脂肪と言う名の服を着て

脂肪と言う名の服を着て

ゆるやかに虐げられることに慣れた地味で肥満気味な女性・花沢のこ。彼女の同僚で、美しく、他人を上手に虐げることに慣れた人の輪の中心にいる女性・橘マユミ。今の立場から抜け出したいと思いながら、自らに甘く、なかなか自分を変えられないのこと、太っている人間を虐げることでしか、ストレスを発散できないマユミのふたりが織り成すヒューマンドラマ。連載時は『やせなきゃダメ!』というタイトルであったが、単行本化にあたり改題された。

正式名称
脂肪と言う名の服を着て
ふりがな
しぼうというなのふくをきて
作者
ジャンル
キャリアウーマン
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概要・あらすじ

肥満気味の花沢のこは、会社でのヒエラルキーは低いものの、それなりに落ち着いた生活を送っていた。だが、ある日、彼氏の斉藤利彦が、会社の同僚、橘マユミと浮気していることを知り、痩せて彼を取り戻そうとするが、ストレスで過食を繰り返すように。なんとか決意を固め、エステサロンでのダイエットを試みるのこだが、上手くいかず、ついには嘔吐を繰り返して、不健康に痩せていくのだった。

一方、橘マユミは、のこを虐げることでストレスを発散していたが、自分の仕組んだ出来事により、のこは転属させられ、彼女を虐めることができなくなる。これにより、ストレスが発散できずに、マユミも徐々に精神の平衡を失っていくのだった。

登場人物・キャラクター

花沢 のこ (はなざわ のこ)

地味で太った女性。嫌なことがあると、ドカ食いしてストレスを和らげている。現実の世界に対して消極的に接しており、面倒なことには嵐が過ぎるのを頭を低くして待つようなところがある。斉藤利彦という彼氏がおり、高校の頃から8年の付き合い。のこの思考は、彼氏の斉藤を中心に考えられている。 斉藤という存在に依存しており、浮気をされるなど、明らかに斉藤に非がある場合でも、卑屈な考えを巡らせて、自分を責めることが多い。斉藤が、橘マユミと浮気したことを知り、より仕事に身が入らなくなり、マユミの挑発に乗って、社内でも問題を起こし続けた。マユミの策略により、松原千夏のミスを押し付けられ、地下室の仕事を与えられない部署に追いやられた。 このような出来事が積み重なり、痩せることを決意。だが、意志の弱さから上手くいかず、食事をしては嘔吐を繰り返すことで、不健康に体重を落としていくことになる。

橘 マユミ (たちばな まゆみ)

花沢のこの同僚の女性で、同僚のうちの中心人物。美人であり、同僚たちとお酒を呑みに行くとよくナンパされる。昔からデブが嫌いで、これを精神的に叩きのめしていた。デブが打ちひしがれた姿を見ると、心が落ち着いて自分がキレイになると感じている。のこが地下の何も仕事を与えられない部署に移動させられてから、彼女を虐めることができなくなり、ストレスを溜めるようになった。 要領がよく、頼りになる反面、性格がキツイところが、同僚から恐れられている。

斉藤 利彦 (さいとう としひこ)

花沢のこの彼氏。高圧的でヒステリックな母をもった影響で、根は女性に対して臆病であり、弱くて従順、男性からも不人気な女性にしか安心できない。時折、このような女性にしか安心できない自分が嫌になり、逆のタイプの女性に手を出すが、疲れてしまって長続きしない。のこの同僚であり、彼女と逆のタイプの橘マユミと関係をもった。 マユミに惹かれつつも、マユミにはのこに対するような安心感を得られないことと、のこを裏切っている罪悪感から、マユミといったん別れる。だが、浮気現場をのこに見られ、マユミとの関係を再開した。

藤本 (ふじもと)

花沢のこがテレクラを通して出会ったおじいさん。かなりの年配者で、杖をつき、眼鏡をかけている。女性の肌に触ることで幸福感を得ており、一番良いのは太った女性の肌だと考え、のこの太ももを触りながら「太古の濃厚な海にとろんと巻き込まれているような、強い回帰願望とやすらぎを与えてくれる」と評している。 のこの痩せたいという願いを聞き、彼女が寝ている間に、89万円という大金と、「やせるために使うも、食事をするも、あなたのご自由に」という手紙を残してホテルを去った。だが、のこがエステサロンに通い始めると、ここに連絡を入れ、金を払うので、のこを痩せさせないようにして欲しいと頼んだ。のこが出会った当初は、正体が不明であったが、実は大きな会社の会長であり、運転手付きの車に乗り、ラグジュアリーな部屋に住む裕福な男性であった。

田端 (たばた)

花沢のこの同僚。眼鏡をかけ、地味で暗い、やせた体型の女性。アーシュレイという何かを信じており、その僕を自認している。オカルトに染まっており、孤立したのこに近づき、「次元」や「波動」について語った。同僚のしていることを盗み見、盗み聞きして、秘密を探っており、橘マユミの評判を下げようと、様々な工作をしていた。

キヨ

エステサロン、スーパースリムセンターの経営者。花沢のこのダイエットを指導しているエステティシャン。ハッキリとした物言いをし、のこにも厳しく当たるが、エステティシャンとしての誇りをもっており、彼女がキレイになるための指導を惜しまない。また、急激にやせたのこが、吐き戻しをしているか、薬をやっているのではないかと心配していた。 のこを痩せさせることに反対した藤本の工作により、店舗を畳むことになる。その後、出会ったのこと会話し、その話を聞いて、太ったのは自分自身のせいと告げた。のこは「心がデブ」であるため、再び無理なダイエットを行ったり、太ったりを繰り返すだろうと予想した。 レズビアンであり、ともという彼女がいる。

松原 千夏

花沢のこの同僚で、橘マユミの取り巻きのひとり。毛先をカールさせた肩上くらいまでの髪をした女性。あまり頭は良くなく、他人に頼って生きるタイプ。書類作成のミスで、桁を1つ多くしてしまい、パニックを起こしていたところを、橘マユミの甘言に乗り、のこの仕事であったように見せかけることに同意した。 学生の男の子と付き合っている。

川原 ヨーコ (かわはら よーこ)

花沢のこの同僚で、橘マユミの取り巻きのひとり。肩下まで髪を伸ばしている。マユミの取り巻きではあるが、適度に距離をとっており、松原千夏ほど無警戒ではない。マユミが秘密クラブを取り仕切っているという噂を信じている。

斉藤利彦の母 (さいとうとしひこのはは)

斉藤利彦の母親。他人の粗探しをして、そこをネチネチと攻撃する性格。そのため、夫には逃げられ、息子からは辟易されている。利彦が、誰からも相手にされないような弱い女性にしか、安心できなくなった原因を作った人物。何か問題が起こると自殺をしようとする。

三島 (みしま)

花沢のこが、仕事を与えられない部署に追いやられた際に一緒になった同僚。オタクで太っており、眼鏡をかけた男性。仕事時間に同人誌を作っている。高見に同調して会社の上層部を見下し、自分の精神を保とうとしている。

高見 (たかみ)

花沢のこが、仕事を与えられない部署に追いやられた際に一緒になった同僚。プライドを保つため、自分は出る杭が打たれた結果、この部署に追いやられたと公言している。眼鏡を着用し、反っ歯で鼻の穴が大きく、パーマをかけた男性。口が悪く、初対面ののこをブタと評した。

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