ひとひら

内気であがり症の女子高生が、演劇研究会に入会したことで周囲の助けを得ながら成長し、女優として活動していく。2004年「COMIC HIGH」vol.1からvol.6と、「コミックハイ!」vol.1からvol.50にかけて連載された。

正式名称
ひとひら
作者
ジャンル
演劇
レーベル
アクションコミックス(双葉社)
巻数
全7巻
関連商品
Amazon 楽天

世界観

演劇が題材。人前に立つのが苦手で、緊張すると声が発せなくなるほどのおとなしい女子高生が、半ば強制的に女優として活動することになる。しかし、それがきっかけで演劇の楽しさを知り、自らの至らなさに悩みつつも真摯に向き合う姿が描かれている。

作品構成

本作『ひとひら』は「演劇研究会編」と「演劇部編」の2部構成となっている。周囲の希望に応える形で入部し、演劇の楽しさに触れるまでの「演劇研究会編」が前半にあたり、演劇研究会廃部後、自らの意思で再度演劇に向かっていく「演劇部編」が後半にあたる。並行して、対立関係にあった演劇研究会と演劇部の部員同士の和解も描かれる。

あらすじ

演劇研究編(序幕~24話)

熊鷹芸術学院に入学した麻井麦は、演劇研究会の会員たちに誘われ、その場をしのぐ気持ちで仕方なく入会する。裏方業務ならと思い研究会を訪れた麦だったが、声の良さを買われた彼女は、女優として活動することになってしまう。

演劇部編(25~50話)

一ノ瀬野々たちが卒業し、2年生に進級した麻井麦演劇研究会の廃部後も演劇への情熱を持ち続けていた彼女は、演劇部へ入部届を提出する。今度は裏方として部に貢献しようと考える麦だったが、新入生歓迎公演が失敗に終わったことがきっかけに、再び女優として舞台に立つことになる。

パロディネタ

演劇が題材だが、既成の作品をそのまま演じるということはなく、「赤ずきん」や「シンデレラ」といった名作をアレンジし、パロディとして上映する場面が作中に2度ある。キャラクターも「原作があることで見る側にもとっつきやすくなる」と語っており、名作に独自の解釈を加えた劇中劇を楽しむことができる構成になっている。

単行本の装丁

コミックスのカバー下には、毎巻カバーイラストとは違う別の絵柄や設定資料が掲載されている。掲載内容は、カバーイラストの別衣装バージョン、4コマ漫画、ラフイラストなど巻によって違い、多岐にわたっている。

スピンオフ

本作『ひとひら』の連載終了後に開始された『ひとひらアンコール』と、『榊美麗のためなら僕は…ッ!!』の2種類のスピンオフ作品がある。『ひとひらアンコール』はサブキャラたちにスポットライトを当てたもので、本作『ひとひら』のサイドストーリー的な内容のものが中心。『榊美麗のためなら僕は…ッ!!』は、榊美麗を主人公に据えた物語で、美麗たちの学年が大学に進学し、劇団を立ち上げる姿を描いた続編ともいえる内容になっている。

劇中劇

ひとひら

麻井麦の1年次に、演劇研究会が10月の文化祭公演で行った演目のこと。一ノ瀬野々のオリジナル脚本で、人生すべてがうまく行かず自殺未遂をした女子高生サキが、3人の妖精に出会うという物語。妖精たちに振り回されるサキは彼らを疎ましく思っていたが、やがて妖精たちはサキが諦めていた恋を実らせる。しかし、サキが幸せを感じた瞬間妖精たちは消えてしまい、彼女は妖精たちを失ったことで、これまで当たり前にあった幸せの存在に改めて気づくという内容になっている。主役は麦が演じた。

赤ずきんの少女

麻井麦の2年次に、演劇部が新入生歓迎公演で行った演目のこと。「赤ずきん」をベースにしたパロディ作品で、脚本は木野信二が担当した。本来は赤ずきんを悲劇のヒロインとして解釈した物語になるはずだったが、相次ぐトラブルにより木野の思惑通りには上演されなかった。主役は神奈ちとせが演じた。

シンデレラな少女

麻井麦の2年次に、演劇部が新入生歓迎公演の失敗を受け、1か月後に行った演目のこと。「シンデレラ」をベースにしたパロディ作品で、脚本は木野信二が担当した。男勝りで乱暴な性格のシンデレラが玉の輿を望み、魔術で魔女を召喚し、おしとやかな性格に変えてもらった上で王子のお見合いパーティーに参加するという物語。準備期間の短さもあり15分の喜劇作品として構成されており、配役の都合上、男子部員は女装で舞台に立った。主役は玉城春子が演じた。

かくれんぼしましょ?

麻井麦の2年次に、演劇部が秋公演で行った演目のこと。オカルトサイトで知り合った若者たちがS県A町に広まる噂話「ドッペルさん」の真偽を確かめるために集まるが、実際にその存在を目の当たりにし、恐ろしい目に遭うという物語。木野信二が脚本を担当したオリジナル作品で、主役は神奈ちとせが演じた。

メディアミックス

TVアニメ

2007年3月から6月にかけて、西森章監督によるTVアニメ版が放映された。主人公の麻井麦役を樹元オリエ、一ノ瀬野々役を川澄綾子が演じた。シリーズ構成は笹野恵、キャラクターデザインは須藤昌朋と山中純子が担当している。

舞台

2014年7月、舞台制作団体はっぴぃはっぴぃどりーみんぐによる舞台版が上映された。主人公の麻井麦役を水越朝弓、一ノ瀬野々役を工藤真由が演じた。演出・脚本は鈴木茉美が担当している。

ラジオ

2007年3月から7月にかけて、メディファクラジオにてインターネットラジオ番組「ひとひら放送局 麦ラジオ On Air」が放送された。パーソナリティは麻井麦役の樹元オリエが担当している。

CD

2007年5月から6月にかけて、オリジナルドラマ&BGMアルバムがメディアファクトリーから発売された。内容はフルストリングス編成の劇伴BGMに加え、書き下ろしドラマを2本収録したサウンドトラックで、「麦編」と「野々編」の2種類がある。

小説

2012年1月に双葉社から、麻井麦演劇研究会で活動していた時の物語を描いた志茂文彦著による、小説版『ひとひら』が発表された。全1巻で、挿絵は原作者の桐原いづみが担当している。

登場人物・キャラクター

麻井 麦 (あさい むぎ)

熊鷹芸術学院1年1組に所属する女子生徒。肩までの髪の毛を三つ編みにしてまとめ、前髪にヘアピンを留めたおとなしい雰囲気の人物。極度のあがり症と消極的な性格が災いし、その場しのぎの気持ちで仕方なく演劇研究会に入会する。入会当初は裏方志望だったが、すばらしい声量を評価され、会員たちに後押しされる形で女優としての活動を決め、その過程で成長していく。 出身中学は水橋中学校。

西田 甲斐 (にしだ かい)

熊鷹芸術学院1年1組に所属する男子生徒。額を全開にし長めの髪をツンツンに立てた、親しみやすく他人に気を遣う性格の人物。部活動は、姉の西田理咲に脅迫される形で演劇研究会に入会した。クラスも部活動も同じ麻井麦のことをフォローするうち、次第に彼女を意識するようになる。一方で姉には頭が上がらず、常に振り回されている。

一ノ瀬 野々 (いちのせ のの)

熊鷹芸術学院に通う3年生で、演劇研究会の代表を務める女子生徒。ウェーヴがかったボブヘアの、無表情で落ち着いた性格の人物。1年次の秋に突発性声帯麻痺を患い、以来完治せず常に声が出なくなる不安と共に演劇活動を続けている。以前は演劇部に所属し、部長の榊美麗とも親しかったが、現在は袂を分かち別々の団体として活動している。 無表情ゆえに冷たく見えるが、大勢で和気あいあいと練習することを好み、意外と順応性も高かったりと親しみやすい側面もある。

桂木 たかし (かつらぎ たかし)

熊鷹芸術学院に通う、3年生の男子生徒。前髪を立てて眼鏡をかけた、穏やかな雰囲気の人物。一ノ瀬野々同様、元々は演劇部に所属していたが、野々が部を離れた際彼女を励ましたことで勧誘され現在は演劇研究会で活動している。野々に片想いしており、日々さりげない形でサポートを行っているが、想いは伝えていない。

西田 理咲 (にしだ りさき)

西田甲斐の姉で、熊鷹芸術学院3年生の女子生徒。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、ストレートロングヘアを腰まで伸ばし、おろしたり1つに結んだりしている。感情豊かでやや強引な性格で、気持ちが高ぶるとすぐに手を出してしまうことがある。一ノ瀬野々と桂木たかし同様、元々は演劇部に所属していたが、野々が部を離れた際、野々のことで榊美麗と意見が割れたことにより部を離れ、演劇研究会へ移籍した。 弟の甲斐を普段は奴隷同然に扱っているが、内心感謝している。

遠山 佳代 (とおやま かよ)

麻井麦の友人で、熊鷹芸術学院1年1組に所属する女子生徒。前髪を真ん中で分け、髪を2か所に分けて後ろでまとめた面倒見のいい性格の人物。麦とは中学時代からの仲で、彼女の内気すぎる性格を不安視していたが、高校入学以降麦の急速な成長を実感していた。小学生時代から写真家を志し、部活動も写真部に所属していたが、真剣に写真に取り組もうと思った結果、ある決断をする。 出身中学は水橋中学校。

神奈 ちとせ (かんな ちとせ)

熊鷹芸術学院に通う1年生の女子生徒。長いふんわりした髪の毛を耳の高さでツインテールにし、前髪から2本の「アホ毛」が出ているのが特徴。部活動は演劇部に所属しており、制服を濡らした麻井麦にジャージを貸したことがきっかけで知り合う。物おじしない大胆な性格で、桂木たかしのことが気に入り演劇研究会にも頻繁に顔を出すようになる。 あだ名の「オリナル」は、ちとせのジャージを着た麦が「ニセ神奈」と呼ばれたことに起因し、「本物の神奈=オリジナルの神奈」を縮めて「オリナル」と呼ばれるようになったが、本人はあまり気に入っていない。早い段階で麦の声の良さに気づき、次第に彼女をライバル視するようになる。

榊 美麗 (さかき みれい)

熊鷹芸術学院に通う3年生で、演劇部の部長を務める女子生徒。長めの前髪を斜めに分け、顔の輪郭を覆うほどの長さのボブヘアをした人物。演劇研究会とは対立関係にあるために冷たく見えるが、一ノ瀬野々のことは常に気にかけており、野々の退部前は非常に親しい友人だった。野々が声帯麻痺を引きずったまま演劇活動を行うことに反対しており、演劇研究部を廃部に追いやろうとしている。

木野 信二 (きの しんじ)

熊鷹芸術学院に通う1年生の男子生徒。小柄な容姿に眼鏡をかけていることから、神奈ちとせなどからは「チビメガネ」と呼ばれることもある人物。部活動は演劇部に所属し、脚本を担当している。脚本家として非常に熱心に活動しており、童話のパロディーからオリジナルまで多彩な作品を執筆しているが、演者の思わぬ行動により、作品が狙った内容通りに演じられないこともある。 同級生にも敬語で接する。

川崎 響 (かわさき ひびき)

熊鷹芸術学院に通う1年生の女子生徒。一度ポニーテールにした髪の毛を2つに分けて結んだ髪型の、クールな雰囲気の人物。部活動は演劇部に所属し、音響チーフを務めている。常に淡々と仕事をこなし辛辣な発言をすることもあるが、他者に関心がないわけではない。感情が表に出ることはあまりないが、怒ると結んだ髪の毛同士が揺れ始めてぶつかり、髪飾りがカチカチと鳴る。 演劇部への入部理由は、音楽が好きで、自分の好きな曲がかけられるのが面白そうだと思ったから。胸が小さいことをひそかに気にしている。

山口 実 (やまぐち みのる)

熊鷹芸術学院に通う、2年生の女子生徒。前髪を真ん中で分けたショートカットの、中性的な雰囲気の人物。部活動は演劇部に所属し、照明チーフを務めている。部内ではムードメーカー的存在で、他人をフォローすることに長けている。一方で演技は非常に下手で、本人のやる気はあるものの役者には向かないことから裏方担当になった。

和久井 貞治 (わくい さだはる)

熊鷹芸術学院に通う、2年生の男子生徒。前髪を斜めに分けたストレートヘアの、温和な雰囲気の人物。部活動は演劇部に所属し、舞台監督を務めている。あだ名の「ミケ」は、「自分はミケランジェロの生まれ変わりである」と発言したことに起因する。川崎響に距離を置かれ気味なことを、非常に気にしている。

武田 京介 (たけだ きょうすけ)

熊鷹芸術学院に通う1年生の男子生徒。麻井麦が2年生に進級した際に入学したため、麦の1学年後輩にあたる。前髪を左寄りの位置で分け、髪を外にはねさせた明るく社交的な人物。文化祭で演劇研究会が演じた「ひとひら」を偶然鑑賞し、強く感銘を受けたことから演劇部に入部する。当時から麦の熱心なファンで、彼女の演じた「サキ」役に救われたと語っている。 気さくな人柄から一見人づきあいが得意そうに見えるが、実際は人が苦手で、熊鷹芸術学院入学までには複雑な過去があった。

玉城 春子 (たましろ はるこ)

熊鷹芸術学院に通う2年生の女子生徒。綾瀬幸枝曰く「容姿も普通だし成績も中の上」な平均的な人物。部活動は演劇部に所属し、2年次は平凡なことを自らの個性と捉えていたが、3年生の引退後は部長に就任する。就任後は前部長の榊美麗と自分を比べ、うまく部をまとめていけないことに悩むようになる。

綾瀬 幸枝 (あやせ さちえ)

熊鷹芸術学院に通う2年生の女子生徒。前髪を斜めに分け、ストレートロングヘアを腰のあたりまで伸ばした、楽観的でやや知性に欠ける雰囲気の人物。2年次は玉城春子と噂話に興じることが多かったが、3年生の引退後は演劇部の副部長に就任し、春子を支えるようになる。

集団・組織

演劇研究会 (えんげきけんきゅうかい)

麻井麦が入部した、熊鷹芸術学院に存在する部活動のこと。一ノ瀬野々が代表を務め、麦の入部時で部員は5名となっている。学院内でもう1つの演劇活動を行っている部活、演劇部とは対立関係にあり、10月の文化祭で行う公演の観客投票で敗北した場合は廃部になってしまう。部室には物置のような狭い部屋が割り当てられている。

演劇部 (えんげきぶ)

熊鷹芸術学院に存在する部活動のこと。榊美麗が部長を務めている。元々は学院内唯一の演劇活動を行う部だったが、美麗と一ノ瀬野々の対立により一部の部員が演劇研究会を発足・移籍し、以来演劇研究会とは対立関係になった。美麗の卒業後は、玉城春子が部長に就任した。

書誌情報

ひとひら 全7巻 〈アクションコミックス〉 完結

第1巻

(2005年8月11日発行、 978-4575831276)

第2巻

(2006年5月12日発行、 978-4575832372)

第3巻

(2006年12月12日発行、 978-4575833119)

第4巻

(2007年6月12日発行、 978-4575833683)

第5巻

(2008年4月12日発行、 978-4575834734)

第6巻

(2008年12月12日発行、 978-4575835571)

第7巻

(2009年7月10日発行、 978-4575836486)

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