世界観
話の舞台は、主に東京で進められていく。演劇が題材のため、稽古のシーンや劇中劇が大部分を占めている。
時代設定
長期連載のため、作品の小物には出来る限り時代性を出さないようにしている作者だが、単行本42巻から携帯電話が登場している。連載当初は黒電話であり、作中では70年代から数年の時間経過しかないことでずいぶん悩んだという。
ちなみに、作者の美内すずえは本作の結末について、「20年くらい前に出来上がっており、最終ページの構成もセリフも出来上がっている」と話している。
あらすじ
一見平凡な少女・北島マヤ。そんな彼女の芝居における才能を見抜いた往年の大女優月影千草は、幻の名作「紅天女」の後継者として彼女を育てるべく指導を開始する。一方、若くして演技の天才と呼ばれる姫川亜弓も親の七光を超えるべく紅天女を目指し、2人は永遠のライバルとなる。そして、どんな手を使ってでも紅天女の上演権を手に入れたい大都芸能の速水真澄なども加わり、様々な人間模様が描かれていく。
第1章 千の仮面を持つ少女
北島マヤは美少女でもなく成績も要領もよくない一見平凡な少女であったが、芝居のこととなると出前の仕事を忘れたり、芝居の券を手に入れるために真冬の海に飛び込むほどの夢中ぶりであった。マヤは学校の劇で演じることにより女優への情熱が目を覚まし、大きくはばたき始める。舞台を一度見ただけでセリフを一言一句間違えず、俳優たちのこまかい演技のポーズまで丸暗記してしまうなど、マヤの芝居における非凡な才能を見抜いた月影千草は、マヤを「紅天女」を演じる女優へ育てるために劇団つきかげへと導き、理解のない母親を説得し、レッスンを受けさせることになった。
第2章 炎の階段
マヤは新しい中学校に通うことになり、月影先生にお金の負担を少しでもかけぬよう日曜日に公園でアルバイトをするようになる。劇団つきかげにおいても様々なレッスンがはじまった。なかでも、4つのセリフのみで演技を成立させるというお題で、マヤが姫川亜弓とのはじめての対決をしクリアしたことは、寄宿生たちがマヤの類まれな才能に気づくきっかけになった。この時期、姫川亜弓は「白バラ夫人」で母の姫川歌子と共演し大絶賛を受ける。劇団つきかげも発表会で「若草物語」を公演することになり、マヤはベス役をやることに。一週間ベスとして生活をしたり、病気で苦しむシーンを演じるために一晩中雨に打たれるなどして役の気持ちを掴み、高熱にみまわれながらも見事にベス役を演じきった。そんなマヤの芝居に対する情熱に敗北感を感じた速水真澄は紫のバラを楽屋前に置いていく。
第3章 風の中を行く
雑誌による「若草物語」の悪意に満ちた批評を受け、出資者が演劇コンクールの全国大会にて3位以内に入賞し汚名返上するよう要請してくる。これがかなわなかった場合劇団つきかげが潰れることに。東京地区大会での演目は劇団オンディーヌ小野寺氏の差し金により、劇団つきかげと劇団オンディーヌの2劇団ともに「たけくらべ」となる。舞台稽古中の姫川亜弓を目にし、自信を無くしたマヤは、月影先生によって小屋に閉じ込められるも、自分で自分の役柄をつくるということに気づき、月影千草とともに新しい美登里をつくり上げていく。予選当日、原作から抜けだしたようなすばらしい完璧な美登里を演じた姫川亜弓に対し、マヤは姫川亜弓とことごとく対象的で、原作のイメージからはほど遠いにもかかわらず、観客がくぎづけになる魅力的な美登里を演じ上げ、2劇団ともに同点にて1位入賞を果たし、共に全国大会で日本一を競うことになった。
第4章 春の嵐
劇団つきかげの演劇コンクール全国大会での出し物は「ジーナと5つの青いつぼ」に決まる。優勝候補は劇団オンディーヌ、北海道代表劇団一角獣、劇団つきかげ。劇団一角獣は「運命」を上演。バックの岩や木などの自然物を人間が演じるなど、ダイナミックな躍動感、息もつかせぬ迫力、劇団員全員が一丸となってぶつけてくる若いエネルギーに、観客は驚きとともにたちまち魅せられ舞台に釘づけとなった。劇団オンディーヌは「灰の城」を上演。没落華族の生まれついての姫君の気位の高さを、14歳の姫川亜弓が天才的に表現。姫川亜弓の演じる、高慢でわがままで並外れて気位の高い姫君に、観客は没落華族の哀しみを感じた。一方劇団つきかげでは、劇団員の中にマヤばかりが主役を務めることにたいする不満分子が出ていた。彼らは小野寺氏にそそのかされ、舞台に必要な道具をめちゃくちゃに壊す。代わりの大道具や衣装などをマヤ以外の劇団員が一緒に取りに行くが、車のエンジンの故障を装って壊し、上演に間に合わなくしてしまう。棄権を迫られる中、マヤはひとりで舞台に立つことを決意。主人公以外の登場人物が姿をみせない一人芝居を見事に演じ抜き、一般投票で最高得票を獲得したが、小野寺氏の発言により審査対象から外されてしまい、入賞することができなかった。結局劇団つきかげは潰れてしまうことになる。
第5章 あした草
研究所を追い出されたマヤや青木麗たち劇団つきかげのメンバーは、月影先生とオンボロアパートで生活することに。それぞれ学校やバイトそして古びた教会での稽古の日々。そんななか、教科書代も払えないマヤは、お金を得るため映画にチョイ役で出ることに。足の不自由な通行人の役を迫真の演技でこなし、画面いっぱいのアップとなる。そして、姫川亜弓とマヤ2人の女優は、「紅天女」を目指していろいろな役に挑戦していく。姫川亜弓は3枚目の脇役や「王子とこじき」で2役を見事にこなし、乞食役で美を捨てたことにより、はっきりと演技派の実力をしめして大成功を収める。マヤは、学校の演劇部の劇で威厳ある女王や、演劇界の大御所女優原田先生の舞台で、子守役をハプニングに動じることもなく演じていたが、他の役をくってしまうために舞台あらしと呼ばれてしまう。
第6章 舞台あらし
原田先生はマヤの素質をかぎつけ彼女をおそれ、栄進座を守るためマヤを見限る。また、桜小路くんの口利きで得た大学の演劇科でのアルバイトでも、演劇科の人たちのプライドを傷つけてしまい、バイトを断られてしまう。そして、容体が急変し生死をさまよった月影先生から、マヤ以外の「紅天女」候補がもうひとりいることを告げらる。そんななか、東洋劇場の会長に可能性を買われたマヤは、「嵐ヶ丘」の主役キャサリンの少女時代を演じることに。野性的で荒っぽいが、純粋でひたむきな愛を感じる少女時代のキャサリンを、大人時代を演じる女優を凌ぐ勢いで演じ感動を呼ぶが、マヤの印象が強すぎ、舞台があらされたとみなされてしまう。自分を殺す演技がマヤに必要と感じた月影先生は、セリフも動きも表情もない人形の役をマヤに課す。マヤは見事に演じ上げると思われたが、千秋楽の日に行方不明の母親を見かけ、劇中で涙を流してしまい、次回の公演に出ないよう謹慎を言い渡されてしまう。東京中を母親を探しまわっていたマヤは、たまたま雨宿りした先で、姫川亜弓が出演する劇の代役を急遽務めることになるものの、舞台あらしとあだなされるマヤに嫉妬した役者により、台本をすり替えられピンチに陥いってしまう。姫川亜弓のリードにより、なんとか乗り切ることができたが、姫川亜弓の才能に打ちのめされるマヤ。そんなおり、月影先生の破門を撤回するために、「奇跡の人」のヘレン・ケラー役を勝ち取ることを決意する。
第7章 炎のエチュード
教会が取り壊され稽古場を無くしたマヤは、紫のバラのひとの好意により、長野県の別荘でボロボロになりながらヘレンとして生活する。また、姫川亜弓は盲聾唖の施設で研鑽を積む。5人の個性的な候補者の中から、最終審査の非常ベルに動じなかったマヤと姫川亜弓がダブル・キャストとしてヘレン役に選ばれる。感動のクライマックスシーンを、姫川亜弓は水に感電したように、マヤは風船が弾けるたように演じる。とてもすばらしい典型的なヘレンを演じた姫川亜弓、新鮮な興奮を呼び起こす型破りなヘレンを演じたマヤ。結果、アカデミー芸術祭助演女優賞はマヤが獲得する。その受賞会場で、月影先生が「紅天女」候補としてマヤと姫川亜弓を世間に公表。その後マヤは大河ドラマに出演することになる。
第8章 華やかな迷路
月影先生の意向でマヤは大都芸能に入ることになり、速水真澄の元でスターへの道を歩み始める。大河ドラマ天の輝きの伯爵令嬢役で人気がうなぎのぼりに。映画や舞台の出演も決まり順風満帆なマヤは、共演の里見茂と恋に落ちるなど充実した日々を送っていたが、妬みや嫉みでマヤを潰そうとする動きが活発になってくる。一方姫川亜弓も他局のTVドラマや舞台であいも変わらず華々しい活躍を見せていた。そんななか、マスコミへの宣伝のために速水真澄が隔離していたマヤの母親が、娘の活躍を耳にし、山里離れた療養所から東京を目指すも、途中交通事故に合いマヤに会うことなく亡くなってしまう。骨となってしまった母親に茫然自失となっているマヤは、乙部のりえの策略にかかりスターの座を転落。乙部のりえに取って代わられてしまった。姫川亜弓はマヤの転落劇の真相を耳にし、汚い手を使った乙部のりえに対し、舞台上で復讐を果たす。自責の念から演技ができなくなってしまったマヤは、憎き速水真澄の元から逃げ出すものの連れ戻されてしまう。が、最後の舞台を踏むことを条件に大都芸能を離れることになる。
第9章 100万の虹
最後の舞台で本物とすり替えられた泥団子を食べたマヤは、本能が目覚め、演劇への情熱を取り戻す。マヤは大都芸能との契約が解除になり、劇団つきかげのみんながいるアパートに戻る。高校の学園祭での一人芝居や演劇部での客演などをこなし、失くしてしまった自信と名誉を挽回していく。一方姫川亜弓は一人芝居「ジュリエット」を華麗にこなし、アカデミー芸術大賞を最年少で受賞する。その受賞会場において月影千草は紅天女の後継者を姫川亜弓と発表するが、マヤが2年以内に同じ芸術大賞か、それに匹敵する全日本演劇協会の最優秀演技賞を受賞した場合、姫川亜弓と互角とみなし、2人に「紅天女」を競わせた後、正式にどちらか一方を決定するという最後のチャンスがマヤに与えられる。その後、劇団つきかげと劇団一角獣とともに真夏の夜の夢を野外ステージで演ることに。マヤの役は、影の主役いたずら者の小妖精パック。思いもかけない演技の連続に野外ステージは湧きに湧き、3日間で観客約6000人を集め、大好評で終わった。大都芸能が手掛けるアテネ座の公演にマヤは出ることが出来ず、姫川亜弓が主役のひとりをやる「ふたりの王女」のオーディションをうけることになる。
第10章 冬の星座
審査員という観客を前に課題を演じるマヤ。見る人を楽しませることに重きをおくマヤは、他の候補者たちとの差があまりにもありすぎたため、第三次審査をやることなく姫川亜弓の相手役を射止めることとなった。「ふたりの王女」の配役は月影千草の提案で、宮殿の中で蝶よ花よと育てられ、気品をたたえた生まれながらの王女アルディスをマヤが、牢獄の中で育った暗い表情の王女で、疑い深く孤独と野心と復讐心を抱く少女オリゲルドを姫川亜弓という、お互いにイメージの違う役を演じることに。2人はあまりに実際の境遇とかけ離れていたため、中々役がつかめないでいたが、生活をとりかえることを思いつき、マヤは姫川亜弓の豪華な部屋で、姫川亜弓は地下劇場で過ごすことにする。努力を重ねるも完全には役を掴みきれずにいる2人を、月影先生は精肉店のマイナス20度を超える冷凍庫の中へ閉じ込め、オリゲルドの冬の心と、出た時の暖かさからアルディスの春の心を体感させる。そして、舞台で見事にアルディスとオリゲルドを演じる2人は、連日大入りの大成功をおさめるのであった。
第11章 紫の影
そんななか、速水真澄に義父速水英介より見合い話が持ち上がる。そして、速水真澄は思い出のプラネタリウムをマヤと一緒に見る。その後、月影千草が置き手紙を残し失踪したことで、マヤの母親を殺してしまった負い目をもつ速水真澄は、これからもマヤに許されることはないと思い、財政界の黒幕鷹宮会長の孫娘鷹宮紫織と見合いをする決心をする。「ふたりの王女」の成功によりマヤの元には次の芝居への誘いが目白押しだったが、マヤは鬼才黒沼龍三の芝居「忘れられた荒野」に出ることを決意。相手役は桜小路くん。社長と意見が合わなかった黒沼龍三は事務所を追い出され、芝居の公演が危ぶまれたが、なんとか上演にこぎつける。速水真澄が悪役を買って出ることにより忘れられた荒野は注目を浴び、感動を呼ぶマヤたちの演技で、芸術祭参加を認められる。全日本演劇協会最優秀演技賞をとったマヤは、姫川亜弓とともに「紅天女」のふるさとへ向かうこととなる。そんなおり、ふとしたことで紫のバラのひとの正体が憎き天敵速水真澄だったと気づき始めるマヤであった。
第12章 紅天女
マヤは速水真澄に紫のバラのひとのことを聞けぬまま、姫川亜弓とともに「紅天女」のふるさとへ旅立つ。月影千草は2人に風、火、土、水を演じさせ、「紅天女」とは何かを理解させていく。美しい演技で課題をこなしていく姫川亜弓であったが、マヤの圧倒的な才能を目の当たりにし自分の無力さに打ちひしがれ、一時は紅天女を放棄しかけるも、自分を信じ正々堂々と役を勝ち取ることを決意。マヤは才能のままに課題をこなしていくが、行方不明になった速水英介を探しに来た速水真澄と梅の谷で雨宿りをし、古い神社で一晩を過ごす。マヤは、速水真澄の言葉やふるまいが、みんな自分のためのものだったこと、そして、彼の優しさに気づき、速水真澄を好きだと自覚する。いろいろな想いを抱えながら、姫川亜弓は出てきただけで天女という感じ、マヤはその場を不思議な異空間に変えてしまう力量で、お互い甲乙付けがたい「紅天女」を梅の谷で演じた。そして、月影千草による最後の紅天女が演じられる。
第13章 ふたりの阿古夜
東京に戻ったマヤは、婚約した速水真澄と鷹宮紫織を目にし、心が空ろになる。そんな阿古夜になれないマヤを桜小路くんがデートに連れ出し、マヤは元気を取り戻してお互い稽古に励んでいく。マヤを好きな桜小路くんは、付き合っていた彼女とも分かれ、正々堂々とマヤに告白する。そんなある日、姫川亜弓は「紅天女」の心をつかもうと必死に稽古していたところ、照明器具が頭にあたり目が見えにくくなってしまう。無理して稽古に励むも入院することに。検査の結果、すぐに手術をしなければ失明をしてしまうかもしれない状態だと判明するが、「紅天女」の試演を優先し治療は後回しにすることに。姫川亜弓は、母親の姫川歌子とともに、見える演技の稽古を懸命に行う。そんななか、鷹宮紫織は速水真澄が紫のバラのひとだと気づいてしまい、ふたりを引き裂こうとマヤを嵌める行動をおこす。マヤが「紅天女」の稽古をしている時に紫のバラとともに絶縁状とビリビリに引き裂かれた舞台写真のアルバムが届き、速水真澄に会いに行ったところマヤと速水真澄は暴漢に襲われる。懸命にマヤをかばう速水真澄の姿に紫のバラのひとを信じることにしたマヤ。その後、鷹宮紫織の使いの者から速水真澄と鷹宮紫織に近づかないよう一千万円の小切手を渡されたマヤは、それを返しにクルーズ船にのりこむ。
第14章 めぐり逢う魂
渋滞でクルーズ船の出港に間に合わなかった鷹宮紫織。マヤと速水真澄はクルーズ船で満天の星を見、そしてお互いの気持ちを知る。そばにいるだけで心が満たされ、互いを魂のかたわれだと感じる2人。下船後、2人の関係を目にした桜小路くんはショックで交通事故にあい、全治2ヶ月の怪我を負い、傷だらけの体で一真を演じることに。一方、姫川亜弓は懸命な稽古のおかげで以前より演技に神秘的な深みが出るが、写真家ハミルさんに目があまり見えないことがバレてしまう。事情を知ったハミルさんは姫川亜弓に惹かれ始める。心を決めた速水真澄は鷹宮紫織に結婚を考えなおすよう伝えるが、鷹宮紫織は自殺未遂をおこしてしまう。正気を無くした鷹宮紫織を前に速水真澄は結婚を承諾するしかなかった。しかし、速水真澄に幸せになってほしい聖唐人により、速水真澄は自分の家を出て、紫のバラのひととしてマヤに会うことを決心する。そして、崩れかけた廃墟駅の跡地シアターXでの試演の時が近づいてくる。
特殊な描写
実はガラスの仮面には意外な楽しみ方がある。それは、「白目」。とにかく白目が多数登場する。感情が高ぶり白目、亜弓さんが怒って白目。あのクールな真澄さまが嫉妬で白目。喜怒哀楽様々なシーンで白目が出てくる。常に白目で出てくる人もいたりする。とある番組でスタッフが調べたところ1300もの白目があったらしい。ぜひ、白目ワールドも堪能して欲しい。
劇中劇
本作は演劇を題材にしており、作中で実際に劇が演じられる劇中劇の形をとる場合が多い。様々な劇が登場し、『若草物語』や『嵐ヶ丘』等著名な作品以外のほとんどは作者自身によるオリジナルの劇である。ストーリーはすべてしっかり考えられており、「女海賊ビアンカ」や「二人の王女」は別の1本の作品にしようと温めていたものである。ゆえに執筆に時間がかかってしまうようだ。
コラボレーション
本編にて和田慎二の『スケバン刑事』とコラボレーションをしたことがある。速水真澄と神恭一郎が大学時代の親友という設定であった。また、2012年に発売されたニンテンドー3DS専用ゲームソフト『ガールズRPG シンデレライフ』に、超豪華コラボキャラのひとりとして速水真澄が登場している。
メディアミックス
TVアニメ
正統派としては、1984年の日本テレビ版(全23回)と2005年~2006年のテレビ東京版(全51回)がある。テレビ東京版は、梅の谷で月影千草が最後の「紅天女」を披露するところまでを描いている。また、ギャグアニメとして2013年に『ガラスの仮面ですが』と『ガラスの仮面ですがZ』が放送された。こちらは原作でもお馴染みのキャラクターの性格はそのままで、設定をレディースやOLなどにチェンジし、コントのようなギャグストーリーを繰り広げている。
映画
2013年にギャグアニメ『ガラスの仮面ですが』の映画版『ガラスの仮面ですが THE MOVIE 女スパイの恋!紫のバラは危険な香り!?』が公開された。内容は、悪の組織に誘拐された伝説の女スパイ「ザ・ムーン」(月影千草)を北島マヤと姫川亜弓の2人が「ザ・ムーン」の後継者として救出に向かい、速水真澄、桜小路君、源造さんも加わってドタバタになるというもの。
TVドラマ
テレビ朝日にて、1997年7月7日~1997年9月15日『ガラスの仮面 Part1』(全11回)、1998年4月13日~1998年6月29日『ガラスの仮面 Part2』(全12回)、1999年9月30日に『ガラスの仮面 感動の完結編スペシャル』を放送。3作とも北島マヤ役を安達祐実、速水真澄役を田辺誠一、月影千草役を野際陽子が演じた。
舞台
1979年、香坂みゆきらを主演に『ミュージカル ガラスの仮面』の公演が行われた。1988年には、演出・坂東玉三郎、主演・大竹しのぶで舞台化。2008年には音楽劇『ガラスの仮面』、2010年には音楽劇『ガラスの仮面~二人のヘレン~』が行われている。
また、『ガラスの仮面』本編にとどまらず、2013年には、本作の劇中劇『女海賊ビアンカ』が、劇団つきかげプレ旗揚げ公演『女海賊ビアンカ』として舞台化された。
2014年8月には、貫地谷しほりを主演に、青山劇場で全22公演が行われた。
紅天女・能楽公演
2006年~2007年に新作能『紅天女』を、東京、大阪、山形、琵琶湖、南相馬、福岡にて公演。2014年には名古屋能楽堂にて公演。
OVA
1998年~1999年、『ガラスの仮面~千の仮面を持つ少女~』(1話45分、全3話)が、ポリグラムから発売。
関連書籍及び商品
『ガラスの仮面 コミック・ファンブック』……漫画界の著名な作家陣のトリビュート漫画や作者・美内すずえのインタビュー、月影千草の特製シール、速水真澄のポストカードなどのオマケも盛りだくさんな豪華ファンブック。
『ガラスの仮面 スーパー演劇ガイドブック』……『ガラスの仮面』の劇中劇を舞台裏まで徹底的に解析した公式パーフェクトガイド。
『ガラスの仮面 パーフェクトブック 』……TVドラマ『ガラスの仮面』の収録名場面や舞台裏のレボートなど、ドラマとマンガの魅力を徹底解剖したもの。
『シナリオ ガラスの仮面』……作者・美内すずえ自身による書下ろしシナリオ。
『ガラスの仮面名台詞カルタ』……CD付き。オールカラー全48枚。珠玉の名台詞ばかり。「あ」の札だけで5枚ある、名台詞優先の破天荒カルタ。メインの読み手は清水ミチコが行う。
作家情報
美内すずえ:1951年2月20日生まれ。大阪府出身。16歳の時、『山の月と子ダヌキと』で集英社「別冊マーガレット」で金賞を受賞し、高校生漫画家としてデビュー。以後、次々に意欲作を発表し、人気漫画家となる。主な受賞歴は、『妖鬼妃伝』にて1982年度講談社漫画賞、『ガラスの仮面』にて1995年度日本漫画家協会賞優秀賞。
登場人物・キャラクター
北島 マヤ (きたじま まや)
貧しい家に育つ。普段は不器用で何の取り柄もないような少女だが、ドラマや映画が異常に好きで、一度見ただけで台詞や動きを覚えるという力があった。ある日月影千草に、その類稀なる演技の才能を見い出され大女優を目指すようになる。
月影 千草 (つきかげちぐさ)
かつては大女優だったが、顔をケガして引退。隠居生活をしていたところ北島マヤと出会ったことにより劇団を立ち上げ、自分が上演権を持つ幻の名作「紅天女」の主演女優を育てようとする。北島マヤら劇団員に厳しい演技指導をしているが、心臓病を抱え入退院を繰り返す。
姫川 亜弓 (ひめかわ あゆみ)
母親は大女優、父親は有名監督というサラブレッド。小さい頃から映画や舞台で活躍してきた天才少女。月影千草から北島マヤと共に幻の名作「紅天女」の主演後継者候補に指名され、北島マヤとは生涯のライバルとなる。紅天女の稽古中、倒れてきたライトに頭を打ったことが原因で失明の危機に陥るが、それを隠して紅天女の試演に挑もうとする。
速水 真澄 (はやみ ますみ)
大手芸能事務所の大都芸能社長。月影千草が持つ幻の作品「紅天女」の上演権を手に入れたいと思っている。業界きってのやり手で、仕事のためなら冷酷な手段もいとわない。北島マヤに心惹かれており、正体を隠して紫のバラと共に応援する内容の手紙を北島マヤに贈り続ける。
桜小路 優 (さくらこうじ ゆう)
劇団オンディーヌに所属する、若手人気俳優。初めて北島マヤに会った時、一目惚れをした。北島マヤの心が自分に向いていないことに気付き一度は恋を諦めるが、劇の「忘れられた荒野」で共演を果たし再び北島マヤに恋心を抱くようになる。幻の名作「紅天女」の試演で、北島マヤの相手役に選ばれる。
青木 麗 (あおき れい)
劇団つきかげに所属する女優。北島マヤよりも4つ年上で、北島マヤと同居生活をしている。容姿端麗でボーイッシュなため男役を演じることも多く、女性からの人気が高い。北島マヤの良き理解者。
源造 (げんぞう)
かつては大部屋で俳優をしており、古くから月影千草の付き人をしている。梅の里でも月影千草に同行し、稽古に来た北島マヤや姫川亜弓の世話をする。梅の里で上演した「紅天女」に出演した際、鼓の腕前と髙い演技力を披露し関係者を驚かせた。
小野寺 一 (おのでら はじめ)
演出家で劇団オンディーヌ理事。大手芸能事務所社長の速水真澄と組み、幻の作品「紅天女」の上演権を月影千草から手に入れようと策略し、北島マヤが所属する劇団つきかげを潰しにかかる。
北島 春 (きたじま はる)
北島マヤの母親。夫に先立たれ、中華料理屋に住込みで働きながら北島マヤと貧しい暮らしをしていた。北島マヤが女優を目指すのを反対したため、北島マヤが家出をしてそのまま離別する。その後、結核を患ったうえ、栄養失調で失明。人里離れた病院に入院。大都芸能の策略が原因で、悲惨な最期を迎える。
姫川 歌子 (ひめかわ うたこ)
北島マヤのライバルである姫川亜弓の母親で大女優。元は月影千草の内弟子で、自分でも「紅天女」を演じたいと思っていた。舞台奇跡の人で北島マヤと共演する。
金谷 英美 (かなや えみ)
北島マヤが通う一ツ星学園の演劇部一の実力派女優。表立って有名ではないが、劇評家の絶賛をあびている。舞台、「奇跡の人」の主役オーディションで北島マヤと競う。
水城 (みずき)
大都芸能の社長・速水真澄のやり手の女性秘書。北島マヤが大都芸能に所属していたときには、北島マヤのマネージャーを担当。速水真澄が北島マヤに思いを寄せていることに、薄々気付いている。
乙部 のりえ (おとべ のりえ)
熊本県出身の少女。田舎者のふりをして親しげに北島マヤに近づくが、その正体は北島マヤを陥れようと、大都芸能と敵対する芸能事務所から差し向けられた、地元では演技の天才と謳われている女優だった。本名は田代鈴子。
里美 茂 (さとみ しげる)
大河ドラマ「天の輝き」で北島マヤと共演した俳優。人気ナンバーワンの青春スターで親衛隊もついている。ドラマを通して北島マヤと恋仲になり記者会見で恋人宣言をするが、北島マヤが芸能界追放となり、その関係も終わる。
聖 唐人 (ひじりからと)
子どもの頃、父親が破産に追い込まれ一家心中しようとしていたところを大都芸能会長の速水英介に助けられた男性。その際、戸籍も失い、現在は大都芸能の影の部下として働く。いつも北島マヤに紫のバラを届け、北島マヤからのメッセージや様子を速水真澄に伝えている。
尾崎 一蓮 (おざき いちれん)
演出家で劇団長の男性。北島マヤの師、月影千草の最愛の人。孤児で盗みを働きながら生きていた月影千草を引き取り、大女優に育てあげた。戦争で劇場も財産も失うが、幼いころ過ごした梅の里に帰り幻の名作劇「紅天女」を書く。その後、大都芸能の速水英介に陥れられ多額の借金を背負い、月影千草と愛を確かめ合った後に自殺する。
黒沼 龍三 (くろぬま りゅうぞう)
演出家の男性。役者の才能と力を引き出す天才で、手掛ける舞台は毎回話題になるが、気難しく、我が強い。芝居に妥協をせず、役者にも厳しい。5年ぶりに手掛ける舞台「忘れられた荒野」の主演に北島マヤを抜擢し、厳しい状況の中でも大成功をおさめたことをきっかけに、「紅天女」の演出家候補に選出される。
鷹宮 柴織 (たかみや しおり)
速水真澄の婚約者。世界有数の大企業の社長の孫娘。体が弱く、箱入りで育った。お見合いで速水真澄と出会い一目惚れをする。美しく優しい女性と思われていたが、速水真澄が北島マヤを愛しているとわかり、北島マヤに執拗にいやがらせをする。それが速水真澄に発覚し、速水真澄が婚約破棄をしたいと申し出るが、その言葉にショックを受け自殺未遂を起こしたあげく発狂する。
ピーター・ハミル (ぴーたーはみる)
世界的な写真家のフランス人男性。「カメラの詩人」といわれている。北島マヤのライバル、姫川亜弓を気に入り、被写体として追っている。姫川亜弓の視力が著しく低下していることに気が付く。
速水 英介 (はやみ えいすけ)
速水真澄の義父で、大都芸能の会長。速水真澄に対し、幼ない頃から厳しく仕事を教え込んだ。自分のためなら平気で非情な行為をする。「紅天女」の舞台を観てから魅了され、執拗に「紅天女」の上演権を欲しがるようになり、「紅天女」の作者の尾崎一蓮を自殺にまで追い込んだ。 身分を隠して北島マヤの前に何度か姿を現すが、北島マヤには優しく、おもしろいおじさんだと思われている。
集団・組織
一ツ星学園 (ひとつぼしがくえん)
紫のバラの人の支援により、北島マヤが入学した高校。演劇活動が有名で、伝統ある演劇部は全国高校演劇大会において何度も優勝経験がある。ただし芸能人の入部は校則で不可なため北島マヤは入部できず、学園祭では個人的に一人舞台を上演する。後に客演という形で演劇部の舞台に立った。
大都芸能 (だいとげいのう)
『ガラスの仮面』に登場するグループ。業界きっての大手芸能プロダクション。社長は速水真澄。劇団つきかげを辞めさせられた北島マヤが、一時期所属する。幻の名作である「紅天女」の上演権利を欲しがっている。
劇団つきかげ (げきだんつきかげ)
『ガラスの仮面』に登場する劇団。かつての大女優、月影千草が、幻の名作「紅天女」の主演女優を育てるために設立。北島マヤや青木麗らが所属している。
劇団オンディーヌ (げきだんおんでぃーぬ)
『ガラスの仮面』に登場する劇団。北島マヤが所属する劇団つきかげのライバル的存在。天才演劇少女の姫川亜弓や北島マヤのボーイフレンドの桜小路優が所属している。
劇団一角獣 (げきだんいっかくじゅう)
『ガラスの仮面』に登場する劇団。北海道の劇団で、全日本演劇コンクール全国大会に出場。同大会で、何者かに大道具や小道具を壊されピンチに陥った劇団つきかげを劇団一角獣の劇団員たちが助ける。後に劇団つきかげと合同で芝居を上演する。
場所
梅の里 (うめのさと)
『ガラスの仮面』に登場する場所。尾崎一蓮が幼少の頃に過ごした、奈良の田舎。不思議な梅の谷があり、梅の木の女神が竜や鬼に守られて住んでいるという伝説がある。その伝説をモチーフに、尾崎一蓮が戯曲「紅天女」を書いた。この場所で、月影千草が北島マヤと姫川亜弓に「紅天女」の稽古をつける。
その他キーワード
奇跡の人 (きせきのひと)
『ガラスの仮面』に登場する舞台劇。北島マヤがライバルの姫川亜弓とのダブルキャストでヘレン・ケラー役を演じ、姫川亜弓の母で大女優の姫川歌子とも初共演を果たす。この舞台で北島マヤはアカデミー芸術祭の助演女優賞を受賞し、一躍有名になる。
ふたりの女王 (ふたりのじょおう)
『ガラスの仮面』に登場する舞台劇。ある国の王位継承権をめぐって起きる陰謀と争いに巻き込まれたふたりの女王の物語で、北島マヤと姫川亜弓が共に主役として共演。華やかな女王役が北島マヤ、暗い女王役が姫川亜弓と、それぞれの持つイメージとは真逆な役を与えられる。
忘れられた荒野 (わすれられたこうや)
『ガラスの仮面』に登場する舞台劇。狼に育てられた少女と青年学者の恋の物語で、北島マヤが主人公のオオカミ少女を演じる。稽古中、さまざまな妨害に合い上演中止の危機にも陥るが、無事に上演でき大成功をおさめ話題作となる。この作品で、北島マヤが全日本演劇協会最優秀演技賞を受賞する。
紅天女 (くれないてんにょ)
『ガラスの仮面』に登場する舞台劇。劇作家の尾崎一蓮が書いた、千年からなる梅の木の精が主人公の作品。かつて女優月影千草の主演で上演され、大評判となった。現在は月影千草が上演権を持つ幻の作品で、その権利を大都芸能が狙っている。月影千草が認めた者しか主演を許されず、その候補に北島マヤと姫川亜弓が選ばれる。
書誌情報
ガラスの仮面 49巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第1巻
(1976-03-19発行、 978-4592110910)
第3巻
(1977-01-20発行、 978-4592110934)
第4巻
(1977-04-20発行、 978-4592110941)
第5巻
(1977-07-20発行、 978-4592110958)
第6巻
(1977-09-20発行、 978-4592110965)
第11巻
(1979-03-20発行、 978-4592111016)
第12巻
(1979-07-20発行、 978-4592111023)
第13巻
(1979-11-20発行、 978-4592111030)
第14巻
(1980-04-19発行、 978-4592111047)
第15巻
(1980-06-20発行、 978-4592111054)
第16巻
(1980-08-20発行、 978-4592111061)
第17巻
(1980-11-20発行、 978-4592111078)
第18巻
(1981-02-20発行、 978-4592111085)
第19巻
(1981-05-20発行、 978-4592111092)
第21巻
(1981-12-16発行、 978-4592111115)
第22巻
(1982-03-20発行、 978-4592111122)
第23巻
(1982-07-20発行、 978-4592111139)
第24巻
(1982-10-20発行、 978-4592111146)
第25巻
(1983-04-20発行、 978-4592111153)
第27巻
(1983-11-19発行、 978-4592111177)
第28巻
(1984-03-19発行、 978-4592111184)
第29巻
(1984-08-17発行、 978-4592111191)
第34巻
(1987-11-19発行、 978-4592111245)
第37巻
(1990-10-19発行、 978-4592111276)
第38巻
(1992-03-30発行、 978-4592111283)
第39巻
(1992-10-19発行、 978-4592111290)
第40巻
(1993-09-17発行、 978-4592111306)
第44巻
(2009-08-26発行、 978-4592170044)
第47巻
(2011-07-26発行、 978-4592170075)
第48巻
(2012-02-25発行、 978-4592170082)
第49巻
(2012-10-05発行、 978-4592170099)
ガラスの仮面 25巻 白泉社〈白泉社文庫〉
第1巻
(1994-03-17発行、 978-4592880011)
第2巻
(1994-03-17発行、 978-4592880028)
第6巻
(1994-03-17発行、 978-4592880066)
第7巻
(1994-06-17発行、 978-4592880073)
第8巻
(1994-06-17発行、 978-4592880080)
第9巻
(1994-06-17発行、 978-4592880097)
第10巻
(1994-06-17発行、 978-4592880103)
第12巻
(1994-09-16発行、 978-4592880127)
第13巻
(1994-09-16発行、 978-4592880134)
第14巻
(1994-09-16発行、 978-4592880141)
第15巻
(1994-12-13発行、 978-4592880158)
第16巻
(1994-12-13発行、 978-4592880165)
第17巻
(1994-12-13発行、 978-4592880172)
第18巻
(1995-03-17発行、 978-4592880189)
第19巻
(1995-03-17発行、 978-4592880196)
第20巻
(1995-06-16発行、 978-4592880202)
第21巻
(1995-06-16発行、 978-4592880219)
第24巻
(2010-01-15発行、 978-4592880240)
第25巻
(2013-09-13発行、 978-4592880257)