概要・あらすじ
ある日、田中アキヒロは「カゲヤシ」と呼ばれる吸血鬼である阿倍野優に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。しかし、同じくカゲヤシの眷属である文月瑠衣に血を与えられ、自らもカゲヤシとなる。その力を使って、カゲヤシと戦う組織「NIRO」に与しようと考えたアキヒロだったが、再会した瑠衣に、「カゲヤシと人間が共存できる世界」という理想を聞かされる。
この考えに感銘を受けたアキヒロは、「NIRO」と袂を分かち、瑠衣とともに「穏健派」を名乗る新たな勢力を結成する道を選ぶ。
登場人物・キャラクター
田中 アキヒロ (たなか あきひろ)
文月瑠衣によって血を与えられてカゲヤシとなった少年。カゲヤシになった直後に「NIRO」と接触し、カゲヤシを打倒するための技術である脱衣の技を仕込まれた。しかし命の恩人であり、また一目惚れしていた瑠衣の考え方に賛同し、すべてのカゲヤシは滅ぼすべき敵であるとする「NIRO」と袂を分かち、瑠衣に協力してカゲヤシと人間の共存を目指す「穏健派」の一員となる。
文月 瑠衣 (ふみつき るい)
当代の妖主の娘。「眷属」と呼ばれる高位のカゲヤシの少女。次代の妖主となるべき資格を持つ。年齢が16歳とカゲヤシにしては幼い。「穏健派」と名付けられた勢力の指導者であり、妖主を打倒して自らが新たな妖主となることを目指している。そのため気を張った言動が目立つが、日常の振る舞いでは年相応の少女らしいところを見せる。
阿倍野 優 (あべの ゆう)
当代の妖主の息子。「眷属」と呼ばれる高位のカゲヤシの少年。文月瑠衣の兄にあたる。「武闘派」に属し、妖主の命を受けて瑠衣の監視役として派遣されている。また姉にあたる北田瀬那、北田舞那に対しては頭が上がらない。いつもギターを持ち歩いており、それを振り回して戦う。
妖主 (ようしゅ)
すべてのカゲヤシを統率する立場にある女性。妖主というのは名ではなく地位だが、自身の子供たちも含めた多くの人々から妖主と呼ばれていることが多い。本名は「綾小路怜」。外見は若い女性の姿をしているが、戦前の生まれ。妖主と彼女に率いられるカゲヤシたちは、武闘派と呼ばれている。
北田 瀬那 (きただ せな)
当代の妖主の娘。「眷属」と呼ばれる高位のカゲヤシの女性。妹の北田舞那とともに秋葉原のアイドル姉妹「ダーティー・ブラッディー・プリンセス」として活動しており、ギターを担当している。舞那との唯一の外見上の違いは、碧い瞳を持つこと。武闘派に属し、妖主の命で秋葉原の人間を無気力化する計画を進めている。 年齢については「戦後の生まれ」ということしか分からないが、外見は少女そのものであり、アイドルを演じる時はノリノリ。
北田 舞那 (きただ まな)
当代の妖主の娘。「眷属」と呼ばれる高位のカゲヤシの女性。姉の北田瀬那とともに秋葉原のアイドル姉妹「ダーティー・ブラッディー・プリンセス」として活動しており、ボーカルを担当している。舞那との唯一の外見上の違いは、鳶色の瞳を持つこと。武闘派に属し、妖主の命で秋葉原の人間を無気力化する計画を進めている。 年齢については「戦後の生まれ」ということしか分からないが、外見は少女そのものであり、アイドルを演じる時はノリノリ。
瀬嶋 隆二 (せじま りゅうじ)
「NIRO」の指導者の男性。中年男性の姿をしているが、当代の妖主と非常に古くから知己の関係にあり、その正体は年経たカゲヤシである。妖主の血を飲んで最強のカゲヤシになることを真の目的としており、「NIRO」はそのために利用している隠れ蓑の機関に過ぎない。
御堂 聡子 (みどう さとこ)
「NIRO」に所属するエージェントの若い人間の女性。「NIRO」の真の目的などについてはまったく知らず、カゲヤシへの敵対心と正義感に従って活動している。そのため、のちに瀬嶋隆二の本当の目的が、カゲヤシの殲滅ではなく、隆二自身が最強のカゲヤシになることであると知ってからは、隆二に対して反旗を翻す。
サラ
「秋葉原自警団」の中心メンバーの1人。正統派メイドカフェ「カフェ・エディンバラ」でメイド長を務める女性。秋葉原の人々からは「年齢不詳のカリスマメイド」と呼ばれている。カゲヤシではなく人間であるが、早くからカゲヤシの存在について知っており、文月瑠衣と個人的な友好関係を築いていた。
森泉 鈴 (もりいずみ すず)
文月瑠衣の友人。「穏健派」に属するカゲヤシの少女。カゲヤシでありながら戦闘能力が極めて低く、普通の人間よりも弱い。「NIRO」の関係者に襲われていたところを、阿倍野優に助けられたこともある。大変な大食らいだが、吸血行為はせず、人間の食べ物を食べて生きている。
姉小路 瞬 (あねこうじ しゅん)
当代の妖主の兄にあたるカゲヤシの男性。文月瑠衣の親代わりの立場であり、瑠衣には「叔父さん」と呼び慕われている。その立場から「穏健派」に属しており、当初「NIRO」の息がかかっていた田中アキヒロに対しては警戒心をあらわにしていた。
集団・組織
NIRO (ないろ)
カゲヤシの殲滅を目標に掲げた組織。瀬嶋隆二を指導者とする。しかしその本当の目的は、カゲヤシを滅ぼすことではなく、カゲヤシの力を支配下に収めることであり、実質的には隆二の野望の隠れ蓑として運営されている団体に過ぎない。
穏健派 (おんけんは)
カゲヤシと人間の共存の道を模索するグループ。文月瑠衣を指導者とする。賛同者の中には人間もカゲヤシもいる。最終目標は、瑠衣をカゲヤシの妖主の座に据え、すべてのカゲヤシを穏健派の勢力に組み込むこと。田中アキヒロは最終的にこのグループに所属することになった。
武闘派 (ぶとうは)
カゲヤシの主流派グループ。当代の妖主を指導者とする。自分たちで「武闘派」と名乗っているわけではなく、文月瑠衣が「穏健派」の立ち上げを宣言した時、区別のために便宜的にこのように呼ばれるようになった。秋葉原で多くの人間襲撃事件を起こしている。
秋葉原自警団 (あきはばらじけいだん)
秋葉原を愛する人々が結成したサークル。もともとは単なる仲良しグループのようなものだったが、インターネットを介して急速に勢力を拡大。NIROとカゲヤシの抗争が激化する中、文月瑠衣の呼びかけに応えて「穏健派」に与する勢力となった。
場所
秋葉原 (あきはばら)
オタクカルチャーの聖地として知られている。通称「アキバ」。カゲヤシに血を吸われた人間は、生気を失って引きこもりのような状態になってしまう。しかし、秋葉原に訪れるような人物ならば、そのような状態になっても不審がられないという理由で、カゲヤシがよく出没する。ただし、それでもこの事態は抑えきれず、現在は夜な夜な吸血鬼が現れ、血をすすっていると噂されるようになっている。
その他キーワード
カゲヤシ
長い寿命と強力な再生能力を持つ吸血鬼。弱点は日光だが、身体の一部が晒された程度では大したダメージを受けることはない。完全に滅ぼすためには、服をすべて脱がせて全身を陽光のもとに晒さなければならない。人間と交わって子をなすこともでき、その場合、生まれてくる子供はカゲヤシとなる。血を与えることにより、人間をカゲヤシに変えることもできる。 また、実は人間の血を吸わなくても、人間と同じ食べ物からエネルギーを得て生きることもできる。
脱衣の技 (だついのわざ)
「NIRO」がカゲヤシに対抗するために利用する技術体系。相手の着ている服の構造を見抜き、最少の手順で脱がせていき、陽光を全身に浴びせて打倒するというもの。田中アキヒロは、御堂聡子の指導のもとにこれを仕込まれた。なお、人間を相手に使用することもできるが、その場合は単に服が脱げるだけである。
クレジット
- 原作
-
アクワイア