ぼくたちのリメイク

ぼくたちのリメイク

木緒なち原作の小説『ぼくたちのリメイク』のコミカライズ作品。冴(さ)えないゲームディレクターの青年、橋場恭也が、10年前の時代に舞い戻り、クリエイターとして一からやり直す姿を描く青春リメイク白書。動画サイト黎明期である2006年を舞台にしており、実在の動画サイトが登場するほか、映像や動画制作の現場がリアルに描写されている。「ニコニコ静画」で2018年11月23日から2019年7月26日まで配信されたのち、「マガジンポケット」で2019年9月9日より配信の作品。2021年7月にテレビアニメ化。

正式名称
ぼくたちのリメイク
ふりがな
ぼくたちのりめいく
原作者
木緒 なち
漫画
ジャンル
青春
 
タイムトラベル
レーベル
シリウスKC(講談社)
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

2016年から、2006年へ。

ゲーム会社でディレクターとして働く橋場恭也は、無能な社長のしりぬぐいに奔走するも、奮闘空しく会社は倒産。半年分の給料も未払いで、家賃を払えずアパートから放り出された恭也は、失意のまま実家に帰省する。そこで恭也は昔の荷物を整理中、かつてあこがれていた有名イラストレーター「秋島シノ」の画集を見て、初心を思い出し、同年代である彼らがプラチナ世代と呼ばれる存在になっていることに思いを馳(は)せる。10年前、彼らと同じ大中芸術大学の映像学科に合格していれば自分の人生も変わっていたのにと、恭也は妄想する。すると次の瞬間、恭也は10年前の自分にタイムリープしており、願いどおり大中芸術大学映像学科に進学するチャンスをつかむ。「シェアハウスきたやま」の住人となり、個性的な志野亜貴小暮奈々子鹿苑寺貫之と出会い、亜貴が未来でプラチナ世代の一人で、昔あこがれていた「秋島シノ」その人だと知る。改めてのちにプラチナ世代と呼ばれる人たちと学べる環境に大きく感動し、輝かしい未来を手に入れるため精進する覚悟を固める。しかし恭也は、亜貴たちが持つ才能に圧倒され、自分には何もないことを実感する。亜貴は恭也が悩みを抱えていることに気づき、言葉をかける。彼女の言葉に励まされた恭也は、自分には何ができるのか考え始めるのだった。

総合実習、始まる。

入学して1か月が過ぎ去った頃、橋場恭也たちは映像制作の総合実習を課せられることとなる。恭也の班のメンバーは、シェアハウスでいつもいっしょのメンバーで、それぞれ「監督」は鹿苑寺貫之、「技術」は志野亜貴、「出演」は小暮奈々子と役割を担い、恭也は誰も希望しなかった「製作」を担当することとなる。貫之が監督兼脚本家としてアイディアを膨らませ、亜貴と奈々子がそれを形にし、恭也がそれらをまとめるという役割分担だが、当初はうまくいっていたものの、課題が「3分間の映像」ということもあり、尺が足りないという問題に直面する。映像を削除しようとする恭也と、それを認められない貫之は対立。ケンカ別れのような状態となり、恭也は大きく落ち込んでしまう。しかし、同期生でありライバルでもある河瀬川英子の不器用な励ましと、加納美早紀のアドバイスによって製作の仕事の意味を知り、貫之と向き合う決心を固める。そして貫之と和解し、改めて製作のかじ取りを始める恭也だったが、撮影当日、思わぬトラブルに遭遇する。レンタルするはずだったビデオカメラがスチルカメラになっており、さらに来るはずだった子役まで急病で来られなくなってしまう。絶望的な状況の中、みんなが「仕方ない」とあきらめるものの、未来での苦い経験を思い出した恭也は奮起し、今、自分が取れる手段のすべてを駆使して状況を打開するために動き出す。

本気で挑むために。

橋場恭也はさまざまな人と交渉し、班員の能力をすべて出し切った結果、辛うじて課題の映像を完成させる。肝心の出来に不安を覚える一同であったが、恭也たちの作品は拍手喝采で受け入れられ、3位の優秀作品に選ばれる。そして絶望的な状況からすべてを好転させた恭也の手腕に、志野亜貴たちも触発され、クリエイターとしての情熱を燃え上がらせる。そして亜貴たち三人は、恭也にライバル宣言をする。そしてそれぞれが新たなステップに目を向ける中、季節はめぐり夏を迎える。恭也たちは新たなメンバーを加え、映像制作の総合実習に臨むこととなる。新メンバーの一人、河瀬川英子はストイックな性格からほかのメンバーと対立することが多かったが、その優秀さと、根は面倒見がいいことからすぐにチームになじみ、無事に撮影は終了する。新たな映像作品は1位に輝くも、ほかの班の女優の熱演を見た小暮奈々子は、役者としての実力の差を痛感。さらに英子から本当は歌手になりたいという本心を見透かされた奈々子は大きく動揺し、みんなの前から姿を消してしまう。

たどり着ける「本気」の先。

小暮奈々子は実習以来、自信喪失して部屋に閉じこもったままになっていた。橋場恭也はそんな奈々子に、音楽ソフトを使って音程を直した歌を聞かせる。明確な形で理想の先にあるもを認識した奈々子は、改めて歌手を目指すことを決意し、音楽を本格的に勉強し始める。河瀬川英子は結果的に憎まれ役となり、チームを脱退しようとするも、彼女の言ったことは内心チームメンバー全員が思っていたことでもあり、恭也に説得されチームに残ることとなる。恭也は奈々子の音楽練習に付き合いながらも、季節はめぐり学校は学祭の季節となっていた。恭也が所属していた美術研究会はメイド喫茶をすることとなるも、人数不足のため志野亜貴登美丘罫子、奈々子がメイドとして応援に駆け付ける。そして迎えた学祭当日、恭也たちはメイド喫茶を盛り立てつつ、騒がしい学祭の空気を楽しむ。順調に学祭は終了するかと思われたが、学祭ライブで歌手がドタキャンするトラブルが発生していた。恭也はライブを担当する杉本ミキオが奈々子の指導で世話になっていることもあり、奈々子を代役に出すことを提案する。奈々子はプレッシャーに押しつぶされそうになるが、恭也に背中を押され、ライブに臨む。そして奈々子はのちにプラチナ世代の一人といわれるようになる歌手としての才能を開花され、ライブ会場は彼女の歌で熱狂に包まれる。奈々子はみごとライブを成功させ、恭也にお礼を言いにいこうとするが、そこで彼女が目にしたのは恭也と亜貴がキスをしている場面だった。

だからこそ僕は。

鹿苑寺貫之の実家は医者の家系で、大事な跡継ぎとして育てられていたが、高校の時に「物語」に出会い、たちまちそれに魅了される。隠れてバイトし、半ば勘当される形で、大中芸術大学の映像学科に進学した貫之は、学費を稼ぐためバイト三昧な日々を送っていた。しかしそんな無理がいつまでも続くはずもなく、貫之はある日、とうとうオーバーワークが祟(たた)って倒れてしまう。バイトのせいで学業にも支障が出ていたため、それを見かねた橋場恭也登美丘罫子のツテを使って同人ゲームを作ることを提案。かつて未来でゲームディレクターとして働いた経験から、ゲームを売って学費を稼ぐことを計画したのだ。志野亜貴小暮奈々子といつものメンバーも加わり、作るゲームは「エロゲ」と決まる。初めてのゲーム制作で、しかもエロゲということもあり、メンバーは大いに戸惑うこととなる。さらにそこに貫之の婚約者である慈照寺さゆりが乱入し、会場は修羅場と化す。そんな中、恭也は製作として全力を尽くし、徐々にゲームを形にしていく。しかし曲がりなりにもプロとして働いていた恭也の指摘は的確ではあるものの、それはクリエイターとしての個性を潰すものでもあるため、次第に周囲と意識差が明らかとなり、チームは不協和音を奏でることとなる。

関連作品

小説

本作『ぼくたちのリメイク』は木緒なち原作の小説『ぼくたちのリメイク』を原作としている。イラストはえれっとが担当。MF文庫Jより2017年3月から刊行されている。「このライトノベルがすごい!」2018年版では文庫部門6位、2019年版では同7位を受賞している。内容は冴えないゲームディレクターの青年、橋場恭也が10年前の時代に舞い戻り、青春をリメイクするため奮闘する姿を描く。2006年時点での動画サイト黎明期を描いており、作中には「ニコニコ動画」など実在の動画サイトが登場し、動画作成をする様子や作中キャラが「歌ってみた」に挑戦する姿が描かれている。また同作者が手掛けるスピンオフ小説『ぼくたちのリメイク ver.β』では序盤の展開から大きく分岐し、恭也がタイムリープせず、そのままゲームディレクターとしてやり直しを図る物語が展開される。

テレビアニメ

2021年7月から9月にかけて、本作『ぼくたちのリメイク』の原作小説『ぼくたちのリメイク』のテレビアニメ版『ぼくたちのリメイク』が、TOKYO MX、AT-X、BS日テレ、インターネット配信ほかで放送された。キャストは橋場恭也を伊藤昌弘、志野亜貴を古賀葵、小暮奈々子を愛美が演じている。テレビアニメ版は原作小説『ぼくたちのリメイク』をベースにしつつ、スピンオフ『ぼくたちのリメイク ver.β』の要素を入れて再構成された内容となっており、両作品を知っていると一層楽しめる内容となっている。初回第1話は1時間スペシャルとして放送された。また、2006年時点でのサブカルチャー事情をアニメは詳細に反映しており、劇中での学祭ライブシーンでは当時人気だった『涼宮ハルヒの憂鬱』で涼宮ハルヒが文化祭で歌った劇中歌『God knows...』を、本作の登場人物、小暮奈々子が熱唱するというシーンが追加されている。このシーンが放送されたあと、本作のテレビアニメ公式Twitter上で『涼宮ハルヒの憂鬱』とコラボが開始され、本作の登場人物、志野亜貴が涼宮ハルヒのコスプレをした特製ポスターがプレゼントされるキャンペーンが行われた。

登場人物・キャラクター

橋場 恭也 (はしば きょうや)

ゲーム会社でディレクターを務める男性。誕生日は1987年5月25日で、2016年時点で28歳。奈良県出身。子供の頃からゲームを作るのが夢で、私立大学卒業後、カー用品販売の営業に就職するも、夢をあきらめきれずに某エロゲ制作会社に就職する。しかし、社長が絵に描いたような無能であったため、フォローに奔走するものの実質的に会社は倒産してしまう。失意に暮れた状態で実家に舞い戻り、実家でプラチナ世代が自分と同年代であることに思いを馳せていたところ、10年前の2006年、18歳の自分にタイムリープする。人生をやり直すため、プラチナ世代の出身校である大中芸術大学の映像学科に進学し、シェアハウスきたやまで学生生活を始める。同じくシェアハウスの住人であり、同じ大学の1回生である志野亜貴、小暮奈々子、鹿苑寺貫之と交友を育んでいく。サークルは桐生孝史に半ば騙(だま)される形で、美術研究会に亜貴と共に所属する。周囲の才能に圧倒されることが多く、自分には才能がないことに劣等感を抱いている。しかしディレクター時代は社長のフォローに奔走したため、その経験から機転が利き、とっさのトラブルの対応能力は高い。交友関係も広く、交渉も得意なため美術研究会の先輩たちからも頼りにされており、時折彼らの力も借りている。1回生前期の映像作成の総合実習では大きなトラブルに見舞われ、班は危機に陥るが、その臨機応変な対応能力でカバーする。この出来事をきっかけに同期の班員を中心に実力を認められていくが、経験の差からくるズレが次第に周囲に思わぬ影響を与え、望まぬ方向に過去を変えていってしまう。亜貴と仲がよく、彼女とは次第に距離を縮めていき、学祭では彼女からキスをされる。一方、奈々子とはコンビニでのバイト仲間で、彼女の音痴を直すために練習に付き合っていた。学祭での出来事以降、彼女からも好意を持たれるようになり、三角関係となっている。

志野 亜貴 (しの あき)

大中芸術大学の映像学科に通う女性。誕生日は1987年4月19日。タイムリープした橋場恭也の同期生で、同じ「シェアハウスきたやま」で共同生活している。青い髪をショートボブにセットし、童顔で小柄な体型をしているため、中高生とからかわれるくらい幼く見える。福岡県の糸島市出身で、博多弁でしゃべる。「シノアキ」の愛称で呼ばれているが、志野亜貴自身は「アキ」と名前呼びされることにあこがれている。無邪気で明るい性格をしており、恭也に対しても初対面から添い寝をするなど、異性に対しても物怖(ものお)じせず距離を縮める。絵を描くのが大好きだが、それは逆に言えば運動も勉強もできないため、自分には絵しかないという思いの裏返しでもある。また絵を描くのは好きだが、描いた自分の絵を好きになれずにいる。そのため学校でもあくまで映像の勉強しかせず、絵を描いているのは秘密にしていたが、恭也にその秘密を知られ、彼から激励されて以降変わっていく。実は未来でプラチナ世代の一人である有名イラストレーター「秋島シノ」その人。恭也にとっても「秋島シノ」は特別な存在で、お互いに存在を強く意識し合い、学祭では亜貴の方からキスをして急速に距離を縮めていく。

小暮 奈々子 (こぐれ ななこ)

大中芸術大学の映像学科に通う女性。誕生日は1987年12月25日。タイムリープした橋場恭也の同期生で、同じ「シェアハウスきたやま」で共同生活している。小麦色の髪をポニーテールにし、垢(あか)ぬけた容姿をしている。見た目はギャルっぽいが中身はしっかり者で、意外と純情なところがある。滋賀県出身で、中学高校は演劇部に所属し、役者志望ながら映像学科に進学した。見た目がギャルっぽいこともあり、名字の「小暮」を「ちょっとグレている」とからかわれることが多いため、名字読みが嫌いで、初対面の人には名前呼びをお願いしている。恭也とは同じコンビニのバイト仲間でもあり、お互いに気安く接している。実は歌うのが大好きで、歌手になることを夢見ているが、壊滅的な音痴で自分に自信を持てずにいる。演劇部だったにもかかわらず演技を見られるのを恥ずかしく思っていたが、1回生前期の映像作成の総合実習で恭也に触発されて以降は、前向きに演技するようになっている。しかし2回目の総合実習で、ほかのチームとの比較で役者としての実力の差を思い知らされた上に、河瀬川英子から役者ではなく歌手になりたいという本心を見透かされてしまう。音痴ながら、小暮奈々子の歌には不思議と人を惹きつける情熱と魅力があり、歌い手としての才能は飛び抜けている。英子に指摘されて以降は大きく落ち込むが、恭也に音楽ソフトで音程を調整された自分の歌を聞き、練習を重ねて音痴を直して先を目指すことを決める。学祭ではアクシデントによって学祭ライブで歌を披露することとなる。大きなプレッシャーにくじけそうになるものの恭也の言葉によって励まされ、ライブでその才能を大きく開花させる。実は未来でプラチナ世代の一人である人気歌手「N@NA」その人。学祭以降、恭也を異性として意識するが、恭也と志野亜貴がキスする場面を目撃してしまう。

鹿苑寺 貫之 (ろくおんじ つらゆき)

大中芸術大学の映像学科に通う男性。誕生日は1988年1月14日。タイムリープした橋場恭也の同期生で、同じ「シェアハウスきたやま」で共同生活している。どこか脱力感を漂わせており、見た目も言動も不まじめで軽薄そのもの。初対面の志野亜貴や小暮奈々子に対してもからかい半分で失礼な態度を取ったため、彼女たちから制裁を受けている。軽薄な態度が目立つが、恋愛に関してはある事情からまったく興味がない。バイトに精を出しているために講義中はふまじめな態度ながら、居眠りの最中に質問されてもスラスラ答えるなど、かなり博識で頭の回転も速い。「物語」を作るのが夢で、つねにアイディアのメモ帳を肌身離さず持っている。実は実家は医者の名家で、大事な跡取りだったが、高校時代に物語に触れてクリエイターとしての道を目指すことを決める。親からは勘当同然の状態で家を出て、大中芸術大学映像学科に進学したため、バイトをして学費を稼いでいた。慈照寺さゆりとは婚約者の関係で、彼女から好意を寄せられ、「つーくん」と呼ばれている。強引にぐいぐいせまってくるさゆりには引いた態度を取っているが、幼なじみで憎からず思っているため強く出られず、彼女に押し切られることが多い。

河瀬川 英子 (かわせがわ えいこ)

大中芸術大学の映像学科に通う女性。誕生日は1987年6月26日。タイムリープした橋場恭也の同期生。赤い髪を長く伸ばした美女で、物作りに対する情熱と才能にあふれた才媛。ストイックな性格で、自他共に厳しく、物事をはっきり言う実直な性格をしている。そのため人とのコミュニケーションを取ることに難があり、孤立しがち。恭也たちのチーム「きたやま」の実力を認めているが、一方で彼らをライバル視し、1度目の総合実習では監督としてチーム「きたやま」と競い合う。厳しい物言いが多いが、根は面倒見がよく生真面目。携帯電話の使い方がわからず困っていたところを、恭也に助けてもらったことをきっかけに彼と連絡先を交換して、恭也の相談役となる。名字は違うが、加納美早紀の実妹。2度目の総合実習では、姉の計らいでチーム「きたやま」に移籍し、彼らと行動を供にするようになる。自分のことを知識自慢する「頭でっかち」で「作るものはお手本みたいなものばかり」と、クリエイターとしての才能がないのを自覚しており、チーム「きたやま」をライバル視するのも、彼らの才能への嫉妬とあこがれの裏返し。そのため小暮奈々子の歌を聞いた際、煮え切らない態度でその才能を腐らせようとする奈々子に腹を立て、彼女を糾弾する。恭也がフォローするのを見越したうえで糾弾したが、その後も奈々子の様子を気に掛けており、一度はチーム「きたやま」を脱退しようとするも恭也に説得される形で残留している。

登美丘 罫子 (とみおか けいこ)

大中芸術大学の映像学科の卒業生を名乗る少女。橋場恭也曰(いわ)く、とあるアニメの魔法少女に似た容姿で、ピンク色の髪をツインテールにしている。年齢の割に異常に幼児体型で、見た目は小学生にしか見えない。しかし、年齢は25歳以上と恭也たちよりも年上で、言動がいちいちおっさんぽい。一人称は「うち」で、関西弁でしゃべる。愛称は「ケーコちゃん」。在学中、加納美早紀とは学部が違うが同期生だった関係で、学生時代はいっしょにゲームを作っている。現在は二次創作メインの大手ゲーム制作サークル「ハルキゲニアソフト」に所属し、プログラミングを担当している。ハルキゲニアソフトは固定メンバーのいないサークルで、今はプログラマーの登美丘罫子以外は空席であるため、恭也の手腕を見て制作にスカウトする。恭也が鹿苑寺貫之の学費を稼ぐ際には、恭也に説得され、サークルの知名度を貸している。要所要所で恭也の前に姿を現す謎多き人物で、タイムリープを知っている素振りを見せるなど意味深な言動が多い。

加納 美早紀 (かのう みさき)

大中芸術大学で助教授を務める女性。眼鏡の似合うクールビューティーで、黒い髪を長く伸ばしている。橋場恭也たち映像学科の実習を担当している。シビアな性格で、エンターテイメント業界に夢を抱いて入学した新入生に、現実の過酷さを切々と訴えかけた。実は名字が違うが、河瀬川英子とは姉妹。学校では教師と生徒として接しているが、二人っきりの時は素の態度で接する。その性格から孤立しがちな英子のことを心配しており、1度目の実習以降は恭也の手際を見て、英子が恭也のチームに入るようにたきつける。登美丘罫子とは学生時代、学部が違うが同期の関係で、共にゲームを作っていた。ゲーム制作ではシナリオ担当だったが、男性が書いたっぽいシナリオと評されていた。恭也たちが道に迷った際、的確にアドバイスを送って彼らを見守るが、恭也の製作としての適性が危ういものであることを危惧している。

火川 元気郎 (ひかわ げんきろう)

大中芸術大学の映像学科に通う男性。タイムリープした橋場恭也の同期生。身長は190センチを超える長身で、体を鍛えているため、がっしりした体格をしている。体育会系の気のいい人物で、快活な性格をしており、恭也と仲がいい。入学早々、忍術研究会に入部したため、時おり忍者の格好をしている。また近所で小学生相手に空手の先生もしているため、道着姿で通学することもある。空手をやっている姿が強くてかっこいいと評判で、小学生からの人気が高い。ただし火川元気郎自身は熟女好きらしく、子供にモテてもしょうがないと思っている。1度目の総合実習では恭也とは別のチームとなるが、子役が急病で来られなくなった恭也のため、空手教室のツテを使って急遽(きゅうきょ)、子役の代役を手配した。2度目の贈号実習では河瀬川英子と共にチーム「きたやま」に合流し、副監督の役割を担った。

桐生 孝史 (きりゅう たかし)

大中芸術大学の写真学科に通う男性。橋場恭也たちの先輩で、学年は登場時点で5回生。美術研究会の部長を務めているが、軽薄で突拍子もない言動が多い。恭也たちの入学時にはサークルの部員数が少なく、存続の危機に陥っていたため、行き倒れたふりをして恭也と志野亜貴を部室に誘い込み、土下座して半ば無理やり勧誘している。思い付きで変な行動を始めるため、部長にもかかわらずサークル内での立場は低く、よく樋山友梨佳に折檻(せっかん)されて正座を強いられている。写真学科に所属しているためカメラの知識はかなりのもので、1回目の総合実習では突然の機材トラブルに見舞われた恭也にスチルカメラの使い方を教え、彼らを窮地から救っている。恭也にはさまざまな雑用を手伝ってもらったり、桐生孝史自身の尻ぬぐいをしてもらっているため仲がよく、恭也が困っている際にはツテを使って便宜を図っている。学祭では勝手にメイド喫茶を申請したため、サークルメンバーからひんしゅくを買ったが、恭也のお陰で事なきを得る。深夜の作業中にアニメを見て以降、どっぷりハマってアニメ好きとなる。特に京都アニメーションのアニメが好きで、最近は『涼宮ハルヒの憂鬱』にハマっている。

樋山 友梨佳 (ひやま ゆりか)

大中芸術大学の工芸学科に通う女性。橋場恭也たちの先輩で、学年は登場時点で3回生。長く伸ばした黒い髪をお団子にしてまとめている。美術研究会に所属している。突拍子のない行動をする桐生孝史のストッパー役を担っており、よく彼を折檻して、正座させている。面倒見のいい性格であるため、恭也たち下級生からも信頼されている。

杉本 ミキオ (すぎもと みきお)

大中芸術大学の音楽学科に通う男性。橋場恭也たちの先輩で、学年は登場時点で2回生。ふくよかな体型で、温和な顔立ちをしている。美術研究会に所属しており、のちに恭也にお願いされ、歌い手として小暮奈々子の指導を行なった。厳しい指導法ながら、奈々子の才能を認めている。学祭ではライブスタッフとして奔走していたが、シークレットゲストに指名していた歌手にドタキャンされピンチに陥る。恭也の提案により、奈々子にライブを託したことで、ライブを成功に導く。

慈照寺 さゆり (じしょうじ さゆり)

鹿苑寺貫之の婚約者の女性。黒い髪をボブカットにセットし、一目で美人とわかるほど容姿が優れている。上品な立ち振る舞いと、護衛のSPを引き連れた絵に描いたようなお嬢様で、貫之とは家同士の付き合いのある幼なじみの関係。貫之のことが大好きで、親が決めた婚約ながら押しかけ女房的に彼に接している。貫之からは「さゆり姉」と呼ばれている。貫之がバイトで学費を稼いでいることを知り、連れ戻すためシェアハウスきたやまを訪れる。あの手この手で貫之を誘惑して連れ戻そうとするが、最終的に貫之に説得され、彼の意思を尊重することを決める。当初は橋場恭也を貫之が苦労している元凶と思っていたが、貫之が恭也のことを本当に信頼し、認めていることを知って以降は、彼に貫之のことを託している。

場所

大中芸術大学 (おおなかげいじゅつだいがく)

大阪府南河内郡にある芸術系の大学。通称「大芸」。映画、アニメといったメディア関係に強く、大中芸術大学出身のアニメ監督も多い。世界的ゲームメーカーに何人もの卒業生を輩出するなど輝かしい実績を誇っているが、一方で在学生は変わり者が多く、生徒の5分の1が中退するともいわれている。また音楽学科や映像学科には、歌手や役者志望の学生も多い。実在の大阪芸術大学がモデルとなっている。

シェアハウスきたやま

橋場恭也たちが暮らしているシェアハウス。恭也たちが大中芸術大学に入学した時点では、恭也、志野亜貴、小暮奈々子、鹿苑寺貫之の四人が住んでいる。家事は住民たちによる当番制で回しているが、亜貴のみは家事が壊滅的にできないため、お手伝い係となっている。総合実習ではシェアハウスの住民たち四人でチームを組み、シェアハウスの名前にあやかってチーム「きたやま」を名乗っている。のちに河瀬川英子と火川元気郎がチームに合流した際には、チーム「きたやま・改」に改名している。

その他キーワード

プラチナ世代 (ぷらちなせだい)

大中芸術大学を卒業した有名クリエイターの世代を指す言葉。業界の第一線で活躍する人材を同年代に何人も一度に輩出したが、特に超有名イラストレーター「秋島シノ」、2年連続でムックで1位に輝いたラノベ作家「川越京一」、ニコニコ動画を中心に「歌ってみた」ジャンルで爆発的な人気を誇るシンガーソングライター「N@NA」の三人がトップランナーとして知られており、同世代の中でも別格として扱われている。三人は大中芸術大学の映像学科出身で、1988年生まれという共通点がある。2016年には業界大手のゲームメーカー「サクシードソフト」が、プラチナ世代のトップランナーを一堂に会してゲーム制作を発表し、大きな話題を呼んでいた。

クレジット

原作

木緒 なち

キャラクター原案

えれっと

書誌情報

ぼくたちのリメイク 7巻 講談社〈シリウスKC〉

第1巻

(2019-04-09発行、 978-4065151754)

第2巻

(2019-09-09発行、 978-4065168585)

第3巻

(2020-06-25発行、 978-4065197271)

第4巻

(2020-11-25発行、 978-4065214114)

第5巻

(2021-07-08発行、 978-4065229705)

第6巻

(2021-10-07発行、 978-4065247792)

第7巻

(2022-05-09発行、 978-4065278567)

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