もしかしてヴァンプ

幼い頃に観たホラー作品の影響で吸血鬼を大の苦手とする女子高生と、吸血鬼の男子高生の恋愛を描いたヴァンパイアファンタジー。平成2年「ララDX ひかわきょうこ大特集号」から平成10年「ララDX」7月号にかけて、不定期に掲載された作品。

正式名称
もしかしてヴァンプ
作者
ジャンル
その他ホラー・オカルト
レーベル
花とゆめCOMICS(白泉社) / 白泉社文庫(白泉社)
巻数
全10巻
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世界観

吸血鬼が題材。極めて良質な血を持っているために吸血鬼を惹きつける体質の谷口茉理が、同級生の吸血鬼である穂高薫と交際を始める。それをきっかけに薫の弟の穂高郁巳をはじめとするさまざまな吸血鬼に出会い、時に彼らと対立しながらも種族への理解を深めていく姿が描かれる。

作品構成

本作『もしかしてヴァンプ』は、橘裕のデビュー作であり読み切り作品の『ばんぱいや・ウォーズ』を1作目とする、1回から8回程度の連作短編シリーズである。そのため、各話によってタイトルは異なり、連載も不定期に行われた。そのうち、谷口茉理穂高薫、およびその周辺人物を描いた物語が「ヴァンパイア」シリーズ、「ヴァンプ」シリーズあるいは『もしかしてヴァンプ』と総称されている。

あらすじ

高校生の谷口茉理は、同級生の穂高薫を毛嫌いしている。薫が過去に見たホラー映画の吸血鬼によく似ているからだ。映画と薫とは無関係と頭では理解しつつも、実際に彼が吸血鬼ではないかという疑念がぬぐえない茉理。そんな彼女を見かねた松本和子美里は、茉理をホラースポットに閉じ込め、吸血鬼が存在しないことを確かめさせようとする。しかし茉理がそこで出会ったのは、やはり薫だった。

評価・受賞歴

本作『もしかしてヴァンプ』の1話目となる『ばんぱいや・ウォーズ』はララまんがハイ・スクール(LMHS)佳作を受賞した作品である。

作家情報

橘裕は主に女性漫画誌で活躍中の漫画家。平成2年『ばんぱいや・ウォーズ』で「ララDX ひかわきょうこ大特集号」からデビュー。他の作品に『honey』『うちのポチの言うことには』などがある。

登場人物・キャラクター

谷口 茉理

高校2年生の女子生徒で、クラスはB組。赤みがかった桃色のストレートロングヘアを、ポニーテールにしている。合気道、柔道、剣道の有段者のため腕っぷしが強く、血の気の多い性格の健康優良児。幼い頃にあるホラー映画を見てから吸血鬼を極端に怖がり、映画の主役によく似た穂高薫を一方的に毛嫌いしていたが、あるきっかけから薫に告白され、交際を始めるようになる。 「極上の血」を持っており、無意識に吸血鬼を惹きつける力を持っている。字を書くのが得意ではなく、薫には「まんが字」と評されている。誕生日は7月21日で、身長は162センチ。

穂高 薫

2週間前、谷口茉理の通う高校に転校してきた男子生徒。正体は吸血鬼。整った容姿の、心優しく大人びた雰囲気の人物。茉理に片想いしており、正体を隠しながら彼女に告白し交際を始める。普段は穏やかだが実際は独占欲が強く、茉理に近づく男性の存在を許さない。茉理に出会うまでは淡白で感情表現に乏しかったが、彼女との関係を育むうちに次第に少年らしい表情を見せるようになる。 異性に非常に人気があり、上級生たちにファンクラブを結成されるほど。誕生日は12月12日で、身長は183センチ。

葉月 史郎

穂高薫のいとこにあたる、吸血鬼の男子高校生。きょうだいの中では長男にあたる。名門である改青高校から谷口茉理の通う高校に転校してきた。成績優秀、スポーツ万能の優等生で、特に剣道は全国大会に出場するほどの腕前。しかし、中学時代は剣道に熱中するあまり、異性にはもてなかった。吸血鬼として目覚めたばかりで、本人にはまだその自覚はない。 ポニーテールの女性が好みで、茉理にも関心を持ちその人柄にも惹かれていく。かつて茉理も通っていた川村道場に、入れ替わりで入門していた。誕生日は2月13日で、身長は172センチ。

葉月 志穂

穂高薫のいとこで、葉月史郎の双子の妹にあたる吸血鬼の女子高生。きょうだいの中では四女にあたる。名門校から谷口茉理の通う高校に転校してきた。長身で、腰まで伸ばしたストレートロングヘアをハーフアップにしている。中性的な雰囲気の落ち着いた性格の人物で、あらゆる武道に通じている。史郎には再三葉月家が吸血鬼の家系であると伝えているが、信じてもらえず悩んでいる。 同性に人気があるが、色恋沙汰は苦手。誕生日は2月13日で、身長は171センチ。

松本 和子

谷口茉理の友人で、同じ高校の同じクラスに所属する高校2年生の女子生徒。おかっぱヘアが特徴の、男性のような口調で話す人物。やや下品で底意地の悪いところがあり、茉理と穂高薫の仲をからかうこともしばしば。茉理をいじめることに生きがいを感じている節がある。

美里

谷口茉理の友人で、同じ高校の同じクラスに所属する高校2年生の女子生徒。胸のあたりまで伸ばしたロングウェーヴヘアに、眼鏡をかけているのが特徴。おっとりとした雰囲気だが、男性同士の恋愛を描いた「ボーイズラブ作品」が好きで、同人誌を学校にも持ち込むほど夢中になっている。

穂高 郁巳

穂高薫の弟。兄同様端正な容姿の持ち主。想いを寄せる人には自分と同じ重さの愛情を求めるため、相手を手に入れるためには手段を選ばないところがある。そのため普段はあまり女性に深入りせず、頻繁に相手を変えて吸血行為に及んでいる。しかし、あることがきっかけで幼い頃に助けた沢木みなみと再会し、しだいに親しくなっていく。

八本居 大介

谷口茉理たちと同じ高校に転校してきた2年生の男子生徒。クラスはA組。茉理が落とした財布を拾い届けようとしたところ、変質者と勘違いされた事件がきっかけで知り合う。穂高薫とは小学生の頃からの知り合いで、当時から薫を吸血鬼ではないかと疑っていた。高校生活を送るかたわら牧師としても活動しており、十字架を携行している。 転校前は札幌市で暮らしていた。両親を亡くしている。

沢木 みなみ

穂高薫と穂高郁巳が、小学生の頃に病院で出会った少女。ボブヘアをリボンで結んでハーフアップにしている。自分をからかって遊ぶ郁巳よりも、心優しい薫に惹かれ、薫を一目見るのを楽しみに入院生活を送っていた。重い病気を患っていたが、ある時首筋に2か所のあざができたと同時に突如完治し、健康に生活できるようになった。その後郁巳と再会し、彼を想うようになる。 高校進学後はバレーボール部に入部した。小学生の時に1年留年しているため、同級生より1歳年上。

倉田 千波

穂高薫と穂高郁巳のいとこにあたる女子大生の吸血鬼。色黒で、長い髪を1本の三つ編みにしてまとめている。吸血鬼のイメージとは違う健康的な雰囲気の人物で、薫が執心する谷口茉理に興味を持ち別荘に誘うよう薫に頼み込む。いつも派手に遊び歩いており、車の運転が荒い。

倉田 悠子

倉田千波の姉の、少女の姿をした吸血鬼。容姿が非常に谷口茉理によく似ている。純粋な吸血鬼の「先祖返り」で、昔の吸血鬼の特性を強く受け継いでいる。そのため15歳で肉体の成長が止まっており、十字架やにんにくこそ平気だが光も水も苦手。幼い頃はほぼ隔離状態で育った。穂高薫を想っており、自分と似た容姿にもかかわらず、薫からの愛を受けて健康に暮らしている茉理のことを一方的に敵視している。

谷口 悟

谷口茉理の弟。クールで知的な人物で、小学校卒業後は市外の名門桜陽中学校に進学し、実家を離れた。茉理のことを自分よりも子供だと捉えており、彼女に男女交際はまだ早いと考えている。同じ高校を受験すると約束していた友人の牧村に裏切られ、ある行動に出る。

穂高 真一

穂高薫と穂高郁巳の父親で、大学で助教授を務める男性。担当は政治学科で、眼鏡をかけているのが特徴。谷口悟と街でぶつかったことがきっかけで知り合い、その後大学と隣接する美術館で再会する。悩める悟にアドバイスを授ける親身な人物だが、どこか悲しい雰囲気があり、自分は禁忌を犯したと語っている。亡くなった妻の家の婿養子だったが、死亡後籍を抜いたため、穂高の姓に戻っている。 旧姓は武藤。

鈴木 昌彦

谷口茉理のクラスメイト。短髪に筋骨隆々の体型が特徴。2週間前、穂高薫が転校してきて以来家に戻っておらず、ずっと欠席している。不真面目だが姉の想いの性格。なぜか「悪魔の棲む家」で発見される。

村上 元気

谷口茉理たちと同じ高校に通う2年生の男子生徒。交通事故に遭い出血していたところを穂高郁巳に助けられるが、本人はその記憶を失っている。部活はバスケットボール部に所属し、懸命に練習を続けているが、小柄なために思うような成果が出せずにいる。自らの身長にコンプレックスを感じており、飯島恭子とも素直に接することができなくなっていた。 茉理に雰囲気が似ている。

飯島 恭子

村上元気の幼なじみで、谷口茉理たちと同じ高校に通う3年生の女子生徒。肩より下のあたりまで伸ばしたストレートセミロングヘアをしている。秀才で心優しい性格で、元気とは幼い頃から家が近く親しくしていた。何かと元気を気にかけ、世話を焼いてくれる。

木竜 忍

谷口茉理が町で偶然知り合った少女。雨の日、体調を崩して外で座り込んでいたところを茉理が助けたことがきっかけで親しくなった。正体は吸血鬼で、若い女性の生き血を求め、吸血対象として最適な茉理に近づこうとする。見た目は少女だが長い時を生きており、50年前の日中戦争の頃は、八本居大介の祖父である柏木孝哉と交際していた。

倉橋

木竜忍の運転手を務める男性。木竜グループの会長でもあり、忍に与えられた土地を元手に木竜グループを巨大な企業に成長させた。目の脇に傷跡があるのが特徴。戦時中、両親も家も亡くし倒れていたところを忍に助けられて以来、彼女を慕い忠誠を誓っている。退任後は養子の倉橋亘に会社を任せようと考えている。

倉橋 亘

倉橋の養子の男性。眼鏡をかけている。倉橋の退任後、木竜グループの会長になることを命じられているが、倉橋に比べ自分にはトップに立つ才覚がないと感じ悩んでいる。後任となる予定については、木竜忍には知らせていなかった。

柏木 孝哉

木竜忍のかつての恋人で、八本居大介の祖父にあたる男性。大介に非常に似た容姿を持つ。昭和14年、占領地警備のため、分隊長として中国山西省へ向かうが、終戦3年前の夏に掠奪の容疑で懲役3年の判決を受け軍法会議を受ける。日本に護送され服役したのち釈放されるが、人間不信となり、姓を変えて「八本居」と名乗っていた。

穂高 浩二

穂高真一の弟。好奇心旺盛で、一度言い出したらてこでも動かない性格の持ち主。別荘地で出会った穂高椒子の境遇を知り、彼女に同情し親しくなっていく。しかし、その後椒子に恋するようになり、血縁関係があること、年が離れていることも気にせず恋人同士になるが、それがきっかけである事件が起きてしまう。

穂高 椒子

穂高真一と穂高浩二の叔母にあたる吸血鬼。真一と浩二の父とは2歳しか年齢が違わないが昔の吸血鬼の特徴を色濃く残しているため、年を取らない少女の姿のままでいる。腰まで伸ばしたロングウェーヴヘアをした、色白ではかなげな雰囲気の人物。古びた薄暗い屋敷で、従者の梅野香絵と2人きりで暮らしている。

梅野 香絵

穂高椒子に仕える少女。ボブヘアの気の強い性格の人物。椒子には従者ではなく「友人」と呼ばれ親しくされている。穂高家に恩のある家に育ち、幼い頃から椒子を守るため、彼女に近づくさまざまな男性を遠ざけてきた。穂高家は強く嫌っており「他人の不幸の上に成り立った汚い一族」と敵視している。特に、日に日に椒子と親しくなる穂高浩二のことを強く不安視していた。 虫が苦手。

宮士 諭吏子

穂高郁巳の元恋人で、沢木みなみの先輩にあたる高校3年生の女子生徒。ゆるく巻いたウェーヴヘアを腰まで伸ばした、おしゃれで華やかな雰囲気の人物。部活動はバレーボール部に所属しており、マドンナ的存在として知られている。受験で部には顔を出していなかったが、N女子大への推薦入学が決まり落ち着いた折に、偶然郁巳と再会する。

本田

沢木みなみの先輩で、同じ高校のバレーボール部に所属する高校2年生の女子生徒。ショートカットの体育会系な人物。宮士諭吏子を熱心に慕っており、みなみが諭吏子から穂高郁巳を奪ったと思い込み部内で過剰につらく当たる。

葉月 美江

葉月史郎と葉月志穂の姉で、「英嶋美江」の名でカメラマンを務める若い女性の吸血鬼。きょうだいの中では三女にあたる。肩より短い高さでそろえたウェーヴがかったボブヘアをしている。カメラマンとしての人気は高く、10代半ばにしてあらゆるフォトコンテストを総なめにした実力派でもある。主に人物、特に若い女性の撮影を得意としており、街で見かけた谷口茉理を被写体としてスカウトする。

葉月 双葉

葉月史郎、葉月志穂、葉月美江の姉で、県下一のエリート男子高校で校医を務める若い女性の吸血鬼。きょうだいの中では次女にあたる。丸眼鏡をかけ、ストレートロングヘアを校内では1本の三つ編みにしてまとめ、外では下している。人間の女性全般と下品な人間の男性を嫌い、優秀な美少年を愛する極端な性癖を持っている。

葉月 逸美

葉月史郎、葉月志穂、葉月美江・葉月双葉の姉で、女優として活動する27歳の女性の吸血鬼。きょうだいの中では長女にあたる。元はモデル事務所の事務員だったが、18歳の頃社長にスカウトされモデルデビュー。その後22歳で女優に転身し、現在も「朱坂逸美」の芸名で活動している。吸血鬼役を演じることが多く、去年の主演映画で、各種主演女優賞を独占した。 少女時代、祖母が亡くなった際の親戚の対応により極度の人間嫌いとなる。やがて彼ら一部の親類縁者への恨みが、人間社会へ復讐したいという思いにまで肥大化している。

武藤 茜

穂高薫のいとこで、幼い頃から彼を慕う15歳の女子中学生。胸のあたりまで伸ばしたウェーヴヘアをツインテールにし、ブランド「PINK HOUSE」などのフリフリとした服装を好む。10年前、薫が引っ越す際にした「16歳になったら茜を迎えに来る」という約束を信じ、自らは薫の許嫁であると思い込んでいる。そのため谷口茉理を一方的に敵視しているが、薫の正体には気づいていない。 そばかすをコンプレックスに感じており、常に化粧をしている。

高岡 煌

陶芸家として活動する吸血鬼の男性。伸ばしっぱなしの長髪に無精髭、サングラスが特徴。山奥で人目から隠れるように暮らしていたが、息子である高岡眞巳の小学校入学を機に街に越してくる。陶芸家として高い評価を受けており、200年以上前の作品と寸分たがわぬ質の陶器を生み出す。絶滅したといわれていた吸血鬼の「直系」の疑いがあり、その場合、「人間を吸血鬼に変える力」「永遠の命を与える力」という恐ろしい能力を保持している。

林田 亜矢

骨董店「春華堂」に勤める若い女性。長めの前髪に、ウルフカットをした、生真面目でクールな雰囲気の人物。陶芸家の高岡煌の新居へ向かう途中、倉田千波の運転する車にひかれかけたことで彼女と知り合った。父の友人でもある煌が創作活動に集中できるよう、身の回りの世話を行っている。

高岡 眞巳

高岡煌の息子。今年小学校に上がる予定の6歳。山から下りて街で暮らすことになり、街で父の再婚相手を見つけたいと考えている。正直で自分の気持ちに素直な性格で、早く新しい母親を得て甘えたいと思っている。街で不良に絡まれていたところを谷口茉理に助けられて以来、茉理と親しくなり、煌と茉理を結婚させようとする。

朋華

高岡煌の亡くなった妻で、直系の女性吸血鬼。束縛を嫌う自由気ままな性格で、煌以外との男性とも関係を持っていた。特にすでに恋人のいる男性に近づいていく傾向があり、恋愛をゲーム感覚で楽しんでいる。死因は寝煙草による火災が原因であると考えられているが、その死には不審な点が見られる。

吉本 キヨシ

高岡眞巳が街で初めて作った友人で、同い年の少年。眞巳とは川原で遊んでいる最中に知り合い、夜間の子供だけの肝試しにも誘う。しかしそれがきっかけで眞巳を吸血鬼呼ばわりし、トラブルを起こしてしまう。

ナツ

沢木みなみの隣の家に住む男子小学生。委員会は美化委員に所属している。みなみに片想いし、彼女を周囲の乱暴な同級生や派手な女子高生とは違う、特別な存在だと思っている。放課後はみなみを迎えに毎日高校まで赴いているが、それが原因で掃除当番や委員会活動がおろそかになり、フユに頻繁に叱られている。みなみが穂高郁巳にだまされているのではと考えている。

フユ

ナツの同級生で、同じ美化委員会に所属している女子小学生。顎のあたりで切りそろえたボブヘアが特徴。真面目な性格で熱心に委員会活動に取り組んでいるが、一緒に活動するはずのナツが頻繁に委員会をさぼることに腹を立てている。自称「美少女」。

書誌情報

もしかしてヴァンプ 全10巻 〈花とゆめCOMICS〉 完結

第1巻

(1991年9月発行、 978-4592125679)

第2巻

(1992年11月発行、 978-4592126065)

第3巻

(1993年11月発行、 978-4592126447)

第4巻

(1994年9月発行、 978-4592126768)

第5巻

(1995年7月発行、 978-4592127017)

第6巻

(1996年3月発行、 978-4592127314)

第7巻

(1996年7月発行、 978-4592127345)

第8巻

(1997年6月発行、 978-4592127581)

第9巻

(1998年4月発行、 978-4592171799)

第10巻

(1998年11月発行、 978-4592171805)

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