アイアンスノー

アイアンスノー

若雪春斗の初恋の相手である榧木紗羅が、東京で殺人事件に巻き込まれて地元に戻ってきた。この出来事をきっかけに、平凡な日常から一転して謎の事件に翻弄されていく、春斗の姿を描いたサスペンス作品。春斗をはじめとした主要な登場人物が空手経験者ということもあり、空手についての基礎知識も盛り込まれている。「good!アフタヌーン」2018年10月号から掲載の作品。

正式名称
アイアンスノー
ふりがな
あいあんすのー
作者
ジャンル
サスペンス
関連商品
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あらすじ

第1巻

若雪春斗は初恋相手の榧木紗羅に失恋をしたことをきっかけに、長年打ち込んできた空手道場をやめてしまう。その後、痴漢に遭っていた時に助けたことで知り合った、年上の細谷瑠璃と交際するようになる。そんなある日、春斗はかつて在籍していた空手道場に呼び出され、師範の武上から、上京した紗羅が殺人事件に巻き込まれ、警察沙汰になっていることを聞かされる。ショックを受ける春斗だったが、追い打ちをかけるように瑠璃が自宅で暴漢に襲われそうになる事件が発生。春斗はなぜ瑠璃が狙われたのかを知るために独自に動き出すが、高校生であることもあって、なかなか真相をつかむことができない。そんな中、夜道を歩いていた春斗はケガを負いながらも挟蓮を背負う紗羅と偶然再会し、そのまま彼女たちを保護する。自分の周囲に得体の知れない不穏な動きを感じる中、春斗は親友の賢太郎が何やら思い詰めていることに気づく。一方の蓮と賢太郎は、いつのまにかつながりを持ち、賢太郎の親戚が不在の家で二人暮らしをスタートさせていた。そして賢太郎は、蓮の命令で紗羅の動向を探るだけでなく、春斗を排除しようと襲い掛かる。

第2巻

賢太郎がなぜ自分を襲ったのか完全には理解できない若雪春斗だったが、次は勝ちたいと武上が営む空手道場で練習を重ねる。一方、挟蓮は暴漢に襲われそうになり、自分と同じ事件被害者である細谷瑠璃に会いに行く。そこで瑠璃に優しくされた蓮は、どうせ瑠璃も榧木紗羅のように離れていってしまうだろうと自暴自棄になり、自害しようとする。しかし、瑠璃と偶然店を訪れた春斗の説得により、蓮はその場から逃げ出す。蓮が逃げ出した先には賢太郎が待っており、春斗は再び賢太郎と戦うことになってしまう。

登場人物・キャラクター

若雪 春斗 (わかゆき はると)

高校2年生の男子。痴漢に遭っていたところを助けたことがきっかけでバツイチの細谷瑠璃と知り合い、交際するようになった。もともとは武上が営む空手道場に在籍していたこともあり、屈強な体つきをしている。空手をやめてからも時々、空手道場で稽古をしている。空手をやめた理由は、同じ道場生で初恋の相手でもある榧木紗羅に失恋したから。生まじめで責任感の強い性格で、物事を深く考えすぎてしまう傾向がある。そのため、若雪春斗自身はよかれと思っていても周囲を振り回したり、自らも空回りをしたりすることが多い。親友の賢太郎には小学1年生の時にいじめから救ってもらった経験があり、大切な存在だと感じている。

細谷 瑠璃 (ほそや るり)

若雪春斗の地元で居酒屋を営んでいる女性で、年齢は30歳。以前は結婚していたが、親族の期待どおりに子供を授かれないことをプレッシャーに感じ、離婚した。ややぽっちゃりとした健康的な体型で巨乳の持ち主。また、かわいらしい顔立ちをしているため、周囲からは独身でいるのがもったいないと、多くの縁談が持ち込まれている。しかし、周囲には秘密にしているが、細谷瑠璃自身が痴漢に遭った時に助けてくれた春斗と交際している。春斗のことは好きだが、いずれは自分と別れて、年の近い女性とふつうに恋愛をしてほしいと考えている。

榧木 紗羅 (かやき さら)

若雪春斗と同じ地元出身の女性。春斗よりも年上で、大学進学のために上京していた。地元を離れる前、春斗から告白を受けるが断っている。進学前までは武上が営む空手道場に在籍しており、筋肉質で鍛え上げられた体つきをしていた。大学生の時にヨガのサークルと騙され、挟蓮が所属している新興宗教の施設に出入りをするようになる。榧木紗羅自身はまったく宗教を信じていなかったものの、学校に通っていない蓮に勉強を教えるうちに親睦を深めた。その後、蓮が宗教を盾に売春行為をさせられそうになった際、蓮を守るために幹部たちと戦い、正当防衛ながらも警察沙汰になってしまう。その事件がきっかけで蓮を連れて地元に戻り、春斗と再会する。自分が関与した事件で、間接的に蓮は母親を失うことになってしまい、自分のしたことは正しかったのかと自問自答しながら過ごしている。

賢太郎 (けんたろう)

若雪春斗と同じクラスに在籍する高校2年生の男子。小学1年生の時にいじめられていた春斗を助けて以来、親友として付き合っている。武上が営む空手道場に在籍しており、春斗以上に屈強な体つきをしている。太りやすい体質なこともあり、食事には気をつけている。以前、親戚の伝手で挟蓮が祀り上げられていた新興宗教にかかわったことがあり、榧木紗羅が蓮を賢太郎自身の地元に連れ返った際に再会する。性格も温和で顔立ちもいいが、思ったことをすぐに口にするデリカシーに欠けるところがあるため、彼女ができずにいる。

挟 蓮 (はざま れん)

榧木紗羅が東京の大学に通っていた際に出会った、中性的な容姿を持つ少女。年齢的には中学生だが、学校には通っていない。母親が新興宗教の幹部をしており、特別な力を持つ存在だと祀り上げられ、「青蓮」の名前で宗教活動をし、自由のない生活を送っていた。新興宗教へのお布施が減ったことで、男性幹部から宗教活動を名目に売春行為をさせられそうになる。その際に助けてくれた紗羅と共に、若雪春斗が住む街へとやって来た。紗羅が自分を守るために抵抗した際、その場に居合わせた男性幹部に母親を殺害されてしまった。紗羅が自分を守ってくれると言いつつも、離れていくのではないかと不安を抱いており、異常に紗羅に執着している。賢太郎とは宗教活動の際に知り合い、紗羅の地元に身を寄せたことで偶然再会する。

武上 (たけがみ)

若雪春斗が通っていた空手道場の師範を務める高齢の男性。春斗が榧木紗羅に失恋して、空手をやめてからも何かと彼のことを気にかけている。また、春斗の生まじめさ故に心の弱い部分をさりげなくフォローするなど面倒見もよく、春斗をはじめとした空手道場の生徒たちからも慕われている。

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