未体験の悩みをリアルに真面目に描くラブコメディ
香坂まい子は普通のOL。細やかな気遣いもでき、同僚ともうまく付き合い、たいていのことはそつなくこなすが、32歳になってもセックスをしたことがないというのが、コンプレックスだった。まい子は恥ずかしくて周りにホントのことは言えず、経験があるフリをしてしまう。大人の性の問題について、他人に相談できない本音の部分をリアルに丁寧に描いていく。
早く処女を捨てたいのに焦ってうまくいかない
周りにキツくあたる先輩が、高齢処女なんじゃないかと陰口を言われているのを聞き、勝手に傷つくまい子。さっさと初体験を済ませたいと、女性用風俗を調べるが、行く勇気が出ない。同窓会で再会した元カレに頼んで初体験をしようとするが、あまりに痛がるまい子に相手が引いてしまい、未遂に終わる。陶芸教室で知り合ったばかりの男性にホテルに誘われるが、彼を生理的に受け付けず、まい子は逃げ帰ってしまう。こんな愛のないセックスが本当にしたかったのだろうかと、まい子は激しく落ち込んでしまう。
職場に出入りする業者・鍵谷との出会い
社内のコピー機が故障してしまい、メンテナンス業者「エイコウ」を呼ぶまい子。資料の提出期限が迫っていたまい子は、すぐにかけつけてくれた鍵谷にお礼を言い、自分の名刺を差し出した。鍵谷はこれまでメンテナンス先で名刺を渡すことがなかったので、その対応に驚きつつも、まい子と名刺交換をした。一度会っただけの人でも顔と名前を覚えてしまうまい子は、陶芸教室で知り合った男性とホテルの前で揉めていた時、偶然通りがかった鍵谷の姿を見つけ、鍵谷の名前を呼んでしまう。名前を呼ばれた鍵谷は驚くが、目を逸らしてその場を立ち去ってしまう。
話しやすい男性・鍵谷と急接近するまい子
後日、コピー機の点検に来た鍵谷に「先日は恥ずかしいところを見せてしまって」と謝るまい子だったが、その時の女性がまい子だと鍵谷は気づいていなかった。自意識過剰で恥ずかしいと反省するまい子。その後、鍵谷を社内の倉庫に案内したまい子は、昔やっていた格闘ゲームの話で盛り上がる。男性と気負わず楽しく会話ができたまい子は、思い切って鍵谷を食事に誘うのだった。
約束の日、二人は食事のあとに鍵谷がよく行くゲームセンターに行き、楽しいひと時を過ごす。終電が近くなり、別れが名残り惜しくなった二人は、まい子の部屋に行くことに。手が触れ、いい雰囲気になり、まい子を抱き寄せてくれた鍵谷だったが、急に様子が変わり「すみません」と謝って帰ってしまう。
登場人物・キャラクター
香坂 まい子 (こうさか まいこ)
長野県出身の32歳処女の女性。セックス未経験であることにコンプレックスを持っている。女子大出身で、付き合った彼氏は、高校時代に一人だけ。その時はキスまでしかできなかった。会社では広報部に所属。女性らしい服を着て、ネイルやアクセサリーにも気を配る。気遣いができ、協調性も高く、穏やかな性格。情に厚く、一度会った人の名前と顔を覚え、人と丁寧に関わる。出入り業者の顔も名前もきちんと覚えている。映画が好き。一人暮らしだが、買ってきたもので食事を済ますため、料理はできない。
鍵谷 千里 (かぎや せんり)
エイコウという会社に勤める29歳の男性。コピーメンテナンス業務を担当し、香坂まい子の会社に出入りしている。花粉症のため、普段からマスクをしている。大人しくて口数も少なく、あまり感情を表に出さない。格闘ゲームが得意。母親を早くに亡くし、父子家庭で育つ。小学生の頃からご飯作りを担当していた。小さい頃から将棋に興味を持ち、プロの棋士を目指して「新進棋士奨励会」という養成機関に所属していた。
書誌情報
瓜を破る 10巻 芳文社〈芳文社コミックス〉
第1巻
(2021-04-15発行、 978-4832238213)
第5巻
(2022-07-14発行、 978-4832239302)
第6巻
(2022-12-15発行、 978-4832239616)
第7巻
(2023-05-16発行、 978-4832239920)
第8巻
(2023-10-16発行、 978-4832203310)
第9巻
(2024-03-14発行、 978-4832203792)
第10巻
(2024-09-13発行、 978-4832204348)