入れて、ハゲタカと共に動物園を去ってしまう。黒ベエはハゲタカとのんびり過ごそうと考えるが、動物園の中で何不自由なくしていたハゲタカは自分の力で飛ぼうとすらせず、ハゲベエとは別の意味で手がかかることを実感する。うんざりした黒ベエは動物園にハゲタカを返そうとするが、そんな中、鳥マニアの御曹司である鳥餅トリオが、ハゲタカを高値で売るように申し出てくる。黒ベエは、自分を同行させるという条件を付けてハゲタカをトリオに売り渡し、共に鳥餅家へと向かう。トリオはその道中で、ハゲタカを購入した真意を語り出す。現在鳥餅家では、老い先短いとされる当主の鳥餅タカエモンの遺産相続の話が持ち上がっており、トリオは自らに多額の遺産が分けられるように企んでいた。そして、死を予知するというハゲタカの力を借りてタカエモンの死期を予測し、それを基にうまく立ち回ろうと考えていたのである。トリオをはじめ、欲の深い鳥餅家の人間たちに嫌悪感を抱いた黒ベエは、タカエモンと面会し、ひそかにタカエモンとハゲタカの体を入れ替えようと提案する。(エピソード「ハゲベエと黒ベエの場合は」。ほか、2エピソード収録)

第三巻

黒ベエハゲベエは、影の術を使って奪い取ったニワトリの卵を食べていた。そんな中、黒ベエは妙な色をした卵を発見し、これを食べようと殻を割ろうとする。しかし殻が硬くて一向に割れず、焦れた黒ベエは卵に対して暴言を吐いてしまう。すると、卵が急な発熱を行い、黒ベエにやけどを負わせる。さらに、ハゲベエの口の中に入ると彼を内部からあやつり、黒ベエに襲い掛かってくる。ハゲベエから卵を吐き出させた黒ベエは、それが悪意に反応して他者を襲う念力タマゴであることをつき止め、逆に懲らしめようと思い立つ。さらなる暴言を聞かされた念力タマゴは、電柱を折って黒ベエにぶつけようとしたり、銃器を持った人間の体内に侵入して黒ベエを銃撃しようとしたりするなど、やりたい放題の限りを尽くす。黒ベエもまた、念力を使ってやり返そうとするが、これに対して念力タマゴもさらなる破壊活動を行い、それを黒ベエの仕業に仕立て上げて人々の注目を集めさせるなどの狡猾な手段で対抗する。度重なる攻撃を受けることで精神を疲弊させた黒ベエはついに、丸いものがなんでも卵に見えるようになり、無性に攻撃を仕掛ける「卵ノイローゼ」にかかってしまう。(エピソード「おこる卵」。ほか、4エピソード収録)

登場人物・キャラクター

黒ベエ (くろべえ)

「なぞの影男」の異名を持つ男性。その呼び名のとおり、生い立ちから特殊な能力を持つ背景までのすべてが謎に包まれている。燕尾服とシルクハットを身にまとい、つねに黒いステッキを持ち歩いている。小柄ながら子供とも大人ともつかない奇妙な容貌が特徴で、実際に大人に見られることも、子供として扱われることもある。不思議な力を持ち、催眠術で動物を自在に手なずけたり、影を利用した影うつしなどの魔術を使いこなす。人や動物などの持つ心の闇に興味を抱きやすい傾向にあり、事件のにおいを嗅ぎつけては、進んで介入しようとすることが多い。柿田アゲルや吉村、細井などの、ひどい目に遭っている人を見つけた際に、自分なりの方法で助けようと試みる情の深さを見せることもあれば、足を踏んだ梶一郎に陰湿な復讐を企んで実行したり、石を適当に投げて、それに当たった池上ピー太に手ひどいイタズラをすることもあるなど、善とも悪とも言い切れない複雑な内面を持つ。

ハゲベエ

黒ベエが従えているコンドル。狡猾で搦(から)め手を好む黒ベエとは対照的に、獰猛(どうもう)かつ直情的な性格で、気に入らないことがあると容赦なく暴れ回る。飼い主である黒ベエに対しても、不満があればしばしば牙を剥くが、お互い癖の強い性格ということもあり、基本的には仲がいい。黒ベエがおなかをすかせた際には、肉や魚などを自分で獲って渡したりと、主人思いな面も多く見受けられる。また、黒ベエの魔術によって動物園で過ごすことになった際は、特に苦労もせず三食付きの生活を送っていたが、体がなまるという理由で抜け出して黒ベエのもとに戻ったりと、勤勉なところもある。

柿田 アゲル (かきた あげる)

立派なペットを飼えないことにコンプレックスを抱いている少年。「カキアゲ」のあだ名で呼ばれており、実家は食堂を営んでいる。五利五郎から飼い犬のブラッシーを自慢され、挙句の果てにブラッシーにいじめられたことで落ち込んでいたところで、事の一部始終を見ていた黒ベエと出会う。そしてその際に、いじめられていたことを同情され、見返すために料理屋でも問題のない動物を飼うように提案され、彼の魔術によって手なずけられたテツゴローをペットとして飼育することになる。それからは、友人たちを羨ましがっていた立場から一転して一目置かれるようになるが、これを快く思わない五利によって因縁を付けられ、テツゴローを奪われてしまう。

テツゴロー

ペットショップで売られていたカイマンワニ。子供ながら非常に狂暴な性格で、ペットショップの店主も手を焼いている。しかし、柿田アゲル(カキアゲ)が立派なペットを欲しがっていることを知った黒ベエの魔術によって手なずけられ、彼と共にペットショップから脱走。カキアゲの家に連れていかれ、そのままペットとして居つくことになった。テツゴローをペットにしたことで、カキアゲは友人たちから羨ましがられるようになるが、それを妬んだ五利五郎によってブラッシーをけしかけられ、反射的に嚙みつく。これに対して五利が、五利の父と共に因縁をつけたことで、無理やり五利の家に連れ去られた。さらに、そこに現れたヒヒオによって、食材として料理するように進言されてしまう。

アゲルの父 (あげるのちち)

柿田アゲル(カキアゲ)の父親で、食堂を経営している。店の衛生のために動物の出入りを禁じており、カキアゲに対しても金魚以外のペットを飼うことを許さなかった。黒ベエの差し金によってカキアゲがテツゴローを拾った際も、当初は狂暴なワニを飼うことなど有り得ないと、強く反対していた。しかし、客として訪れた黒ベエの説得によって、テツゴローを飼うことを認めるに至った。そのあとはカキアゲとテツゴローの動きを遠くからうかがっていたが、テツゴローがブラッシーを襲ったと言いがかりをつけてきた五利の父に屈して、テツゴローを引き渡してしまう。

五利 五郎 (ごり ごろう)

柿田アゲル(カキアゲ)の知り合いの少年。飼い犬のブラッシーを友人たちに自慢し、挙句の果てにはブラッシーをけしかけてカキアゲをいじめるなど、横暴かつ自分勝手な性格をしている。また、カキアゲがテツゴローを飼い始めてほかの友人から人気を得た際には、嫌がらせとしてテツゴローをブラッシーに襲わせる。ブラッシーが返り討ちに遭うと、五利の父に言いつけたうえに二人でカキアゲの家に乗り込み、テツゴローを奪い取ってしまう。さらに、テツゴローを剥製に仕立て上げようともくろむ。

ブラッシー

五利五郎の飼い犬。五利の父がブラッシーを調達するために20万円もの大金をつぎ込んだと主張するほどの高級なブルドッグで、柿田アゲル(カキアゲ)をはじめとした少年少女たちから羨ましがられている。五利の命令を聞いてカキアゲに飛び掛かるなど、彼には忠実に従っている。しかし、テツゴローに対しては恐怖感を抱いており、五利から命令を受けても襲うことを躊躇する。

五利の父 (ごりのちち)

五利五郎の父親で、ヒヒオの兄。金持ちだからという理由で他者を平然と見下そうとするなど、五利に似て横暴な性格をしている。一方で、五利から泣きつかれたことで柿田アゲルの家に乗り込んだり、家の中を我が物顔で居座ろうとするヒヒオを喜んで歓迎するなど、家族には非常に甘い。カキアゲの父親に対し、ブラッシーを傷つけたと因縁をつけてテツゴローを連れ去る。さらに、ヒヒオの提案を受け入れてワニ料理にしたあとで革を剥ぎ、ベルトやカバンを作ろうとしたが、黒ベエの介入によって失敗に終わる。

五利の母 (ごりのはは)

五利五郎の母親で、五利の父の妻。五利とあまりかかわろうとせず、家に居座ろうとしたヒヒオを露骨に煙たがるなど、五利の父とは逆に家族に対する情が非常に薄い。しかし、連れ去られてきたテツゴローの革を利用してハンドバッグを作ろうとするなど、横暴な性格は変わらず、黒ベエから「モーレツな一家だな」と皮肉られるほど。ヒヒオとは仲が悪く、互いに皮肉を言い合うことが多い。

ヒヒオ

五利五郎の叔父で、五利の父の弟。旅行が大好きで世界各国を渡り歩いていたが、久しぶりに日本に戻ってきて、五利の家へと居座った。体つきがたくましいうえに腕力が非常に強く、五利や五利の父に輪を掛けて狂暴かつわがままな性格をしている。一方で五利の父とは仲がよく、家で過ごしたいと申し出た時は快諾され、五利や五利の母から冷めた目で見られる。旅行先でさまざまな料理を楽しんでおり、その経験から家の中にとらわれていたテツゴローを、料理して食べてしまおうと提案する。

スズキ・ミチオ

陰気な性格の少年で、実家は釣り道具屋を営んでいる。表向きの素行は穏やかで、特に暴れることもしないため、ミチオの父からは模範生と思われている。一方でどんくさいところがあり、それが原因でガマグチやモンキーにからかわれたり、トラやドスに襲われたりするなど、度々ひどい目に遭わされている。しかし、実際は恩も恨みも忘れないタイプで、被害を受けるたびに加害者の名前と所業、そして被害を受けた回数を手帳に記載している。そして、被害の回数が十回に達した際に、その相手の全身に墨を掛けて魚拓を取り、最後は「処刑」と称して動物なら実際に抹殺し、人間に対しても手ひどい制裁を加える。のちにトラやドスは実際に「処刑」によって犠牲になり、ガマグチも魚拓を取られた挙句、落とし穴に落とされた。その手口は、人や動物の内面をうまく利用する実に巧妙なもので、その狡猾ながらもあざやかなやり口は、黒ベエから「怪物」と表現されるほど。また、「処刑」のために無関係であったはずの車に乗った二人組を巻き込むなど、目的のためなら手段を選ばない。このように心の闇が深いことから、黒ベエからは好感を持たれており、スズキ・ミチオ自身も一度は黒ベエに助けられたことから恩を抱いていた。しかし、被害を手帳に書きこんでいるところを見られたうえに、他者を「処刑」の毒牙に掛けたところを見られたことで、黒ベエもまた、「処刑」の対象として狙われることとなる。

ガマグチ

スズキ・ミチオと同じ学校に通っている少年。どんくさいミチオを軽く見ており、公衆の面前で馬鹿にしたり、ドスがミチオを襲っている際は助けるどころかあおったり、シル子に対して情けない様子を見せようとするなど、傲慢かつ卑劣な面を見せることが多い。それ故にミチオから恨みを買っており、彼の手帳に被害に遭ったことを書かれ続けていた。そしてついに「処刑」の対象となり、巧妙な手口でおびき出されて魚拓を取られた挙句、落とし穴に落とされた。落とされた際は烈火のごとく怒り狂っていたが、やがて自分の身に危険が及んでいると気づき、そこに黒ベエが訪れた際は見苦しく助けを求めつつミチオへの恨み節を口にするが、黒ベエから助けられることはなかった。

モンキー

スズキ・ミチオと同じ学校に通っている少年。ガマグチの腰ぎんちゃくのような存在で、彼といっしょになってミチオに暴言を吐いたり、ミチオを襲っているドスをあおったりするなど、ガマグチと同様にミチオをバカにすることが多い。そのため、ガマグチと共にミチオから恨みを買っており、彼の手帳に被害に遭ったことを書かれ続けていた。しかしその頻度はガマグチほどではなかったため、「処刑」の対象となるまでには至らなかった。

トラ

スズキ・ミチオたちが暮らす町に住み着いている野良猫。ミチオの顔をひっかいたり、実家の釣り道具屋で売られていた餌を奪った挙句ミチオの手を傷つけたりなど、狂暴な面を見せることが多い。これらの狼藉(ろうぜき)によってミチオからは当然のごとく恨みを買っており、彼の手帳に被害に遭ったことを書かれ続けていた。そしてついに被害回数が十回にまで到達し、初めての「処刑」の対象となってしまう。

シル子 (しるこ)

スズキ・ミチオと同じ学校に通っている少女。心優しい性格で、誰に対しても分け隔てなく接している。そのため、ガマグチからは好意を抱かれており、ミチオに対しても、ドスにいじめられているところを見てもバカにしようとせず、白いバラをプレゼントするなど厚遇する様子を見せており、彼の手帳には、恨みではなく恩を受けたことを記載されている。しかし、ミチオがガマグチを「処刑」の対象に定めた時は、おびき出すためにシル子の存在を利用されてしまう。

ミチオの父 (みちおのちち)

スズキ・ミチオの父親で、釣り道具屋を営んでいる。ミチオのことは、おとなしく手のかからない子であると認識している。そのために甘やかしてはいないものの、特に厳しくもしておらず、放任する姿勢を見せる。一方で、ミチオが手帳に恨み言を記入していたり、「処刑」と称して動物の殺害などの悪事を重ねていたりすることにはまったく気づいていない。

ドス

大型の土佐犬で、井戸野婦人に飼われている。「闘犬」と呼ばれる格闘試合を勝ち抜いて「横綱」の異名を得るなど、腕っぷしが非常に強い。井戸野婦人からは甘やかされて育っており、通りがかったスズキ・ミチオにのしかかったり、彼がシル子にもらったバラを食い散らかすなど、非常にわがままな性格をしている。これらの狼藉(ろうぜき)によってミチオから恨みを買うことになり、手帳に被害を記入され、トラやガマグチに続いて、彼から「処刑」の対象に選定される。

井戸野婦人 (いどのふじん)

スズキ・ミチオの家の近所に住んでいる女性。絵に描いたような成金で、愛犬のドスをかわいがっている。ドスが他人に迷惑をかけても平然としているなど、非常に傲慢な性格をしている。ドスがミチオを襲って下敷きにした時も、止めないだけでなくさらにミチオをあおるような言動を行い、彼に恥をかかせてしまう。このことからミチオの恨みを買い、手帳に被害を記入されたが、それ以降は接点を持たなかったため「処刑」の対象にはならなかった。

車に乗った二人組 (くるまにのったふたりぐみ)

若い二人組の男性で、スズキ・ミチオの住む町で車を乗り回していた。ミチオとは特に面識もなかったが、ドスが「処刑」の対象に選ばれ、ミチオがドスをどうやって始末しようか考えている際に通りがかり、ミチオの甘言に惑わされて利用されることになる。その結果、ドスもろとも事故に巻き込まれ、無関係だったにもかかわらず酷い目に遭ってしまう。

おまわりさん

警察官の男性で、スズキ・ミチオの住む町で交番勤務をしている。フランケンシュタインのような風貌が特徴。黒ベエを「処刑」の対象として選んだミチオが、彼に扮装して悪さを働いたことで、黒ベエを通り魔として狙い、ついには発砲するまでに至る。ただし、黒ベエが機転によって逃れることに成功したため、車に乗った二人組とは異なり、「処刑」に伴う被害に巻き込まれることはなかった。

佐戸 (さこ)

ある会社に勤務している青年。社長の息子で、会社における軍の訓練を模した合同合宿では「憲兵中尉」と呼ばれている。権力を笠に着て威張り散らしており、吉村をはじめとした社員たちに対して理不尽な仕打ちを繰り返している。このような所業から部下からは好まれておらず、合宿の様子を見ていた黒ベエからも、「わかりやすい権力者だ」と皮肉られる。会社の社員、とりわけ合宿の参加者たちからは、社長からは甘やかされていると考えられていたが、実際は虐待に近い教育を受けており、まったく社長に逆らえない状況にあった。合宿での鬼教官ぶりも、部下を従順に仕立て上げるために社長から強制されたもので、現在も父親のことを非常に恐れている。

吉村 (よしむら)

とある会社に新入社員として入社した青年。入社早々、会社における軍の訓練を模した合同合宿への参加を命じられ、合宿では「二等兵」と呼ばれて、暴言や暴力などのひどい扱いを受けていた。その様子を偶然発見し、見かねた黒ベエによって助けられ、彼に恩義を抱くようになる。そのあとも、佐戸の命令を受けた玉口から、殴られた挙句セミのまねをするように要求されたりするなど、事態はまったく改善しなかったが、後日佐戸の父親である社長が視察に来ることを知り、直訴をしようと思い立つ。表向きは優しそうな社長の人柄に心酔してしまうなど人を過剰に信じやすい悪癖があり、黒ベエが社長の本性を告げても、それをまるで信じようとしなかった。

玉口

ある会社で課長を務めている男性。会社における軍の訓練を模した合同合宿では「上等兵」と呼ばれている。佐戸の腰ぎんちゃくのような存在で、彼や玉口自身に反抗的だったり、ノルマを果たせない部下などを容赦なくしごいている。あまりの仕打ちに逃げ出そうとした吉村に対しても、木刀で殴りつけたり、セミのまねをさせたりしており、それらの仕打ちは黒ベエが介入するきっかけの一つとなる。

社長

ある会社で社長を務めている男性。佐戸の父親で、会社における軍の訓練を模した合同合宿では「部隊長」と呼ばれている。つねに穏やかな笑みを湛(たた)えており、吉村が直訴状を提出した際も、出過ぎたまねをしたと難癖をつける佐戸を制して快く受け取るなど、表向きは人格者であるかのように振る舞っている。そのため吉村から理想的な社長だと信じられており、佐戸のような息子がいることを不憫に思われている。ふだんは佐戸を甘やかしているように見せており、社員たちからも佐戸は社長の庇護を受けていると思い込まれているが、実際は佐戸が幼い頃から虐待に近い教育を受けており、現在でもそのトラウマによってまったく逆らえない状態に陥れているなど、実際は自分に従順な人間のみを求める下劣な性格をしている。

細井 (ほそい)

うだつの上がらないサラリーマンの男性。何かと運が悪いためにトラブルに巻き込まれることが多く、このことから黒ベエに興味を持たれる。細井の妻の尻にしかれており、息子の細井秀一からも軽んじられている。秀一が車好きであるため、安月給ながら中古の自動車を入手しようと考えており、黒ベエに助けられたことをきっかけに、購入に踏み切った。その試みは功を奏し、細井の妻や秀一から尊敬されるようになる。しかし、それもわずかなあいだだけで、エンストを起こしたりスピードが出なかったりするなどの理由で細井のみならず車にまで文句を言われるようになり、ついに堪忍袋の緒が切れて、二人を車に乗せなくなった。それからは一人で気ままにドライブを楽しんでいたが、ドライブを続けるにつれて車に愛着を抱くようになる。やがてその愛着が暴走し、車を自分だけの世界と思い込むようになり、家にも帰らず車の中で生活するという日々を送るようになってしまう。

細井 秀一 (ほそい しゅういち)

細井の息子。細井の妻に溺愛されており、わがままではないものの、母親の影響で歯に衣着せない言動が目立つ。大の車好きで、細井が車と接触した際も、ケガがなかったか心配するより先に、相手がどのような車種だったかを気にするほど。細井が車を購入した際は大喜びして見直す様子を見せたが、頻繁にエンストを起こしたり、スピードを出せずに後続車に追い抜かれたりしたことで失望。母親と共に暴言を吐いたことで、激怒した細井によって車から追い出される。ただし、細井が車の中で生活するようになってからは、母親といっしょに心配するそぶりも見せるなど、見下してこそいるものの嫌ってはいない。

細井の妻 (ほそいのつま)

細井の妻。大柄な体型で迫力があり、いつも細井を尻にしいている。細井を見下しており、つねに嫌みを言っている。一方で息子の細井秀一のことは溺愛しており、秀一からも甘えられることが多い。細井が車を買ってきた際には、秀一と共に見直す様子を見せたが、実際に乗せてもらった際には、狭くて入りづらいと文句を言ったり、頻繁にエンストを起こしたり、スピードを出せずに後続車に追い抜かれたことで失望した秀一と共に暴言を吐き、激怒した細井によって車から追い出された。その際も反省する様子は見せなかったが、細井が車に過剰な愛着を抱き、家にも帰ってこなくなると、さすがに心配する様子を見せる。

佐藤 (さとう)

細井秀一の同級生の男性。お金持ちの御曹司だが、それを鼻にかけることがなく、秀一と良好な関係を築いている。メルセデスベンツなどの高級車両を所有しており、秀一が車に興味を持つきっかけをつくった。しかし、佐藤本人は知らなかったものの、細井の車から追い出された細井の妻と秀一に声を掛けてベンツに同乗させたことで、細井と家族の溝を広げる原因を生んでしまう。

ハゲタカ

黒ベエとハゲベエの訪れた動物園で公開されているコンドル。おとなしく利口な性格で、動物園を訪れる客の人気も高い。黒ベエからもその行儀のよさを注目され、比較されて怒ったハゲベエと彼のあいだでケンカになるほど。ほとぼりが冷めるまで同行しようと思い立った黒ベエによって催眠術をかけられ、動物園から連れ出される。温厚な反面、動物園における悠々自適の生活が災いして身体能力が低下しており、自分の力で飛ぶことすらできず、餌の調達すらままならないなど、あまりに手がかかることがのちに判明する。その結果、黒ベエによって動物園に帰されそうになるが、そこに現れた鳥餅トリオから、祖父である鳥餅タカエモンの死期を予言してほしいと言われ、そのためだけに100万円で買い上げられる。トリオによって黒ベエともども家に招かれると、その先で出会ったタカエモンに気に入られ、彼によって「ハゲエモン」と呼ばれるようになる。さらに、遺産相続の話ばかりしていた家族に嫌気が差したタカエモンの希望で、黒ベエの影うつしによって、タカエモンと魂を入れ替えられてしまう。

鳥餅 トリオ (とりもち とりお)

「鳥屋敷」と呼ばれる屋敷に住んでいる少年で、年齢は14歳。鳥餅トリ一と鳥餅トキ子の息子で、モズに似た顔立ちをしている。鳥の飼育を趣味としており、実家には多数の鳥を放し飼いにしている。祖父である鳥餅タカエモンの財産を狙っており、彼の死期を予言するためだけにハゲタカを買い取ろうとしたり、家の中では飼っている鳥を飛べなくするために足の腱を斬ったりするなど、腹黒く悪趣味な性格をしている。ただし、トリ一や森五郎助と異なって奇行に走ることはないため、彼らよりはまともに見られている。

鳥餅 タカエモン (とりもち たかえもん)

「鳥屋敷」と呼ばれる屋敷の主の男性で、年齢は79歳。体が衰えていることを実感しており、それをいいことに遺産を狙う親族たちにうんざりしている。ある日、鳥餅トリオが100万円で買い取ったハゲタカと出会って気に入り、「ハゲエモン」と名づけてかわいがるようになった。しかしそのあとも、宇津良ヒメ子をはじめとした親族たちの醜い遺産相続争いに巻き込まれ、精神を疲弊させていく。挙句の果てに、心を許していたハゲタカに対して、いっそ体を入れ替えたいと願望を口にする。そして、それを聞きつけた黒ベエの影うつしによって、実際に魂をハゲタカに移し替えた。

鳥餅 トリ一 (とりもち とりいち)

「鳥屋敷」と呼ばれる屋敷に住んでいる男性で、年齢は41歳。鳥餅トリオの父親で、ワライカワセミに似た顔立ちをしている。面白いことが大好きで、少しでもおかしいことがあると奇声を発しながら笑い転げるという悪癖を持つ。遺産相続に関してはさほど興味を持っておらず、妻の鳥餅トキ子と妹の宇津良ヒメ子がケンカしている場面を見て笑うなど、むしろ遺産を巡って争い合う親族たちを見て楽しんでいる節がある。滅多にしゃべらず、笑い上戸であることも相まって何を考えているかわからないところがあるが、執事である辺野銀平に対してはふつうに接している。

鳥餅 トキ子 (とりもち ときこ)

「鳥屋敷」と呼ばれる屋敷に住んでいる女性で、年齢は36歳。鳥餅トリオの母親で、ニワトリに似た顔立ちをしている。嫁入りの身でありながら義妹である宇津良ヒメ子に対して、夫の鳥餅トリ一が長男であるために遺産は自分たちのものだと主張し、分けてもらいたければ頭を下げるように要求したりするなど、鳥屋敷の中でも特に身勝手な性格をしている。さらに、トリ一より体格がよく、ケンカも強い。

辺野 銀平 (へんの ぎんぺい)

「鳥屋敷」と呼ばれる屋敷に執事として仕えている男性で、年齢は51歳。ペンギンに似た顔立ちをしている。まじめな性格で礼儀正しく、鳥屋敷に住む誰に対しても肩入れせず、平等に接する。鳥餅トリ一から信頼されており、彼の奇行を目の当たりにしても、ほとんど動じることはない。ただし宇津良ヒメ子に関しては、家に来ると知るや否や慌てて黒ベエにも注意をうながすなど、明らかな厄介者として認識している。

森 五郎助 (もり ごろすけ)

「鳥屋敷」と呼ばれる屋敷に住んでいる男性で、年齢は37歳。フクロウに似た顔立ちをしている。鳥餅トキ子の兄で、鳥餅トリオにとっては叔父にあたる。トキ子とは対照的に粗野な性格だが、庭で黒ベエと出くわした際に力づくで追い払おうとするなど、腕力に物を言わせようとする悪癖は共通している。一方で、影に隠れて脅かされると一目散に逃げ去るなど、臆病な一面も持つ。ネズミを料理することを好んでおり、食用ネズミを飼育する工場を立ち上げるために、鳥餅タカエモンの遺産を狙う。

宇津良 ヒメ子 (うずら ひめこ)

鳥餅タカエモンの娘で、鳥餅トリ一の妹。ウズラに似た顔立ちをしている。他所の家に嫁入りしており、現在は鳥屋敷で暮らしていないが、ほかの親族同様にタカエモンの遺産を狙っているため、わざわざ子供たちを連れて鳥屋敷に押し掛ける。空気が読めず、鳥屋敷の中で子供たちが騒いでも止めようともしない。そのため、辺野銀平からは厄介者扱いされており、黒ベエからも「ウズラの連隊」と揶揄される。また、弱っているという理由ですでに葬式用の花輪を用意しているなど、タカエモンへの情はないに等しい。

梶 一郎 (かじ いちろう)

小林商事に勤めている男性。自分勝手な性格で、電車に乗っていた際に黒ベエの靴を踏んづけた挙句、それを指摘されると逆切れをしてしまい、これに怒った黒ベエから制裁を兼ねたイタズラの対象として狙われる。それからというもの、度重なるいたずら電話の被害に遭ったり、姿を隠して会社に乗り込んできたハゲベエに脅されたり、警察に目をつけられたという噂を流され、小林商事の課長から厳重注意を受けるなど散々な目に遭う。さらにハゲベエの姿がトラウマになり、ハゲタカが怖いという意味合いの言葉を断続的に発しながら逃げ惑っているうちに小林商事の社長と出くわし、彼を侮辱していると誤解され、出世の道も閉ざされてしまう。なお、梶一郎自身は災難の仕掛け人が黒ベエであると気づいておらず、デモ隊に石を投げつけたことが原因だと誤解している。

小林商事の課長 (こばやししょうじのかちょう)

小林商事に勤めている男性。部下に対して、自分のことを父親だと思ってなんでも相談してほしいと言うなど、表向きは人格者で通っている。しかし実際は、黒ベエが梶一郎に対する制裁として警察を装ったイタズラを仕掛けた時に、梶の責任を追及しようとしたり、彼がデモ隊に石を投げた話をすると、自分に責任が及ぶことを恐れるあまり、誰にも接触せず自宅に謹慎することを求めたりするなど、自らの保身を第一に考えている事なかれ主義者。

小林商事の社長 (こばやししょうじのしゃちょう)

小林商事で社長を務めている男性。髪の毛がないことにコンプレックスを抱いている。黒ベエから梶一郎を陥れるための策略として利用されることとなり、ハゲベエを見て恐れおののいた梶から発せられた「ハゲタカ」という言葉を自分に対する侮辱であるとカンちがいして、彼を強く叱責する。その際に、あまりの怒りで血圧が上がって倒れてしまい、医務室に運ばれた。さらに、黒ベエの策にはめられた梶から御霊前の花を送られたことで激昂し、彼の出世の道を閉ざすことを決意する。

機械城の主 (きかいじょうのあるじ)

機械城に住んでいる正体不明の男性で、械一の父親。全身に機械仕掛けの甲冑をまとっており、素顔をうかがい知ることはできない。機械をこよなく愛しており、制作や作動などに日々心血を注いでいる。また、機械には美しい散り際がつきものと考え、機械城にわざわざ自爆スイッチを設置しているなど、独特の美学を持っている。一方で、械一以外の生物に対しては非常に冷淡で痛めつけたり、機械の部品にしたりすることすらいとわない。械一との仲は非常に良好で、表面上はそっけなく接し合いつつも、つねにお互いの心情を理解し合っている。雪山の中で遭難した黒ベエとハゲベエを快く迎えるふりをして、自作のジャンケンマシンに生体コアとして搭載すべく殺害を試みた。しかし、黒ベエの抵抗に遭い、機械城の自爆スイッチを押されてしまう。

械一 (かいいち)

機械城で暮らしている正体不明の少年で、機械城の主の息子。父親と同様に機械を好み、全身に機械仕掛けの甲冑を身につけている。頭脳明晰で、機械城で育った影響もあってさまざまな機械を自在に使いこなすことが可能。また、甲冑をまといながらも素早く動き回ることができるなど、身体能力も極めて高い。一方で、機械音をけたたましく鳴らすことを好んだり、甲高い声で笑う癖を持つなど、不気味な一面も見られる。父親との仲は良好で、彼と同様に機械城に迷い込んできた人間を躊躇なく犠牲にする。黒ベエやハゲベエに対しても同様で、山で遭難した二人を機械で水責めにした挙句、「機械椅子」と呼ばれる檻の中に閉じ込め、ジャンケンマシンの生体コアに据えようとした。さらに、黒ベエが機械城の自爆スイッチを作動させた際も、降伏するフリをして頭に鉄製の輪を取り付け、脱出のための汽車に石炭をくべるように要求するなど、最後まで抵抗し続ける。

女の子 (おんなのこ)

悪さをしていた黒ベエの前に突然現れた、謎の少女。不思議な魅力を持っており、黒ベエに好みのタイプといわしめるほど。また黒ベエの良心を問うたり、イタズラをせずにはいられないことを言い当てたりするなど、すべてを見透かしたような言動が目立つ。さらに、黒ベエがつねにまとっている黒い装束を否定し、白装束に着替えるように要求した。これらの行いから、ハゲベエからは警戒されており、黒ベエが女の子の気を引くために善行を重ねようとした際は、彼女を信用するのは危険だと訴えられる。

古井 (ふるい)

「古井精肉店」を営んでいる男性で、妻と二人で暮らしている。もとは穏やかな性格だったが、念力タマゴに寄生されたことで人間に対する憎しみに支配され、下水に住んでいるネズミの肉を調理してコロッケなどを作り、集団食中毒を引き起こそうと企む。また、念力タマゴの思念の影響で、黒ベエやハゲベエに強い恨みを抱いており、捕えたハゲベエを店の前で逆さづりにする。しかし、それを目撃した黒ベエに店の中へと押し入られる。さらに、口元に掃除機を当てられることで念力タマゴを取り出されて、元の人格へと戻った。

池上 ピー太 (いけがみ ぴーた)

池上の息子。父親とは似ても似つかない顔立ちの少年で、女性たちから「ピータン」のあだ名で呼ばれており、高い人気を集めている。その一方で花を好んだり、取りまきの女性たちに甘えやすいなど、男らしくない点が目立っており、池上からはもう少し男らしくなってほしいと求められている。黒ベエが適当に投げた石が当たったことで、彼の悪だくみの対象にされ、女性にもてなくなるように誘導されてしまう。

池上 (いけがみ)

池上ピー太の父親。厳つい顔立ちで、息子のピー太とは親子とは思えないほど容貌がかけ離れている。ピー太を取りまく女性たちからはよく思われておらず、池上自身もピー太が女性とばかり遊んでいることで、男らしくないことを嘆いている。黒ベエから、ピー太を男らしくするためには女性から引き離せばいいと吹き込まれ、さらに影うつしを使うことで、池上とピー太の顔を入れ替えるように提案される。

タマオ

優れたパチンコの腕を持つ少年。五人兄弟の長男で、父親の代わりにこっそりとパチンコを打ち、稼いだ金で家計を助けている。家族の役に立てていることを誇りに思っており、弟たちにはパチンコをしてほしくないと考えている。ある時、パチンコ屋で黒ベエと出会い、互いにたくさんの玉を獲得したことで意気投合。その際に家の練習機械で毎日パチンコの練習をしていることを打ち明け、黒ベエからも「黄金の指」と称賛を受けた。なお、黒ベエからは魔術を使ったインチキによって勝利していたと打ち明けられるが、信じていない。

場所

機械城 (きかいじょう)

雪山で遭難した黒ベエとハゲベエが発見した城。機械城の主と、その息子である械一が暮らしている。城内は二人の趣味が至る所に反映されており、水責め用の器具や、音楽を奏でるための装置や拘束用の椅子など、さまざまな機械が存在する。さらにスキーや蒸気機関車など、移動用の機械もそろっている。しかし、主のこだわりによって自爆装置まで仕掛けられており、黒ベエが知らずに押したことで、大爆発を起こしてしまう。

その他キーワード

念力タマゴ (ねんりきたまご)

ハゲベエが八百屋から奪い取った卵の中にまぎれていた、奇妙な色の卵。殻が非常に硬く、ハゲベエがくちばしで突いても傷一つ付かない。産んだ卵をすべて人間に持って行かれた雌鶏の怨念が宿っており、人間に対して強い恨みを抱いている。殻を高熱化させたり、念力でものを破壊できるほか、体内に侵入することで人や動物を自在にあやつることも可能。念力を使って黒ベエを驚かせようとするが、逆に黒ベエに挑発されたことで彼に強い敵意を抱く。

影うつし (かげうつし)

黒ベエが使用する能力の一つ。相手の影に隠れることで姿を隠したり、影を媒介にして他人同士の姿を入れ替えることができる。影の中から他者に干渉したり、体の一部分を入れ替えたりすることもできるなど汎用性が高く、最も多用されている。ただし、使用するには並みならぬ集中力が必要になるほか、体力も大幅に消耗するため、黒ベエはできることなら使わずに済ませたいと考えている。

影封じ (かげふうじ)

黒ベエが使用する能力の一つ。自らの影を伸ばして目標を包み込み、その相手の影の中に封印してしまう。封印された相手は抜け出すことができないため、死亡と同然の状態となる。あまりに危険な技であるため、黒ベエは影封じを一度しか使用していない。

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