獄丁ヒグマ

獄丁ヒグマ

地獄から脱出して生者に害をなす亡者を捕縛、送還する役目を担った獄卒人の篝手ヒグマが、友人であり、協力者の分霊者でもある来峰アヤハや小旗郁也らと共に戦いを繰り広げていく異能バトル。「週刊少年ジャンプ」2019年3号から24号にかけて掲載された作品。

正式名称
獄丁ヒグマ
ふりがな
ごくていひぐま
作者
ジャンル
お化け・妖怪
 
バトル
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あらすじ

第1巻

ごくふつうの高校生の来峰アヤハは、自分が無意識のうちに窃盗を犯してしまうことに苦悩していた。お祓いに行こうと寺に向かう途中、バスの中で酔っ払い客に絡まれている篝手ヒグマと出会う。言われるがままにされているヒグマをかばおうとしたアヤハは、逆にヒグマによって酔っ払い客から引き離され、諭されてしまう。さらに酔っ払い客から財布をスッていたことを見透かされ、その理由が地獄から脱出した亡者魑魅によるものだと説明される。ヒグマはそんな亡者たちを捕縛し、地獄へ送還する役目を担った獄卒人だった。

第2巻

篝手ヒグマは、閻魔大王来峰アヤハを勝手に分霊者にしたことについて抗議していた。そんな中、ヒグマは閻魔大王から、次に標的とすべき亡者が、かつて祖父が取り逃がしたという強力な亡者、泥梨ノ狐鉄であると知らされる。さらに泥梨ノ狐鉄が、ヒグマの周囲の人間に取り憑いているらしいことも聞いたヒグマは、クラスメートの室町アカネが泥梨ノ狐鉄が好む環境にあることを探り当てる。

第3巻

篝手ヒグマの父親の篝手アズマと、伯母の篝手ハルマ獄卒人として亡者と戦う運命にあった。しかし、二人はヒグマが繊細で心優しい性格であることを知り、なんとしてでも自分たちの代で獄卒人の仕事を終えさせようとしていた。その心に付け込んだくゆり烟月はハルマに対し、一族が獄卒人をやめるため、亡者と手を結ぶ取り引きを持ちかける。

登場人物・キャラクター

篝手 ヒグマ (かがりて ひぐま)

獄卒人の少年で、逆立った黒髪に学ランを着用している。年齢は16歳。先祖代々獄卒人として、亡者を地獄に送り返す仕事を担う一族に生まれた。多少の悪口や嫌味に寛容で、怒るに値しないと考えている。仕事道具としてザイジュを使用するが、日常生活においてもお茶を淹れさせたり着替えを手伝わせたりと、だらけた生活に活用している。自宅は淵現寺(えんげんじ)という寺で、来峰アヤハがアルバイトをしている。獄卒人として仕事に従事する際には、帽子に二本の角とコートに炎のモチーフが施された、黒と赤を基調とした軍服のような姿に変化する。本心では獄卒人としての仕事を重荷に感じており、篝手ヒグマ自身は亡者を地獄に送還する権利を持っているとは考えていない。

来峰 アヤハ (くるみね あやは)

高校3年生の少女で、肩の下まである髪を金髪に染めている。年齢は18歳。正義感が強く、非常に律儀な性格をしている。亡者である魑魅に取り憑かれて無意識にスリや窃盗を繰り返したことで思い悩み、篝手ヒグマの自宅である寺に相談に訪れた。兄もまた亡者の黒縄墨手に憑かれており、正体を見破ったために殺されかけたところを、再度ヒグマに救われている。その恩に報いるため、ヒグマの自宅である淵現寺(えんげんじ)でアルバイトを始めたが、閻魔大王に気に入られたため、了承もなしに分霊者となっていた。

(ろく)

つねに内部の炎が燃えさかっている、チューリップ型の鉄鍋のような生き物。篝手ヒグマのお目付け役のような立場で、ヒグマがだらけた目的や行儀の悪い態度でザイジュを使用する際には諫めたりもしている。転送用地獄釜でもあり、目的地を告げると内部の炎が噴出し、その炎に触れると一瞬で目的地まで転送される。

小旗 郁也 (こばた いくや)

分霊者の男子高校生で、野球部に所属している。篝手ヒグマの幼なじみで、小学校時代からずっとクラスメートだった。坊主頭で右眉の所に十字傷がある。明るい性格で、分霊者姿でもヒグマに気安く接する。かつて祖父が亡者によって命寿を吸い尽くされ、死亡する場面を目撃している。

雨屋 香 (あめや かおり)

おかっぱ頭の少女で、人見知りで恥ずかしがり屋な性格をしている。年齢は5歳。金剛嘴烏が使役する魑魅によって祖母があやつられ、命寿が奪われているのを目撃したため、篝手ヒグマに助けを求めた。おしゃべりだった祖母が口をきかなくなってしまったことを、非常に心配している。

室町 アカネ (むろまち あかね)

篝手ヒグマのクラスメートの女子高校生で、ヒグマに好意を抱いている。妊娠中の母親と、幼い妹がいる。中学生の頃に魑魅に取り憑かれており、生まれたばかりの妹に嫉妬して家出した際に、自覚なくヒグマに救われている。その後、泥梨ノ狐鉄に取り憑かれ、ヒグマに襲いかかった。

篝手 アズマ (かがりて あずま)

篝手ヒグマの父親で、6年前に灼沸・赤銅に殺害された。篝手ハルマの弟。獄卒人としても優秀で、非常に厳しい性格だった。ヒグマの性格が獄卒人としての仕事を行うにはあまりにも優しく、向いていないことについて悩んでいた。

篝手 ハルマ (かがりて はるま)

篝手ヒグマの伯母で、6年前に灼沸・赤銅に殺害された。篝手アズマの姉。長い黒髪を後頭部のバレッタでまとめている。獄卒人としても優秀で、ザイジュを使ってピアノで連弾もできたとされている。獄卒人にならなければ死後は絶対に地獄行きになるという篝手家の運命を変えるため、くゆり烟月と手を組もうとしていた。

阿傍 (あぼう)

篝手ヒグマの師匠にあたる男性。赤い肌に尖った耳と黒い二本の角を持ち、その正体は地獄の鬼、獄卒と見られている。常々ヒグマは弱いと称し、呆れながらも真摯に向き合って鍛えている様子を見せている。代々篝手家の獄卒人を鍛えていた様子が見られる。

閻魔大王 (えんまだいおう)

冥府の王を務めている。黒髪の少年の姿をしており、篝手ヒグマの上司であり雇い主でもあるが、友人のような関係を築いている。両足に重い鎖のついた枷をはめられている。来峰アヤハの律儀な性格を見込んで、勝手に分霊者にした。

黒縄墨手 (こくじょうぼくしゅ)

在獄期間117年の亡者で、来峰アヤハの兄に取り憑いていた。勝手に取り決めた規律を周囲の人間にも押しつけ、規律に従わない者には容赦ない暴力を振るう。口や手足から三つ編みされた黒縄を伸ばし、敵対者や規律に従わない人間を攻撃する。アヤハの兄に取り憑き、朗らかだった人格を非常に暴力的に変貌させていた。

火霧雲 (ひのきりぐも)

在獄期間107年の亡者。上半身は裸の男性で、下半身が蜘蛛の姿になっている。また、蜘蛛の顔を思わせる仮面の下から炎を吐き出すことが可能で、ビル火災を起こした。人間に憑依しておらず、興奮状態で炎をまき散らしていたが、黒縄墨手の手をザイジュとして使用した篝手ヒグマに捕縛、送還された。

金剛嘴烏 (こんごうしう)

在獄期間168年の亡者。烏天狗のような見た目で、鳥の面をつけた男性の姿をしている。口調は非常に丁寧でありながら非常に攻撃的で、銃のような武器を使用する。雨屋香の祖母たち老人に魑魅を憑かせてあやつり、命寿を食っていた。命寿を奪う対象を老人に限っていた理由を自らの良心に従ったとしており、「前途ある若者の命を奪うのは忍びないため出涸らしで我慢している」と発言した。

泥梨ノ狐鉄 (ないりのこてつ)

在獄期間328年の亡者。腰までの長い金髪を、狐の尻尾を思わせる形でうなじでまとめている。通常時は少年の姿で、その正体は実の子を愛することができなかった母親。子供嫌いとして知られており、母親に取り憑いて子供を殺害させることに喜びを見いだしている。篝手ヒグマの祖父の代に取り逃がしており、それ以来姿を現すたびに母子が10組以上被害に遭っている。

灼沸・赤銅 (しゃくふつあかがね)

在獄期間879年の亡者。通常時は非常に穏やかな表情を浮かべた男性にしか見えないが、戦闘時は溶けた赤銅を涙のように流し続けている。獄卒人が苦しみながら戦うのを見て楽しむ性質で、代々篝手家の獄卒人を殺害し続けてきた。戦いから逃げようとする者に対しては、容赦なくとどめを刺す。煮えたぎる赤銅を体液としており、相手の肉体を溶かしたり、付着した部分から赤銅の針を侵入させていったりと自在にあやつることができる。篝手家の獄卒人の子供が10歳になる頃に必ず現れ、親を殺害していく。

くゆり烟月 (くゆりえんげつ)

在獄期間795年の亡者で、数多くの亡者を配下としている。ザンバラ頭を無理に結ったような髷姿で、焼け焦げたような耳を持ち、つねに長キセルで煙草をくゆらせている。「切望の白煙」という、吸い込んだ者の胸中にある願望を一つ増幅させ、正常な判断を奪ってあやつる技を使う。ただし同じ亡者相手では、くゆり烟月よりも在獄期間の短い者でなければ効果を発揮しない。

雨炎火石 (うえんかせき)

在獄期間821年の亡者で、灼沸・赤銅、くゆり烟月と並んで恐れられている存在。口元を布で覆い、振り袖を着た幼い少女の姿をしている。黒肝(こくと)という、黒く巨大な蛇の姿の亡者を配下にしている。生者を憎んでいるが、一方で生者の営みは美しいと語っており、特に花火を気に入っている。

(おきな)

400年前、地獄から脱走した亡者。数百年に一度人の形を取るが、それ以外は塵となって漂い続けている。また、その期間を逃すと意思疎通すら図ることができない。くゆり烟月たちは篝手ヒグマの先祖が脱走を幇助したとされており、その結果、血縁者は全員獄卒人として戦うことを運命付けられた。

その他キーワード

獄卒人 (ごくそつびと)

生者でありながら地獄の鬼の獄卒に扮して、地獄から脱走した亡者を狩る者たち。篝手ヒグマの一族は400年間ずっと獄卒人を続けているが、亡者を一人残らず捕縛、送還し、一刻も早く亡者のいない現世を取り戻すことを悲願としている。篝手家のほかに、親戚である目繰(めくり)家、達磨口(たつまぐち)家などが存在する。

亡者 (もうじゃ)

400年前、大量に地獄から脱走したといわれている罪人の死霊。脱走以来現世に住みついており、生者に取り憑いたり、肉体を乗っ取ったりして犯罪を誘発させる。特に疲れている人間や、精神的に参っている人間に取り憑きやすい。火をあやつる能力を持った亡者が比較的多いとされる。生者に憑依することで人が変わったような行動を取らせる者もおり、来峰アヤハの兄は黒縄墨手によって人格が一変していた。

魑魅 (すだま)

在獄期間20年以下の、最下級の亡者。ほとんどの場合、骸骨のような姿をしている。魑魅に憑かれてしまうと、生者は自分の意思に関係なく、魑魅が生前犯した罪に応じた犯罪を犯してしまう。来峰アヤハに取り憑いていた魑魅は、アヤハにスリや万引きなどの窃盗罪を犯させていた。また上級の亡者に使役されている魑魅もおり、取り憑いた人間をあやつって上級の亡者の餌にしている場合がある。

分霊者 (ぶんれいしゃ)

獄卒人のサポート役を務めている存在。目元が隠れるほどのフード付きマントと、たっつけ袴の和装を着用している。分霊者の手の甲には分霊印と呼ばれる「零」の字が刻印されており、この刻印が光を放つと分霊者の衣装に変化し、一般人の目には見えない存在になる。短い薙刀のような武器である獄刀を使用することで、人間を傷つけず、取り憑いた魑魅だけを攻撃することができる。

命寿 (みょうじゅ)

寿命と同一のもの。命が現世にとどまり続けるために必要なエネルギー。生者の誰もが持っており命寿が尽きると死を迎える。当然ながら亡者は命寿を持っていないため、人間に憑いて吸収したり、あやつって奪うことで現世にとどまっている。

在獄期間 (ざいごくきかん)

亡者が地獄で過ごした年数。亡者の異能は地獄で受けた責め苦の特性がより濃く反映されるとされている。そのため、在獄期間が長ければ長いほど地獄や閻魔大王への恨みが深く、狂気も濃くて能力も強くなる。

ザイジュ

篝手ヒグマが仕事道具として使用している、手首付近から先だけが存在している手。手の甲には「壱」から順にナンバリングが施されている。ヒグマが地獄に送り返した亡者たちから切り離した手であり、一対ごとに異なる枷や装飾品をまとっている。ザイジュを使役する目的のひとつは、罪を犯した手に贖罪を行わせるためとされている。またヒグマから能力の解放を宣言されることで本来の能力を発揮できるため、通常時は簡単な作業しか行えない。ただし解放時のザイジュは、命寿を動力にしていることから生者の肉体にもダメージを与えてしまうため、憑依を解くには未解放のザイジュを使用する必要がある。篝手家以外の獄卒人は、目や口のザイジュを使用している。

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