概要・あらすじ
転校生の麻生光は、みんなから関わらないように言われた日向修と友達になる。修は暴力団の日向組組長の息子で、二代目と呼ばれているが、彼自身は親の仕事を見たくないと、安アパートで独り暮らしをしている。友達を増やすのが好きな光は積極的に修と接近し、親密になっていく。修もその影響で少し明るくなった。
だが、日向組組長の逮捕で幹部から二代目を強要されて生活が荒れ、それが学校での悪い噂となった。自暴自棄になり酔いつぶれた修を光が看病。修の安アパートの一室で、二人は膝を抱えたまま一晩を明かす。アパートのガラスは安物で、昇ってきた太陽はゆがんでいた。光が修と一晩明かしたことが噂になり、多くの友達も噂を信じていることに光はショックを受ける。
追い討ちをかけるように、自宅のスナック・サンの従業員・小庭から、前から光のことが好きだったと襲いかかられる。修がかばったため事なきを得たが、おかあさんからは転校を持ち出されることに。それを聞いた修の提案で光は二人でどこかへ行くことにする。
小庭がその計画を日向組に報せようとしていることが分かり、修はそれを止めさせようとする。だが小庭に一笑に付され、修はナイフを握ってしまう。翌朝、光は待ち合わせ場所に一人で佇んでいた。
登場人物・キャラクター
麻生 光 (あそう めぐみ)
背中まで届く長い髪の少女。元バレー部でスポーツ万能。母親と郊外の街に引っ越してきたばかり。父親とは死別。家はスナック喫茶店のサン。家庭に恵まれなかったためか一人ではいられない性分で、誰とでも友達になりたがる明るい少女。みんなから距離を取る日向修のことが放っておけず、周囲の目を気にせず友達になる。 修を気づかって朝まで一緒にいたことで友達からも汚く噂され、友達が怖くなる。おかあさんからは千葉の叔父の家へ行くことを提案されるが、修と駆け落ちすることを決意する。
日向 修 (ひゅうが おさむ)
髪はくせっ毛で肩に届きそうな長さ。暴力団日向組の一人息子で、クラスメートから恐がられる存在。父の仕事を見たくないということで、安アパートで独り暮らしをしている。一方で、日向組の幹部からは二代目になることを期待されている。麻生光と友達になったことで、周囲の見る目がやや好転したものの、父の逮捕で再び悪い噂が流れ始める。 日向組から縁を切りたいと苦悩。小庭秀二から光を守った。光が千葉に行かされると聞いて、駆け落ちを提案。妨害しようとする小庭を説得しようとするが、最後の手段としてナイフを手に持っていた。
おかあさん
ショートカットの女性。麻生光の母。スナック・サンを郊外の町に開店したばかり。夫を早くになくし、外に働きに出ていた。光が日向修と仲よくすることまでは認めていたが、一晩一緒にいたことにはショックを受けた。光と修の関係に一定の理解はしたが、街の噂になったため、光に千葉の叔父の家に行くことを提案する。
小庭 秀二 (こば しゅうじ)
明るい髪色の男性。スナックサンの従業員で、店主のおかあさんからの信頼も厚い。麻生光のことが好きで、言い寄る機会を狙っている。光と日向修の噂を吹聴していた。
次郎 (じろう)
明るい髪色の少年。暴力団日向組のチンピラで日向修と仲がよい。修が日向組を抜けることに反対ではないが、幹部の動向を心配している。