あらすじ
第1巻
女友達には恵まれているものの、男性と縁のない生活を送っていた椛永遠は、高校の入学式の日に偶然、豹堂望と出会い、顔に軽いケガを負わせてしまう。その事がきっかけで永遠は望と親しくなり、望のグループに所属する男子とも親睦を深めていく。そんな中、1泊2日の新入生オリエンテーション合宿が行われ、永遠はC組クラス代表委員として奮闘する。そして、D組クラス代表の望とも会話をする機会が多くなり、永遠はもっと望の事を知りたいと思うようになる。合宿の最中、永遠は学年一の人気者である孔雀優から突然の告白を受ける。優の事をほとんど知らない永遠は、なぜ自分が告白されたのかもわからず大いに動揺する。永遠はどう返事をすべきか迷う中、合宿の夜に肝試し大会が催され、永遠と望、優はお化け役として参加する。周囲からは完璧な人間だと思われていた優だったが、実はお化けが苦手で、持ち場で一人震えていたところを、永遠と望に目撃されてしまう。そこで優は初めて自分の本性をさらけ出し、永遠は、私の前では格好をつける必要がないと優を受け止める。そんな永遠に対し、優はさらに恋心を募らせていく。
第2巻
椛永遠達が参加する1泊2日の新入生オリエンテーション合宿も最終日を迎え、動物園と遊園地が併設されたテーマパークで自由行動をする事になった。永遠と豹堂望、孔雀優はいっしょにゲームに挑戦するなど、楽しい時間を過ごす。そんな中、偶然同じテーマパークを訪れていた、別の高校に通う安西華歩と望が再会。華歩から中学時代から望が好きだと打ち明けられた永遠は、二人をくっつけようと画策するが、同時にモヤモヤした気持ち悪さを覚える。華歩から望と交際はしていないと聞いた永遠は安堵し、自分は望を男友達ではなく異性として意識している事を自覚する。そして、合宿からの帰宅途中、永遠が電車の中でウトウトとしていると、突然望からキスをされてしまう。気づかないふりをしてその場はやり過ごす永遠だったが、今後望とどう向き合っていけばいいか苦悩する。そんな悩みを抱える永遠をよそに、望はいつも通りの振る舞いを見せる。あのキスはなんだったのかを深く悩んでいた永遠は、苦悩が怒りへと変わり、望とのあいだにすれ違いが生じ始める。
第3巻
椛永遠と豹堂望はギクシャクとした関係が続いていたが、ある日、山吹舞らの提案で、親しい友達を集めて勉強会を開催する事になった。望と仲直りしたい永遠が会場へと向かっていると、不良に絡まれている安西華歩を目撃。永遠は華歩の助けに入るものの、男性に囲まれて絶体絶命のピンチに陥る。そんな中、永遠は偶然居合わせた孔雀優のおかげで難を逃れるが、助けに来た望の前でキスをされてしまう。望の誤解を解こうと永遠はあとを追うが、望からはもうこれまで通りの友達ではいられないと拒絶されてしまう。ショックを受ける永遠だったが、自分は望を失いたくないと改めて気持ちを奮い立たせる。永遠は、自分は望が好きだから優とは交際できないとはっきりと断り、男友達ではなく異性として好きだと望に伝えるため、望のD組へと向かう。
登場人物・キャラクター
椛 永遠 (もみじ とわ)
高校1年生の女子。1年C組に在籍している。年齢は15歳。昔から気の合う女友達に恵まれていたため、恋愛どころか男性と親しくなる機会すら逃していた。そのため男性に免疫がなく、会話をするだけで顔が真っ赤になってしまい、周囲からは「ハバネロ」とからかわれている。運動神経が抜群で、特にスケボーは得意。昔から男性的な趣味ばかりに熱中しているため、母親を気遣って、女の子らしい部分も残そうとロングヘアにしている。しかし手入れをするのは苦手で、髪がボサボサになっている事が多い。明るく素直な性格の持ち主で、いつも元気一杯。自分が悪いと思えば素直に謝罪する事ができ、いつの間にか周囲のリーダー的な存在になっている人気者。一方で恋愛事は未経験な事から、異性の気持ちにやや鈍感な一面がある。入学式の日に出会った豹堂望に興味を抱き、初めての男友達として親睦を深めていくうちに、自然と恋に落ちていった。
豹堂 望 (ひょうどう のぞむ)
椛永遠と同じ学校に通う男子。1年D組に在籍している。地域で一番荒れていた中学校の出身で、中でも素行の悪いとされているグループの中心的な人物として有名だった。つねに喧嘩はしているが、無駄に暴力を振るったり、他者に迷惑をかけたりする事はなく、士蛇達とつるんで遊んでいるだけだった。クールで愛想のない性格と、中学時代の悪い噂が先行している事もあり、周囲からは距離を置かれている。しかし、その整った見た目から一部の女子生徒には密かに人気がある。近寄りがたい雰囲気を漂わせているため、昔から女性と縁がなく、永遠と同じく異性と接すると顔が真っ赤になってしまう。永遠いわく「ピュアでシャイ」。入学式の日に偶然永遠と出会い、初めての女友達として親睦を深めていく。永遠からは親しみを込めて「のんちゃん」と呼ばれている。
孔雀 優 (くじゃく ゆう)
椛永遠と同じ学校に通う男子。1年A組に在籍している。整った顔立ちとキラキラとしたオーラをまとい、男ながらも周囲からは「美人」と評されている。トップの成績で高校に入学し、新入生代表の挨拶をした事で、女子生徒達から絶大な人気を獲得している。家柄もよく、父親は地元でも有名な権力者である。周囲からはパーフェクトな人間だと思われているが、孔雀優本人は計算高く、理想の自分を必死に演じている。そのため、完璧な自分を演じる事に疲れも覚えており、親友の幸久と、偶然に本音を打ち明けた永遠と、豹堂望の前だけでは素の自分を隠さない。永遠の「軽そうに見えて異性に免疫がないところ」がツボにはまり、入学早々好意を抱いている事をはっきり伝えた。永遠の事は好きだが、同時に永遠が望に異性としての好意を抱いている事にも気づいており、無理に気持ちを押し付けるような事はしない。
椿 典子 (つばき のりこ)
椛永遠と同じ学校に通う女子。1年C組に在籍している。永遠とは中学時代からの親友。ロングヘアの大人びた美人で、感情をあまり表に出す事はない。永遠の女友達の中では唯一恋愛経験があり、過去には彼氏もいた。周囲から評判のいい孔雀優に対し、最初からうさんくさい男性と警戒するなど、他者を観察する能力に優れている。実家は「椿道場」という武術道場を経営している事から、椿典子自身も武術に長けている。精神的にも肉体的にもタフな事から、周囲の男性からは一人でも生きていけると思われているが、唯一女性扱いしてくれた幸久が気になっている。女友達からは「のっこたん」と呼ばれている。
山吹 舞 (やまぶき まい)
椛永遠と同じ学校に通う女子。1年C組に在籍している。永遠とは中学時代からの親友。お気に入りのヘアスタイルはポニーテール。気の強い性格で、言いたい事ははっきり口に出すタイプ。豹堂望達が所属するグループとも臆せず会話する事ができる。しかし恋愛に関する事になると一気にシャイになり、本音が言えずに意固地な態度を取ってしまう。のちにずっと好意を寄せていた士蛇と交際をスタートさせた。士蛇からは「舞たん」と呼ばれている。
胡桃 (くるみ)
椛永遠と同じ学校に通う女子。1年C組に在籍している。永遠とは中学時代からの親友。つねに笑顔を絶やさず、マイペースでのんびりとした性格の平和主義者。やや天然気味なところがあり、言いたい事は素直に口にしてしまう。小柄でかわいらしい容姿のため、男子生徒から密かに人気を集めている。出会った頃から一郎が気になる存在で、永遠と豹堂望、山吹舞と士蛇のカップル誕生に触発され、積極的にアプローチを開始する。永遠など親しい友達からは「るぅ」と呼ばれている。
士蛇 (しだ)
椛永遠と同じ学校に通う男子。1年D組に在籍している。豹堂望とは中学時代から同じグループに所属している。入学式当日に風邪を引き、たまたまコンビニエンスストアで購入していた黒いマスクを身につけていた事で周囲に恐怖感を与えていた。実際は明るく気さくな性格の持ち主で、望が喧嘩をしてケガをしたと周囲に誤解を受けていた際、そうではないと訂正に入った永遠を気に入り、親睦を深めている。その人懐っこい態度から、女子生徒から好意を抱かれる事も多い。いたずら好きで、小学生時代は頻繁にスカートめくりをしていた。入学してからすぐに山吹舞に好意を寄せるようになり、のちに交際をスタートさせた。
一郎 (いちろう)
椛永遠と同じ学校に通う男子。1年D組に在籍している。豹堂望とは中学時代から同じグループに所属している。温和な雰囲気を漂わせており、グループの中では一番とっつきやすいタイプ。しかし短気な一面もあり、やや子供っぽい言動が目立つ。胡桃から好意を寄せられている。
幸久 (ゆきひさ)
椛永遠と同じ学校に通う男子。1年D組に在籍している。孔雀優の親友で学校以外でもいっしょに行動を共にする事が多く、側近的な役割を担っている。優の本来の性格にも気づいているが、特に指摘をする事はない。椿典子が男性を華麗に背負い投げをしている場面を目撃して以来、典子に接近するようになる。そんな場面を見たにもかかわらず典子を女性扱いした事で、彼女に興味を抱かれるようになる。
山羊 (やぎ)
椛永遠の在籍する1年C組の担任を務める男性。繊細で傷つきやすい性格で、つねに周囲に対して謝罪をしている。気弱過ぎる一面はあるものの指導は熱心で、新入生全員の顔と名前を初日から全員覚えていた。クラスの中心人物で、授業の進行を助けてくれる永遠に感謝している。
安西 華歩 (あんざい かほ)
高校1年生の女子。椛永遠達とは別の名門女子高校に通っている。豹堂望とは同じ中学校の出身で、以前強引な先輩から付き合ってほしいとしつこく絡まれていた際、助けてくれた望に好意を寄せるようになる。しかし告白する勇気が出ないまま卒業してしまい、その事をずっと後悔していた。偶然望と再会して告白をしたが、望には好きな人がいると知って潔く身を引いた。控え目で清楚な雰囲気を漂わせた美少女で、永遠の男勝りな行動力にあこがれを抱いている。