概要・あらすじ
作者の新井理恵の出身である栃木県宇都宮にある高校が舞台のモデルになっており、高校時代に現存したらしい個性的な人間を秀逸な感性で斬っている。オリジナルキャラクターでは、要領が悪く人一倍繊細な心の持ち主である山本晃司や、どこからどう見てもウサギにしか見えない因幡浩などが登場し、ファンタジックな世界観も見られる。
登場人物・キャラクター
山本 晃司 (やまもと こうじ)
高校生男子。髪を茶色く染め、不良っぽい格好をしているが本当は繊細な心の持ち主。真面目で成績も良く、小動物や小さな子供に優しいのだが、異常なまでに照れ屋であるため素直になれないせいで誤解されることが多い。人に感謝されることすら耐えがたく、誰にも知られないようにこっそり人助けをしている。
因幡 浩 (いなば ひろし)
山本晃司の高校に転入してきた男子高校生。見た目は完全に白ウサギなのだが、本人曰く毛深いだけだという。「なぜ高校に白ウサギが?」という当然すぎる疑問を誰もが抱きながらも、彼に遠慮するあまり口に出せずにいたため、結果的に自然と受け入れられている。照れ屋でおだやかな性格で、人畜無害。
白鳥 瞳 (しらとり ひとみ)
恋人である俊夫に対して、天然でむごい仕打ちをする女子高校生。女性は自分に惚れている男性に対してなら、どこまでも残酷になれるという概念を体現したキャラクター。俊夫が酷い目に遭う姿を見て、くすくす笑うのが趣味。
俊夫 (としお)
白鳥瞳の恋人で、バスケットボール部に所属する男子高校生。瞳のことが大好きで、彼女とラブラブでいたいと願っているのだが、いつも気持ちを踏みにじられ、むごい仕打ちにあう。瞳の気持ちを疑いながらも、信じようとし続ける。
岡本 夢路 (おかもと ゆめじ)
想像の世界に浸ってしまう癖を持つ女子高校生。何気ない場面から、シュールな展開やバイオレンスな展開を想像しては一人でほくそ笑んでいる。「…なーんてね…フフ…」が想像世界から戻ってくる時の合い言葉。
アンデルセン
卓球部に所属する男子高校生。弱々しくすぐに泣いてしまうが、自分を正当化して相手を悪者に仕向けるのがうまい、意外にちゃっかりした性格。本人は虚弱だと言っているが、実際はただ軟弱なだけ。家は金持ちで、「ドドルゲフ」という名の九官鳥を飼っている。
山本 城司 (やまもと じょうじ)
山本晃司の双子の兄。シャイな弟に対して正反対の性格で、天然かつ陽気で他人の迷惑を顧みずに自分のやりたいことを押し通す。感情の起伏が広く浅く明るく軽いのだが、それでいてなにか裏のありそうな一面を持つ、計り知れない人物。
山本 鈴妥 (やまもと りんだ)
山本晃司の妹で、女子中学生。いつも髪の毛を頭の上で二つ分けのお団子にし、動物の耳のような髪形をしている。笑い上戸で陽気な性格。兄である山本城司と性格が似ており、天然すぎる城司に対してツッコミを入れることもあるが、そのツッコミ自体もどこかズレている。
ルイルイ
2等身で手足が短く、アメリカ国旗の服とクリスマスの帽子をかぶり、愛らしい姿をした自称「幸せの使者」。不思議な魔法の杖で願いを叶えてくれるのだが、願いを叶える前よりも酷い結果を生み出してしまう。あくまでも悪気はなく良いことをしているつもりであり、本人としては結果にも満足しているところがシュールで恐ろしい。
英理子 (えりこ)
文太と付き合っている女子高校生。文太と同じ高校に通っているが、国立系クラスに所属しており、文太の所属する文系クラスとはクラスメイト同士が犬猿の仲。成績は良いが外見は地味なタイプで、ちょっぴりアニメオタク。
文太 (ぶんた)
英理子と付き合っている男子高校生。英理子の立場を慮って、付き合っていることは内緒にしている。お互いのクラスメイトと一緒にいる時は悪口を言い合ってしまうが、英理子と同じ大学に入学しようと目標を立てて頑張っている。
保健の先生 (ほけんのせんせい)
山本晃司が通っている高校の保健室の先生で、若い男性。保健室を私物化し、具合が悪くて訪れてくる生徒に襲いかかる、アリ地獄のような先生。バイセクシャルなので対象は女子生徒だけでなく、男子生徒でも構わない。実は動物好き。
因幡 晃 (いなば あきら)
因幡浩の弟で男子高校生。一見すると普通の人間だが、ウサギの耳(のように見える一部分だけ伸びすぎてしまう髪の毛)が生えている。服を脱ぐとバニーガールのような姿だが、これも毛深いだけ。本人は気づいていないが、その可愛さでクラスの男子をときめかせている。
伊倉 小紅 (いくら こべに)
因幡浩が転校してくる前の学校でお付き合いしていた女子高校生。浩を追いかけて転校してきた。不良っぽい服装や髪形をしているが、実は純情な女の子。彼女には白ウサギではなく浩の真の姿が見えている。下半身が魚で人魚のような姿をしているが、それも実は足の太さを隠すために魚の胴体部分を身に着けていただけ。
桃太郎 (ももたろう)
昔の日本からタイムスリップしてきた男性。桃太郎という名前から、「高橋英樹」とあだ名を付けられた。隠れキリシタンで、争いごとを好まない。周囲の助けを借り、現代での生活に慣れていくうちにすっかりあか抜けてしまい、女性からの人気が高い。
舞子 (まいこ)
幼稚園児の女の子。困っている場面ではなぜか山本晃司と遭遇することが多く、晃司がこっそりと助けているが、本人は気づいていない。感情の起伏が激しく困った時は大声で泣いてしまうが、笑顔は可愛らしい。
真紀子 (まきこ)
アンデルセンの姉で、23歳の女性。いつも眉間にしわを寄せていて、アンデルセンの甘さを厳しくとがめる。時には身体を張ってお手本を示すのだが、自分が間違っている時でも決して認めようとしない異常なまでに頑固な性格。
因幡ピーター円人 (いなばぴーたーまろんど)
因幡浩、因幡晃の従兄弟同士にあたる男子高校生で、アメリカに留学していた。帰国子女であることを鼻にかけて英語交じりの言葉を使ったり、浩を馬鹿にしている。ちなみに見た目はほとんど浩と同じ白ウサギで、片方の耳(のように見える毛)をオシャレに染めている。
山本 勘彩 (やまもと かんさい)
山本晃司、山本城司、山本鈴妥の兄で、晃司にとっては11歳年上。晃司のことを溺愛しており、心も身体もすべてを狙っている。晃司が6歳の時に家出したままだったのだが、12年ぶりに帰宅した。関西に住んでいたので関西弁を話そうとするが、関東生まれのせいかうまく使いこなせずに、不自然なインチキ関西弁になってしまう。
山本晃司・小 (やまもとこうじしょう)
山本勘彩の娘だが、外見は男の子。勘彩が溺愛する山本晃司と同じ名前を名付けたが、紛らわしいので「晃司・小」と呼ばれている。小学3年生。いじめの現場を見るとイライラして、いじめっ子だけでなくいじめられっ子までやっつけてしまう。ちなみに、別に正義感が強いわけではなく、ただ思いのままに行動しているだけである。
書誌情報
×―ペケ― 3巻 小学館〈コミック文庫(女性)〉
第1巻
(2010-03-13発行、 978-4091914798)
第2巻
(2010-04-15発行、 978-4091911933)
第3巻
(2010-05-15発行、 978-4091911940)