ももももっと!

ももももっと!

小さい頃から人には見えないはずのものが見えてしまう高校生の百瀬桃は、拾ったハリネズミから現れ出た烏帽子姿の美青年の玻璃丸から、自分があの桃太郎の生まれ変わりだと説明される。16歳の誕生日までに鬼の残党を倒し、呪いを絶たなければ死に至ると恐ろしい宣言を受けた桃は、三人の仲間を探し始める。生まれ変わった桃太郎と三人の従者たちが、刀の化身の玻璃丸と共に強大な敵に立ち向かい、絆を深めていく姿を描く、おとぎ話学園コメディ。「別冊花とゆめ」2016年6月号から2018年7月号にかけて掲載されたほか、2018年に「マンガPark」で公開された作品。

正式名称
ももももっと!
ふりがな
ももももっと
作者
ジャンル
お化け・妖怪
 
転生
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あらすじ

第1巻

幼い頃から百瀬桃は、人には見えないはずのものが見えてしまうという不思議な能力を持っていた。そのせいで、これまで穏やかではいられない日常を送ってきたため、ふつうの女の子として高校生活を送ることを目指し、期待を胸に登校初日を迎えた。朝、桃が学校へ行こうと歩いていると、道端で寝込んだまま転がっているハリネズミを発見。放っておけずに保護した桃は、そのままハリネズミを連れて登校し、家へ連れて帰ることにした。その後、翌日まで眠り込んでいたハリネズミがようやく目を覚まし、桃を見て涙を流したかと思うと、突然烏帽子姿の美青年が姿を現す。玻璃丸と名乗ったその男性は、自分が桃太郎の愛刀「鬼斬丸」の化身であることを説明し、桃をあの桃太郎の生まれ変わりだと断言。長年かけてようやく再会できたことに感動し、涙を流す。そして、玻璃丸は桃に桃太郎が退治したの残党が、桃を狙っていると話し、16歳の誕生日までに退治しなければ命の危険がせまっていると語る。

第2巻

烏帽子姿の美青年の玻璃丸から、桃太郎の生まれ変わりとして命を狙われているという衝撃の事実を告げられた百瀬桃は、桃太郎の時代に彼を助けたと語られている三人の従者の生まれ変わりを探すことになる。ところが、仲間であることを知らせる力があるからと玻璃丸から強引に持たされた、母親の形見のを校内で身につけていた時に、桃は突然強烈な耳鳴りに襲われ、意識を失って倒れてしまう。学校で同じクラスになり、ひょんなことからなかよくなった藍原志朗とは、おじいちゃんの道場に通う生徒だったことが判明してから、何かと行動を共にすることが多くなっていた。その日も倒れた桃を心配した志朗が保健室を訪れ、いっしょに帰ることになる。すると、桃が家に入ろうとして倒れた際に落とした鍔を返そうと、志朗が手にした瞬間、志朗には見えていなかったはずの玻璃丸の姿を目にすることになる。不思議な人物を見て驚く志朗と、彼にも見えてしまっていることに驚きを隠せない桃を尻目に、玻璃丸は突然志朗の右腕の袖をまくり、丸い印が刻まれていることを確認。志朗が桃太郎の仲間の一人、第一の従者「狛」であると断言する。

第3巻

桃太郎の生まれ変わりである百瀬桃は、からの攻撃に繰り返し襲われる中で、とうとう三人の従者を見つけることができた。桃は藍原志朗棗爽太美羽麻喜という三人の仲間と共に鬼の呪いに対峙しようと動き始める。するとその矢先、四人は謎の刺客に襲われ、玻璃丸の助けを借りつつ辛くも鬼の撃退に成功する。手傷を負った刺客が戻った先を調べると、そこはなんと仁科菫仁科葉月の住む自宅だった。その晩、遠い過去を夢に見た桃は相手の顔から、鬼が葉月であることを半ば確信しつつ、翌日学校へと向かった。学校では思いがけず葉月の方から、桃に互いが深いかかわりを持っているという事実を明かす形となり、桃たちはあらためて今後のことを考えなければならなくなった。その矢先、学校で菫が倒れて帰宅してしまう。すると直後に、葉月からと思われるメールが桃のもとに届く。「菫といっしょに待っている」という内容のメールに居ても立ってもいられなくなった桃は、全員で敵の本陣である仁科の家へと乗り込むことを決意する。

登場人物・キャラクター

百瀬 桃 (ももせ もも)

高校1年生の女の子。幼くして両親を亡くし、祖父母と暮らしている。子供の頃から、人には見えないはずのものが見える特殊な体質の持ち主。明るく快活で、前向きな性格をしている。以前から子供が泣いている夢を見続けており、ふつうではない日常に悩まされ続けてきたため、これからは高校生としてふつうの女の子になることを目指していた。しかし道端で拾ったハリネズミの玻璃丸により、自分が桃太郎の生まれ変わりであることが明かされる。そして、16歳の誕生日を迎えるまでに、鬼を退治しなければ死に至るという話を聞き、三人の仲間の藍原志朗、棗爽太、美羽麻喜と共に鬼を滅するべく活動を始める。太い眉毛が特徴で、百瀬桃本人もかなり気にしている。志朗と爽太からは「まゆげ」「まゆげちゃん」と呼ばれている。

玻璃丸 (はりまる)

道端で眠りこけていたところを百瀬桃に拾われたハリネズミ。実は桃太郎の持つ愛刀「鬼斬丸」の魂を持つ刀の化身。刀の姿は最後の鬼退治の際に折れて失われてしまったが、遺された柄から桃吉の手によって作り出されたハリネズミの根付が、紆余曲折の末に生きたハリネズミとなる。桃太郎の生まれ変わりを探しており、桃に辿り着くことになった。通常はハリネズミの姿、魂の姿は烏帽子をかぶった和装の男性で、床につくほどのロングヘアが特徴。大昔、桃太郎が退治したはずの鬼の残党が、生まれ変わった桃太郎に復讐しようとしていることを伝え、桃の16歳の誕生日までに鬼退治をしてほしいと依頼。失われた刀身は、千本の傀儡針となって残された鬼の中に存在するため、その針を回収してすべてがその身に戻された時、刃に戻ることができる。ハリネズミの味覚なので、バナナと虫が好物。

藍原 志朗 (あいはら しろう)

百瀬桃のクラスメートの男子高校生。シャイな性格で素直になれないところがあるが、心根は優しい。桃が学校で異形の者に閉じ込められ、困っていた時に助けたのがきっかけで、なかよくなった。悠、忍、思真という三人の弟がおり、弟から慕われる弟思いの兄。人には見えないものの、気配や光を感じ取ることができる特殊な体質の持ち主。幼い頃はそれが怖くて合気道を習い始めたという経緯があり、合気道の師範のおじいちゃんを信頼している。実は桃太郎の従者だった犬「狛」の生まれ変わりで、左手首の内側にその印が刻まれている。

棗 爽太 (なつめ そうた)

百瀬桃と同じ学校に通う男子高校生で、藍原志朗の幼なじみ。のんびりとした朗らかな性格で、基本的には平和主義者。休み時間に体育倉庫で眠っていたところ、桃に声を掛けられた。空腹の極致だったため、桃が持っていたおにぎりをもらうことになり、なかよくなった。志朗から話を聞いていたため、桃のことを「まゆげちゃん」と呼んでいる。猫好きで、体育倉庫付近にいる猫に半田、玉山、島村、渕田と名前を付けてかわいがっている。実は桃太郎の従者だった猿「猿弥」の生まれ変わりで、脇腹にその印が刻まれている。

美羽 麻喜 (みわ あさよし)

おにぎり店「美羽屋」の店主の甥にあたる大学生。すらりと背が高く、バレエ仕込みの姿勢でスタイルがよく、おネエ言葉でしゃべる。伯父が車を避けようとして転び、手首を骨折したことを知り、京都の大学を休学して伯父の世話や店の手伝いを買って出た。芸妓だった母親と、関西で紡績商の会長を務める父親とのあいだに生まれたいわゆる愛人の子だったため、ひっそりと母子で暮らしていたが、本家からの干渉がひどく苦しんでいた。母親が他界したあと、その干渉はさらにひどくなり、伯父のもとへ逃れてきたという事情があった。実は桃太郎の従者だった雉「乙羽」の生まれ変わりで、肩にはその印が刻まれている。桃太郎のあとに一度転生した桃吉の従者として生まれ変わり、辛い思いをした前世の記憶を持っており、それを理由に、百瀬桃の仲間になることを拒んでいた。しかし桃の強い思いが心に刺さり、仲間として桃を守ることを決めた。親しい仲間は彼を「マキ」と呼んでいる。

仁科 菫 (にしな すみれ)

百瀬桃のクラスメートで、サラサラストレートのロングヘアが特徴の女子高校生。同じ学校には兄の仁科葉月がおり、過保護気味ながら仲はいい。兄が美少年であるがゆえに、小さい頃から兄目当ての友人たちからのアプローチに悩まされていた。仁科菫自身も兄に負けない美少女だが、おとなしく控えめな性格で、ちょっとおっちょこちょいな一面を持つ。幼い頃に両親を亡くし、3歳の時に伯父夫婦の家に引き取られたが、幼かったため記憶はなく、伯父夫婦が本当の両親だと思っている。ある時から彼女の中に黒い瘴気が溜まるようになり、それが原因で体調を崩すようになったが、菫にはその自覚はまったくない。仁科家の末裔として、イレギュラーな形ではあるが、兄が鬼の能力を、彼女が呪いを被ることになった。

仁科 葉月 (にしな はづき)

百瀬桃と同じ学校に通う高校生で、仁科菫の兄。弓道部に所属する美少年で、学校中の女子生徒たちにとってあこがれの的となっている。妹にはちょっと過保護気味なところがあるが、仲はいい。幼い頃に両親を亡くし、4歳で伯父夫婦の家に引き取られた。ある時から菫の中に黒い瘴気が溜まるようになり、それが原因で体調を崩すようになったため、その瘴気を自分の中へと移すことで菫を守るようになった。のちに亡くなった両親から残されたノートを読んで、仁科家に課せられた運命を知ることになり、イレギュラーな形ではあるが、自分が鬼の能力を、菫が呪いを被ったことを自覚。より強く桃太郎への嫌悪感を感じるようになる。

おじいちゃん

百瀬桃の祖父。幼くして両親を失った桃を引き取り、いっしょに暮らしている。合気道の師範であり、自宅の敷地内にある道場で合気道の教室を開き、近所の子供に教えている。猫アレルギーを持っており、ネズミが大嫌いだが、幼い頃にモグラのもっくんをかわいがったことがある。妻の百瀬百合には尻にしかれており、猫を飼いたかったが我慢していたと話す妻に強く言えず、ハリネズミの玻璃丸を飼うことを承諾することになった。しかし直後、ハリネズミがモグラの仲間だと知るや否や、すっかりハリネズミのかわいさの虜になってしまう。

百瀬 百合 (ももせ ゆり)

百瀬桃の祖母。幼くして両親を失った桃を引き取り、いっしょに暮らしている。桃が家族に黙ってハリネズミを飼っていたことを知って怒ろうとするが、玻璃丸のかわいらしさにすっかり虜になり、飼うことを快諾。夫がネズミ嫌いなことは知っているが、本当は猫を飼いたかったのに夫の猫アレルギーのために我慢していたことを引き合いに出し、ハリネズミを飼うことを承諾させた。のちに白い巨大な蛇に襲われることになるが、桃や玻璃丸のおかげで事なきを得る。

桃吉 (とうきち)

桃太郎が初めて転生した者。素朴な丸い顔立ちに太い眉が特徴。山間の村で鍛冶を生業とし、つつましく静かに暮らしていた。父親の遺した屑鉄の中から、桃太郎の愛刀「鬼斬丸」の柄を見つけ出し、ハリネズミを模した根付を作った。これにより、玻璃丸が顕現するきっかけをつくった。その後は再び仲間と結託し、鬼に立ち向かったものの戦いは激しさを増し、辛くも撃退するが鬼の刃から受けた傷は深く、一旦命を取り留めたのちに刀傷が原因となって命を落とす結果となった。

兄者 (あにじゃ)

その昔、仲間から兄と慕われていた男性。親しい仲間が集まり、それを束ねる首領となった。その仲間は貧しさから親に売られたり、捨てられたりし、人に虐げられた孤児たちだった。生きるために人から略奪を繰り返し、里を襲い、村を焼き払い、人を殺めたために、人々から恐れられる存在となって、やがて鬼と呼ばれるようになった。のちに桃太郎と仲間たちによって討伐されることとなる。

(よう)

不思議な力を持つ少年。出自は不明だが、生まれてすぐに山に捨てられていたところを兄者に拾われ、仲間となって行動を共にしていた。鬼と恐れられた集団に属していたものの、心根が優しいため、盗み一つも満足にできず、みんなの役に立てないことに心を痛めていた。不思議な力で物を壊すことができるが、力の強弱を加減することで傷を治すことができたため、それを主に担っていた。のちに、桃太郎に兄者を殺されたことで逆上し、桃太郎を呪った張本人。桃太郎への強すぎる恨みの念を持ったことで、葉が作り出した呪いが自分に跳ね返り、自らにも呪いを課す結果となって後世までその影響を受けることになる。

田村 (たむら)

百瀬桃が通う学校の教師を務める男性。妻が家を出て行ったと噂されている。ぶつぶつと独り言を言いながら歩くなど、学校での様子がおかしいところが目撃されているが、背後には女性の生霊が憑いていた。その後、帰宅途中の桃と藍原志朗が出くわした時には、女性の姿はなくなっていたが、黒いものに憑りつかれているようで、様子はさらに悪化しており、我を忘れて桃に襲い掛かってきた。志朗によって気絶させられ、事なきを得たが、意識を取り戻した時にはふつうの状態に戻っていた。すべては傀儡針によるものだったが、のちに妻への暴力が明るみに出て、休職することになる。

家守 (やもり)

カラフルな五人の豆忍者たち。代々桃瀬家を守ってきた家守で、この家に魔が入り込まないのは、彼らが守ってきたおかげ。さらに桃太郎である百瀬桃と酒を酌み交わし、契約を結ぶことにより、守備力を上げることができる。また影分身となり、家を離れることも可能となっている。桃が幼い頃、熱を出して寝込んでいた時に姿を見られていた。

その他キーワード

(つば)

百瀬桃の母親の形見。実は玻璃丸が、桃太郎の愛刀「鬼斬丸」だった時の鍔。鍔の紋様は、桃太郎の三人の仲間を表しており、桃が身につけることによって力を発揮。仲間が近くにいれば桃にとって心地いい、打ち寄せるさざ波のような反応をするほか、戦いの場面では桃が強くにぎり、三人の仲間と意識が結ばれると強い攻撃力を発揮するなど、桃の身を助けるものとなっている。

(おに)

遠い過去に、桃太郎によって討伐された者。鬼退治ですべてが駆逐されたはずだったが、残った者が存在した。残った鬼は、桃太郎への強すぎる恨みの念を持ったことで、鬼の子の魂をも巻き込み、自らにも呪いを課す結果となった。それにより、鬼の子孫に仇なす者となった。そのため、生まれ変わった桃太郎の魂を手に入れることで、自らの呪いを解こうとしている。

仁科家 (にしなけ)

桃太郎に退治された鬼の残党の家系。正確には鬼と呼ばれた「三郎」と行動を共にしていた少年、葉の直系。桃太郎への強い恨みが呪いとなり、鬼の子孫に呪いとなって跳ね返ったことが伝えられている。仁科家は代々鬼の血を引く男子が生まれ、その者は身の内に瘴気を宿し、自らの体をも蝕んで死に至る宿命となっており、仁科菫や仁科葉月の父親もそうだった。この呪いを解くためには生まれ変わった桃太郎を葬らねばならないという言葉とともに、桃太郎の愛刀「鬼斬丸」の刀身から作り出された傀儡針が伝えられている。

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