美形のオネエとアラサー喪女、運命の出会い
アラサーながら恋愛経験ゼロの片桐藤子は、自己肯定感が異常に低い女性。かわいらしい幼なじみの久美と一緒に参加した合コンで、自分を喪女だと言い、ネガティブな言葉を連発して一人で落ち込んでしまう。そんな様子を見た、合コン相手の一人である小柳睦夫は、藤子を2軒目に誘う。美形のオネエ・小柳は、合コンでの藤子の態度を「卑屈なかまってちゃん」だと非難し、「勝手に“女”を定義して、自らをがんじがらめにしている」と説教する。そして小柳は、藤子を喪女から脱却させることを宣言した。本作は、こうして出会った2人が、師弟のような関係から次第に惹かれ合っていく姿を描いたリハビリ・ラブコメディである。
おせっかいなハイスペックオネエ×自己肯定感ゼロのこじらせ喪女
高柳は美形の弁護士というハイスペックオネエ。恋愛に慣れているように見え、ズバズバと物を言うはっきりした性格。一方の藤子は、モテない・サエない・自信ないの三拍子がそろったこじらせ喪女。自分の容姿や親友・久美との比較から、自分のことを“女”だと思えない卑屈な女性。一見対照的に見える2人だが、高柳にも自分の性に違和感と嫌悪感しか持てず、自分を嫌いながら生きていた過去があった。高校時代にオネエだということがバレて嫌がらせを受けていたのだ。そして現在でもやはり差別が根強く、生きづらさを感じている。高柳が藤子をプロデュースするのは、彼女が昔の自分に似ているという理由もあった。
疑似デートを経て変化していく2人の関係
藤子をモテ女にするため、高柳は彼女に化粧を施したり、クラブに連れていったりする。さらには彼氏役を演じて「疑似デート」を敢行。デート当日、高柳の元カノが現れ、彼がバイセクシュアルであることが判明する。そんなハプニングもあったが、とりあえず疑似デートはいい感じで進んでいく。しかし、「このデートが終わったら卒業」という高柳の言葉に、藤子は寂しさを感じてしまう。もう少しだけ一緒にいてほしい。そんな本心を言うことができずに、デートは終了する。高柳のおかげで少し前向きに変われた藤子は、合コンで再会した男性・澤に誘われて交際を始めるが、普通の女になりたいと思うだけで、彼を好きになれずに葛藤してしまう。一方の高柳も、澤と藤子の交際を見守るうち、いつの間にか藤子に惹かれている自分に気がついていた。
登場人物・キャラクター
片桐 藤子 (かたぎり ふじこ)
簿記2級の資格を持つ経理事務。170センチメートルを超える身長や大きな手足、一重の目などの容姿にコンプレックスを持つ、恋愛経験ゼロのアラサー女性。普通の恋愛・結婚をしたいという願望が強いが、自己肯定感が低く、合コンに行っても卑屈な言葉しか発せない喪女。そんな姿を見かねたオネエの小柳睦夫の指導を受け、モテ女に変身しようとする。「アラサー喪女オフ会」では「ゴリ子」を名乗る。
小柳 睦夫 (こやなぎ りくお)
オネエ口調のバイセクシュアルで、イケメンの弁護士。はっきりした物言いできつい性格に見えるが、実際は面倒見がよく優しいオネエ。合コンで出会った、自称喪女の片桐藤子を放っておけず面倒を見る。弁護士事務所ではバイセクシュアルであることを隠しており、生きづらさを感じている。
書誌情報
やわ男とカタ子 10巻 祥伝社〈FCswing〉
第8巻
(2023-04-07発行、 978-4396768805)
第9巻
(2023-12-08発行、 978-4396750367)
第10巻
(2024-10-08発行、 978-4396750572)