あらすじ
第一巻
深山健太のプロポーズを受け入れた深山佐都は、健太の実家へあいさつに向かったが、深山家の一族は結婚を認めようとしなかった。健太は佐都と駆け落ちして深山家から離れる事を計画するが、お花見会の席で家長の深山圭一が突然健太と佐都の婚約を発表した事で、二人は深山家の住宅で暮らす事が決定する。佐都は深山家の人間関係をはじめ、深山家のしきたりや上級階級のマナーなどに振り回されながらも、健太のために努力を重ねていく。(エピソード「佐都の嫁入り」。ほか、3エピソード収録)
第二巻
深山佐都は、深山家に残る愛人の風習に、驚きと嫌悪感を隠せずにいた。しかし深山家の親族たちは、愛人の存在や浮気を見て見ぬふりをするばかりで、佐都はこの風習をなくそうと決意する。ある日佐都は、深山圭一の愛人である綾と偶然知り合い、綾の存在が深山久美や圭一の子供たちを傷つけている事に気づき、圭一を諭し始める。(エピソード「圭一の秘密」。ほか、4エピソード収録)
第三巻
深山リツコが、夫である深山大介の不倫現場を押さえようとしている場面に立ち会った深山佐都は、リツコに自分を重ねて力になる事を約束する。しかし、リツコの行き過ぎた不倫調査に大介は愛想を尽かし、リツコは自暴自棄になってしまう。そんなリツコを支えようと、佐都はリツコがストレス解消のため、大量に買い込んだブランド品を売る事を提案する。(エピソード「ことの次第」。ほか、4エピソード収録)
実写ドラマ
登場人物・キャラクター
深山 佐都 (みやま さと)
深山健太の妻。セミロングヘアで、前髪を横分けにしている。社員食堂で働いたあと、佐都の母親と共に実家の飲食店を経営していた。兄が一人いる。健太との入籍を報告するために深山家を初めて訪れた際、一般家庭で育った事を理由に深山家の親族から猛反対された。それにより、健太と駆け落ち同然に入籍したが、健太を深山家の跡取りにする事をもくろむ深山圭一の策略により、強制的に深山家の住宅で過ごす事をお花見会で発表されてしまう。深山佐都は当初その決定を拒否していたが、健太の心中に深山家をふつうの家族にしたいという願いがある事を知り、自らも妻として深山家に入って彼に協力する事を決意した。深山家では古いしきたりによって家政婦のような扱いを受け、さらに親族からは佐都の教養などを試すような発言や行動ばかりされている。また、健太が深山家の人間として振る舞う姿を見て、庶民の自分とは住む世界が違うと、若干の疎外感を感じている。結婚当初は健太の立場を考えて、深山家の親族に発言する事は少なかったが、徐々に佐都自身が納得できない事に対しては強く意見するようになる。また、深山家に受け継がれる、愛人を容認するしきたりには強く反対しており、深山家の親族が立花泉を愛人にする事を望んでいると知ると激しく嫌悪している。深山久美が圭一に虐げられている姿に心を痛め、できるだけ力になろうと尽力している。深山リツコとは似たような境遇である事から意気投合し、リツコの夫である深山大介の浮気現場を押さえる事に協力した。その後、大介とリツコの仲が険悪になった際にもリツコの心を立ち直らせるなど、いい関係を築いている。
深山 健太 (みやま けんた)
深山家の次男で深山佐都の夫。身長が高く、短髪を逆立たせている。明るい性格で教養もあり、マナーやしきたりにも精通している。幼い頃から深山圭一に虐げられる深山久美や、いがみ合う親族たちを見ている事から、深山家の慣習や親族に対して嫌悪感を抱いている。そのため、学生時代から一人暮らしで、就職先も深山家とは無関係の会社にしていた。しかし結婚後、お花見会での圭一の策略によって再び深山家での生活を始める事となり、会社を辞めて、深山家が経営する不動産会社で専務の役職に就く。佐都と出会い、佐都の母親が経営する飲食店のように人情味にあふれた世界にあこがれており、自分の家族も誰かが傷つくようなしきたりや、親族の争いがない関係を作りたいと親族の前で発言している。深山健太自身は親族と友好的な関係を築けており、一人暮らし時代にも連絡を取り合っている。立花泉とは学生時代からの付き合いで長らく片思いをしていたが、泉が婚約者とフランスに旅立った事で傷心している。しかし、泉と再会したあともあこがれを抱いており、佐都からは浮気を懸念されている。圭一が計画した、深山リツコの実家が経営するホテルと業務提携するプロジェクトの責任者を任されたが、リツコと深山大介の離婚に佐都が加担していた事が判明し、懲罰としてプロジェクトを外されてしまう。
深山 圭一 (みやま けいいち)
深山家の家長である中年の男性。深山健太の父親。恰幅のよい体形で威厳にあふれている。深山家の家長としての誇りを持っており、代々受け継がれる深山家名義の不動産業を主体に、深山家をより拡充しようとさまざまな事業を展開している。長男である深山明人の功名心が低く、成績も平凡である事から、深山家の跡継ぎを健太にしようと画策し、健太と一般庶民の深山佐都の結婚には猛反対していた。結果的に健太と佐都が駆け落ち同然で入籍してしまった事を受け、二人をお花見会に呼び出して大勢の客人の前で大々的に入籍を発表した。その後、佐都と深山家との身分の違いを示唆して、自然に離婚させようと考えていた。妻の深山久美に対しては使用人と同じ扱いをしており、佐都が失敗をすると久美の指導不足と称し、暴力を振るっている。愛人の綾にはアトリエである自宅を与え、毎週火曜日には綾のもとへ通っている。深山リツコの実家が経営するホテルと業務提携の契約を進めていた最中、リツコと深山大介が離婚すると発表した事で契約が破綻しかけた際には、怒り心頭となり激昂する。リツコの機転で契約破棄は免れたが、リツコと大介の離婚に佐都が加担していた事を知ると、健太を見放して明人にプロジェクトを任せるようになる。
深山 久美 (みやま くみ)
深山圭一の妻。ワンレングスのショートカットにしている。圭一に家政婦同然に扱われ、圭一の命令にはどんな事でも絶対服従させられている。また、圭一に愛人の綾がいる事を認知しており、綾が圭一に贈ったアクセサリーを磨かされるという、屈辱的な仕打ちにも耐えている。心中では深く傷ついており、深山佐都に慰められる事も多い。しかし佐都が自分をかばうために圭一に反抗する事で、佐都の立場がより悪くなるのを懸念している。深山健太が、深山家をふつうの家族関係に変えたいと発言した事に対して陰ながら応援している。
深山 明人 (みやま あきと)
深山家の長男で、深山美保子の夫。引っ込み思案な性格で、目立つ事を嫌っている。深山圭一の経営する会社で働いているが出世欲がなく、圭一からは見放され、美保子からは反感を買っている。深山健太が深山家の変革を行おうとしている事を羨んでいる一方で、気を強く持てない自分に嫌気がさしている。深山リツコと深山大介の離婚により、健太が新規事業のプロジェクトを外された際、健太の代わりに責任者に抜擢される。
深山 美保子 (みやま みほこ)
深山明人の妻。茶髪をセミロングヘアにしている。実家は200年続く和菓子の老舗のため、深山家に嫁いだあとも特に身分の格差を感じる事なく生活している。もともとは深山健太に好意を寄せていたが、健太に恋人がいる事を知ってあきらめ、代わりに明人と結婚した。そのため明人には深い愛情はなく、明人が長男である事だけを頼りに、彼を深山家の跡取りにして深山美保子自身の地位を高めようと考えている。深山家に残る古いしきたりに対しても理解があり、深山家の親族からの評価も高い。義理の祖母である深山八寿子にも献身的に仕えており、八寿子の取り巻きである義理の叔母たちにも気に入られている。しかし深山家の嫁という立場である事から、親族での集まりやパーティーなどでは給仕役を務めている。一般家庭から嫁いできた深山佐都を疎んじており、深山圭一と結託して佐都を追い出そうとしている。また、佐都と同じく成金となった深山リツコの事も見下しており、トゲのある会話を繰り広げている。
聖花 (せいか)
深山家の長女。伸二郎の妻で、娘が一人いる。ショートヘアを横分けにした髪形をしている。落ち着いた性格で、冷静沈着に状況を判断できるため、深山健太が深山佐都と入籍すると報告を受けた際には、反対する親族の中で、ただ一人だけ佐都を受け入れる事を進言した。また、深山美保子の佐都への行き過ぎた嫌がらせをたしなめたり、健太が深山家を変えたいと発言した際には同調したりするなど、一般的な感性を持ち合わせている。伸二郎との仲は良好だが、伸二郎側の親族とはうまくいっておらず、息子が生まれない事を悩んでいる。実母である深山久美の事を大切にしており、深山圭一が愛人を囲っている事に嫌悪感を示している。
伸二郎 (しんじろう)
聖花の夫。黒髪の短髪で、メガネをかけている。実家は深山家に負けない古い家系であるが、詳細は明かされていない。長男であるため、親族に跡継ぎとなる男子を切望されており、それが聖花の悩みである事も認識している。深山家の会合の際に、深山健太が深山家を変えようとしている事を聞いて触発され、伸二郎自身も実家の圧力から聖花と娘を守ろうと決意する。
深山 大介 (みやま だいすけ)
深山家の三男で、深山リツコの夫。襟足が長い短髪で、前髪を真ん中分けにしている。深山圭一から贈られた美容クリニックの医師を務める経営者でもある。リツコとは圭一が企てた政略結婚で、当初は拒否していたが、母親の深山久美の説得によって入籍した。そのため、夫婦仲は険悪だが、お花見会などの公の場では仲のよい夫婦を演じている。リツコの行き過ぎた不倫調査に嫌気がさし、一時は別居状態だった。佐都の協力によってリツコと冷静に話し合い、お互いのために円満離婚の道を選ぶ。離婚が決まってからはリツコと穏やかな関係を築き、離婚報告に激昂した圭一に対してもリツコをかばうような発言をしている。
深山 リツコ (みやま りつこ)
深山大介の妻。日本一巨大なホテルチェーン「ザラスホテル」の創立者の一人娘。ウェーブのかかったロングヘアに、多数のブランド品を身につけている。SNS上では多くのユーザーにフォローされており、ファッションリーダーとしても活躍している。深山佐都とは初対面から気さくに会話しており、徐々にお互いの境遇が似ている事で仲を深める。大介とは政略結婚であったが、深山リツコは大介に一目惚れしており、結婚後も大介に好かれようと努力していた。しかし大介は不倫ばかりしていたため、執拗な不倫調査が原因で険悪な夫婦仲となる。佐都と協力して大介の不倫現場を押さえた際には離婚を言い渡されるも、お互いの両親が反対した事で一度は離婚を免れ、別居状態となった。この時、別居に強いストレスを感じて買い物依存症に陥るが、佐都の協力で克服した。これによって気持ちの整理をつけ、大介と落ち着いて話し合った結果、円満離婚する道を選んだ。
深山 有沙 (みやま ありさ)
深山家の末っ子の女性。ウェーブヘアで前髪を分けている。結婚はしておらず、友達と遊びに出掛けている事が多く、一族の集まりに現れない事もある。深山佐都と深山健太が結婚する事を反対しており、結婚後も佐都を認めずに家政婦扱いをしていた。立花泉を気に入っており、健太と泉が結婚する事を望んでいる。深山家のしきたりは古くて時代遅れだと内心でうっとうしく感じている。
深山 八寿子 (みやま やすこ)
深山圭一の母親。深山家のご意見番のような老女。威厳にあふれた雰囲気を漂わせており、着物を着用している。療養のために箱根の別荘に滞在していたが、深山健太と深山佐都が結婚して深山家で暮らすようになってから、自宅に帰ってきた。昔気質の頑固な性格で、男の浮気は当り前、家に嫁いできた女性は家政婦のように働くべきといった、古い考え方の持ち主。圭一の子供である健太をはじめとした孫の事は溺愛している。
立花 泉 (たちばな いずみ)
深山健太の幼なじみの女性。ロングヘアの上品な雰囲気を漂わせ、周囲からの信頼も厚い。高学歴で複数の外国語をあやつる事ができる。政治家の父親が深山家と親交がある関係で、立花泉自身も深山家の親族と面識があり、深山有沙とは特に仲がいい。数年前に恋人とフランスに渡欧したが破局し、深山圭一に呼ばれて帰国した。帰国後は深山不動産で健太の秘書を務めている。過去に健太に告白されて断っているが、現在は健太といい関係を築いている。
綾 (あや)
深山圭一の愛人である中年の女性。ウェーブのかかった長い髪で、口元にはシワが目立つ。ジュエリーデザイナーを職業にしており、神戸と銀座に店を構えている。自宅兼アトリエは圭一に買い与えられたもので、圭一が週に一度泊まりに来ている。圭一とは10年近くの付き合いがあり、周囲の人たちには夫と伝えている。深山佐都とは料理教室で出会っている。
佐都の母親 (さとのははおや)
深山佐都の母親。小柄な体形で活発な性格をしている。佐都の事は自慢に思っており、深山家から結婚を反対された時には涙を流して悔しがった。夫が数年前に他界してからは、佐都と二人で料理屋を経営していた。
集団・組織
深山家 (みやまけ)
400年の歴史を持つ旧家で親族は名士ぞろい。日本各地に不動産を所有しており、それを主体にさまざまな会社を経営している。深山家には深山家名義の文化遺産も多数あり、それを守るのは深山家を継いだ男性の妻だとされている。
ザラスホテル
深山リツコの父親が経営する全国チェーンのホテル。元は民宿で、リツコの父親が一代で一流企業に育て上げた。そのため歴史は浅く、深山家傘下の由緒ある一流企業からは下に見られている。
その他キーワード
お花見会 (おはなみかい)
深山家が主催するパーティー。深山家の庭園で桜の季節に開催される。深山家が大手企業の経営者や政治家など上流階級の人たちを招待し、マスコミを呼んで大々的に報道させる。
書誌情報
やんごとなき一族 16巻 講談社〈KC KISS〉
第1巻
(2018-01-12発行、 978-4065107386)
第2巻
(2018-04-13発行、 978-4065112816)
第3巻
(2018-10-12発行、 978-4065139004)
第4巻
(2019-05-13発行、 978-4065156476)
第5巻
(2019-11-13発行、 978-4065173428)
第6巻
(2020-04-13発行、 978-4065192375)
第7巻
(2020-10-13発行、 978-4065212080)
第8巻
(2021-02-12発行、 978-4065224281)
第9巻
(2021-07-13発行、 978-4065238967)
第10巻
(2022-02-10発行、 978-4065259672)
第11巻
(2022-04-13発行、 978-4065270387)
第12巻
(2022-11-11発行、 978-4065292860)
第13巻
(2023-04-13発行、 978-4065313008)
第14巻
(2023-09-13発行、 978-4065328484)
第15巻
(2024-02-13発行、 978-4065346358)
第16巻
(2024-07-11発行、 978-4065361962)