めぐる未来

めぐる未来

辻やもりの初連載作品。出版社「藝談社」を舞台に、感情の大きな起伏によって過去に戻るという持病を持った襷未来が、妻の襷めぐるが何者かに殺害される運命を変えるため、タイムスリップして犯人捜しに奔走する姿を描いたタイムリープサスペンス。忌避していた過去に戻る病を最大限に生かし、めぐるを殺害しようとする狡猾な犯人との心理戦が見どころとなっている。芳文社「週刊漫画TIMES」2021年12月17日号から2023年6月16日号にかけて連載の作品。2024年1月、テレビドラマ版『めぐる未来』が日本テレビ系で放送された。襷未来を萩原利久、襷めぐるを早見あかりが演じている。

正式名称
めぐる未来
ふりがな
めぐるみらい
作者
ジャンル
タイムトラベル
 
サスペンス
レーベル
芳文社コミックス(芳文社)
巻数
全5巻完結
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幸せな夫婦に訪れる悲劇

襷未来と襷めぐるは、互いを思いやる理想的な夫婦。原因不明の病を抱える未来にとって、無邪気で明るいめぐるは何よりの心の支えになっていた。めぐるにとっても未来はクールながらも優しい自慢の夫で、二人の仲は結婚から4年を経た現在も円満そのものだった。そんな彼らの幸せな生活は、2022年6月16日、めぐるが職場の階段から転落死したことで崩壊する。ビルの4階から転落しためぐるの変わり果てた姿を見た未来は、深い悲しみの中で「過去に戻る病」を意図的に発症させ、過去に戻ってめぐるの死を回避するために動き出す。

過去に戻る病で妻の死を阻止

襷未来が生まれつき患っている「過去に戻る病」は、「リフレイン」と呼ばれる分泌液が原因で発症する。リフレインは、限られた人間の体内にのみ分泌される特殊なもので、怒りや悲しみ、恐れ、不安など、主に負の感情によって大きな起伏を起こした際に多く分泌され、神経系の乱れから動悸を引き起こす。この影響で心拍数が80を超えると体の自由が利かなくなり、さらに心拍数が100を超えると、発症者の意思とは関係なく過去にタイムスリップする。この病気は遺伝性のもので、未来の父親・襷正年は、家族が死んだことで病気を発症させて過去に戻り、その死を食い止めるために身代わりになって死亡した。そのため襷未来の母親・襷育子は、未来に病気を意図的に発症させて過去に戻らないように言い聞かせていた。また未来自身も、この病気が呪われたものだと忌み嫌っており、一時は両親が自分を産んだことに絶望していた。しかし襷めぐるの死を目の当たりにし、彼女の死の原因を探るため、意図的に過去に戻る決意を固める。なお、「過去に戻る病」は育子が呼んでいた仮称で、正式名称は不明。

誰が襷めぐるを殺したか?

襷めぐるの死をきっかけに過去に戻った襷未来は、彼女が自らが勤務するオフィスビルから転落したことから、犯人はめぐるの仕事関係者ではないかと疑う。そこで、かねてからめぐるに提案されていた藝談社の仕事を引き受けるかたちで社内に潜り込み、同僚や上司のアリバイやめぐるとの関係性を徹底的に調査する。さらに、めぐるにGPS発信機が内蔵されたアクセサリーをプレゼントし、彼女の位置をつねに把握していた。しかし、めぐるは未来の目の前で、パーカーを着た謎の男に背後から刺されてしまう。その後も、さまざまな罠を仕掛けてくる犯人の執拗さと狡猾さに、未来は謎の人物の異常性を肌で感じ取る。だが、それでも未来は決してあきらめることなく、めぐるが命を落とすたびにタイムスリップを繰り返し、何度も時を巡ることで犯人の手がかりをつかんでいく。

登場人物・キャラクター

襷 未来 (たすき みらい)

デザイナー兼イラストレーターの青年。年齢は29歳。黒髪短髪で、仕事中は眼鏡をかけている。父親の襷正年と同じ「過去に戻る病」を抱えており、感情の過度の起伏をきっかけに襷未来自身の意思とは無関係に過去にタイムスリップしてしまう。中学生の頃にこの病を生かして過去に戻り、高所から突き落とされた男性を助けたことがある。しかし母親の襷育子からは、病を発症させることを極力避けるように言い聞かせられており、腕に心拍計をつけ、不安や緊張を和らげる薬と脈の乱れを抑える薬を服用するなど、発症しないように感情のコントロールをしている。周囲からはクールな性格だと思われているが、これは感情の起伏を抑えるためにそう振る舞っているだけである。高校、大学と進むにつれて、やがて他人とのかかわり自体を断つようになり、長らく孤独な日々を過ごしていた。そんな中、喫茶店でアルバイトをしていた襷めぐると知り合い、やがて彼女から告白を受けて結婚した。穏やかで幸せな夫婦生活を送っていたが、2022年6月16日、めぐるは職場の階段から転落死してしまう。深い怒りと悲しみで、過去に戻る病を発症して3日前にタイムスリップし、めぐるの死の原因を探り、彼女を助けるために奔走する。

襷 めぐる (たすき めぐる)

出版社「藝談社」に勤務する女性で、襷未来の妻。年齢は34歳。茶髪をセミロングヘアにしている。天真爛漫な優しい性格で、前向きな言動で場の空気を明るくするムードメーカー的存在。社長からもなくてはならない人材と賞賛され、同僚の四季村隆道からは好意を寄せられ、日南小夜から「めぐるん」と呼ばれるなど、多くの同僚から慕われている。未来が抱える病のことは知らず、彼が感情をあまり表に出さない理由も知らないが、決してそれに言及することなく、クールに振る舞う所作に魅力を感じている。5年前に未来に告白し、交際の末に結婚。穏やかで幸せな夫婦生活を送っていたが、2022年6月16日、襷めぐるは職場の階段から転落死してしまう。そこで未来は「過去に戻る病」によって死の3日前にタイムスリップし、この惨事を阻止する。しかし次の時間軸では、めぐるは黒パーカーの男に後ろから刺されるなど、明らかに何者かに殺意を向けられていることが明らかになる。

書誌情報

めぐる未来 全5巻 芳文社〈芳文社コミックス〉

第1巻

(2022-04-14発行、 978-4832239128)

第2巻

(2022-08-16発行、 978-4832239388)

第3巻

(2023-01-16発行、 978-4832239654)

第4巻

(2023-04-14発行、 978-4832239876)

第5巻

(2023-08-16発行、 978-4832203211)

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