五郎の冒険

五郎の冒険

恐竜が闊歩する原始時代から、今から数百年後の未来にいたるまでの各年代を、自在に往来することで巻き起こる波乱万丈の冒険を綴ったSFタイムトラベル漫画。横山光輝の『時の行者』の少年版ともいえる作品で、のちのSF少年漫画に多大な影響を与えた。「中学生の友」「小学六年生」「小学四年生」「小学五年生」に1956年から1962年にかけて連載されたが、掲載誌によってストーリーと人物設定が微妙に異なる。

正式名称
五郎の冒険
ふりがな
ごろうのぼうけん
作者
ジャンル
タイムトラベル
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概要・あらすじ

小学生の少年・花咲五郎は、春休みにおじの多良良博士の研究所を訪れ、完成したばかりの時航機でタイムトラベルの旅に出る。最初に訪れた江戸時代では強盗団に襲われるが、危機一髪で脱出に成功。その後も2人は原始時代で恐竜に襲われたり、中世のパリで牢屋に閉じ込められたり、300年後の未来世界では五郎の子孫に出会ったりと、時空を超えた波乱万丈の冒険を次々と体験することになる。

登場人物・キャラクター

花咲 五郎 (はなさき ごろう)

小学生の少年。正義感にあふれ、好奇心が強く活発な性格。時航機でのタイムトラベルで訪れた過去や未来の世界でさまざまな事件に巻き込まれるが、持ち前の行動力で数々の難問題を解決していく。拳銃も使いこなすことができる。

多良良博士 (たららはかせ)

花咲五郎のおじで、世界初の時航機を発明した優秀な科学者。郊外の丘の上に建つ広大な敷地の自宅を兼ねた「多良良研究所」で、研究と新発明に没頭している理学・工学博士。戦いにおいては、青年時代にたしなんだ柔道の技で悪者たちを投げ飛ばす猛者でもある。掲載誌によっては、「多良良三次」「道夫」の名になっている。

原賀 素一太 (はらが すいた)

空き巣やかっぱらいの常習犯の男。「泥棒」を略した「ドロちゃん」と呼ばれている。多良良博士に無断で時航機を操作し、タイムトラベルをして災難に遭う。根は小心者で、のちに改心して多良良博士と花咲五郎の助手として、ともに冒険の旅をすることとなる。

天野 伝兵衛 (あまの でんべえ)

江戸時代の庄屋の主人の中年男性。村人から慕われている人格者で、村のリーダー的存在となっている。おきつねさまに苦しめられており、現代の世界からやって来た花咲五郎と多良良博士を天狗の使いと勘違いし、2人に救いを求める。

佐々 源太 (ささ げんた)

江戸時代の甲賀流忍者の男性。最初は花咲五郎たちを敵視していたが、彼らの科学力を見て感嘆し、多良良博士に弟子入りを懇願する。のちに五郎たちとともに時航機に乗ってタイムトラベルをして、各時代で自慢の忍術を使い、一行のピンチを救う活躍を見せる。

ポルトス

1625年のフランスでルイ13世に仕える剣士の男性。三銃士の1人で、西洋剣の使い手。勇敢な性格で、タイムトラベルでやって来た多良良博士らをスパイと勘違いして、戦いを挑んだ。人を見る目が確かなうえ、正義感溢れる性格。アレクサンドル・デュマ(父)の小説『三銃士』に登場する架空の人物がモデル。

ルイ13世 (るいじゅうさんせい)

1625年当時のフランス国王。王冠を被って白髭を蓄えた老人。豪華な宮殿に住み、政治・経済・国防など自ら直接国家を統治して、絶対的権力を振るう専制君主。家来の1人であるポルトスへの信頼が厚い。実在の人物、ルイ13世がモデル。

花咲 淳一 (はなさき じゅんいち)

2261年の世界に住む未来人の青年。花咲五郎の数代先の子孫にあたる。過去からタイムトラベルして来た自分の先祖である五郎との出逢いに感激し、未来の世界の案内役を買って出る。五郎たちを救うために原始時代にタイムトラベルする。

ホワイトベア

脱獄して指名手配されている凶悪犯の男性。25世紀の世界からタイムトラベルをして、2261年の世界にやって来た時間密航者。小型の時航機に乗って各時代で悪事を働き、またタイムトラベルして他の時代に逃走することを繰り返している。

宮本 武蔵 (みやもと むさし)

戦国時代の武士の男性。武者修行中の浪人剣士で、タイムトラベルして来た花咲五郎と知り合い、行動をともにするようになる。五郎とともに、野武士集団に苦しめられている村人たちを助けるために大活躍をする。実在の人物、宮本武蔵がモデル。

猿飛 佐助 (さるとび さすけ)

戦国時代の忍者の男性。タイムトラベルして来た花咲五郎たちが、野武士集団に襲われていたところを助けた。のちに五郎たちとともにタイムトラベルをする。

恐竜 (きょうりゅう)

巨大な爬虫類。花咲五郎たちがタイムトラベルでやって来た原始時代に生息している。プテラノドンなどの翼竜、背中に剣板を生やした剣竜、海棲恐竜のチノザウルス、エラスモザウルスなどがいる。いずれも獰猛な性格で、五郎たちに襲いかかってくる。

集団・組織

おきつねさま

江戸時代の強盗団。きつねの仮面を被った悪党集団で、古くからの迷信に乗じて妖怪変化に見せかけて村人をたぶらかし、恐れる村人たちから金品を強奪するという悪事を重ねている。馬を乗りこなし、槍や刀を使いこなす武装集団でもある。

ギャング団 (ぎゃんぐだん)

マシンガンを使って悪事を重ねている強盗団。強欲な親分と、子分の三五郎に竜、そして金庫破りが得意なサムの4人組。中世のルイ13世が所有する財宝を強奪する目的で多良良研究所に押し入り、時航機に乗り込んでタイムトラベルをする。

野武士集団 (のぶししゅうだん)

札付きの浪人たちが武装した強盗団。「おにの藤太」と恐れられる野武士を頭としている。約50人もの集団で、稲の収穫後を狙って定期的に村を急襲し、金品の強奪を繰り返している。村人の仲間になった宮本武蔵および花咲五郎たちと対決する。

未来怪人 (みらいかいじん)

マント姿に覆面で素顔を隠して活動する悪党集団。小型の時航機に乗って原始時代にタイムトラベルして来た。時間警備隊に指名手配されている。未開な原始人を使って、ダイヤモンド鉱からダイヤの原石を掘り出して大儲けを企んでいる。

時間警備隊 (じかんけいびたい)

無断でタイムトラベルをする無法者を取り締まるタイムパトロール隊。23世紀の時代にはすでに配備されており、レーザー光線銃などの最新兵器を用いて違法者を追跡している武装警備組織である。未来怪人一味に拘束された花咲五郎たちを救出するため、原始時代にやって来る。

その他キーワード

時航機 (じこうき)

タイムトラベル用の据置型搭乗機。多良良博士が1961年に発明した。タマゴ型の巨大な乗り物で、長い三脚で固定されている。内部には2人分の座席があり、目的の場所と時間をダイヤルで合わせると、搭乗者のみをタイムトラベルさせる。その時代に到着した際に搭乗者が現われた場所で、腕時計型操縦機のスイッチを押せば、もとの世界に帰還できる仕組み。 なお、未来では機械本体が小型化され、人が乗ったままマシンごとタイムトラベルできる移動型の仕様となっている。

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